【お薦め本】『20世紀科学論文集 プレート・テクトニクス革命』(木村 学編 岩波文庫)

▼いつものように少しオオバーな話からはじめる。
「プレート・テクトニクス」!!
この言葉を聞くと、私の中学理科教師としての「歴史」と重ねて考えてしまうんだ。
不勉強な私がエラそうなことは言えないが、中学校で教える「全分野」が、はじめて知ることでも、生徒たちといっしょに学びながら楽しめた!!
ところが、ここの分野だけはちょっとちがっていた。
「こんなこと私自身勉強したかな?」
不安と不満がずっとあった。後で知っていくことになるのだが、
これはまだまだ進行形の「科学」だったのだ。
だから、自分でも少しずつ少しずつ学びながら教えることとなった。
それもまた楽しいのだが、悲しいかな「根っこ」のところでよくわかっていないというのは苦しかった。
根本のところで一度つまづくと、なかなか「動く大地」のほんとうの理解がすすまなかった。
現場をはなれて久しくなり、今、「動く大地」を科学するシリーズ をすすめていても事情は同じだった!!
▼こんなとき、この「根っこ」のところをよく理解するために、この夏、とても面白そうな本と出会った!!
【お薦め本】『20世紀科学論文集 プレート・テクトニクス革命』(木村 学編 岩波文庫2025.8.8)
「根っこ」のところがよくわかっていない人間に「論文集」なんてとんでもない、という思いだった。
しかし、読み始めるとそうでもなかった。
もちろん、まだこの「科学論文」を読み解いたわけではなかった。
だが手元に置いておき、いつでも参照したい本だと思った。
そこで、よくわからぬまま【お薦め本】にあげてみることにした。
これからの私自身の理解を深めるためにも。
いつものようにお薦めポイントは3つである。
(1)プレート・テクトニクスの基礎・基本を理解するために!!
(2)プレート・テクトニクス確立・発展の科学史を理解するために!!
(3)ふるさとの「あの山」の形成史を知るために!!
▼では3つのポイントをひとつずついってみよう。
(1)プレート・テクトニクスの基礎・基本を理解するために!!
いきなりこちらの質問に答えてくれていた。さすがである!!
「なぜいま、プレート・テクトニックスの古典を読むのか」と問われたときに、まず変化球的に、「科学における古典とは何か」と問い返してみよう。古典論文とは、重要な科学的知見を最初に明確な形で記した論文で、初心の知恵が盛り込まれ、繰り返し読み返す価値ある著作と定義してみたい。(同書P5より)
・最初の重要な科学的知見
・初心の知恵
・繰り返し読み返す価値
ナルホド!!
思わず納得してしまうのだった。
さすが私のようなシロウトのこともよくわかっておられる。
そして、プレート・テクトニクスの古典論文(!?)9本が紹介したあった。
9本の「論文」のそのものの価値もさることながら、その「論文解説」がまったくわかっていない私にはありがたかった。
「プレート・テクトニクス」こそが「遅れてやってきた科学革命」であり、地球科学のパラダイムシフトであると、熱く語りかけてくれていた。
プレート・テクトニクスは、地球上の地殻変動は鉛直方向の上下運動で起こるという従来の造山運動論を見かけのものとして覆し、地球表層を覆う岩盤(プレート)の水平方向の相対運動こそ地殻変動の本質であるとした点で、地球科学にパラダイムの転換をもたらしたのである。(同書P6より)
(2)プレート・テクトニクス確立・発展の科学史を理解するために!!
著者はプレート・テクトニクスの確立・発展の過程を「4幕劇」として語ってくれていた。これがとてもわかりやすく面白かった。
「4幕劇」の概要をあげてみるとこうだ。
・序幕 「大陸移動説の提案と頓挫」(1910年代~1930年)
・第1幕「大陸移動説の復活と海洋底拡大説」(1950年代末~1960年代前半)
・第2幕「プレート・テクトニクスの提案と検証」(1960年代末~1970年代初頭)
・第3幕「稠密観測とダイナミクスへの発展」(1970年代後半~現在)
うまい!!
再び私自身の「理科教師時代」をあてはめてみた。
私は1975年に理科教師になった。
まさに「第3幕」にピッタリだった。
これまた繰り返しになるが、自分の不勉強を棚にあげて言うなら、
学生時代に「第1幕」「第2幕」を、現在進行形の「科学」として、本格的に学ぶことなく、教師になってからも「教科書」に定着していくのには時間を要した。
「授業」のなかで扱うのにも苦労した。でもそれもまたなかなか楽しい作業でもあったが。
「科学論文」の話にもどって、第一章から第七章に割りふられた9本の「論文」は、すべて、1961年~1970年に発表されたものばかりだった。
つまり、私たちが生きた時代にもっとも近い時代の「科学革命」劇の「第1幕」「第2幕」 のシナリオ集がここにあるというわけだ。
今やアタリマエになった「科学用語」「ダイナミックな知見」もここからはじまっていた。
エラそうに言うことではないが、もちろん私はこれらの「論文」を読んでしまったわけではない。錆び付きはじめたポンコツ頭には到底無理な話だ。
でもこの本を手元に置いておき、「たしか、あそこにこんなことが書いてあったような!?」と、思うことがあったら読み返してみたいと思う。「ふしぎ!?」の「根っこ」を確かめるために。
▼最後のお薦めポイントにいこう。
(3)ふるさとの「あの山」の形成史を知るために!!
私は「動く大地」を科学する シリーズをつづけながらどうしてもやってみたいことがあった。遠く離れた「有名な山」のことはともかく、私は今暮らす地域の「あの山」ことが知りたかった。
「あの山」がいつごろ、どのよにしてできたのかそれが知りたかった!!
著者はこう書いています。
「動かざるごと山の如し」の喩えにもあるように、高く聳える山々は古来より畏怖と崇拝の対象であったが、同時に「山はなぜそこにあるのか、どうしてできたのか」といった知的好奇心の対象でもあった。やがて知的好奇心が探究心に変わり、山が地質学という学問の対象となったとき、最重要テーマとして研究されたのが山脈の形成メカニズムであった。(同書p285より)
では「プレート・テクトニクス」は、今もっとも知りたいことにどう答えてくれているだろう!?
「科学論文」はどんな考えるヒントを教えてくれているのだろう。
ゆっくり 急ごう!!
※『図解 プレートテクトニクス入門』(木村学/大木勇人著 ブルーバックス 講談社)
もあわせてもっておくと図を参考にしてわかってくることも多かった。




























最近のコメント