
▼私は今、「動く大地」を科学する をつづけていた。
なかでも<ふるさと巡検>に嵌まっている!!
毎日見慣れてきたふるさとの山川の景を歩いて巡るのである。やりはじめたらとても面白くてやめられない。そして思うのだった。
「なんでこんな面白いことを、もっとはやくからやらなかったのだろう!?」と。
今さら後悔してもしかたない。
それより今から可能な範囲で、存分に楽しみたい!!
こんなときちょっと困ったことがあるだ。
知らないのだ!!もっともベースになる基礎・基本の知識を。
もっと勉強しておくんだった。とこれまた後悔するのだったが…。
▼こんなとき、ちょうどいい本に出会った!!
それが今回の【お薦め本】である。
◆【お薦め本】『大人のための 地学の教室』(鎌田浩毅著 ダイヤモンド社 2025.2.17)
先にいつものように3つの【お薦めポイント】をあげておく。
(1)地学の基礎・基本が面白くわかりやすく学べる!!
(2)地球科学の「あるある質問」の答えがここにある!!
(3)防災・減災のための大人の必読「教科書」!!
▼ではひとつずついきましょう。
(1)地学の基礎・基本が面白くわかりやすく学べる!!
ちょっと自分の不勉強を棚にあげて、愚痴とも言い訳ともとらえられそうなことをあげておきます。
・「地学」ちゃんと勉強しようとしてもなかなか難しいんです。
・「地学」の本って、なんですぐ自分たちだけわかるあの「専門用語」使うの!?
・<時間のスケール>がなかなかわからないんだ、と言っているのに!!
・あんな面白そうな「地質図」をなんでみんなのものにしないの!?
・勝手に「地層」「岩石」に命名しているの!?誰もがわかりやすい名に!!
等など。
「それはみんなおまえが不勉強だからだ!!」と一喝されてしまいそうだが。
しかし、著者(鎌田先生)はそうは言っていなかった。
「おわりに」のなかで、こう言ってくれていた。
もう一つ、地学は「おもしろくて、ためになる」科目でもあります。このフレーズは戦前に雑誌『キング』『少年倶楽部』を出版した講談社がつくったものです。私もその方針で本書を執筆し、文系読者が苦手な数式や化学式をほとんど用いませんでした。
実は世の中にはためになっても面白く読めない理系本が多いですが、そもそも学校に憂鬱な思い出しかないのは、「たしかにためにはなるかもしれないが、全然面白くなかった」からではないでしょうか。(同書p422より)
アリガタイ!!
まるで授業を受けているように、面白くわかりやすい語り口調で「地学」の基礎・基本を教えてくれます。
知っているつもりのことも、いちばん根っこのとこから教えてもらうとはじめて「わかった!!」となります。
(2)地球科学の「あるある質問」の答えがここにある!!
各章には、よく出てく「あるある質問」とその答えがあります。
うまいですね!!
最初に「とてもいい質問ですね。」と質問をほめるんですね。
そして、「質問」を豊かにふくらませておいて「実は、それは…」とわかりやす答えてくれているんですね。
もっと感心してしまうのは答えのわかっていないものについてははっきりと
「一応そう考えられているけど正確には答えられないですね。」
「よくわかりません。」
「基本的には答えはわかりません」
「これもいい質問で、個別の話と全体の話があるんですね。」
「……」等など
質問者を喜ばせ、納得させる神対応デス!!
つい「私も質問があります!!」となってしまいそうですね。
▼最後の【お薦めポイント】にいきましょう。
(3)防災・減災のための大人の必読「教科書」!!
実はこの本のいちばんのウリはここかも知れませんね。
著者は「はじめに」でこう言い切っていました。
こうした自然が引き起こす巨大災害を、人が完全に防ぐことはほとんど不可能です。よって、科学的にもまた予算的にも、災害をできるかぎり減らすこと、すなわち「減災」しかできないのです。
では千年ぶりの「大地変動の時代」に遭遇した日本人は、効果的な「減災」を実現するためになにをすればよいでしょうか。結論から言えば、「地学の知識」が身を守ると私は考えます。
「減災」を支えるキーフレーズは、「人や組織に頼らず自分ができることをいまはじめる」です。すなわち、誰かの指示を待って行動する受身の姿勢でなく、自らが動ける能動的な体勢を今のうちから準備することです。そのため本書で述べる最新の地学の知識習得から取りかかっていただきたいと思います。(同書P12より)
本のサブタイトルは
「「地震」と「火山」の国に暮らすあなたに贈る」
「大人のための 地学の教室」
となっています。
この国の大地に暮らしているのは、「大人」だけではありません。
「子ども」たちも同様です。
とても読みやすいですので、「子ども」たちも含めて「すべての人に」ぜひお薦めです。
「大地変動」の「からくり」を知れば、正しく怖がることができます。
防災・減災対策に真実味、具体性ができてきます。
私の<ふるさと巡検>もより楽しいものになると期待しています。
【オマケ】にどうしても付け加えておきたいことがあります。
最初の愚痴・不満のひとつにあげた「地質図」についてですが、きっちりそれにふれた部分がありました。それもこの本の【お薦めポイント】のひとつです。
※ 「地質図」にふれた部分には。
地質図とは、地表の岩石や土を表現した色刷りの図面のことです。すなわち、地上に露出した岩石がいつの時代のもので、どういう順番で積もって地層となったのか、といった事実をカラーで表現した図面です。一目で何十万年、何億年という時を見詰めることができる鮮やかな地図です。なお、「産業技術総合研究所の地質図」で検索すると最新の地質図がダウンロードできます。(同書P424より)
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