【お薦め本】『じっくりながめたくなる 月の図鑑』(縣 秀彦著 緑書房)

▼「最遠到達、小さな地球 アルテミス2、人類乗せ40万6771キロ」
「…米航空宇宙局(NASA)などの4人を乗せた宇宙船が、地球から約40万6771キロメートルまで飛行し、これまでに人類が到達した距離を約6600キロ更新した。」
こんな驚くべきが記事が新聞の一面を飾った。
さらに興味深かったのは、宇宙船オリオンが、月の裏側の<あちら>から、地球を撮った写真が掲載されていた。
私は、ここ十数年前から、【宇宙見物】と称して、可能な限り毎日<こちら>から、月の写真を撮っていた。
だから、月はもっとも馴染みのある天体(「宇宙」)である。
馴染みであるから、よく知っているつもりなっているが、どこまで知っているかはあやしいところである。
「40万6771キロ」 と言われても咄嗟には、イメージできなかった。
今一度、この馴染みのつもりの「月」のことを知っておきたいと思った。
それにピッタリの本がこの春出ていた。
▼それが今回の【お薦め本】だ。
◆【お薦め本】『じっくりながめたくなる 月の図鑑』(縣 秀彦著 緑書房 2026.2.20)
例によって、お薦めポイントを3つあげておこう。
(1)まるごと「月」を楽しむための最高のガイドブック!!
(2)「これまで」の月とのつきあいのすべてを知る本!!
(3)「これから」の月とのつきあいを考えるための本!!
▼では、ひとつずつ少しだけ詳しくみていこう。
(1)まるごと「月」を楽しむための最高のガイドブック!!
先にふれたように、基本的には毎日、月の写真を撮っていた。
自慢げに言うことでもない。まったくのシロウトの「ヘタな鉄砲方式」の写真だ。
写真を撮るという行為を通して、観察を「記録」化したかったのだ。
それをまたFacebookやXでも発信をして楽しんでいた。
そのなかで、体験的にマイルールをつくっていた。
「上弦まで と下弦からは地球照が撮れる!!」
というものだった。このルールは使い体得したつもりでいたが、そのわけをうまくコトバにできずにいた。
アリガタイ!!
著者の縣さんがわかりやすいコトバにしてくれていた。
夕刻の西の空、月齢2前後、すなわち新月の日を含め3日目の月が三日月です。このころは、月が欠けている暗い部分がうっすらと見えることがあります。これを地球照と呼びます。地球で反射した太陽の光が月に届き、地球からの光で月の夜側もうっすらと輝き見える現象です。地球照を見やすいのは、三日月のような新月前後の月の輪郭が小さいとき。この時期は月から見た地球は昼の部分が多く明るいので、地球から月に届く反射光が強いことに加えて、月の輪郭が小さいのでまぶしくなく、月の暗部が見やすいのです。
(同書P36より)
さすがです。自分でつくった体験的マイルールにも納得です。
これに関連して、勝手な授業の提案もしていました。
「地球照」の画像から、太陽系(宇宙)の学習をはじめよう!!
・なぜ「地球照」が見えるの!?
・このとき、太陽-月-地球の位置関係は!?
・地球-月、地球-太陽の距離は!?
等など
提案はするけど、まだ自分でも実践したことがなかった。
この授業づくりには、
第1章「さまざまな月のかたちや見え方」
第2章「月を科学する」
がずいぶん参考になるだろう。
私など毎日月を観察するようになって、やっと「三球儀」の意味がわかりはじめてきたところだった。
もうひとつだけ「観察会」などに使えそうな月のアタリマエうんちくをあげておこう。
上弦は西の空に沈む際に月のかたちが、弓の弦(つる)にあたる方を上にして沈むことから、そう呼ばれるようになりました。一般には、「上弦の月」と呼ばれることがありますが、「上弦」が正しい呼び名です。アルファベットの大文字で「D」のかたちに見える半月が上弦です。「これから次第に月が太る時期」=「で(D)っかくなる月」と覚えましょう。逆にCのかたちに見える半月が下弦で、「これから小(C)さくなる」月です。(同書P38より)
うまい!!
「観察会」をいっぱいやっておられるだろう縣さんならではの説明ですね。
他にも、「月」をいっぱい楽しむための知識・技が満載です。
天文観測のスペシャリストが教えてくれる最高の「月」ガイドブックです。
次に行こう。
(2)「これまで」の月とのつきあいのすべてを知る本!!
人類と月との「これまで」のつきあいと言えば、まずはじめに来るのが暦でしょう。
このアタリマエからはじまっています!!
自然界において、1日の変化と同様に月の満ち欠けは誰でも知ることのできる周期的変化です。人々は古くから月の満ち欠けをカレンダー代わりに利用してきました。「1ヶ月」とは文字通り、月の満ち欠けの周期(位相変化)=1朔望月=約29.5日がその語源です。(同書P78より)
つづいて
・月と生活
・月の伝承(~日本~ ~海外~)
・詩歌に詠まれた月
・おすすめの月の映画
・月と音楽
実に面白い展開ですね。
第1章「月探査の歴史 ~アポロ計画から国際協調の時代へ~」では、月探査の「これまで」が興味深く語られています。
・主な月探査の歴史年表 (同書P108より)
「これまで」が一目瞭然!!で最高です。
コラム「宇宙船地球号」に書かれたこのコトバは示唆的です。
混沌とした今の時代を切り抜けていくには、月から帰還した宇宙飛行士が口々に述べる「宇宙のなかの地球(=宇宙船地球号)」という視座が人類皆、必要ではないでしょうか。
(同書P110より)
▼最後のお薦めポイントに行こう。
(3)「これから」の月とのつきあいを考えるための本!!
第5章「月探査の未来 ~アルテミスの時代~」
・アルテミス計画~再び月へ~
・ゲートウェイ
・民間企業の挑戦
では、月とのつきあいの「現在進行形」と「これから」が詳しく語られている。
最後の「おわりに」書かれた誘いのコトバがうれしい!!
このように、生活においても、文化においても、科学においても、“もし、月がなかったら”人類の文明は大きく変わっていたかも知れません。ぜひ、月を身近な存在として眺めてみてください。(同書P125より)
あらためて本のタイトルに戻りますが
『じっくりながめたくなる 月の図鑑』
ここには、著者の深い誘いの意図が含まれていたんですね。
今朝も、じっくり「地球照」ながめてみました!!
【蛇足】ぎみ<オマケ>!!
でも、やっぱり書きたくてしかたなかった。付録がとってもいいです!!
付録① これから起こる月食
付録② これから起こる日食
付録③ 月の旧暦での呼び名と季語
付録④ 月を歩いた12人
これが特に面白い!! 13人目は誰!? あなたは何人目になるのかな!?
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