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【Web更新6/29】25-26 オンライン「寅の日」 等 更新!!

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ゆつくりと歩み急ぐや半夏生 25/06/27撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】25ー26
週末定例更新のお知らせ
 6月が終わる。!!
 2025年前半の終了である。
 2025年の「新年の抱負」をひっぱり出してくる。

(1)ゆっくり 急ぐ!!
(2)「不易流行」を追う!!
 ・ホンモノの「流行」は、「不易」を内包する!!
 ・ホンモノの「不易」は、「流行」を創造する!!

 いつもながら大げさだなぁ。さて、どこまできたのだろう!?

◆表紙画像集2025 更新 半夏生
 毎年のことながら、一年の「折り返し点」を教えてくれる植物があった。
 「半夏生」である。
 半分だけ白く化粧した姿が、前半終了を教えてくれていた。

◆オンライン「寅の日」更新!!
 6月の「ルクレチウス」への挑戦は終わった。
 まだまだ反芻作業が必要である。しかし、それにしても100年も前にこれを書いた寅彦に学ぶところは多い。
 7月は「寅彦と気象」デアル。

◆「天気の変化」を科学する 更新!!
 一応「梅雨」は明けたとされるが。「梅雨の空」を科学するシリーズはもう少し続けるつもりだ。
 それにしても暑い!! なんで!?


 大賀ハス観察池。蓮根の植え替えから13週目、1号の花芽は確実にのびてきている。
 「あこがれの4日間」はいつだろう!?

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2025年・「梅雨の空」を科学する(10) #梅雨 #梅雨前線 #Webテキスト #エマグラム #乾燥断熱線 #湿潤断熱線 #等飽和混合比線 #エマグラム鉄道物語

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「梅雨明け10日は晴れ」!!
 はほんとうだろうか!? まだ半信半疑で、空を見上げていた。
やっぱりと思わざるを得ない。 

しかし、まだ「梅雨の空」を科学するはつづけておこう。
 Webテキストミニ試案「エマグラム~エマグラム鉄道物語~」をつづけておこう。
 実はここからが、この私自身のいちばんお気に入りだった。
 
●一見複雑そうな「大気の物理学」を「中学校理科」で読み解く!!

 この「物語」は私が勝手に創作した!!
 私自身が、間違った認識の部分があるかも知れない。
 気づかれた点があれば、ぜひ指摘してほしい。よろしくお願いします。

▼では、はじめます。

3 エマグラム鉄道物語(その1)

※「ラジオゾンデによる高層気象観測(気象庁)」
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/upper/kaisetsu.html
※「エマグラム(SunnySpot)」
https://www.sunny-spot.net/emagram/
のページを開いておいて考えてみよう。

 「エマグラム」はどこか列車のダイヤグラム(列車運行図表)と似ていますよね。そこで、ここからは仮想の「エマグラム鉄道物語」として、 「エマグラム」を読み解いていきます。
 走る列車は
 「水蒸気を乗せた大気水蒸気列車」!!
 さあ、あなたも この列車に乗って「雲見」の旅に出よう!!

▼これまでにわかってきた、アタリマエの「科学」で読み解いていこう。

(1) 「エマグラム」3本の線を「エマグラム鉄道物語」で読み解いてみよう。

 a 等飽和混合比線=この列車の乗客(水蒸気)の定員数を示す線。
 「定員」は温度によってきまっている。温度が低くなると定員は(    )なる。


▼次がこの「物語」のミソだ!!

 b この「大気水蒸気列車」が走る線路は2種類あった。

 ●乾燥断熱線=乗客(水蒸気)が定員一杯になるまで列車が走る線路。
 この線路を走っているあいだ停車駅はないので乗客の乗り降りはない。つまり乗客(水蒸気)の数は変わらない。

 ● 湿潤断熱線=乗客(水蒸気)が定員一杯になって以後列車が走る線路。
 この線路を走るとき乗客(水蒸気)はその都度列車から降りてもらわねばならない。
 列車から降りた乗客(水蒸気)は「団体さん」になって「   」になる!!


(つづく)

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2025年・「梅雨の空」を科学する(9) #梅雨 #梅雨前線 #Webテキスト #高層気象観測 #エマグラム #乾燥断熱線 #湿潤断熱線 #等飽和混合比線

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▼「えっ、梅雨は明けたのか!?」
 そう思わせる空だった!!いや 暑さだった。
 なんとそれはほんとうの話となってしまった。
 昨日(2025/06/27)に「近畿地方の梅雨明け」が発表された。
 確定ではないにしろ 早い!?
 空で何が起こっているのだろう。

●Webテキストミニ試案「エマグラム~エマグラム鉄道物語~」をつづけよう。

2 エマグラムを読み解く

※「ラジオゾンデによる高層気象観測(気象庁)」のページをあけておいて、考えてみよう。
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/upper/kaisetsu.html

(1) エマグラムの縦軸・横軸は何を表しているだろう。
  ・縦軸…(   )
  ・横軸…(   )

 <ルール>高度が高くなると気圧は(   )
              気温は(   )
 

 どこまでもわかったアタリマエを確認しておこう。

▼使われている「科学のコトバ」に迷わされずに、ゆっくり考えみよう!!

(2)「乾燥断熱線」はどんなことを表しているだろう。

(3)「湿潤断熱線」はどんなことを表しているだろう。
  「乾燥断熱線」とのちがいはどこだろう。
  それはどうしてだろう?

  a 気体「ビュンビュン」から→液体「フラフラ」へ
    水蒸気(気体) → 雲(液体)
    そのときエネルギー(熱)は 「  」という。

  b グラフの傾きに注目だ!!


▼次も同様に!!

(4) 「等飽和混合比線」とは何を表しているのだろう

  ●「飽和混合比」とは
   乾燥空気1㎏に対して、お腹いっぱい含まれる水蒸気量(g)


▼さあ、ここでのメインだ!!

 (5) 具体的「エマグラム」図を見ながら考えてみよう。

  ●「エマグラム(Sunny Spot)」
   https://www.sunny-spot.net/emagram/


   ・太い実線(赤)は 「  」
   ・破線(青)は 「  」
   a 「気温」状態曲線で上空の「気温」はすぐわかる!!
   ・1500 m → (  )℃
   ・3000 m → (  )℃
   ・5700 m → (  )℃
   ・9600 m → (  )℃

   b 実線(赤)と破線(青)が近づいているところはどんなところ?
   「気温」と「露点」が近い!!
   「腹一杯」が近い!! → 「    」ができやすい!!

    アタリマエ!!

   c 全国各地の「エマグラム」を見てみよう。


  一見、複雑そうな話も ゆっくり考えると、アタリマエの「科学」から!!

(つづく)

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第59回オンライン句会「寅の日」7月例会案内!! #寅の日 #オンライン句会 #夏雲システム

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▼私は子規が大好きである!!
 私の毎日は
・『子規に学ぶ 俳句365日』(草思社)
・『正岡子規 句めくり 2025』(松山市立子規記念博物館
 からはじまった。

 今年も「子規庵の糸瓜」は、順調にのびてきた。

▼我らが寅日子先生も子規のことが気になっていたようだ。
 「子規の追憶」(青空文庫より)のなかで、次のように言っていた。

 とにかく、文学者と称する階級の中で、科学的な事柄に興味を有ち得る人と有ち得ない人とを区別する事が出来るとしたら子規はその前者に属する方であったらしい。この事は子規という人とその作品を研究する際に考慮に加えてもいいことではないかと思う。

▼そんな寅日子先生に師事するオンライン句会もはじめて、はや5年近くが過ぎようとしている。
 あらためて、第59回オンライン句会「寅の日」7月例会の案内をあげておく。

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第59回オンライン句会「寅の日」7月例会実施案内

0.はじめに
 本会をオンライン句会「寅の日」と称する。
 オンライン「寅の日」から生まれたオンライン句会です。
 俳句結社「寅の日」が運営しています。
 寺田寅彦に師事します。 

0からはじめる人のためのオンライン句会です。

 本会は「夏雲システム」を利用させてもらっています。

1.原則として月一回の月例句会を実施します。

2. 参加者
 あらかじめ登録された者のみ。
 (「俳号」をきめて、【句会「寅の日」参加希望】のタイトルで楠田までメールを
 
3.投句のお題
・当季雑詠(その季節の季語を自由に詠む。)

4.句数
・5句だし
・5句選(特1・並4)特選は2点 並選は 1点 扱い
・予選句は自由 

5.【投句期間】
 2025年7月1日0時から15日23時30分まで
 
6.【選句期間】
 2025年7月16日0時から25日23時30分まで  

7.【結果発表】
 2025年7月26日から
同時に「談話室」が書き込み可能になります。

8.賞について
 ・最高得点句は最優秀句であり、その句会の「寅日子」賞とする。
 ・特別賞として、次の賞を設ける。
 「これぞ科学!!」が詠まれた句 → 「牛頓」(ニュートン)賞!!
 「よくぞそこまで観察した!!」という句 → 「藪柑子」賞!!
  特別賞は、毎回でなくてよい。
  もちろん「寅日子」賞と重なることがあってもよい。
  参加者が、選評の際に書き込むようにようにしたい。複数票を獲得したときに受賞としたい。

9.注意事項
 参加する前に「夏雲システム」、「同意事項」をよく読んでおいてください。

***************************************************************

▼子規のすばらしいと思うのは、松山でも根岸の「子規庵」でも句会にこだわっていたところである。
 「句会」にこそ、俳句の本質・醍醐味を見出していたのだろう。
 あなたも挑戦してみませんか。

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本日(2025/06/26)、第414回オンライン「寅の日」!! #ルクレチウスと科学 #traday #寺田寅彦

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▼今年も「大賀ハス観察池」に、第1号の花芽が大きくたくましく成長してきた。
 うれしい!!
 これで今年も、「あこがれの4日間」を一回は楽しめそうだ。
 それはいつだろう!?

▼本日(2025/06/26)は、第414回オンライン「寅の日」である。
 6月のテーマは、古くて新しい「原子論」である。
 具体的には「ルクレチウスと科学」を読むのである。

 【6月テーマ】「寅彦とルクレチウス」

 6月は三回ともこれを続けて読んできた。
 本日はその三回目・最終回である。
 
◆本日(2025/06/26)、第414回オンライン「寅の日」!!

●「ルクレチウスと科学」(3)(青空文庫より)


▼今回は目安として
(3) 五、六、後記
 を読むこととしていた。あくまで目安だが
 
 <五>
 このあたりから、強く寅彦自身の文脈が見えてくるような気がするのである。

  この方法論は、実は、はなはだ科学的なものである。彼の考えを敷衍(ふえん)して言えば、経験によって明確に否定されないすべての可能性は、すべて真でありうることを認容してかからねばならないというのである。この事は意外にもかえって往々にして現時の科学者によって忘却される。精密という言葉、量的という標語を持ち出す前にまず考えなければならない出発点の質的のオルターネティヴが案外にしばしば粗略に取り扱われる。

 こんなことまで言っていた。
これは、ある意味から、自然方則の変遷を考えているものとも見られる。科学の方則ははたして永劫(えいごう)不変のものであるか。これはきわめてまれにしか持ち出されなかった問題である。
 
 
<六>
 いよいよ寅彦の本意に近づいて来た。
 「なぜ、今 ルクレチウスなのか!?」の答えがこのあたりにあるような気がするのだった。
科学は進歩するが人間は昔も今も同じであるという事を痛切に感じないではいられない。同時に今の科学者がルクレチウスから科学そのものは教わらなくても、科学者というものの「人」について多くを教わりうるゆえんをここにも明らかに認めうると考えるのである。

私はこの書に結末らしい結末のない事をかえっておもしろくも思うものである。実際科学の巻物には始めはあっても終わりはないはずである。

▼いよいよ最後である。
<後記>
 寅彦はもっとも言いたかったことをここに集約しているように思う。
 このコトバがすべてを語っていた。

 ルクレチウスの書によってわれわれの学ぶべきものは、その中の具体的事象の知識でもなくまたその論理でもなく、ただその中に貫流する科学的精神である。この意味でこの書は一部の貴重なる経典である。もし時代に応じて適当に釈注を加えさえすれば、これは永久に適用さるべき科学方法論の解説書である。

 少し表現をかえて賞賛が続いていた。
 現代科学の花や実の美しさを賛美するわれわれは、往々にしてその根幹を忘却しがちである。ルクレチウスは実にわれわれにこの科学系統の根幹を思い出させる。そうする事によってのみわれわれは科学の幹に新しい枝を発見する機会を得るのであろう。

 現代の科学がルクレチウスだけで進められようとは思われない。しかしルクレチウスなしにいかなる科学の部門でも未知の領域に一歩も踏み出すことは困難であろう。

 最後に寅彦はとても面白い「座標軸」を提案していた。
 今かりに現代科学者が科学者として持つべき要素として三つのものを抽出する。一つはルクレチウス的直観能力の要素であってこれをLと名づける。次は数理的分析の能力でこれをSと名づける。第三は器械的実験によって現象を系統化し、帰納する能力である。これをKと名づける。今もしこの三つの能力が測定の可能な量であると仮定すれば、LSKの三つのものを座標として、三次元の八分一(オクタント)空間を考え、その空間の中の種々の領域に種々の科学者を配当する事ができるであろう。
 
 繰り返しての念押しも忘れていなかった。
 誤解のないために繰り返して言う。ルクレチウスのみでは科学は成立しない。しかしまたルクレチウスなしには科学はなんら本質的なる進展を遂げ得ない。

 そして、最後の最後にこう言い切った。
また一方私はルクレチウスをかりて自分の年来培養して来た科学観のあるものを読者に押し売りしつつあるのではないかと反省してみなければならない。しかし私がもしそういう罪を犯す危険が少しもないくらいであったら、私はおそらくルクレチウスの一巻を塵溜(ごみため)の中に投げ込んでしまったであろう。そうしてこの紹介のごときものに筆を執る機会は生涯(しょうがい)来なかったであろう。

 逆説的であるがきわめて熱く熱くルクレチウスを語っているのである。薦めてくれているのである。
 科学者・寺田寅彦が、今から約100年(96年)も前に語っているのである。

 <はじめにルクレチウスありき!!>

 と。まだまだ反芻作業をつづけよう。

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【Web更新6/22】25-25 「天気の変化」を科学する 等 更新!!

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南天の花割れ咲くや黄身のごと 25/06/21撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】25ー25
週末定例更新のお知らせ
 消えたはずの梅雨前線が帰ってきた!!
 「大気の物理学」はなかなか一筋縄ではいかない。
 「科学する」を楽しみながら続けたいものだ。
 
 2025年前半ラスト一週間!!
 ゆっくり ゆっくり 急ごう!!

◆表紙画像2025 更新 南天の花
 南天の花がみごとに咲いている。
 その様はゆで卵が「割れ咲いた」かのごとくだ!!
 新鮮な「黄身」が 目を惹いた。

◆「天気の変化」を科学する 更新!!
 Webテキスト『天気の変化』試案に再度挑戦してみている。
 「梅雨の空」を科学する をつづけてみたい。
 プロたちの「科学」も、きっとアタリマエが重なったもののハズ。

◆オンライン「寅の日」 更新!!
 7月のテーマは「寅彦と気象」でいきたい。
 6月の「ルクレチウス」も今一度読んでみよう。

◆サイエンスコミュニケーター宣言 更新!!
 【お薦め本】をまた一冊加えた。
 「これから」に多くのヒントをもらった。ゆっくり 急ごう。


 大賀ハス観察池。蓮根の植え替えから12週目である。
 ついに大きな葉の「立葉」が出現してきた。近くを注意深く観察してみるが、まだ「花芽」は見ない!!
 もうそろそろ…。
 
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2025年・「梅雨の空」を科学する(8) #梅雨 #梅雨前線 #Webテキスト #高層気象観測 #エマグラム #生兵法実践主義 #上がるとザアザア

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▼やっぱり、梅雨前線が帰ってきた!!

 空は「梅雨明け」をジャンプして、立ち上る「夏雲」を見たかと思っていた。
 しかし、梅雨は続いていた。
 「梅雨の空」の「ふしぎ!?」をつづけよう。

 次もWebテキスト『天気の変化』の試案を追ってみよう。

◆Webテキストミニ試案「エマグラム~エマグラム鉄道物語~」

 「エマグラム」!?
 またまた唐突な話だ。つづけて「梅雨の空」の上空を科学してみよう!!

▼では、はじめよう。

1 高層気象観測とエマグラム

※「ラジオゾンデによる高層気象観測(気象庁)」のページをあけておいて、考えてみよう。
 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/upper/kaisetsu.htm

(1)「ラジオゾンデによる高層気象観測」を実施している場所で、あなたの住んでいるところからいちばん近いのはどこですか。

 二番目に近いのはどこですか。

(2) ラジオゾンデではどんな気象要素が測定されますか。

 a 風向・風速はどのようにして測定していますか。

 b 高度何㎞あたりまで計測されていますか。


▼いよいよです。

(3) 高層観測で得た観測データを用いて、「エマグラム」という図がつくられています。

・「エマグラム」って何!?

 ●「エマグラム(Sunny Spot)」
   https://www.sunny-spot.net/emagram/
 を参考にして、自分の住む場所にいちばん近い観測点の「エマグラム」をみてみよう。
 他の観測点の「エマグラム」もみてみよう。
 何がちがうだろう。
 気づいたことをあげてみよう。

▼なんともわけのわからぬ自分でもよくわかっていない「エマグラム」なるものをひっぱり出してきたのはなぜか!?
 私の勝手な<ねらい=思い>としては、3つあった!!

(1)専門家(プロ)たちの使っているデータも、いくつものアタリマエが重なってできている!!
 ・そのデータを私たちも簡単に見ることができる。

(2)今までに知った<きまり>をどんどん使ってみる!!生兵法実践主義!!

(3)「梅雨の空」の「ふしぎ!?」を科学する。
 ・「大気の物理学実験室」の謎解き
 ・防災・減災にツナガル科学を  

(つづく)

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2025年7月のオンライン「寅の日」は #寅彦と気象 #traday #寺田寅彦

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▼「梅雨に入ったばかりだったのでは!?」
 雲一つない青空に向かって愚痴ってもしかたない。
 それにしても暑い!!
 ともかく暑い!!
 この暑さはどこから!?
 天気の「ふしぎ!?」はどこまでもつづく。

▼7月のオンライン「寅の日」の計画をたてる時期だ。
 科学者・寺田寅彦もこの「天気・気象」に強い関心をもっていた。
 関連した随筆も多く書いていた。
 そこで7月テーマを次のようにする。

【7月テーマ】「寅彦と気象」

 7月にオンライン「寅の日」は2回ある。
■2025年7月のオンライン「寅の日」!!
◆第415回オンライン「寅の日」 …7/08(火)
◆第416回オンライン「寅の日」 …7/20(日)

▼数多くある「気象」関連の随筆のなかから何を読むか迷うところであったが、次の2つにきめた。
・「夏の小半日」
・「颱風雑俎」
 まずは「ふしぎ!?」の謎解きからはじめよう。
 防災・減災にツナガル「科学」を寅彦から学びたいものだ。

■2025年7月のオンライン「寅の日」!!

◆第415回オンライン「寅の日」 …7/08(火)「夏の小半日」(青空文庫より)

◆第416回オンライン「寅の日」 …7/20(日)「颱風雑俎」(青空文庫より)

▼今続けている 「梅雨の空」を科学する シリーズ もいましばらく続けたいとおもっている。
 ここでもやはり寅彦の「科学する」に学びながら。
 この夏、私たちの暮らす「大気の物理学実験室」に何が起こるだろう!?
 

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【お薦め本】『「科学知」と「人間知」を結びつけるために わたしの最終講義』(池内 了著 青土社)

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▼最近いろんな事情が重なり、人の講演(講義)を聞く機会が少なくなってきている。
 とても残念である。
 元々不勉強な私はそのような講演(講義)との出会いをきっかけにその方面の学びをはじめるということが多かっただけに、「エネルギー源」をたたれたようで哀しい。
 今の時代だから、YouTubeなどを利用していくらかは補完することもできるかもしれないが、やっぱり生がいい!!
講演者の息づかい、表情、間合い等々を含めた生のお話は、聴かせてもらったものにとっては貴重な「財産」となる。

▼いつかはぜひ生のお話を聴かせてもらいたいと思っている人のひとりに池内了さんがおられた。著書を通じて多くを学ばせてもらってきた。とりわけ「寺田寅彦」についての著作からは実に多くを教えてもらい、勝手にオンライン「寅の日」への「案内人」のように思ってきた。
 その池内氏が副題に「わたしの最終講義」とした本が出た!!
 それが、今回の【お薦め本】だ。

◆【お薦め本】『「科学知」と「人間知」を結びつけるために わたしの最終講義』(池内 了著 青土社 2025.5.28)

 さっそく手に入れ読んでみた。実に面白かった!!
例によって3つのお薦めポイントをあげておく。

(1)多種多彩なる九つの講演・講義(お話)を自由自在に楽しめる!! 
(2)著者の主文脈=「新しい博物学」が豊かに読めてくる!!
(3)読者自身の「これから」に示唆を受ける!!

▼ではポイントのひとつずつを少しだけくわしく語っておく。
(1)多種多彩なる九つの講演・講義(お話)を自由自在に楽しめる!!  
今回は、いつもとちょっとちがった本の読み方をした。
 あくまで講演・講義を想定して「一日一話」を原則として読んでいった。
 たとえ面白そうに思えても、この原則をはずさなかった!!
 ダカラ アリガタイことに 
 九日も池内了氏の「講演会」を楽しめたのだ!!
 この「講演会」はラッキーだった。メモを取る必要もなかった。だってもうそこに「書かれて」いるのだから。
 理解力の落ちてきている私は、「音読」を原則として声に出しながら読み進めた。
 頭の中で整理できにくくなると、スローになったりストップをかけたりした。
 たったひとりの「聴講者」である私の自由自在であつた。
 九つの「講演会」のテーマは、多種多彩であった。
 それは、そのお話が誰を「対象者」(「聴衆」)としていたかを物語るものだった。
 初出は、いつどんな場での講演・講義かはあげてある。
 それにしても驚いてしまう。
 著者の「守備範囲」の広さに!!
 こちらも変化自在に、そのときの「受講者」になって楽しんでしまおう。

次にいこう。
(2)著者の主文脈=「新しい博物学」が豊かに読めてくる!!
 九つの話はバラバラのようにも見えた。
 しかし、底部でしっかりツナガッテイタ!!
 それは、まるで連句のように(「連句」とは何であるかをくわしくは知らないくせに)別個に見えて、ツナガリ全体で1個の「作品」に見えてくる。
 全体の底部に流れる著者の主文脈(提言)、それは
 「新しい博物学」!!
 だと思っていた。ここは著者のコトバを借りよう。

 「新しい博物学」とは、単純に言えば、文系の知恵としてさまざまに展開されてきた諸々の「人間知」と、理系の知識として発見されてきた自然界の構造や運動についての「科学知」とを対等に盛り込んだ物語を楽しむことを目的としています。つまり、文系知と理系知を結び付けた物語を創る試みのことです。(同書P9より)

 その試みは、みごとに成功していました!!
 ここに豊かに語られた九つの「新しい博物学」物語があります。

▼3つ目のポイントにいきます。
(3)読者自身の「これから」に示唆を受ける!!
 3つ目はかなり個人的なことです。
 私にはとりわけ最後の2つの話が興味深かったです。

●第8話 科学者の「歴史の見方」とは?――播磨国の歴史から私の歴史散歩を試みる
●第9話 三〇〇年前の天の河は特定できるのか?――芭蕉と越後と天球の回転

第8話の「播磨国」とは私の「ふるさと」のことです。
 なんとこの講演は我が町でおこなわれたものなんです。残念ながらせっかくのこのチャンスを逃してしまいました。しかし、アリガタイことに、そのときの「記録」がここにあるというわけです。
 「科学と歴史を考える」では、具体的な提言もされています。
 それは、私自身の「これから」についても示唆的で、とても参考になりました。
 私にもできることから少しずつ少しずつはじめたいと思います。
 第9話についても同様です。
 私にとってのあらたな「新しい博物学」の楽しみ方を教えてもらっているようだった。
まだまだ勉強ですね。
 
 “最終講義”となっていますが、ご本人も“挑戦”すると言われいますので、どこかで 生でお話を聴く機会があることを楽しみにしていたいと思います。

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2025年・「梅雨の空」を科学する(7) #梅雨 #梅雨前線 #Webテキスト #数値予報図 #渦度 #生兵法実践主義 #上がるとザアザア

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▼暑い!!
 あれっ!?梅雨前線が消えた!?
 でも やっぱり
 Webテキスト試案「高層天気図・数値予報図」(pdf版)をつづけてみよう。
 プロたちの「科学」も、自然のアタリマエが重なってできているはずだ。
 誰にもわかるから「科学」なんだ!!
 
5 数値予報図~渦度~

※数値予報天気図(気象庁)

を参照しながら、考えてみよう。
●極東地上気圧・風・降水量/500hPa高度・渦度予想図 ( 12時間毎 )
を開いておいて考えてみよう。

(1) 500hPa高度の基準高度はいくらぐらいだろう。
  5.700m !!

▼「渦度」!!新しいコトバに迷わされずにアタリマエを追求しよう。

(2) 「渦度」には「+正」と「-負」がある。
「低気圧」「高気圧」の渦はどちらだろう。

●北半球では
「+正渦度」=反時計回りの渦 → ( 低気圧)の渦
「-負渦度」=時計回りの渦 → (高気圧 )の渦

(3)「正渦度」のところは縦縞の実線で表されています。
  低気圧(L)、高気圧(H)の位置を確認してみよう。

▼アタリマエ重ねれば、徐々に「科学」に迫ってきますね!!

(4) 天気図に現われる「渦度」とは鉛直成分を表したものです。
「正渦度」のところの大気は上がっているでしょうか。それとも下がっているでし
ょうか。

●北半球では
「+正渦度」=反時計回りの渦 → 低気圧の渦→ 大気は「上がる 」
「-負渦度」=時計回りの渦 → 高気圧の渦 → 大気は「 下がる」

▼いよいよです。

(5)「地上気圧・風・降水量」の図を見て、「降水量」のいちばん多いところ(極)を
さがしてみよう。
それは「渦度」とはどんな関係になっているだろう。

a 「12・24時間予想」「36・48時間予想」「72時間予想」でも確かめてみよう。

「縦縞の実線」部→「正渦度」→大気「上がる」→→ <上がると ザアザア>

ここでも やっぱり!!
<上がるとザアザア 下がるとカラカラ>

 いっぱい例外あるだろう!!
 でも、ざっくりと そう言えないかな!!
 繰り返し、繰り返し 使ってみよう!!

<上がるとザアザア 下がるとカラカラ>

生兵法実践主義で!!


(つづく)

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2025年・「梅雨の空」を科学する(6) #梅雨 #梅雨前線 #Webテキスト #数値予報図 #鉛直P速度 #湿数 #上がるとザアザア

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▼Webテキスト試案「高層天気図・数値予報図」(pdf版)をつづけよう。
と言いながらも少し自分でも迷っていた。
なんのために自分でもよくわかっていないことを繰り返し綴っているのだろう!?
自問自答しながらも、やっぱりつづけよう!!  

次は

4 数値予報図~鉛直p速度~

※数値予報天気図(気象庁)

を参照しながら、考えてみよう。
●極東850hPa 気温・風、700hPa 上昇流/ 700hPa 湿数、500hPa 気温予想図 ( 12時間毎)
を見ながら考えてみよう。

▼「鉛直p速度」!? 耳慣れぬコトバからはじまっていた。
 ポンコツ頭はパニック寸前だった。
(1) 「鉛直p速度」は何をあらわしているのだろう。

 a 単位は

 b 「私たちは大気の海の底に暮らしている!!」

 底(下)ほど 気圧は ( 高い)!!
 上空(上)ほど 気圧は (低い )!!

 アタリマエ!!

 c 大気が「上がる」「下がる」ときで考えてみよう。
 大気「上がる」→ 鉛直方向の気圧変化速度「鉛直p速度」 → 「 - 」
 大気「下がる」→ 鉛直方向の気圧変化速度「鉛直p速度」 → 「 + 」

 コトバは難しいが
 ナルホド!!アタリマエすぎるほどアタリマエのこと!!

(2) 700hPa 上昇流の図では、上昇流の領域(鉛直 p 速度「-」域)は、縦縞の実線であらわしてある。
  確認してみよう。

 ・上昇流のいちばん大きいところ(極)はどこにあるだろうさがしてみよう。
 ・反対に下降流のいちばん大きいところ(極)はどこにあるだろう。

▼おおざっぱにとらえて次に行こう。
(3) 今度は700hPa湿数、500hPa気温予想図 を見てみよう。
 a 「湿数」とは
 「湿数」=気温-露点
 大気中の水蒸気の満腹度を示す!!

 b 満腹の限界を越えてしまえば大気中の「水蒸気」ははみ出して「雲」になる!!
 
 その臨界点が近いぞ!!
 ということを予想天気図では明示してくれていた。
 「湿域」=「湿数」<3℃
 つまり湿っているところ!!
「雲」がとってもできやすいところ!!
予想天気図では、「湿域」は縦縞の実線で表示されている。
 確認してみよう。

▼ここが、今回のメインだ!!  

(4)「極東850hPa気温・風、700hPa上昇流」予想図における
  ●「鉛直P速度」→「-」→大気「上がる」→実線縦縞
   「700hPa 湿数、500hPa気温」予想図における
  ●「湿域」=「湿数」(=気温ー露点)<3℃ →雲ができやすい→実線縦縞

 ふたつ予想図の実線縦縞をザックリと見くらべてみよう!!

 ここでもやっぱり

 <上がるとザアザア 下がるとカラカラ>!!

 予想図の時間を変えても言えるかな!?
 
(つづく) 

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【Web更新6/15】25-24 「天気の変化」を科学する 等 更新!!

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浮かぬ空明かり灯すや花柘榴 25/06/13撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】25ー24
週末定例更新のお知らせ
 はや6月なかばを過ぎた!!
 しかし、まだ梅雨に入ったばかりで、まだ「真夏」までには少し時間があると思っていた。
 どうやら見当外れだったようだ。
 「真夏」はど直球でやってきた。
 天気はやっぱり「複雑系科学」のようだ!!

◆表紙画像集2025 更新 花柘榴
 うっとうしい梅雨空に、鮮やかな朱色した柘榴の花が咲いた!!
 そこだけが明かりを灯したようでうれしい。
 今年は例年以上に花の数が多いよな気がするが
 はたしてどうなるだろう!?
 秋が楽しみだ。

◆「天気の変化」を科学する 更新!!
 「梅雨の空」を科学する をはじめる。
 同じことの繰り返しだが、やっぱり「科学する」は面白い。
 「上がるとザアザア」のアタリマエを科学しよう。
 つくったルールは<使いモノ>になるかな!?

◆オンライン「寅の日」 更新!!
 6月は「ルクレチウスと科学」ばっかりである。
 どこまでルクレチウスに迫れるだろう!? 
 どこまでも自分自身の文脈で読み解いてみたいものである。

 
 大賀ハス観察池。蓮根の植え替えから11週目!!
 いよいよ浮葉で覆われてしまった。もう二重にのところもでてきた。
 さあ、いよいよだ !!

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2025年・「梅雨の空」を科学する(5) #梅雨 #梅雨前線 #Webテキスト #高層天気図 #500hPa #300hPa #ジェット気流 #生兵法実践主義

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▼ 東北地方も梅雨入りした模様だ。
 ちょっと梅雨空の様子がかわってきた。
 TV・ネットの「天気予報」を参考にしながら、Webテキスト試案「高層天気図・数値予報図」(pdf版)をつづけよう。
 次は

 3 500hPa・300hPa 高層天気図

※高層天気図(気象庁)
●アジア 500hPa・300hPa 高度・気温・風・等風速線天気図(AUPQ35)
を開いておいて、次のことを考えてみよう。
(1)基準の高さをもういちど確認してみよう。
・500hPa (5.700 )m
・300hPa (9.600 )m

 何度でもこのアタリマエを繰り返しておこう!!

▼今すぐ温度計を持って、ハシゴかけて、駆け上って確かめたいところだ!!
 でも、それは無理!!
 しかし、私たちにはこの「高層天気図」がアルぞ。 

(2)自分の住む地域の上空の気温を読み取ろう。
・500hPa ( )℃
・300hPa ( )℃

 「高層天気図」見ながら、自分で確かめてみると実感がちがいますよね。
 アタリマエを科学するとはそんなこと。

▼次がここでのメインかもしれない。

(3) 500hPa 高層天気図に注目して、あたたかく湿った大気のかたまり(暖湿気)が流入てきたら、天気はどのように変化するでしょう。

暖かい空気(地表) →(密度小=軽い )→ 上がると ザアザア
「大気不安定!?」

●夏 → モクモク積乱雲 → 「大雨」

 ルールをみつけたら使ってみよう。
 何度も何度も使っていたら、「ルール」はホンモノになる。
 「ルール」が使いモノになる。
  それが、生兵法実践主義!!
 850hPa・700hPaへ行ったり来たりしながら立体的にイメージしてみよう。

▼ここでのもうひとつのメインに行こう。

(4) 自分が住む地域の上空にどれほどの強さの風が吹いているか読み取ってみよう。
・500hPa (  )ノット(KT)→ (  )m / s
・300hPa (  )ノット(KT)→ (  )m/s

※1ノット(KT)=0.5m/s

a ものすごい風ですね!!台風のときの風とくらべてみよう。

b この風は主にどちらからどちらに向けて吹いていますか。

c この強い風をジェット気流といいます。
ジェット気流の影響を受けている現象にどんなことがありますか。

 びっくりしてしまいますよね!!
 そんな 強い風が 今、この上空に吹いているのかと思うと!!
 毎日の「雲見」のときに これを思い出そう!!
 
 光は東から、天気は西から!!
  
 を思い出そう!!
 台風・熱帯低気圧はどう影響してくるだろう。
 面白くなくなったら、すぐやめよう!!
 そして、また気になったら「高層天気図」を開いてよう。

(つづく)

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本日(2025/06/14)、第413回オンライン「寅の日」!! #ルクレチウスと科学 #traday #寺田寅彦

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▼はじめに「自然哲学」ありき!!
 またまた大げさなことを言うが、私は「自然哲学」というコトバが好きだ。
 あのファラデーも、科学者という新しい用語を嫌い。ナチュラル・フィロソファーという古い言葉を好んだそうである。

▼本日(2025/06/14)は、第413回オンライン「寅の日」である。
 6月のテーマは、古くて新しい「原子論」である。
 具体的には「ルクレチウスと科学」を読むのである。

 【6月テーマ】「寅彦とルクレチウス」

 6月は三回ともこれを続けて読んでいる。
 本日はその二回目である。
 
◆本日(2025/06/14)、第413回オンライン「寅の日」!!

●「ルクレチウスと科学」(2)(青空文庫より)

▼一応ひとつの目安として 次のように三回に分けていた。
(1) 緒言、一
(2) 二~四
(3) 五、六、後記

 今回は(2)だった。
 <二>
 最初に「原子論的物質観」の授業を思い出すようなことが書かれていた。

  元子は結合するが、その結合は固定的ではなく、不断に入れ代わり、離れまた捕われる。eternal give and take である。しかしその物質の総和は恒久不変であると考える。ここの考えは後代の物質不滅説を思わせる事はだれも認めるであろうが、また見方によっては、たとえば溶液分子のようなものの化学的平衡を思わせる何物かを含んでいるからおもしろい。

 さらには「三態変化」である。
 元子は互いに衝突する。その速度は一部は固有のものであり、一部は衝突によって得るものである。衝突の結果はいろいろである。ある元子はその複雑な形状のために互いに引っ掛かって結合して剛かたい物を造るが、あるものは反発して柔らかい物質となりあるいは全然離れ合ってしまう。これは言わば固液気三態の原子構造の説明と見られる。

 そして「ブラウン運動」にまで
 日光に踊る微塵(みじん)の有名な譬喩(ひゆ)の出て来るのはこの条である。私のおもしろいと思ったのは、元子の寄り合ってできる細粒が、不可視的元子の衝動によって動かされて、粒全体としての運動を生ずるという考えが述べてあることである。それがちょうどブラウン運動の記述に相当する事である。

 そして、なんと原子数にまで話が及んでいるのである。
この考えはある点において現代の原子内部構造の予想として見る時に興味が深い。すなわち原子はその核の周囲をめぐる電子を一つずつ増すことによって一つの物質から他の物質に移って行く。すなわち原子数(アトミックナンバー)を増して行く。もしも元素の種類が無限に多様にあるとすれば、原子数、あるいは原子量の無限大な物質原子が存在する事になるはずである。しかし実際にそんなものはない。すなわち原子の「形」の種類には制限があるのである。

 さらには「平衡」まで出てくるのである。
 これら無数の元子はその運動の結果として不断に物を生成し、また生じた物は不断に破壊され、生成と破壊の戦いによって世界は進行する。生のそばには死、死のそばには生があるのである。この考えにはいわゆる「平衡(イクイリブリアム)」の観念が包まれている。

 そして、世界観・宗教観にまで話は及ぶ。
 以上の所説のごとくにして造られた世界には、同じようなものがたくさん共存するという考えから、われわれのと同じ世界が、他にもいくつも存在するであろうという考えが述べてある。これも一つの卓見であると言われよう。さように限りなき宇宙を一人の力で支配する神様はないはずだというところへ鋒先(ほこさき)を向け、そして例の宗教の否定が繰り返される。

 <三>
 ここではたぶんに寅彦は自らの<文脈>により強く引き寄せて解説していると思う。
 ひとつだけ引用させてもらう。

 私は思う。直観と夢とは別物である。科学というものは畢竟(ひっきょう)「わかりやすい言葉に書き直した直観」であり、直観は「人間に読めない国語でしるされた科学書の最後の結論」ではないか。ルクレチウスを読みながら私はしばしばこのような妄想(もうそう)に襲われるのである。

▼そして次の章に進む。
(四)
 最初にこう解説していた。

 以上紹介したところによって、私はルクレチウスの根底に存する科学的精神の一般的諸相と、彼の元子説のおもなる前提ならびにその運用方法の概念だけを不完全ながら伝えることができたように思う。以下の三巻に現われるこれらの根本的なものは、多く述べきたったものの変形であり敷衍(ふえん)であるとも見られる。
 また一方、以下各巻に現わるる具体的の自然現象の具体的説明となれば、これらはそのままでは当然現在の科学に照らした批判に堪えうるものではない。

 肝心のところは、もう解説したよ。
 後はこれらの繰り返しだよ。と言っているのだった。
 とは言いながら、「光」についてのふれていた。
アリストテレスやピタゴラスらは、目から発射するある物が物体を打つために物が見えると考えたのに反して、この著者が物体から飛来する何物かが目を刺激するのであると考えた点は、ともかくも一歩だけ真に近い。

 最後に寅彦独特のアイロニックな教育批判には耳を傾けておきたい。
多くの学生らは教科書に書いてない眼前の問題はあまり考えてみないものと思われる。そして教わったものなら、どんなめんどうな数式でも暗記していて、所問に当たろうが当たるまいが、そのままに答案用紙に書き並べるのである。二千年前のルクレチウスのほうがよりよき科学者であるのか、今の教育方針が悪いのか、これも問題である。

 
 ここまで読んできて強く思う。
 私たちも、私たち自身の<文脈>に引き寄せてルクレチウスを読むのが楽しいのでは!!

(つづく)

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2025年・「梅雨の空」を科学する(4) #梅雨 #梅雨前線 #Webテキスト #高層天気図 #850hPa #700hPa #生兵法実践主義

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▼Webテキスト試案「高層天気図・数値予報図」(pdf版)をつづけよう。
 せっかく作ってはみたもののあまり使っていなかった。
 まずは自分で使ってみて、<使いモノ>になるのか確かめてみたいんだ。
 次は

2 850hPa・700hPa 高層天気図
 だ。

※高層天気図(気象庁)
●アジア 850hPa・700hPa 高度・気温・風・湿数天気図(AUPQ78)

を開いておいて、次のことを考えてみよう。
(1)基準の高さをもういちど確認してみよう。
・850hPa ( 1.500)m
・700hPa ( 3.000)m

▼次は気温だ。
(2)自分の住むところの上空の気温を読み取ろう。
 等温線は0℃を基準として、暖候期(4月~9月) は3℃ごとに破線で示してある。
 今の上空を知ろう!!

 ルール 上空ほど気温は ( 低い) このアタリマエを科学しよう!!

▼次がここでのメインかも知れない。
 
(3)湿数(=気温-露点温度)の値が3℃未満のところを「湿り域」といいます。
 大気に含まれる水蒸気が腹一杯に近いところということになります。
 大気からはみ出した水蒸気は「雲」になります。
 従って「湿り域」は「雲」ができやすいところ!!
 ということになります。

 a 「湿り域」は、細かなドット(点)であらわしてあります。どのあたりにありますか?

 b 「湿り域」には、ほんとうに「雲」がみられるでしょうか?
 ・ひまわりの雲画像で確かめてみよう。
 ・この高さではどのような雲がみられるだろう。
 「十種雲形」で考えてみよう。

 この作業を自分でやってみて、TVで今日の「天気予報」見たら、よくわかるかな!!

▼最後に、ちょっとむつかしい作業を加えた。
 (4)850hPa 高層天気図 で 「等温線」が密に集中しているところをさがしてみよう。
 ・それはどんなところと言っていいだろう。
 ・暖かい大気と冷たい大気のぶつかっているところ(前線)をみつけよう。
 その前線はなんとよばれる前線だろう。
梅雨前線はどこに!?
 
 半わかりでいいんだ。
 「高層天気図」開いて見てみるということをやりたいんだ!!
 
 生兵法実践主義!!でいきたいんだ!!
 
 これを繰り返しやっていると少しずつ「大気の物理学実験室」が立体的に見えてくるような気がするんだ!!
 さあ、今日もまた降るのかな!?

 (つづく)

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2025年・「梅雨の空」を科学する(3) #梅雨 #梅雨前線 #偏西風 #Webテキスト #高層天気図 #数値予報図

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▼雨はなおいっそうはげしく降りはじめた!!
  その雨の降ってくる空を見上げて見てもなにもわからない。
 どこからどのようにしてこの雨は降ってくるのだ!?
 そのアタリマエを科学するためのテキストを作っていた。

◆Webテキスト試案「高層天気図・数値予報図」(pdf版)

▼この試案をつくりはじめたころ、その<ねらい>を次のようにしていた。
(1) プロ仕様の「高層天気図・数値予報図」を「中学理科」でわかりやすく読み解く!!
(2) せっかくの誰でも見られる共有データ、このままではモッタイナイ!!
(3) 天気の大原則 
   <上がるとザアザア  下がるとカラカラ>
   <光は東から 天気は西から>       の徹底活用!! 

▼さあ、このWebテキスト試案が、「梅雨の空」を科学する にも有効だろうか。
 まずはプロ仕様のこの天気図を見てみよう。  

●高層天気図(気象庁)

▼ 代表的な高層天気図、850hPa、700hPa、500hPa、300hPa 高層天気図はだいたいどのくらい高さの天気図なのでしょう。
「基準高度」を調べてみると。
・300 hPa …基準高度( 9.600)m
・500 hPa …基準高度( 5.700)m
・700 hPa …基準高度( 3.000)m
・850 hPa …基準高度( 1.500)m

○ 高くなるほど気圧は低くなる!!
○ 私たちは「大気の海の底」にくらしている。
〇 はたしてこの雨はどのあたりからどのように降ってきているのだろう。 

(つづく)

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2025年・「梅雨の空」を科学する(2) #梅雨 #梅雨前線 #偏西風 #デジタル台風 #ひまわり画像 #線状降水帯

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▼やはり雨は降り続いていた。
 「梅雨」って!?
 を考えるために、地球の外から「雲見」をしてみよう。

◆デジタル台風:雲画像動画アーカイブ(全球画像)
 ・これを見れば、地球全体の大気の流れは一目瞭然!!バッチリです。
 ・これが最高にお薦めだ!!
 ・今年の6月だけでなく、これまでの年の「大気」(雲)の流れを見てみよう。
 ・日本はどこに位置しているの!?
 ・偏西風!! 「光は東から 天気は西から」
 ・いくら見ていても飽きない!!
 ・すべてをここからはじめよう。

▼よりリアルタイムの「雲見」をやってみよう。
 「ひまわり8号」からの「雲見」だ。
  ・ひまわり8号 高度36.000㎞!! (雲の高さにくらべれば…)
  これに最高にうれしいものがあった。

◆ひまわり8号リアルタイム Web
 ・自分の住んでいるところにフォーカスしてみよう。
 ・最新動画を見てみよう!!
 ・「夜明け」は感動ですね!!

▼次はより日本の上空に的をしぼって、「雲見」をしてみよう。

◆気象庁・静止気象衛星画像
 ・動画でも変化を見てみよう。
 ・画像の種類を変えて、「雲見」をして見よう。何がわかるのかな!?
 ・梅雨前線は確認できるかな!?
 ・線状降水帯はどこに!?

▼地上から「雲見」とこれらの宇宙からの「雲見」を参考にしながら、これからの「天気の変化」に注目しよう。
もちろんTV等の「天気予報」も参考しながら
防災・減災にツナガル 「科学する」を

(つづく)  

 

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2025年・「梅雨の空」を科学する(1) #梅雨 #梅雨前線 #偏西風 #高層天気図 #線状降水帯

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▼昨日(2025/06/09)11時
 気象庁は中国・近畿・東海地方が「梅雨入りしたとみられる」と発表しました。 
 いよいよしばらく「梅雨の空」とつきあう季節の到来です。

▼私たちの暮らす「大気の物理学実験室」でなにが起こっているのでしょう!?
 すでに「天気の変化」全体についての「科学する」はまとめていた。

◆「天気の変化」を科学する

▼「科学する」はいちどまとめたからわかったというものではなかった。
 何度でも繰り返し「科学する」なかで、「科学」が<使いモノ>になると思っていた。
 今しばらく、「梅雨の空」に特化して科学してみようとおもう。

●2025年・「梅雨の空」を科学する

▼私の「科学する」は、いつものようにアタリマエのアタリマエ!!
 からはじめようと思う。

・「梅雨」って何!?
・「梅雨前線」って!?
・どうして雨がふるの !?
・大原則「上がるとザアザア」はここで有効かな
・そもそも「大気」はどんな動きをしているの!!
・「梅雨空」の上空はどうなっているの!!
・「高層天気図」は何を教えてくれるの。
・頻繁に登場しはじめた「線状降水帯」とは!?
・…
等など あげはじめたらきりがないな。

 ゆっくり ゆっくり 急ごう!!

(つづく)


 

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【Web更新6/8】25-23 【ヒガンバナ情報2025】 等 更新!!

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十薬の匂ひ慣れるや里の朝 25/06/07撮影@福崎

■楠田 純一の【理科の部屋】25ー23 週末定例更新のお知らせ
 6月2回目の週末定例更新のお知らせである。
 ここのところ1blog/日のペースを怠ることがある。
 怠慢の言い訳かも知れないが、それが妙に「新鮮」に感じたりすることもある。
 シン・【理科の部屋】!!
 あらたにめざしたいものなのかも。


◆表紙画像集2025 更新 十薬・ドクダミ
 家の周りの溝は、ドクダミの花でいっばいだ!!
 ドクダミ・十薬・白十字…
 白十字という呼び方が好きだ。
 朝の新鮮な空気の中では、そのあの独特の「匂ひ」を感じたこともあったがもう慣れてしまった。


◆【ヒガンバナ情報2025】 更新!! 一年中でもっともつまらない時期の「実生コヒガンバナ」「実生ヒガンバナ」の報告である。
秋の彼岸の時期にはどんな展開を見せてくれるだろう。
楽しみである!!


◆オンライン「寅の日」 更新!!  6月テーマは「寅彦とルクレチウス」だ。
 今回はどこまで「ルクレチウス」に迫ることができるだろう。
 
◆Webテキスト『天気の変化』の可能性!? 更新!!
 
今週はちょっとあらたな試みに挑戦してみたい気持ちもある。
 さて、どうなることやら…


 大賀ハス観察池。蓮根の植え替えから10週目。
 池の水面8~9割は、「浮葉」て覆われてきた。
 そろそろ「立葉」の登場する時期か!?
 
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2025年・実生ヒガンバナは今!!(2025/06/05) #日本ヒガンバナ学会 #ヒガンバナの種子 #実生ヒガンバナ実験 #3倍体

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▼実生コヒガンバナ実験につづいて、実生ヒガンバナ実験の今を「記録」して置きたい。
 3倍体である日本のヒガンバナのあるはずのない「種子」をみつけ実生実験を継続観察していた!!
 それは2014年採集・回収した「種子」から始まっていた。
 2014年・2016年・2018年採集・回収の「種子」を9つの鉢で実験をつづけていた。
 どの鉢の葉も枯れてしまっていた。
 ただ2018年分のBの鉢だけが多く緑を残していた。
 前回の「記録」は

●2025年・実生ヒガンバナ(2019年以前分)は今!!(2025/01/29) #日本ヒガンバナ学会 #ヒガンバナの種子 #実生ヒガンバナ実験 #3倍体

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▼2019年の秋に採集・回収した「自然結実」ヒガンバナの「種子」はなんと530個!!
 驚異的な数である。
 その「種子」を使った実生実験。まだ継続中だったけっして諦めはしていなかった。
 ほぼすべてが草むらのなかだった。
 前回の「記録」は

●2025年・実生ヒガンバナ(2019年採集分)は今!!(2025/01/30) #日本ヒガンバナ学会 #ヒガンバナの種子 #実生ヒガンバナ実験

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▼2021年秋に採集・回収したヒガンバナの「種子」はもっとすごかった。
 823個である!!
 もう鉢で実験できる数ではなかった。育苗トレーでそのまま実験をつづけていた。
 すべてが草むらのなかだった。
 前回の「記録」は

●2025年・実生ヒガンバナ(2021年採集分)は今!!(2025/02/05) #日本ヒガンバナ学会 #ヒガンバナの種子 #実生ヒガンバナ実験

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▼2022年の秋、私はこれまでのように「自然結実」ヒガンバナを求めて自由に動きまわることができなくなってしまった。
 でもなかなかあきらめきれなかった。
 もっと身近に「自然結実」ヒガンバナはないかと探した。
 そうして、採集・回収した「種子」は、59個あった。
 その実生実験も続けていた。ほぼ草むらのなかだ。
 前回の「記録」は

●2025年・実生ヒガンバナ(2022年採集分)は今!!(2025/02/06) #日本ヒガンバナ学会 #ヒガンバナの種子 #実生ヒガンバナ実験

 これらの実生ヒガンバナ実験の結果、今のところまだ「開花」するに至っていない!!
 でも、私はまだあきらめてはいなかった!!
 今年の秋も「自然結実」ヒガンバナを求めて再度動いてみたい!!

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2025年・実生コヒガンバナは今!!(2025/06/04) #コヒガンバナの出葉 #コヒガンバナの種子 #2倍体 #実生コヒガンバナ #日本ヒガンバナ学会

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▼「種子」から育てているコヒガンバナ(実生コヒガンバナ)!!
 ずっとそのときどきの様子を「記録」してきたつもりだったが、梅雨の時期のものは少なかった。
 アタリマエのこととせず、昨日写真を撮ってみた。
 前回の報告は一月だった。

●2025年・実生コヒガンバナは今!!(2025/01/28) #コヒガンバナの出葉 #コヒガンバナの種子 #2倍体 #実生コヒガンバナ #日本ヒガンバナ学会

▼倉庫の壁沿いに10鉢を置いていた。
 確かに葉は枯れていた。
 まだ緑を残す葉がみられるものもあるがそれは少ない。
 やがて地上部から姿を消してしまうだろう。

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▼よく光のあたる外に置いたのは6鉢あった。
 すっかり草むらのなかであった。
 ドクダミの花が覆っていた。

 今年は、この16鉢のうちいくつが開花してくるだろう。
 楽しみである!!

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▼もうひとつは、第二世代の実生コヒガンバナである。
 2023年秋に開花し「種子」をつくった。
 その「種子」を使った実生実験中のものだ。
 こちらもすっかり枯れてしまっていた。

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2025年6月(水無月)の俳句「歳時記」!! #俳句 #歳時記 #オンライン句会

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▼<俳句修業>について寅日子先生は「俳句の精神」(青空文庫より)のなかで、次のように言っていた。

 俳句の修業はその過程としてまず自然に対する観察力の練磨(れんま)を要求する。俳句をはじめるまではさっぱり気づかずにいた自然界の美しさがいったん俳句に入門するとまるで暗やみから一度に飛び出してでも来たかのように眼前に展開される。今までどうしてこれに気がつかなかったか不思議に思われるのである。これが修業の第一課である。「俳句の精神」(青空文庫より)

 ナルホド!!
 ナレバこの景はどう詠めば!?

▼今月も名句の鑑賞 より<俳句修業>をはじめよう!!
 名句の参考にさせてもらうのは、いつものように

◆NHK「俳句」 テキスト

である。ここより巻頭の名句10句+表紙の1句を引用させてもらう。

(1) 六月を綺麗な風の吹くことよ 正岡子規
(2) 遠い日の雲呼ぶための夏帽子 大牧 広
(3) 大らかに孕み返しぬ夏のれん 富安風生
(4) あぢさゐやきのふの手紙はや古ぶ 橋本多佳子
(5) 河骨の金鈴ふるふ流れかな 川端茅舎
(6) うつむくは一花もあらず花菖蒲 長谷川秋子
(7) 身の中のまっ暗がりの蛍狩り 河原枇杷男
(8) 水音をしるべとしたり蛍狩 能村研三
(9) 夕影を待てるがごとき鵜籠かな 後藤夜半
(10) おもしろうてやがてかなしき鵜舟かな 芭蕉
(11) 夢を見るために置きたる蛍籠 山本一歩

▼<俳句修業>次はシロウト<選句>である!!
 いずれも名句ばかりだから、<選句>の作業もまた面白い。
 読む度に変わってくる。それがまた楽しい。
 今朝もまた変わってしまった。!!
 
【私の選んだ名句ベスト3】

(4) あぢさゐやきのふの手紙はや古ぶ 橋本多佳子
(8) 水音をしるべとしたり蛍狩 能村研三
(2) 遠い日の雲呼ぶための夏帽子 大牧 広

【次点】

(1) 六月を綺麗な風の吹くことよ 正岡子規

【選評】
・「あぢさゐ」と「手紙」の取り合わせに惹かれる。
・蛍の季節だ!!水音をしるべとするはリアルな表現だ。
・「夏帽子」で一票だ。「遠い日の雲呼ぶ」うまい表現だ。ナルホド!!

・やっぱり子規ははずせない。「綺麗な風」は子規ならではの…

▼<俳句修業>の究極のおすすめは<句会>への参加です。
 オンライン句会は、うんとハードルを低くしてくれました。
 挑戦してみませんか。
 
●第58回オンライン句会「寅の日」6月例会案内!! 

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【Web更新6/1】25-22 「クモ学」のすすめ 等 更新!!

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野あがりに口いつぱいのゴンビ哉 25/05/30撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】25ー22
週末定例更新のお知らせ
 6月最初の週末定例更新である。
 とは言っても更新のなかみは、5月最後の一週間のものである。
 何年もつづけて一週間に一度の「週末定例更新」をしていると、とても面白いことに気づく。
 ・表紙画像にとりあげられる花は定番がきまってくる!!
 ・話題にするページが季節によってきまってくる!!
 ・今なら、「クモ学」「天気の変化」(梅雨)等
 アタリマエだけど、それがまた面白い!!
 
◆表紙画像集2025 更新 ゴンビ(グミ)
 田植えのシーズンだ。
 今は機械植えが主流だが、昔はすべてが手で田植えをしていた。
 ひょっとしたら一年でいちばん忙しいのがこの時期だったかもしれない。
 いったん泥田に入ると、昼食で足をあらって田からあがる時間も惜しんでいた!!
 そんな時期、ゴンビ(グミ)の木にたわわに実ったゴンビの実を口いっぱい含んで、たねだけはき出す。
 甘酸っぱい味がした!!少し渋みも!!でも美味しかった。
 これが最高の“おやつ”だった。

◆「クモ学」のすすめ 更新!!
 アリガタイ今年も、コガネグモに出会った。
 今年はすでに4号まできた。今年は何号までいくだろう。
 ジョロウグモの「団居」(まどい)も観察できた。まだまだ「ふしぎ!?」がいっぱいあった。
 「クモ学」は「ふしぎ!?」の宝庫だ!!
  
◆オンライン「寅の日」更新!!
 6月のテーマは「寅彦とルクレチウス」だ。
 一ヶ月でどこまで読めるだろう。寅彦は「原子論」をどうとらえたのだろう!?

◆サイエンスコミュニケーター宣言 更新!!
 「記録」するは防災・減災の第一歩。
 まだまだ続けたい「動く大地」を科学する を。

◆Webテキスト『天気の変化』の可能性!? 更新!!
 この時期の「雲見」は!?
 ときにはテキスト試案の活用を検討してみよう。

 大賀ハス観察池。蓮根の植え替えから9週目。
 池の水面の7~8割が大小の「浮葉」で覆われてきた!!
 「立葉」はいつだろう。

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本日(2025/06/02)、第412回オンライン「寅の日」!! #ルクレチウスと科学 #traday #寺田寅彦

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▼正直に言うと、私のなかで「青空の青」と「原子論」がツナガッタのはごく最近のことだったのだ。
 「原子論的物質観」こそをと大きなことを口にしながらも、それらは別々の「知識」でしかなかった。
 ツナガッタ!!
 と思っていても、しばらく遠ざかっているとまた別々のものになってしまう。
 ツナゲテ 「見る」「観察する」「考える」
 そして「楽しむ」!!
 を繰りかえしているとひとつのものになってくるかな。

▼本日(2025/06/02)は、第412回オンライン「寅の日」である。
 6月のテーマは、この「原子論」である。
 具体的には「ルクレチウスと科学」を読むのである。

 【6月テーマ】「寅彦とルクレチウス」

 6月の三回ともこれを続けて読みたい。
 本日はその一回目である。
 
◆本日(2025/06/02)、第412回オンライン「寅の日」!!

●「ルクレチウスと科学」(1)(青空文庫より)

▼これまた正直に言うと、私にはとても難解で長編だった。
 一応ひとつの目安として 次のように三回に分けておく。
(1) 緒言、一
(2) 二~四
(3) 五、六、後記 

 まず<緒言>である。
 これが書かれたのは、1929(昭和4)年9月である!!
約100年前であることを頭に置いて読むと、「原子論」の歴史も見えてくるかも知れない。
 <緒言>では、繰り返しルクレチウスの有効性を力説していた。

 要するにルクレチウスは一つの偉大な科学的の黙示録(アポカリプス)である。そのままで現代の意味における科学書ではもちろんありうるはずがない。もしこの書の内容を逐次に点検して、これを現在の知識に照らして科学的批判を試み、いろいろな事実や論理の誤謬(ごびゅう)を指摘して、いい気持ちになろうとすれば、それは赤ん坊の腕をねじ上げるよりも容易であると同時にまたそれ以上におとなげないばかげた事でなければならない。

ヨハネは目的の上からすでに全然宗教的の幻想であるのに反して、ルクレチウスのほうは始めから科学的の対象を科学的精神によって取り扱ったものである。彼の描き出した元子の影像がたとえ現在の原子の模型とどれほど違っていようとも、彼の元子の目的とするところはやはり物質の究極組成分としての元子であり、これの結合や運動によって説明せんと試みた諸現象はまさしく現在われわれの原子によって説明しようと試みつつある物理的化学的現象である。

しかし私のここで問題とするところは、現代の精密科学にとってルクレチウスの内容もしくはその思想精神がなんらかの役に立ちうるかということである。ルクレチウスの内容そのものよりはむしろ、ルクレチウス流の方法や精神が現在の科学の追究に有用であるかどうかということである。

 次にかってに注目したキーワードが出てきた。「かぐ」である。
ほとんどいかなる理論的あるいは実験的の仕事でも、少しでも独創的と名のつく仕事が全然直観なしにできようとは到底考えられない。「見当をつける」ことなしに何事が始め得られよう。「かぐ」ことなしにはいかなる実験も一歩も進捗(しんちょく)することはあり得ない。うそだと思う人があらば世界の学界を一目でも見ればわかることである。

 そして、ルクレチウスのすすめ をこう書いていた。
要するに私がかりに、「科学学者」と名づける部類の人々には役に立たないが、「科学研究者」と名づけるべき階級の人々には、このルクレチウスは充分に何かの役に立つであろうと信じるのである。
 一方において私は若い科学の学生にこの書の一読をすすめてもよいと思うものである。

 そして、ぜひとも注目しておきたいのは、寅彦こそがはじめて「ルクレチウスのすすめ」を書いた科学者なのである。
私はただ現代に生まれた一人の科学の修業者として偶然ルクレチウスを読んだ、その読後の素朴(そぼく)な感想を幼稚な言葉で述べるに過ぎない。この厚顔の所行をあえてするについての唯一の申し訳は、ただルクレチウスがまだおそらく一度も日本の科学者の間にこの程度にすら紹介されなかったという事である。

▼さあ、いよいよなかみの<一>である。
 より具体的にルクレチウスの有効性が語られていた。

 今日の科学の方法に照らして見れば、彼が「無より有は生じない」という宣言は、要するに彼の前提であり作業仮説であると見られる。もっとも、無から有ができるとすれば、ある母体からちがった子が生まれるはずだといったような議論はしているが、これらは決して証明ではあり得ない事は明らかである。
 
そしてここに述べられたアルファベットが寄り集まっていろいろな語を作るように、若干の異種の原子がいろいろに結合していろいろのものを作るという彼の考えはほとんど現在の考え方と同様である。のみならずおもしろい事には現在われわれは原子の符号にアルファベットを用い、しかもまたいろいろの物質をこれら符号の組み合わせで表わすのである。これは全然ルクレチウスの直伝である。

 元子によって自然を説明しようとするのに、第一に必要となって来るものは空間である。彼はわれわれの空間を「空虚」(void)と名づけた。「空間がなければ物は動けない」のである。彼の空間は真の空虚であってエーテルのごときものでない。この点もむしろ近代的であると言われよう。
 物質原子の空間における配置と運動によってすべての物理的化学的現象を説明せんとするのが実に近代の少なくも十九世紀末までの物理学の理想であった。そうして二十世紀の初めに至るまでこの原子と空間に関するわれわれの考えはルクレチウスの考えから、本質的にはおそらく一歩も進んでいないものであった。

 次には、空間と物質とが「それ自身に存在する」ただ二つのものであって、それ以外に第三のものはないという事を宣言している。その意味はすでに前述のごとく器械的力学的自然観の基礎として現代に保存されたものと同義である。

時間もそれ自身の存在を持たないと言ったルクレチウスの言葉がそこになんらかの関係をもつように思われる。「物の運動と静止を離れて時間を感ずる事はできない」という言葉も、深く深く考えてみる価値のある一つの啓示である。
 
 このあたりまで来ると、ポンコツ頭には一回ではなかなかついていけなくなる。
 時間をかけての反芻作業が必要なようだ!!
 最後にもうひとつだけ引用させてもらおう。
 この物質量の無限大を論ずる条下に現われているもう一つの重要な考えがある。元子が集合して物を生ずるのは、元子の混乱した衝突の間に偶然の機会でできあがるものであって、何物の命令や意志によるのでもない。そういう偶然によって物が合成されうるためには無限の物質元子の供給を要するというのである。この「偶然」の考えも実に近代の原子説の根底たる統計力学の内容を暗示するように見える。

 次回までにも、時間をかけて反芻作業をつづけておきたい。

(つづく)
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2025年6月(水無月)の「雲見」は!? #雲見 #もくもくシール

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▼6月(水無月)の「雲見」がはじまる。
6月の「雲見」の予想の前に、5月の「雲見」のまとめをもくもくシールセットによる「雲見」カレンダー(理科ハウス)でふり返っておこう。
 使用した十種雲形シールは次のようになった。

・快晴   2       
・巻雲   1  
・巻積雲  2  
・巻層雲  6      
・高積雲  2 
・高層雲  2  
・層積雲  2   
・積雲   7       
・層雲   0 
・乱層雲  7  
・積乱雲  0 

 5月で目立ったのは「乱層雲」7「積雲」7「巻層雲」6である。
 大気が水蒸気を多く含む季節が到来しているという印象だ。
 アメダスの「記録」を使って最高気温~最低気温をチェックしてみた。
 夏日がなんと16日もあった。一日だけ真夏日もあった。
 6月はどうなるだろう!?

▼2025年6月(水無月)の「雲見」の予想に入ろう。
 まず前年の2024年6月の天気図を参考にしてみる。

◆日々の天気図 2024年6月 (気象庁)
・本日は気象記念日、すぐさまこんなものが参照させてもらうことができることに感謝!!
・雨が心配な季節だ。同時に恵みの雨でもある。
・当地の「梅雨入り」はいつごろになるだろう。
・タマネギの収穫はしたが、ジャガイモはまだだ。いつごろにしようかな
・「夏日」「真夏日」は何日ぐらいになるかな。
・「雲見」から、天気予報!!南の空も意識した方がいいかな?

▼「雲見」の旅 計画は継続したい。+「ふるさとの低山登山」(ふるさと巡検)も。
 続行はするが、6月~8月はスタイルを変えること検討中。

【2025年6月 「雲見」の旅・山】
・「動く大地」を科学するとセットで
・6月「雲見」の旅 は検討中!!
・地域の低山登山(ふるさと巡検)+「川」を追いたい!!

▼本日(2025/06/01)は「気象記念日」!!
 気象業務が開始されてから150年になるという。

●「気象業務150周年」記念切手シート
 
 を手に入れた!!なかなかすばらしい!!
 これからもお世話になります。

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