
▼今、私はゆっくりと
◆「動く大地」を科学する
をすすめている。いつもきまって立ち止まり、混乱してしまう「暗礁」がある。
「時間」「時間のスケール」である。
一度わかったつもりになっていても、すぐ「暗礁」にのりあげ、頭の中で混乱してしまうのだった。
「あの山の石灰岩は、ペルム紀、南の海の海山の周りできたもので、海底に連続して堆積した放散虫とともにプレートにのってゆっくり北上し、ジュラ紀の終わりに大陸から運び込まれた泥(頁岩)に混じって付加したものです。」
「へー、すごい!!」
「感動である。そんな動く大地の物語があったなんて!!」
地質時代の年表をみながら、遠い昔の「時間」を理解しようとする。
わかったつもりになっていても、やがてその「時間」は、「大昔」のなかに融け込み混沌としてしまうのだった。
この「時間」の問題をなんとかしたい。
そんな思いをもっているなかで出会ったのが今回の【お薦め本】だった。
▼本のタイトルからして、なかなか興味深いものだった。
そのタイトルに惹かれて手にしたものだったのだが。
◆【お薦め本】『地質学者のように考える タイムフルネス、新たな時間認識』(マーシャ・ビョーネルード著 江口あとか訳 築地書館 2025.11.13)
最初にことわっておく、最後までこの本を【お薦め本】にあげることを迷っていた。
なぜなら正直言ってシロウトの私は、この本の内容をよく理解していなかった。
私には少しムズカシイ!?
ところが今なお多々あるからだ。
最初に言い訳までして、これをなぜ書く気になったのか。
それは、これを書くことで少しでも自分の理解を深めようという「コンタン」があるからだ。
その「コンタン」が拡散してしまわないうちに、いつものように3つのお薦めポイントをあげておこう。
(1)新たな時間認識を学ぶ!!
(2)地質学を学ぶ意義を問う!!
(3)「これから」の「時間」をみつける!!
▼ではひとつずついこう。
(1)新たな時間認識を学ぶ!!
まず著者はこんな独白からはじめていた。
地質学者であり大学教授として、私は地質時代の代(五億年以上)や累代(数億年程度) について、あまり注意を払わずに話したり書いたりしている。普段から教えているコースの一つに「地球と生命の歴史」というものがあるが、これは四五億年にわたる全地球の物語を一学期、一〇週間で一通り概説するものだ。しかし、一個人として、特に娘であり、母であり、配偶者と死別した女でもある私にとっては、他の人々と同様に、「時間」というものに正直に向き合うことは、やはり難しい。つまり時間に対して、私には、少しばかり偽善的なところがあることを認めざるを得ない。
時間に対する嫌悪感は、個人や集団の思考を曇らせる。
(同書P14より)
えっ!?
私はいきなり不安になってきた。ここで著者の言っている「時間」と私が「時間」と思っているものは同じものなんだろうか!?
なんとも困惑からはじまってしまったのだ。
そもそもこの本の副タイトルともなっている「タイムフルネス、新たな時間認識」とは どんなことなんだろう。
タイムフルネスとは、私たちが存在するよりもはるかに昔から続く過去と、私たちの存在なしに過ぎていく未来の両方を見据え、「時間」の中の自分たちの位置をはっきり認識し、冷静で明晰な時間観を持つ習慣を身につけることである。
タイムフルネスには、地理的な近さや遠さに似た深い時間の感覚が含まれている。
(同書P27より)
なんとなく「タイムフルネス」が見えてくる気もするが、道はまだまだ遠い。
本書の意図を次のようにも語っていた。
より多くの人が、地球の住人として共有する歴史や運命を理解すれば、私たちはお互いを、そして地球をもっと大切にできるのではないかという(少しナイーブかもしれない)信念に基づいて私はこの本を執筆した。
… (中略)…
しかし、地質学という共有の遺産をよりどころにすれば、まったくあたらしい方法で、これらの問題に対する私たちの考え方を再構築できるのではないだろうか。
(同書P29より)
(2)地質学を学ぶ意義を問う!!
未消化のままだが次にいこう。
とてもお気に入りのフレーズが出てきた。引用ばかりになるが、引用させてもらおう。
地質学の入門コースを受講すると、学生は早い段階で、岩石は名詞ではなく動詞であることを理解し始める。すなわち、岩石は、目に見える地質学的なプロセスの証拠であり、火山の噴火やサンゴ礁の形成、山脈の成長などを示している。どこに目を向けても、岩石が長い時間をかけて起こった出来事を証言しているのだ。
(同書P17より)
「岩石は名詞ではなく動詞である」っていいですね。
もうひとつつづけよう。
ディープタイム、つまり深い時間を探って理解することこそ、おそらく地質学が人類にもたらす最大の貢献だろう。かつて、顕微鏡や望遠鏡が、小さすぎたり大きすぎたりして人間には見えなかった空間の領域を私たちの視野に入れてくれたように、地質学は、人間の経験の限界を超えて時間を見ることのできるレンズを私たちに与えてくれる。
(同書P26より)
地質学は
「時間みることのできるレンズ」!! ナルホド!!
これもいいですね。
「時間」の可視化!!
▼最後のお薦めポイントにいこう。
(3)「これから」の「時間」をみつける!!
2章以下では「時間をみることできるレンズ」をどのように研きをかけ、進化させてきたかを詳しく語っている。
第2章 時間を捉える道のり
第3章 地球の歩み
第4章 空気が変わる
第5章 グレート・アクセラレーション(人類活動による大変動)
とつづき、そして最後に主文脈へとつないでいた。
第6章 タイムフルネス─つながる過去と現在と未来
ここにこの本の本意が集約されていた。
私にはこの章がもっと面白くわかりやすかった。
だから、個人的には第6章を最初に読まれることをお薦めしたい。
また、最後についている。
●[特別付録]読書会や感想整理のための10の質問(同書P252より)
を前に目を通しておき本文を読むのもひとつの方法かも知れない。
では最後に第6章の最後の一文を引用させてもらう。
しかし、地球は常に私たちに語りかけている。すべての石の中には、永遠の真実や役立つ確かな経験則が示されている。すべての葉の中には原型となる発電所があり、すべての生態系の中には健全な経済の手本がある。アルド・レオポルドの言葉を借りれば、私たちは「山のように考える」ことから始めるべきだろう。心の迷いを取り去り、この古くて複雑で、絶えず進化し続ける惑星のあらゆる習性とその住人にしっかり目を向けながら。
(同書P219より)
これからも、「これから」の「時間」をみつける旅をつづけたいものだ。
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