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「動く大地」を科学する(12) #動く大地 #現在進行形 #科学する #地質図 #新生代古第三紀 #新生代新第三紀 #新生代第四紀

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▼ドラスティクな山地形成の物語が、少しずつ見え始めていた。

◆「福崎町史 第三巻」資料編Ⅰ  
 「福崎の地史」をつづけよう。

▼次は新生代である。
●新生代古第三紀(約6500万年前から2500万年前)
・火山の噴出物で町全体がおおわれた状態は新生代に入っても続いていた。
・中生代の終わりから新生代にかけて、周辺地域にはまだ火山活動があり、溶岩や砕屑物を噴出している。
・福崎町内では、その影響を受けて地下からマグマが岩脈となつて地表付近に貫入している。
・一方、地表では侵食が進み、ついにうず高く積もった中生代の火山砕屑物(生野層群など)がところによってすっかり削り去られた。
・その下にあった古生代や中生代はじめの基盤が表われた。
・そして、この基盤岩さえ、この紀の終わりには平らになった。
・山崎断層系の断層はこのころには完成している。

▼そして、次である。
●新生代新第三紀(約2500万年前から約200万年前まで)
・いまから約2500万年前、福崎付近は多分現在のアジア大陸の一部だった。
・その陸地は侵食が進み、起伏の少ない準平原であった。
・この準平原にまだ市川は、いまの状態では流れていなかった。
・その先に瀬戸内海もなかった。
・しかし、1700万年前ごろから大地は裂けはじめ大陸からの分離が開始される。
・いわゆる日本海の誕生である。
・約1600万年前の中新世中期のころ、ばらばらになった陸塊が南東の方向に移動。
・福崎町の南には太平洋からいり込んでできた海が岡山、広島、島根の各県を横切り多島海を形成しながら日本海につながった。
・瀬戸内海、それも第一瀬戸内海のはじまりである。
・この海も約1000万年前になると土地の全般的な上昇にすっかり干上がってしまった。
・中新世後期から鮮新世前期、約5~600万年前になると土地の上昇にともなって火山活動がはじまる。
・福崎町にほど近い宍粟郡のダルガ峰(千種スキー場)はこのころの火山。
・鮮新世の中期から後期、約200~300年前になると、いまの瀬戸内海の付近で局地的な沈降がはじまる。
・湖沼が点在しはじめる。
・この湖沼群の一部に太平洋からの海水が進入して第2の瀬戸内海が形成される。
・市川が現在のように流れはじめたのは、このころからである。
・このようにして時代は第四紀に移っていく。
・この時代になって日本列島は東北日本と西南日本がしっかりと結合し、現在の場所に位置するようになった。
・もちろん、今日われわれになじみのある風景も、この時代に完成された。

▼アリガタイ!!
 「福崎町の地史」のアウトラインが見えてきた!!
 まだまだ自分のなかで「時間のスケール」が定着していないのが正直なところ。
 しかし
 「動く大地」の物語がますます面白くなってきたことは確かだ。
 
「町史」は最高の参考文献デアル!!

(つづく)

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【Web更新4/28】24-17 オンライン「寅の日」 等 更新!!

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前山にかんざしのごと藤の花 24/04/26撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】24-17
週末定例更新のお知らせ
 4月最後の週末定例更新であった。
 はや新年度の一ヶ月はすぎてしまった。
 うれしいことに、なかなか充実した一ヶ月であった。
 こんときこそ なおさら
 ゆっくり ゆっくり 急ごう!!

◆表紙画像集2024 更新 藤の花
 寅彦の「藤の実」を読んで以来、なおいっそう気になりだした藤の花。
 前山の藤の花がみごとに咲き始めた。
 花→実→そして「あの瞬間」!!
 観察を続けたいものだ。

◆オンライン「寅の日」 更新!!
 ついに待望の12回目の「土佐の寅彦」詣にでかけることができた。
 うれしかった!!
 得るもの、学んだこと多かった。まだまだ反芻作業がつづいている。
 次回も楽しみである。

◆サイエンスコミュニケーター宣言 更新!!
 少しずつだが、「動く大地」を科学する の展望も見えてきた。
 毎日見ている山川の景にもドラスティクな物語があった。
 知れば知るほど面白いものだ。

 大賀ハス観察池は、蓮根の植え替えから4週目だった。
 何枚もの「浮葉」が成長してきた!!
 「浮葉」が水面を覆いつくすのはいつだろう!?
 「立葉」はいつだろう!?

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「動く大地」を科学する(11) #動く大地 #現在進行形 #科学する #地質図 #古生代 #中生代 #中生代白亜紀

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▼我が町を取り囲む山々の生い立ちをザックリと知りたくなってきた。
 このときいちばん参考になるのが
◆「福崎町史 第三巻」資料編Ⅰ  
 だった。

▼そのなかの「福崎の地史」においては、
 「ここでは新生代第三紀以前、すなわちいまから約200万年より昔の福崎町の地史について概要を述べる。」
 として、大まかな「地史」を詳しく述べてあった。
 これを参考にさせてもらいながら、私のわかる範囲でのプロットさせてもらおう。
 (誤りがあるかも知れない。それはあくまで引用者である私の理解の誤りである。)

●古生代(約2億5000万年以前)
・八千種南部のペルム系福住層とさらに南のペルム系龍野層群 
・両者は古太平洋に面した大陸斜面上や海溝で形成
・その際、南の暖かい海域に堆積したチャート・石灰岩・緑色岩などがプレートの移動につれて北上した。
・それらの岩石が海溝から大陸の下に沈み込むプレートからはぎとられて、堆積しつつあった福住層や龍野層群中に入り込んだ(付加)
・したがって、当時の福崎町とその周辺一帯は大陸の縁に位置した海底

▼続けよう。

●中生代トリアス(三畳)紀からジュラ紀(約2億5000万年前から1億5000万年前)
・古生代に海底であったこの付近は、古生代の終わりには隆起して、一時海面に姿を表わしたが、中生代トリアス紀になって間もなく、再び海面下に没し地層が形成された。
・トリアス紀後半、福崎町の中心部に広く分布する加西層群の形成はじまり、ジュラ紀中ごろまで続く。
・ペルム紀の地層群と同じように大陸の近くで堆積した地層に、はるばる南方から運ばれてきた異地性の地層がどんどん付加し、地層が大きくなっていった。
・この変動はジュラ紀の終わりまで続いた。
・アジア大陸や日本列島の土台を完成された。(ジュラ紀変動)
・したがって福崎町の基盤ができ上がったのもこのころだった。

▼そして、いよいよだ!!

●中生代白亜紀(約1億4000万年から6500万年前)
・約1億5000万年前にできあがった町域の基盤はまだ海底だった。
・白亜紀に入って、この基盤はやっと隆起して陸化した。
・白亜紀古世(前半)には各地で火山活動が起こり、大地が陥没したりして湖が出現している。
・この状態は白亜紀新世までつづいた。
・いまから約8~9000万年前、福崎町とその周辺も猛烈な火山活動の洗礼を受ける。
・福崎町の北西で噴火した火山群は多量の火砕流や砕屑物を噴出し、おそらく町内全域を埋めつくした。
・それらは生野層群や相生層群として七種山や春日山に残っている。
・そして、約7000万年前にはこのうず高く積もった火山噴出物の地下に花崗岩のマグマが貫入した。
・こうして中生代は終わりを迎える。

 やった!!
 ふるさとの「動く大地」の大パノラマが少しだけ見えてきたぞ!! 

(つづく)

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第45回オンライン句会「寅の日」5月例会案内!! #寅の日 #オンライン句会 #夏雲システム

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先日の「土佐の寅彦」詣で、いつも起点にしている「寺田寅彦記念館」の庭にたった。
 アオギリの緑がうれしかった!!
 もうひとつ、うれしいものをみつけた。
 「俳句投句ポスト」である。
 ここにあってもなんの違和感もなかった。むしろ、あってアタリマエ!! 
 今まで何度も訪れながら気づかなかったとは!?

▼それは、しばらくご無沙汰しているあいだに、このオンライン句会「寅の日」をはじめたからだろう。
 詣の最後に訪れた墓所では
 寅日子先生の墓前で、オンライン「寅の日」の進捗状況とこのオンライン句会の報告をした。
 寅日子先生はなんと思われたかな!?

▼その寅日子先生にも案内するつもりで、第45回5月例会の案内をあげておく。
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第45回オンライン句会「寅の日」5月例会実施案内

0.はじめに
 本会をオンライン句会「寅の日」と称する。
 オンライン「寅の日」から生まれたオンライン句会です。
 俳句結社「寅の日」が運営しています。
 寺田寅彦に師事します。 

0からはじめる人のためのオンライン句会です。

 本会は「夏雲システム」を利用させてもらっています。

1.原則として月一回の月例句会を実施します。

2. 参加者
 あらかじめ登録された者のみ。
 (「俳号」をきめて、【句会「寅の日」参加希望】のタイトルで楠田までメールを)
 
3.投句のお題
・当季雑詠(その季節の季語を自由に詠む。)

4.句数
・5句だし
・5句選(特1・並4)特選は2点 並選は 1点 扱い
・予選句は自由 

5.【投句期間】
 2024年5月1日0時から15日23時30分まで
 
6.【選句期間】
 2024年5月16日0時から25日23時30分まで  

7.【結果発表】
 2024年5月26日から
同時に「談話室」が書き込み可能になります。

8.賞について
 ・最高得点句は最優秀句であり、その句会の「寅日子」賞とする。
 ・特別賞として、次の賞を設ける。
 「これぞ科学!!」が詠まれた句 → 「牛頓」(ニュートン)賞!!
 「よくぞそこまで観察した!!」という句 → 「藪柑子」賞!!
  特別賞は、毎回でなくてよい。
  もちろん「寅日子」賞と重なることがあってもよい。
  参加者が、選評の際に書き込むようにようにしたい。複数票を獲得したときに受賞としたい。

9.注意事項
 参加する前に「夏雲システム」、「同意事項」をよく読んでおいてください。

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▼「土佐の寅彦」詣の余韻のなかで、5月例会も楽しんでいきたいものだ。
 ひとり吟行のコースも少しずつ拡げていきたい。
 どんな景と出会うことができるだろう。
 あの人はどう詠むのかな。
 寅日子先生だったら !?

 

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「動く大地」を科学する(10) #動く大地 #現在進行形 #科学する #地質図 #七種川 #中生代 #ジュラ紀 #加西層群 #古生代

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▼「動く大地」を科学する シリーズはまだまだ続ける意志はある。
 しかし、残念ながらあまりもなにも知らなかった!!
 完全に得意の「無手勝流」である。
 
 まずは、「七種川」を下流から上流へ歩いてみた。
 こんな「小さな旅」を繰り返せば見えてくるものがあるかもしれない。

▼「地質図」を見ていると、「七種の滝」「七種山」にいたる「地質」は途中でくっきりと分かれていた。
 下流からたどっていくと、「凡例」によれば
  
●中生代 ジュラ紀(古世) 加西層群C 

 そして、

●中生代 白亜紀 生野(相生)層群(流紋岩類)

 にいたる。ふたつ「地質図」上では、はっきりくっきり境目があった。
 それは、この「小さな旅」(フィールドワークとは言わないでおこう。)でわかるもんだろうか。

▼「地質図」を見たついでに、市川の東の山(日光寺山等)の「凡例」を見たら

●中生代 ジュラ紀(古世~中世) 加西層群A 

 と書いてあった。

▼さらに、その南の山地(春日山等)の「凡例」を見ると

●古生代 ペルム(二畳)紀 福住層

 となっている。
 実に大ざっぱであるが<きまり>をつくりたくなってきた。

<きまり>
 山地は古くてかたい中生代・古生代の地層だ!!
 山地は化石!! 

(つづく)

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久々の「土佐の寅彦」詣は最高!!(2) #土佐の寅彦 #寺田寅彦銅像 #高知県立文学館 #高知地方気象台遠隔露場 #墓所

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▼「土佐の寅彦」詣では、いくつかの定番スポットをきめていた。
 二日目のスタートは
●寺田寅彦の銅像(2018.07.24~)
 「土佐の寅彦」詣の象徴のような存在だった。初日も訪れていたが、あらためてゆっくり訪れた。
 月曜日の朝ということで、前日とはちがう景がゆっくりみられた。
 「ねえ君、不思議だと思いませんか!?」と問いかけられたような気がしてくるのだった。

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▼さて次も欠かすことのできない定番スポットだった。
●高知県立文学館(「寺田寅彦記念室」)
 特にここには「寺田寅彦記念室」が常設されていた。アリガタイ!!
 寅彦に関する豊富な資料が、ストリーをもって展示されていた。
 またそのなかでも特にお気に入りコーナーがあった。
●「寺田寅彦記念室 映像コーナー「寺田寅彦実験室」」  
 ここでは、とても示唆的で寅彦の実験を再現するような三本のビデオが見ることができる。
・渦巻きの実験 4分30秒
・地滑りの実験 4分7秒
・割れ目と生命 4分10秒
である。どれもスバラシイ!!最高傑作だ。
 ビデオの最後には、寅彦の随筆から引用された寅彦のコトバが紹介される。
 これがまたいい!! すっかり寅彦の世界に引き込まれるのである。
 以前にメモ書きしておいて、最後のコトバをさがしたことがある。
 それが正しければ、次のようになる。
(1) 「渦巻きの実験」 「物理学圏外の物理的現象」(青空文庫より)

 広大無辺の自然にはなお無限の問題が伏在しているのに、われわれの盲目なためにそれを問題として認め得ない結果、それが存在しないかのように枕(まくら)を高くしているのである。

(2) 「地滑りの実験」 「自由画稿」はしがき(青空文庫より)

どんな瑣末(さまつ)な科学的知識でも、その背後には必ずいろいろな既知の方則が普遍的な背景として控えており、またその上に数限りもない未知の問題の胚芽(はいが)が必ず含まれているのである。

(3) 「割れ目と生命の実験」 「空想目録」二 製陶実演 (青空文庫より)

学問の場合には、素材というものの価値が実は非常に重大である。いい素材を発見しまた発掘するということのほうがなかなか困難であってひと通りならぬ才能を要する場合が多く、むしろそれを使って下手(へた)な体系などを作ることよりも、もっとはるかに困難であると考えられる場合も少なくはない。そうして学術上の良い素材は一度掘り出されれば、それはいつまでも役に立ち、また将来いかなる重大なものに使用されるかもしれないという可能性をもっている。

 ついつい何度も繰り返し見てしまうのだった。何度見ても飽きない!!これぞ傑作の所以だろう。
 また、あらたにインターネットで見ることのできる「寺田寅彦実験室」シリーズもできているようだ。
 こちらもぜひ…!!

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▼次は、私が勝手に「ゆかりの地」として、定番スポットにしてしまったところだ。
● 高知地方気象台遠隔露場
 寅彦は日本でいちはやく「高層気象観測」の必要性を説いた科学者でもあった。
 ここには、「ウィンドプロファイラ」もあった!!

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▼そして、最後の定番スポットである。
●寺田寅彦の墓所
 ここで、いつもオンライン「寅の日」の進捗状況を報告した。
 前回からの大きな変化して、オンライン句会「寅の日」のことも報告した。
 さて次回はどこまで報告できるかな。
・オンライン「寅の日」
・オンライン句会「寅の日」

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 定番スポットとまで言わないが、思わぬところで寅彦に出会うこともあった。
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(了)

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久々の「土佐の寅彦」詣は最高!!(1) #土佐の寅彦 #寺田寅彦記念館友の会 #X線結晶学 #ラウエ斑点 #花物語

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▼ずいぶんと久しぶりに「土佐の寅彦」詣にでかけた。
 これで12回目であった。これまでとは、諸事情がちがってきていた。
 しかし、起点はかわらなかった。

◆土佐の寅彦 寺田寅彦記念館友の会(公式HP)

 私にとっては、すべてがここからはじまっていた。
 「寺田寅彦記念館」に着いたときは、幸い雨はしばしやんでいた。
 アリガタイ!!

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▼この日(2024/04/21)に訪問したのは「友の会」の総会と講演会があったからである。

●寺田寅彦記念館友の会「講演会」
・講師 山田 功 先生 
・演題 「X線結晶学の祖 寺田寅彦がした実験をみんなで考える」

▼山田先生からは、著書等を通して多くを学ばせてもらっていた。
 また、あの「藤の実」を「おすそ分け」してもらい、貴重な体験も楽しませてもらっていた。
 今回のテーマもたいへん興味あるものだった。
 でも正直に言うと、「X線結晶学」「ラウエ斑点」…!?私にはよくわかっていなかった。
 寅彦のほんとうのすごさも!!
 結論から言う。
 スバラシイ!!面白い!! 科学者・寺田寅彦はほんとうにスゴイ!!
 レジメから、少し拾うと
・「物理に詳しくない方々にもわかる寺田博士の実験風景を学芸会風に実施してみる」
・「普通の講演ではなく、参加者のみなさんにも必要に応じて役割を演じていただきながら、『話が見える』講演になる」
・ラウエ斑点→ラウエ映画(ラウエスポット)を体感する!!
・「X線結晶学の元祖」
・「『ラウエ』映画の実験方法及其説明に関する研究」(帝国学院恩賜受賞 1917)
 やっと私にも、少しだけ「話が見えてきた」!! 
 深謝!!

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▼実は、まだまだこのお話の余韻の中にいた。
 今さらではあるが

 「物理」もツナガッテ「見えてくる」と面白いかも!!

 と思い始めていた。
 「寺田寅彦記念館」を出て、これまた久ぶりのすぐちかくの「花物語」の碑を訪れた。
 さあ、次は

(つづく)

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【Web更新4/21】24-16 オンライン「寅の日」 等 更新!!

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未来とは近くにありや葱坊主 24/04/17撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】24-16
週末定例更新のお知らせ 
 一週間に一度、Webの週末定例更新をする。
 それは、いつごろからか私の習慣となっていた。
 更新の「なかみ」は、さておき それが一週間のルーティンだった。
 真っ先の「読者」である自分のためにも。
  
 外出していたためにお知らせが遅くなってしまった。
 これを書きながら、この一週間を展望している。
 
◆表紙画像集2024 更新 葱坊主 葱の花
 「葱坊主」って誰がいつごろからそう呼びはじめたのだろう!?
 なかなかの観察眼だ。
 「葱坊主」=「葱の花」を プチ科学するもありかな。

◆オンライン「寅の日」 更新!!
 4月テーマ「寅彦と科学教育」がなかなか面白かったので、5月も同じテーマで続行する。
 寅彦はいつ読んでも今日的である!!
 
◆サイエンスコミュニケーター宣言 更新!!
 今年になって8冊目の【お薦め本】をあげた。
 著者からもコメントいただいたのは、とてもうれしかった。
 「動く大地」を科学する は実に遅々たる歩みである。
 ゆっくり ゆっくり 急ごう。

 大賀ハス観察池、蓮根の植え替えから3週目!!
 正確に言えば 2024/04/20 の様子。
 「浮葉」が次々と目立つようになってきた。

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本日(2024/04/20)、第377回オンライン「寅の日」!! #マーカス・ショーとレビュー式教育 #traday #寺田寅彦

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▼「最もよく学ぶ者は、最もよく教える!!」
 カッコよく言ったら、それはほんとうだった。
 「教える」がなくなった今も、よく学ぶためには「教える」を想定して考えるがいちばんだ。
 「〇〇を科学する」シリーズをはじめて、なおさら強くそう感じている。

▼本日(2024/04/20)は、第377回オンライン「寅の日」である。
 4月テーマは

【4月テーマ】「寅彦と科学教育」

 である。
 本日はその2回目、読むのは 「マーカス・ショーとレビュー式教育」である。


◆本日(2024/04/20)、第377回オンライン「寅の日」!!

●「マーカス・ショーとレビュー式教育」(青空文庫より)


▼今回の随筆の「前ふり」は長い。
 しかし、それをも楽しませてくれるのが、寅彦随筆のすばらしさだ!!
 いよいよ本論に入っていく。

 筋の通った劇よりも、筋はなくて刺戟と衝動を盛り合わせたレビューの流行(はや)る現代に、同じような傾向が色々の他の方面にも見られるのは当然のことかもしれない。それについて先ず何よりも先に思い当るのは現代の教育のプログラムである。

さあ、いよいよはじまった!!
 寅彦が当時の「教育」どう見ていたかがつづく。
 自分等が商売がら何よりも眼につくのは物理学の中等教科書の内容である。限られた紙幅の中に規定されただけの項目を盛り込まなければならないという必要からではあろうが、実にごたごたとよく色々のことが鮨詰(すしづめ)になっている。

そのうちの一つだけにして他は割愛して、その代りその一つをもう少し詳しく分かるように説明した方が本当の「物理」を教えるためには有効でありそうに思われる。それからまた、近頃の教科書には本文とは大した関係のない併(しか)し見た眼に綺麗なような色々の図版を入れることが流行(はや)るようである。

 物理の教科書を見るたびに何となくこの汽車弁当を思い出すのであったが、今度レビューを見学してからレビューと教科書の対照を考えさせられるような機会に接した。

 三つのものを一つに減らしてもその中の一番根本的な一つをみっしりよく理解し呑込んでしまえば、残りの二つはひとりでに分かるというのが基礎的科学の本来の面目である。そうでなくても一つのものをよく玩味(がんみ)してその旨(うまさ)が分かれば他のものへの食慾はおのずから誘発されるのである。

 一体「教えるためには教えない術が必要である。」というパラドックスが云わば云い得られなくはない。

何故かと云えばS先生のは一と口うまいものを食わせておいて、その外に色々の旨そうなものをちらと見せたきり引込めてしまう流儀であるが、教科書は一向うまくない汽車弁当のおかずの品々を無理やりに口の中へ押し込むような流儀だからである。

 物理のような基礎科学の教科書が根本の物理そのものはろくに教えないで瑣末(さまつ)な枝葉の物理器械や工学機械のカタログを暗記させるようなものでは困ると思う。レビュー式でも本当に面白いレビューならまだしも、さっぱり面白くない百景を並べたのでは全く生徒が可愛相(かわいそう)である。結局は物理学そのものが嫌いになるだけであろう。

 えっ!?いつの時代のことを言っているだろう。と思って、最後の「出典」を見てみると、昭和九(1934)年6月となっていた。
 つまり、今からちょうど90年前のことだった。

▼一方的に「批判的」だけで終わらせないのが、寅彦のすごいところでもあった。
 ナラバとつづける。

 一体レビュー式ということには何もそれ自身に悪い意味は少しもないはずである。善用すればむしろ非常に好い効果をあげ得べき可能性を多分にもっているものである。

学校の教育ではそういう自由は利かない。それをすれば落第させられる。無拠(よんどころなく)教程を鵜呑(うのみ)にする結果は知識に対する消化不良と食慾不振である。
 教えるためには教えないことが肝心である。もう一杯というところで膳を取り上げ、もう一と幕と思うところで打出しにするという「節制」は教育においてもむしろ甚だ緊要なことではないか。この点について世の教育者、特に教科書の内容に関する一切の膳立ての任に当る方々の考慮を煩わしたいと思う次第である。

現代民衆の心理を無視した学者達が官庁の事務机の上で作り上げた教程のプログラムは理論上如何に完全に出来ていても、活きて動いている時代の人間の役に立つ教育には少しどうかと思われるのである。
 
 あらゆるレビューのうちで何遍繰返し繰返し観ても飽きない、観ればみる程に美しさ面白さの深まり行くものは、こうした自然界のレビューである。この面白いレビューの観賞を生涯の仕事としている科学者もあるようである。ずいぶん果報な道楽者だとも云われるであろう。

 そして、最後の一文にたどり着くのだった。
やはり天(あめ)が下(した)に新しいものは一つもないと思ってひとりで感心して帰って来たのであった。


  寅彦はいつ読んでも今日的である!! 

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2024年5月のオンライン「寅の日」は #科学教育 #traday #寺田寅彦

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▼私は今、またしても持病の「ばっかり病」を発症中である。
 「動く大地」ばっかり病 である。
 山・川・池等など、目に入る「景」のすべてが、「動く大地」の物語と関連して見えてくるのである。
 そんななかではあるが、「寅の日」ばっかり病もつづいていくのだった。

▼2024年5月のオンライン「寅の日」の計画をたてる時期である。
 新年度になって、2ヶ月目である。
 オンライン「寅の日」へのお誘いをかねて、5月も4月テーマを続けたい。

【5月テーマ】「寅彦と科学教育2」

 2024年5月のオンライン「寅の日」は3回ある。

■2024年5月のオンライン「寅の日」!!
◆第378回オンライン「寅の日」 …5/02(木)
◆第379回オンライン「寅の日」 …5/14(火)
◆第380回オンライン「寅の日」 …5/26(日)

▼3回に何を読むか。
 ここはやっぱり定番中の定番を読みたい。
 あらたな「発見」を期待しながら
「研究的態度の養成」
「雑感(『理科教育』より)
「科学上の骨董趣味と温故知新」 としたい。

■2024年5月のオンライン「寅の日」!!

◆第378回オンライン「寅の日」 …5/02(木)「研究的態度の養成」(青空文庫より)

◆第379回オンライン「寅の日」 …5/14(火)「雑感(『理科教育』より)(青空文庫より)

◆第380回オンライン「寅の日」 …5/26(日)「科学上の骨董趣味と温故知新」(青空文庫より)


▼「寅の日」ばっかり病も 只今発症中!!
 と行きたいものだ。
 まったくちがった「文脈」のなかで、読まれた方のご意見も聞いてみたいものだ。

 寅彦はいつ読んでも今日的である!!
 ほんとうかな!?

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【お薦め本】『ファラデーのつくった世界!』(藤嶋昭・落合剛・濱田健吾著 化学同人)

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「中学校理科」はファラデーで決まりだ!!

 長年中学校で「理科の授業」を続けて来た人間の確信だった。
 「ここでもやっぱりはじまりはファラデーか!!」
 何度、そう思ったことだろう。
 最近、いや「中学校理科」だけではない。
 ファラデーは私が思っていた以上にもっともっと凄いのかも知れない!?
そう思わせてくれる本に出会った。

▼それが、今回の【お薦め本】である。

◆【お薦め本】『ファラデーのつくった世界! ロウソクの科学が歴史を変えた』(藤嶋昭・落合剛・濱田健吾著 化学同人 2024.4.1)

いつものようにお薦めポイントを3つあげておく。

(1)ファラデーの仕事の全貌が見えてくる。
(2)ファラデーのやった実験を豊かな動画で楽しめる。
(3)「これから」の科学のヒントがここにある。

▼では少しだけ詳しく語ってみる。
(1)ファラデーの仕事の全貌が見えてくる。
 4つのPARTから構成されていた

PART1 ファラデーってどんな人?
PART2 ファラデーとその発明・発見:現代にどう影響しているか
PART3 ファラデーと彼をとりまく科学者たち
PART4 実験「ロウソクの科学」の感動を再現する

これまでのファラデー本の「総集編」の様相を呈していた。
ともかくファラデーのことならなんでもふれてあった。 
最後に「参考文献(P132)」がまとめてあるのもアリガタイ!!

個人的には、たいへん興味を持ってきた「ファラデーの日誌」についてもふれてあつた。

一般的に実験ノートには、日々の実験について方法や結果などを記録して残しますが、ファラデーのノートはひと味ちがいます。彼は、研究に関して実験方法や結果以外にも、たとえば結果に対する考察や次の実験の計画、結果の予想、先行研究などの報告についても書きこんでいます。また、それぞれの段落は短文をまとめ、通し番号をつけていました。番号をつけることでデータが整理され、表やグラフを作成するときに出典をわかりやすくできたことでしょう。このように、彼の実験ノートはただの実験記録ではなく、論文の下書きような完成度となっていました。(同書P18より)

なんかファラデーの「仕事ぶり」がわかるようで、学ぶところ大ですね。
他に巻末にある
「ファラデー年譜」
「ファラデー自身の研究と関連したテーマでの金曜講演会」
「ファラデーが世話した講演会」
「用語解説」
等など たいへん興味深い情報が満載である!!


(2)ファラデーのやった実験を豊かな動画で楽しめる。
 これがこの本の最高のお薦めポイントかも知れない。
PART2 9編
 PART4 27編
 合わせて36編もの実験動画(YouTube)が、楽しめるのである。
特に
PART4 実験「ロウソクの科学」の感動を再現する
においては、今すぐ居ながらにして
「ロウソクの科学」6講を追体験できるのである。
   こんなうれしいことはない。最高だ!!

▼最後のお薦めポイントに行こう。

(3)「これから」の科学のヒントがここにある。
 特に今回、これまで思ってきた以上に「ファラデーは凄い!!」と思ったのは、

PART2 ファラデーとその発明・発見:現代にどう影響しているか
  
 を読んでからである。
 今さらながらはじめて知ることも多く、ファラデーの「仕事」が、現代の最先端の「科学」とどうツナガッテイルかを知った。
 どうやら、「これから」の科学ともツナガッテイクようにも思えてきた。
 最後にあの「ロウソクの科学」の最終講におけるファラデーの言葉が引用してあった。

 “若いみなさんに伝えたいのは
 「きたるべきみなさんの時代において、
  ローソクのようになってほしい」
 という私の願いです。
 すなわち、みなさんの行動すべてにおいて、
 人類に対するみなさんの義務の遂行において、
 みなさんの行動を正しく、
 有益なものにすることによって、
 ロウソクのように世界を照らしてください。”
(同書P123より)

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「動く大地」を科学する(9) #動く大地 #現在進行形 #科学する #地質図 #七種の滝 #流紋岩 #火山活動 #白亜紀

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▼福崎町の「地形・地質図」を見ていた。
 実に多くの情報が含まれていた!!
 正直に言うと、あまり使い慣れていなくて
 「何を どのように読み解くのか」がわかっていなかった。
 町の北西部の「山地」が他所とはちがう色が塗られていた。
 「凡例」を見ると 次のように記述されていた。

●中生代 白亜紀 生野(相生)層群(流紋岩類)

▼そう言えば、ここには七種山(683m)を最高峰として、いくつも山が連なっている「山地」だ。
 そして、あの有名な「七種の滝」があるところだ。
 七種川の下流から、自転車にのって、久しぶりに「七種の滝」に行ってみることにした。
 名勝「七種の滝」は、県下八景、県観光百選に選ばれているだけのことはある。
 スバラシイ!!

▼七種川の上流に行くにしたがい巨大な岩石がみられた。
 あらためて「流水のはたらき」に感動である。
 こんな町内の「小さな旅」でも あらためて学ぶことが多い。
 さあ いよいよこれからだ!!
 入り口の「田口奥池」の青もすばらしかった。
 
▼待てよ!!
 ・流紋岩類→火山岩
 ・中生代 白亜紀 火山活動!!

 そう言えば、先日の「赤穂カルデラ」とツナガル話なのかな!? 

<きまり>
 大地の地形・地質は「時空」を超えてツナガッテイル!!

(つづく) 

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「動く大地」を科学する(8) #動く大地 #現在進行形 #科学する #山崎断層 #安富断層 #活断層 #地形と地質 #町史

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▼またまた町全体を眺望できるところに登ってみた。
 やっぱり気になるのは東西に走る中国縦貫道(中国自動車道)だった!!
 ここに「動く大地」の謎解きの鍵があるように思っていた。

▼中国縦貫道(中国自動車道)と「山崎断層帯」の関係については、かなりくわしく知られていた。

◆「科学の眼 身近にある活断層 山崎断層帯」(姫路科学館)

 「山崎断層帯の発見」
 「活断層」
 「左横ずれ断層」
 等などとてもくわしくわかりやすく説明してあった。アリガタイ!!

▼福崎町に直接関係あるのが、「安富断層」らしい。
 「福崎町史」(福崎町の地形・地質図とその利用)にもくわしい説明があった。
 「この山崎断層を境にして、北側と南側の山地には一般には約500mの高度差があり、南側の山地高度がさがる。本町域においても、140mの高度差がある。」

 今回の「科学する」では、できるだけ現地を歩いてみて実感したかった。

▼まだまだ、はじめたばかりでは見えてこなかった!!
 ゆっくり ゆっくり 急ごう。

<きまり>
 「動く大地」の物語の謎を解く鍵は、現在の「地形・地質」にある!!

(つづく)

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【Web更新4/14】24-15 サイエンスコミュニケーター宣言 等 更新!!

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人住まぬ庭もにぎはふ豆の花 24/04/13撮影@福崎


■楠田純一の【理科の部屋】24-15
週末定例更新のお知らせ
 新年度はじまって2度目の週末定例更新のお知らせである。
 なんとも一週間がはやい!!
 ゆっくり考えてみると、なんかいっぱいあったから長かったハズ!!
 なのに短く・はやく感じるのはナゼ!?

 ゆっくりゆっくり急ごう!!

◆表紙画像集2024 更新  豆の花 カラスノエンドウ 
 豆の花はどれも似たようなつくりである。
 カラスノエンドウ・スズメノエンドウ・カスマグサ どれもこれも今が盛りか。
 どのようにして「豆」になるのか!?
 ちょっとプチ科学してみたいな。

◆サイエンスコミュニケーター宣言 更新!!
 サイエンスコミュニケーターとしての14年目がはじまっている。
 6つの「座標軸」で、「現在地」を確認してみた。
 少しずつ「これから」が見えてくるのだった。

◆オンライン「寅の日」 更新!!
 こちらは13年目がはじまっている。
 4月テーマは「寅彦と科学教育」である。
 あらたに寅彦を読む人がふえてくるとうれしいな。
 まったくちがったあらたな「文脈」で、寅彦を!!

 大賀ハス観察池は、蓮根の植え替えから2週間が過ぎた。
 新しい葉芽が、次々と見えて来た!!
 植え替えはうまくいったようだ。

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ビシャゴ岩(赤穂市)に登った!! #赤穂カルデラ #コールドロン #白亜紀後期 #溶結凝灰岩 #深成岩 #花崗岩 #ホルンフェルス

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▼あの赤穂に巨大カルデラが!?
 それも阿蘇カルデラや姶良カルデラに匹敵する巨大さ!!
 そんなはげしい火山活動はいつごろ!?
 その痕跡が残るところがあるという。
 なおかつ、播磨灘が一望できる場所が!!

▼「動く大地」を科学する をすすめるうえで、ぜひ一度は行ってみたい場所だった。
 「青春18きっぷ」が使える最後の日、思い切ってビシャゴ岩(赤穂市)に登ってみた。
 雲ひとつない、絶好の登山日和だった!!
 久しぶりの山登りだった。
 ここでも「赤穂コールドロン」の説明が。
 そして、やっと「花崗岩露頭」へ!!

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▼そして、めざすは「ビシャゴ岩」だ!!
 登る人のためにいろいろ配慮してあることに感動・感謝しながら。
 そして、ついに !!
 まさに 絶景だ !!

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▼播磨灘・家島諸島を一望する絶景をしばし楽しんだ。
 そして、「赤穂カルデラ」を想像してみた!!
 そして、山頂まで行き下山をした。
 今回、全面的に参考にさせてもらったのは次の本である!!

◆【お薦め本】『石と地層と地形を楽しむ はりま山歩き』(橋元 正彦著 神戸新聞総合出版センター)

 とても参考になりました。深謝!!
 登山口をまちがってしまい、逆コースになってしまったがこちらも楽しかったです。
 「動く大地」は、ここ「はりま」でも ほんとうかも!?
 と少しずつ思えてきました。

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サイエンスコミュニケーター宣言(455) #私の研究 #ヒガンバナ研究 #大賀ハス #クモ学 #コウガイビル #丹生 #燐寸

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▼前回より加えた「座標軸」があった。それが次だった。

(6) 「私の研究」をすすめる!!
 
 なんともアバウトな「座標軸」であった。
 「ばっかり病」は、もう生涯つきあわざるを得ない持病だった。
 その「ふしぎ!?」を追い始めるとそれバッカリだった。
 困ったことに、
 あわせて、相矛盾するような「あれもこれも病」という持病ももっていた。

▼「ばっかり病」を発症し、現在も進行形で追い続けているものを思いつくままにあげてみる。
 そして、その「現在地」も。

◆【ヒガンバナ情報2024】
 第二世代の実生コヒガンバナはどうなっただろう!?
 枯れていくヒガンバナの葉を観察しておこう。さて、今年はどんな展開が

◆【大賀ハス観察日記】
 17年目の「大賀ハス観察池」は、どんな展開を見せてくれるだろう。
 「あこがれの4日間」とは、何度出会えるだろう!?

▼ずっと、その「ふしぎ!?」を追いかける生きものがいた。

◆「クモ学」のすすめ
 今年の「クモ学」は2冊の【お薦め本】からはじまっている。
 いよいよそのシーズン到来だ。
 どんな出会いがあるかな。

◆「コウガイビル」を追う
 これこそ究極の「ふしぎ!?」かも知れない。
 生命とは!? 再生とは!?
 73号はいつあらわれるのかな。

▼「あれもこれも病」の典型のような「ふしぎ!?」も、たいへん長期にわたって追いかけていた。

◆「丹生」を追う
 ながいながいあいだの「ふしぎ!?」だ。
 このあと、どのように展開していくのか。自分でも楽しみである!!

◆「燐寸(マッチ)一本 化学の元!!」
 ファラデーは、あのロウソクにどのようにして火をつけたのか!?
 理科室から消えてしまいそう燐寸!!
 燐寸(マッチ)が教えてくれる近代化学の歴史!!
 より安全に より簡単に 火を !!

▼「研究」に終わりはない。
 なんらかの「かたち」にしておきたいという気持ちはあるが、それがなかなか。
 
 どこまでも、私の「ふしぎ!?」を追い続けたいものである。

 ゆっくり ゆっくり 急ごう!!

(了)

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サイエンスコミュニケーター宣言(454) #日本理科教育史 #現代理科教材発展史 #ヒューマンネットワーク

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▼5つ目の「座標軸」に行く。

(5) 日本理科教育史を現在進行形のかたちでまとめる。

 これまた自分でも恥ずかしくなってくるぐらい大風呂敷デアル。
 ポンコツひとりで、なんとかなるようなテーマでない。
 そのことは、充分に承知しているつもりである。

▼しかし、これに関してどうしてもやりつづけたいプロジェクトがあった。
 それが

◆「日本理科教育史」をプロットする!!

 である。
 授業現場の人間が語る「日本理科教育史」である。
 そこには今まで語られることのなかった等身大の「日本理科教育史」があるはず!!
 今こそ語られなければ、消えてしまう「歴史」がアル!!

▼さらに、もうひとつどうしてもやりたいプロジェクトがある。
 それが

◆「現代理科教材発展史」!!

 である。まだまだ現在進行形であるが、いくつか具体化したものがある。

◆現代理科教材発展史『スライム』

◆現代理科教材発展史「究極のクリップモーター」

 いずれもしばらく更新していなかった。まだまだ「現代」までの更新が必要だろう。
 また、他の人からの「現代理科教材発展史」ネタはいっぱいあるだろう。
 なにしろ、理科にモノがあるのだから!!

▼それらの2つの取り組みともに、ポンコツひとりでは限界がある。
 なによりそれでは面白くない!!
 
 「日本理科教育史」に関わってきた、いや現在進行形行きたい。今、関わっている多くの人と一緒に取り組みたい!! 
 ネットワークの時代だ。
 せっかくのヒューマンネットワークを大いに活用しながら
 これまで語られることのなかった「日本理科教育史」に期待したい!!
 今こそ!!

(つづく)

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サイエンスコミュニケーター宣言(453) #理科の部屋 #理科教育コミュニティ #寅の日

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▼「現在地」の検証作業をすすめよう。
 次の座標軸に行こう。

(4) あらたな理科教育コミュニティの構築!

▼理科教育コミュニティと言えば、すぐに出てくるのは【理科の部屋】のことである。
 今は、Facebook版【理科の部屋】がある。
 「はじまり」に「これから」も見えてくるような気がするのである。

◆情報は発信するところに集まる~【理科の部屋】とは~ 
 

▼あらためてその30年の歴史をふり返ってみる。
 その作業も途中で投げ出してしまっていた。
 個人的なメモ書き、覚え書きに終わってしまっている。
 ここから、「これから」のヒントをみつけることができるだろうか!?
 
◆【理科の部屋】30年史年表
 
 もっともっと多くの人の「30年史」を聞いてみたいな。

▼今、「課題」というより、やってみたいなと思っていることは次のようなことだ。

・「テーマ」を設けてのオフ(オフラインミーティング)!!
・オンライン「寅の日」の あらたな「展開」!!
・より開かれた実践DBの構築!!

 できることから、ゆっくり ゆっくり 急ごう!!

(つづく)

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サイエンスコミュニケーター宣言(452) #授業の科学 #中学校理科 #授業びらき #教材論 #科学するシリーズ

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▼サイエンスコミュニケーターとしての「現在地」を検証する作業をつづける。
 次の座標軸に行こう。
(3) 中学校「理科」カリキュラム全課程実践的検討!!

 現場を離れて、ますます時間がたちつつある。
 でもやっぱり「理科の授業」へのこだわりがあった!!

・理科の授業はサイエンスコミュニケーションの最前線である!!
・理科教師は最前線のサイエンスコミュニケーターである!! 

 いくら直接の「授業」から遠ざかっていても、この思いはかわっていなかった。

▼さらには「中学校理科」にこだわりがあった。
 「中学校理科」にこそすべてが含まれている。
 これもまた私の変わらぬ思いであった。
 ちょうど、「授業びらき」を構想するシーズンである。
 ちょっと古くなってしまったが、私の拙い「記録」があった。

◆私の「ふしぎ!?」からはじめて「卒業論文」にいたるまでの中学校3年間「理科」全課程を構想する!!
 新・中学校「理科」を構想する(2016年版)

 「失敗」の連続!!
 「不完全」「未完」なものばかりで恥ずかしいかぎりである。
 しかし、私が「授業」を語るとき、ここからしかはじめられないのも事実である。
 もし「授業びらき」を構想するときの参考になれば幸いである。

▼「授業」を語りはじめるとき、絶対に外せないものがあった。
 それが「教材論」だった。私の「教材論」はここまできていた。

◆新・私の教材試論


▼「中学校理科の授業」から、派生していくつかの取り組みに挑戦していた。
 それが、「「○○」を科学する 」シリーズである。
 2024年にスタートしたシリーズは2つあった。

●「天気の変化」を科学する
●「動く大地」を科学する(只今進行中!!)

(つづく)  

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【Web更新4/7】24-14 サイエンスコミュニケーター宣言 等 更新!!

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通学路今朝も見守る菫哉 24/04/05撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】24-14
週末定例更新のお知らせ
 新年度最初の週末定例更新である。
 あらたな気分で「更新」をつづけたいものだ!!

 みらけくるみちはたのしい。
 みちはこたえない。
 みちはかぎりなくさそうばかりだ。(「峠」より)

◆表紙画像集2024 更新 スミレ ・菫
 道ばた、アスファルトの隙間、コンクリートの境目…
 菫が、通学路で心膨らませ通る新入生を見守ってくれているようだ。
 アリガトウ!!

◆サイエンスコミュニケーター宣言 更新!!
 わけもわからず「サイエンスコミュニケーター」を名のりはじめて、14年目がスタートした。
 「サイエンスコミュニケーター宣言」のページは、未整理の「なんでもBOX」のようにいろんなものをほり込んできた。
 【お薦め本】、「○○を科学する」等などである。
 サイエンスコミュニケーターとして関連しそうなものはなんでもだ。
 久しぶりに「現在地」を確認しておこう。

◆Webテキスト『天気の変化』の可能性!? 更新!!
 毎月の「雲見」「俳句歳時記」だけの更新になってしまったが、Webテキスト展開の機会をねらっている。
 「天気の変化」には、一日の休みもない。
 「大気の物理学実験室」に暮らしているうちは

◆【大賀ハス観察日記】更新!!
 蓮根の植え替えから一週間がすぎた。
 泥水が若干澄み、まだ水面に現れてこない「浮葉」の新芽も見えてきた。
 まずは順調に育っているようだ。

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本日(2024/04/08)、第376回オンライン「寅の日」!! #科学者とあたま #traday #寺田寅彦

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オンライン「寅の日」、13年目のスタートである。
 新しい環境のなかで、寅彦を読み始められる方も多くあるだろう。
 そんな方の意見・感想もいっぱい聞けたらうれしいな。
 そのための、あらたな「かたち」も考えていけたらいいな。
 どんな「展開」が待っているのか。
 13年目も楽しみだ!!

▼本日(2024/04/08)は、第376回オンライン「寅の日」である。
 4月テーマは

【4月テーマ】「寅彦と科学教育」

 である。
 本日はその初回、読むのは 「科学者とあたま」である。


◆本日(本日)、第376回オンライン「寅の日」!!

●「科学者とあたま」(青空文庫より)


▼定番中の定番!!
 ひょっとしたら、いちばんよく読まれてきた随筆のひとつかも知れない。
 何度読んでも、読むたびにあらたに学ぶことが多い!!

 さあはじめてみよう。

 しかしまた、普通にいわゆる常識的にわかりきったと思われることで、そうして、普通の意味でいわゆるあたまの悪い人にでも容易にわかったと思われるような尋常茶飯事(さはんじ)の中に、何かしら不可解な疑点を認めそうしてその闡明(せんめい)に苦吟するということが、単なる科学教育者にはとにかく、科学的研究に従事する者にはさらにいっそう重要必須(ひっす)なことである。この点で科学者は、普通の頭の悪い人よりも、もっともっと物わかりの悪いのみ込みの悪い田舎者いなかものであり朴念仁(ぼくねんじん)でなければならない。

ナルホド!!
と納得しなかがらも、「単なる科学教育者にはとにかく」のフレーズがひっかかるな。
つづけよう。
 それで、研学の徒はあまり頭のいい先生にうっかり助言を請うてはいけない。きっと前途に重畳する難関を一つ一つしらみつぶしに枚挙されてそうして自分のせっかく楽しみにしている企図の絶望を宣告されるからである。委細かまわず着手してみると存外指摘された難関は楽に始末がついて、指摘されなかった意外な難点に出会うこともある。

 示唆的なコトバがつづく。
 頭の悪い人は、頭のいい人が考えて、はじめからだめにきまっているような試みを、一生懸命につづけている。やっと、それがだめとわかるころには、しかしたいてい何かしらだめでない他のものの糸口を取り上げている。そうしてそれは、そのはじめからだめな試みをあえてしなかった人には決して手に触れる機会のないような糸口である場合も少なくない。

 そして、もっとも「お気に入り」の部分に近づく
自然のまん中へ赤裸で飛び込んで来る人にのみその神秘の扉(とびら)を開いて見せるからである。
 頭のいい人には恋ができない。恋は盲目である。科学者になるには自然を恋人としなければならない。自然はやはりその恋人にのみ真心を打ち明けるものである。

▼寅彦の随筆で、いつもうれしいのは
 ナラバ と具体的な提言があることだ。

 科学の歴史はある意味では錯覚と失策の歴史である。偉大なる迂愚者(うぐしゃ)の頭の悪い能率の悪い仕事の歴史である。

頭の悪い人には他人の仕事がたいていみんな立派に見えると同時にまたえらい人の仕事でも自分にもできそうな気がするのでおのずから自分の向上心を刺激されるということもあるのである。

しかし科学の世界ではすべての間違いは泡沫(ほうまつ)のように消えて真なもののみが生き残る。それで何もしない人よりは何かした人のほうが科学に貢献するわけである。

 そして、ひとつの<結論>へ
科学的研究の結果の価値はそれが現われるまではたいていだれにもわからない。また、結果が出た時にはだれも認めなかった価値が十年百年の後に初めて認められることも珍しくはない。
 頭がよくて、そうして、自分を頭がいいと思い利口だと思う人は先生にはなれても科学者にはなれない。人間の頭の力の限界を自覚して大自然の前に愚かな赤裸の自分を投げ出し、そうしてただ大自然の直接の教えにのみ傾聴する覚悟があって、初めて科学者にはなれるのである。しかしそれだけでは科学者にはなれない事ももちろんである。やはり観察と分析と推理の正確周到を必要とするのは言うまでもないことである。
 つまり、頭が悪いと同時に頭がよくなくてはならないのである。

 最後にチクリと本質を指摘してくれる。アリガタイ!!
 でもやっぱり反駁したい気分があることも確かだ。
 留意しておくべきことも指摘してくれていた。
 最後にもう一つ、頭のいい、ことに年少気鋭の科学者が科学者としては立派な科学者でも、時として陥る一つの錯覚がある。それは、科学が人間の知恵のすべてであるもののように考えることである。

 そして、最後の最後にこう問いかけていてくれた。
 この老科学者の世迷い言を読んで不快に感ずる人はきっとうらやむべきすぐれた頭のいい学者であろう。またこれを読んで会心の笑(え)みをもらす人は、またきっとうらやむべく頭の悪い立派な科学者であろう。これを読んで何事をも考えない人はおそらく科学の世界に縁のない科学教育者か科学商人の類であろうと思われる。

あなたなら、これをどう読みますか!?

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サイエンスコミュニケーター宣言(451) #道楽の科学 #萃点の科学 #共愉の科学 #サイエンスコミュニケーター

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▼「サイエンスコミュニケーター」と名のりはじめて14年目がはじまっている。
 「サイエンスコミュニケーター宣言」も451回目である。
 思えば遠くへ来たもんだ。

●サイエンスコミュニケーター宣言(1) (2011/04/01 )

▼これまで節目と思われる時期ごとに、私は「座標軸」を設けて、サイエンスコミュニケーターとしての「現在地」を確認してきた。
 これからの「展望」も語ってきた。
 「座標軸」は、前回から6つにしてきた。

(1) 道楽的「科学」・道楽的「理科」の追求!
(2) サイエンスイベント・ムーブメントに参画する。
(3) 中学校「理科」カリキュラム全課程実践的検討!!
(4) あらたな理科教育コミュニティの構築!
(5) 日本理科教育史を現在進行形のかたちでまとめる。 
(6) 「私の研究」をすすめる!!

▼さっそく作業をはじめてみよう。
(1) 道楽的「科学」・道楽的「理科」の追求!
 私の気ままなな「○○の科学」遍歴を思いつくままにあげてみる。
・「常民の科学」
・「等身大の科学」
・「高いレベルの科学」
・「デクノボーの科学」
・「萃点の科学」
・「私の科学」
・「共愉の科学」(convivial science)!!
等などである。
 「現在地」と言うことで、いちばん興味あるのは、【お薦め本】『熊楠さん、世界を歩く。 冒険と学問のマンダラへ』をとりあげたこともあり、「萃点の科学」デアル!!
 「南方マンダラ」とは!?
 「萃点の科学」とは!?
 しばらくは問い続けてみよう。

▼次の「座標軸」に行こう。
(2) サイエンスイベント・ムーブメントに参画する。
 諸事情で物理的制限ができてしまった。
 ピンチはチャンス!!
 「参画」の「かたち」を変えていきたい。
 科学を「楽しむ」を、最優先にして考えて行きたい!!


(つづく)
 

 

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【お薦め本】『熊楠さん、世界を歩く。 冒険と学問のマンダラへ』(松居竜五著 岩波書店)

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▼私は、ずいぶん昔になるが、次なる拙い文章をある教育雑誌に書いたことがある。

 

◆「南方マンダラ」にこれからの理科教育をみる (2010年3月)

  なにもわかっていないくせにエラそうに!?
 今、読み返してみると恥ずかしいかぎりである。
 でも、やっぱりそれは「正しい」のかも知れない!?
 と思わせてくれる本に最近出会った。

▼それが、今回の【お薦め本】である。

◆ 【お薦め本】『熊楠さん、世界を歩く。 冒険と学問のマンダラへ』(松居竜五著 岩波書店 2024.03.14)  

いつものようにお薦めポイントを3つに絞る。
3つは相互に関連し、同じことにツナガッテイルが、前後しながら私の理解した範囲で紹介してみたい。 

(1)焦点化されたテーマで、世界を「楽しむ」熊楠像を描く!!
(2)とても平易なわかりやすい文体で、誰もが読みやすい!!
(3)南方熊楠の世界を追体験(共有)してみたくなる!!

▼では、ひとつずつ行こう。
(1)焦点化されたテーマで、世界を「楽しむ」熊楠像を描く!!

 ちょっとこれまでの「熊楠」本とちがうニュアンスを抱かせる本だった。
 「はじめに」の文章を読むうちに、そのわけがわかってきた。

 この文章をからわかるのは、熊楠さんが何よりも「楽しさ」というものにこだわった人だということだ。そもそも熊楠さんは世間的には「博物学者」と呼ばれているけれど、何をしたかと聞かれると、ひとことでは言い表せない。生物学者であり、民俗学者でもある。さらに歴史や文学、人類学や生態学など。今の学問で言えばとても「学際的」にいろいろな分野にまたがった研究をしていた。だから、熊楠さんのことを理解するのは難しいと、これまではかなり長い間、信じられてきた。
 しかし、熊楠さんという人は、宇宙のすべてを対象としながら、「楽しさ」のために学問をしている人だと考えれば、とてもわかりやすいところがある。熊楠さんにとっては、学問的な制度や分野や枠組みは二の次だった。その時、その時の、自分の好奇心がおもむくままに、楽しみを宇宙から「心」に取り入れていただけだ。そういう意味からは、世間の評価とはうらはらに、実は「楽しさ」のみを追い求めた、とても理解しやすい人だったと考えた方がよいのではないだろうか。
 筆者の考えでは、熊楠さんという人は、「子どもの眼」とでもいうべき純粋な好奇心を、一生にわたって持ち続けた人だ。熊楠さんの言っていることは、虚心坦懐に見れば、いつも当たり前の疑問からストレートにものごとをとらえた結果、生じたものであるように思える。そのため、こちらの方も学校で習ったり、インターネットで調べたりした生かじりの常識的な知識を捨てて向き合うと、熊楠さんのやっていることの整合性に納得がいく。
(同書 「はじめに」Pⅶより)


 ナルホド!!納得である。ダカラか
 さらに、この本の意図を次のように語っていた。

 この本では、顕彰館を中心とした一次資料を十全に活用した上で、熊楠さんの内側からの視点を読者が体感することを目的としている。熊楠さんの見た世界を、まるで自分の中で繰り広げられるように感じてもらいたいというのが、筆者としてのちょっと高望みかもしれない願いだ。そのために「図鑑」「森」「生きもの」という三つのキーワードを設定してみた。熊楠さんが関心を持ち、世界の不思議を追い求めていった出発点が、そこにあるからだ。(同書「はじめに」Pⅷより)

 それに呼応するように三つのキーワードに焦点化し、3部構成となっていた。
第1部 熊楠さん、図鑑の世界に目覚める
第2部 熊楠さん、世界の森をかけめぐる
第3部 熊楠さん、生きものを見つめる

「熊楠さん」研究の第一人者である著者が案内してくれる「熊楠さんの世界」は最高に楽しい!!

 

(2)とても平易なわかりやすい文体で、誰もが読みやすい!!

 実は、これこそがこの本の最大の特色であり、最高のお薦めポイントかも知れません。
本のタイトルからして、親しみを込めて『熊楠さん、世界を歩く』となっていますよね。
 この本の中では「熊楠さん」は、始終一貫しています。
 この本のスタンスの意思表明が、早い段階でしてあった。

 「はじめに」でも述べたことだけれども、熊楠さんが書いた原文はこんなふうに、今の読者から見るとやや読みにくい文語体で書かれている。そこで、この本では熊楠さんのことばの引用に関してはすべて、手軽に意味を読み取ることを重視した現代語訳で通したい。(中略)
 こんなこんなふうに、エッセイ調のくだけた内容のものについては軽く、論文調の堅いものに関してはやや重厚に、あらたまった手紙の場合はていねいに、筆者の印象に沿って意訳していきたいと思う。熊楠さん以外のものでも、近世以前の文章は基本的にこれに準じることとする。
 もしかしたら、この文体だと一般的な熊楠さんのイメージとは少し異なっていると感じられるかもしれない。ただ筆者としては、「はじめに」で述べたような、この人が生涯持っていた「子どもの眼」を活かすことを優先したい。そこで、そういう誰の中にもある「内なる熊楠さん」を意識した訳し方をしていきたいと考えている。(同書P4より)

  スバラシイ!!大賛成デアル。
 また、「ボク」へのこだわりもたいへん気に入った!!

 そこで、この本での熊楠さんの主な自称を「ボク」とした。これは当然ながら賛否両論があるだろう。人によっては「こんないい子ぶった熊楠なんかイヤだ」と言われるかもしれない。そうした批判も、筆者として甘んじて受けるつもりだ。ただ筆者としては、熊楠さんと自分とを結ぶ最短距離にあるのがこの一人称だった。そして、子どもの頃から晩年まで一貫して自分の興味関心に忠実であり続けたこの人物のストレートな性格を表現する際には、やはりこの選択が最適だと思う。(同書「おわりに」P208より)

この本が、なぜこんなにも読みやすく面白いのか。わかる気がするのだった!!
 ホンモノはわかりやすく面白い!!

▼では、最後のお薦めポイントに行こう。
(3)南方熊楠の世界を追体験(共有)してみたくなる!!

 あの「知の巨人」の世界を追体験するなんておこがましい話だ。
 しかし、この本に書かれた「熊楠さん」の世界なら、ちょっと覗くぐらいなら、私にもできかも知れない。そう思わせてくれるのがうれしい!!
 私にとってのこの本の「本命」は、この章にあった。

14 「南方マンダラ」の構想からエコロジー思想にたどり着く 

これまでの「冒険」と「学問」のマンダラはここに集約されていた。
 これまでの各章はここへの序章に見えてくるのだった。
 「萃点」は、ここにあった!!
 この文脈のなかで、「南方マンダラ」とは
 引用させてもらいはじめたら、きりがない気がする。
 それこそ「蛇足」というものだろう。
 
 と言いながら、やっぱり少しだけ引用させてもらおう。
 なんと優柔不断な性格なんだろう。(自分でも呆れる)

 熊楠さんは、「南方マンダラ」の一本一本の曲線は「事理」を意味していると説明している。それはつまり、一つの原因には一つの結果があるという、近代科学の「因果律」と呼ばれる原則を基礎として、自分の世界観を描こうとしたということだ。その無数の因果律は宇宙のすべてを貫いているから、それを一つひとつ解きほぐしていくことで、人間の考えの及ぶ範囲でならば、どんなことにもたどり着けるということになる。
 それらの因果のみちすじ同士は、それぞれ時には偶然に近づいて、お互いに干渉し合ったりもする。そのことによって、熊楠さんの用語によれば「縁」が生まれ、それが「起」となって新たな因果を生みだす(図14-2)。だから、ここに描かれた複雑な世界は、さらに高次元の複雑な現象を引き起こし続けているということになる。そのようにして世界の中でさまざまなものごとが止むことなく、終わることなく進行していくようすを、熊楠さんは「不思議」という名でも呼んだ。学問とはその「不思議」を解き明かしていく作業ということになるだろう。(同書P177 より)

 そして「萃点」についてはこうだ。

 「南方マンダラ」の中心付近には、多数の線が交錯する場所に(イ)と記されている。この(イ)のような、さまざま地点とつながっている点のことを、熊楠さんは「萃点」と呼んでいる。ここから世界の考察を始めることができれば、多くの地点に素早く達することができる。つまり、学問的な観点から言えば、世界の全体が理解しやすい地点ということになる。ものごとを手早く知ろうとするならば、萃点を押さえるのが近道だ。(同書P178より)

 
 これが、なぜこれからの「理科教育」と関係あると思ったんだろうか!?
 その話は、また別の機会にしよう。

 ともかくこれまでとはちょっとちがった「熊楠さん」の世界を存分に楽しめる本だ!!
 久しぶりに「熊楠さん」を訪ねて行きたくなってきた。
 

 

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津山洋学資料館に榕庵を訪ねた!! #津山洋学資料館 #宇田川榕庵 #舎密開宗 #ボルタ電堆 #榕庵珈琲

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▼そもそものはじまりは「燐寸(マッチ)の歴史」にあった。
 
●1837(天保8)年 宇田川榕庵が欧州の文献を参考にマッチについての記述もある化学書『舎密開宗』を著す。

▼私は、いつもの無手勝流でこの歴史を追っていた。
 宇田川榕庵についてなら、ここにくわしい情報があると聞いていた。

◆津山洋学資料館

▼はじめて訪れたのは、2018年の3月末だった。

・私の「科学」雑話(12)
・私の「科学」雑話(13)

 私は感動してしまった。
 『舎密開宗』について、くわしく教えてもらっただけでなくいろんな資料までわけていただいた。
 うれしくなった私は、さっそく「友の会」に入れていただいた。
 また、このことをきっかけに

◆『舎密開宗―復刻と現代語訳・注 (1975年)』
  (講談社 宇田川 榕菴 (著),田中 実 (著))

 まで手に入れてしまった。

▼桜の季節、久しぶりに「津山洋学資料館」に宇田川榕庵を訪ねてみた。
 やっぱりすばらしい!!
 うんと気に入っているところがあった。
 資料が充実しているだけでなく、とても興味深い「復元実験」が公開されているということだ。
・顕微鏡
・「舎密開宗」のボルタ電堆
・本格的カメラオブスキュラ
等々

最後に「榕庵珈琲」を飲んで、ここを後にした。
またぜひ訪ねたいものだ。

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2024年4月(卯月)の俳句「歳時記」!! #俳句 #歳時記 #オンライン句会

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▼「桜」の句で思いだしてしまうのはこの句だ!!

さまざまなこと思ひ出すのは桜かな 芭蕉

 とは言っても、「桜」にまつわるたくさん句を知っているわけではない。
 でもやっぱり名句中の名句だ!!
 なぜだろう!?
 
▼今月も名句の鑑賞 より<俳句修業>をはじめよう!!
 名句の参考にさせてもらうのは、いつものように

◆NHK「俳句」 テキスト

である。ここより巻頭の名句10句を引用させてもらう。

(1) さきみちてさくらあおざめゐたるかな 野澤節子
(2) 一片の落花のあとの夕桜 深見けん二
(3) 地を指せる御手より甘茶おちにけり 中村草田男
(4) 人の世をやさしさと思ふ花菜漬 後藤比奈夫
(5) リラ咲けば誰も旅人港町 古賀まり子
(6) 起つときの脚の段取り孕鹿 鈴木鷹夫
(7) 夢殿に今年の燕来てゐたり 米沢吾亦紅
(8) 思ひゐるのみ春潮の渦力 石田勝彦
(9) よこたへて金ほのめくや桜鯛 阿波野青畝
(10) ゆく春やおもたき琵琶の抱きごゝろ 蕪村

▼さて、次は今月もまたシロウトの無手勝流「選句」である!!
 
【私の選んだ名句ベスト3】

(1) さきみちてさくらあおざめゐたるかな 野澤節子

(4) 人の世をやさしさと思ふ花菜漬 後藤比奈夫

(3) 地を指せる御手より甘茶おちにけり 中村草田男


【次点】

(9) よこたへて金ほのめくや桜鯛 阿波野青畝

【選評】
・「あおざめゐたる」に感動してしまう。ひらがなづくしもいいな!!
・「やさしさ」と「花菜漬」の取り合わせが響き合っている!!
・「甘茶」の味を思いだしてしまった。すごい観察眼!!

・「桜鯛」の景が見えてくるようだ。春の瀬戸内かな!?

▼「選句」修業の次は、やっぱり「作句」が究極の俳句修業かな。
 全部ひっくるめて「句会」参加は面白い!!
 オンライン「句会」は、うんとそのハードルをさげてくれた。
 新年度、またあらたな気分で

◆第44回オンライン句会「寅の日」4月例会案内!!

 

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2024年4月(卯月)の「雲見」は!? #雲見 #もくもくシール

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▼新年度・4月(卯月)の「雲見」は、はじまっていた。
 4月の「雲見」を予想する前に3月の「雲見」のまとめをもくもくシールセットによる「雲見」カレンダー(理科ハウス)でふり返っておこう。
 使用した十種雲形シールは次のようになった。

・快晴   5      
・巻雲   1  
・巻積雲  1  
・巻層雲  1       
・高積雲  0   
・高層雲  0    
・層積雲  4    
・積雲  11     
・層雲   0
・乱層雲  7 
・積乱雲  1

  一日一枚のシールを原則としている。実際迷うこともおおかった。
  3月で目立ったのは、「積雲」11+「快晴」5 =こうしてみると天気はかなり良かったんだ!!
 「乱層雲」7 =なんと雪の日もあつた!!
 あいかわらず、アメダスの記録(「福崎」)から最高気温~最低気温をメモしてみた。
 冬日=「日最低気温が0℃未満の日」
 3月には、2月と同じく8日もあった。「寒のもどり」だったのだろうか。
 さて、4月はいよいよ本格的に春が!!

▼2024年4月(卯月)の「雲見」の予想に入ろう。
 前年の天気図を参考にすることにしよう。
 では昨年の2023年4月の天気図を参考に見てみよう。

◆日々の天気図 2023年4月 (気象庁)
・いきなり「夏日」というのも、昨年と同じなんですね。
・黄砂がはげしいのは、昨年よりはやくピークに達しているように思える。
・桜の開花は、地域によってかなり差があるようだ。当地では若干遅いように思える。
・偏西風と天気の変化の関係を実感する季節でもある。
・「光は東から 天気は西から」
・もくもくシール(十種雲形)何が多くなるかな!?

▼次は「雲見」の旅 計画だ。
【2024年4月 「雲見」の旅】
・計画を立てるのが楽しいからつづける!!
・実際には、計画だけになって実現してないことが多い。
・「花見」+「雲見」の旅、ひとつは実現した。
・「土佐の寅彦」詣実現するといいな。
・「動く大地」を科学するとセットで!!

▼「雲見」こそ、もっとも簡単で奥の深い自然観察のはじまり!!
 「授業びらき」でぜひとりあげてほしいな!!

●Webテキスト試案『「雲見」を楽しもう!!』

 そこから、シン【「雲見」の連帯】が生まれたら楽しいな!!

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【Web更新3/31】24-13 【大賀ハス観察日記】等 更新!!

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連翹やヒラヒラ翅の踊りたり 24/03/29撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】24-13
週末定例更新のお知らせ
 昨年度最後の週末定例更新だった。
 新年度がはじまっている。
 寅彦は言った!!
 「新しい事はやがて古い事である。古い事はやがて新しい事である。」

 新年度はどんな展開になるだろう!?

◆表紙画像集2024 更新 連翹
 連翹の黄色が春風にのってひらひらと舞い始めた。
 まるでてふてふが舞うが如く。
 春だ!!

◆【大賀ハス観察日記】更新!!
 ずっと迷っていた「蓮根の植え替え」を実施した。
 同時に【大賀ハス観察日記】のページの更新もした。
 一年間の観察の様子をふり返ってみると、なつかしい気分にもなった。
 【大賀ハス観察日記】17年目のスタートである!!

◆オンライン「寅の日」 更新!!
 オンライン「寅の日」の4月テーマは、「寅彦と科学教育」である。
 あらたに寅彦を読まれる方がふえるのが楽しみである。
 ぜひ…!!

◆「コウガイビル」を追う 更新!!
 72号コウガイビルは、「ふしぎ!?」を残したまま「消えた」!!
 謎解きはまだまだつづく。
 73号は、いつ現れるだろうか!?

◆サイエンスコミュニケーター宣言 更新!!
 「動く大地」を科学する はまだまだつづく!!
 ゆっくり ゆっくり 急ごう!!


 17年目の大賀ハス観察池はスタートした。
 「あこがれの4日間」は、いつ来るのだろうか!?

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2024年・大賀ハス蓮根の植え替えをした!!(2)(2024/03/31) #大賀ハス #大賀式栽培法

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▼観察池はほぼ蓮根だけになっていた。
 蜷局を巻いた蓮根でけを外に出して、ひっくり返しみた。
 泥を洗いおとした!!
 2023年は一度、池の水を一時的に枯らしてしまったことがあった。だから、大きな蓮根の成長は期待できないと思っていたが、予想以上に蓮根は大きくなっていた。!!

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▼できるだけ途中で切らないようにして、土手にのばしてみた。
 けっこう多数の大きな蓮根も目立つ。
 泥の中で気づかなかったが、けっこう新しい幼芽ものびていた。
 かさなりあっているところもあるが、全長2m近くあった。
 元気のよさそうな3つを「種れんこん」として選んだ。

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▼さあ、いよいよ蓮根の植え替えである。
 「種れんこん」から育ててる、「大賀式栽培法」である。
 元肥料とするのは、「身欠きニシン」「水煮大豆」!!
 畑の土→身欠きニシン→土→水煮大豆→土→種れんこん→土
 とサンドイッチのように積み重ねる。
 最後に水をはって完成だ!!
 さあ、これで2024年「大賀ハス観察池」がスタート!!
 「あこがれの4日間」は、いつごろだろう!?

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▼残った蓮根を使って、いつものように「水栽培池」をつくった。
 「水栽培池」にも「身欠きニシン」と「水煮大豆」を入れて、水をはった。
 はたしてこちらからも「あこがれの4日間」はやってくるだろうか。

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