本日(2023/06/13)、第350回オンライン「寅の日」!! #花物語 #traday #寺田寅彦

▼いつも「土佐の寅彦」詣の起点としている寺田寅彦記念館を出て、川沿いに少し歩くと公園内にその「昼顔文学碑」があった。
そこには、「花物語 一 昼顔」の冒頭の部分が彫り込まれていた。

▼本日(2023/06/13)は、記念すべき第350回オンライン「寅の日」である。
6月のテーマは次のようにしていた。
【6月テーマ】「寅彦と植物学」
今月2回目の本日は、名作「花物語」を読む。
◆本日(2023/06/13)、第350回オンライン「寅の日」!!
▼最後に記載されていることによれば、明治41年(1908)十月にあの『ホトトギス』に掲載された随筆である。
その年は、寅彦は数え年31歳であった。
また「年譜」によれば
10月1日、論文「尺八の音響学的研究」で、理学博士となった年でもあった。
先にあげたように「文学碑」になるまでの名作である。
「花物語」には、9つの花にまつわる「物語」(思い出話)が出てきた。
一 昼顔
二 月見草
三 栗の花
四 のうせんかずら
五 芭蕉の花
六 野ばら
七 常山の花
八 りんどう
九 棟の花
どの「物語」も読めば読むほど味わい深いものである。
最初にあげた「一 昼顔」の冒頭を引用させてもらおう。
いくつぐらいの時であったかたしかには覚えぬが、自分が小さい時の事である。 宅(うち)の前を流れている濁った堀川(ほりかわ)に沿うて半町ぐらい上ると川は左に折れて旧城のすその茂みに分け入る。 その城に向こうたこちらの岸に広いあき地があった。 維新前には藩の調練場であったのが、そのころは県庁の所属になったままで荒れ地になっていた。 一面の砂地に雑草が所まだらにおい茂りところどころ昼顔が咲いていた。
少年時代の寅彦の顔が見えてくるのだった。
そして、こうしめくくる。
二十年後の今日故郷へ帰って見るとこの広場には町の小学校が立派に立っている。 大きくなったら登れると思った天文台の砂山は取りくずされてもう影もない。 ただ昔のままをとどめてなつかしいのは放課後の庭に遊んでいる子供らの勇ましさと、柵(さく)の根もとにかれがれに咲いた昼顔の花である。
今度は、31歳の寅彦の顔が見えてくるだった。
▼9つの「物語」はそれぞれ独立しており、直接的には関係していない。
しかし、私にはいくつか共通したトーンが流れているように思えてならなかった。
とくに「土佐」に関連するような「花物語」を引用させてもらおうとおもう。
「四 のうせんかずら」から
小学時代にいちばんきらいな学科は算術であった。 いつでも算術の点数が悪いので両親は心配して中学の先生を頼んで夏休み中先生の宅へ習いに行く事になった。 宅(うち)から先生の所までは四五町もある。 宅うちの裏門を出て小川に沿うて少し行くと村はずれへ出る、そこから先生の家の高い松が近辺の藁屋根(わらやね)や植え込みの上にそびえて見える。 これにのうぜんかずらが下からすきまもなくからんで美しい。 毎日昼前に母から注意されていやいやながら出て行く。 裏の小川には美しい藻もが澄んだ水底にうねりを打って揺れている。
「七 常山の花」より
自分はその時虫かごのふたをあけてかぶと虫を引き出し道ばたの相撲取草(すもうとりぐさ)を一本抜いて虫の角(つの)をしっかり縛った。 そして、さあといって子供に渡した。 子供は泣きやんできまりの悪いようにうれしい顔をする。 母親は驚いて子供をしかりながらも礼をいうた。 自分はなんだかきまりが悪くなったから、黙ってからになった虫かごを打ちふりながら駆け出したが、うれしいような、惜しいような、かつて覚えない心持ちがした。 その後たびたび同じ常山木(じょうざんぼく)の下へも行ったが、あの時のようなみごとなかぶと虫はもう見つからなかった。 またあの時の親子にも再び会わなかった。
「九 棟の花」より
一夏、脳が悪くて田舎(いなか)の親類のやっかいになって一月ぐらい遊んでいた。 家の前は清い小みぞが音を立てて流れている。 狭い村道の向こう側は一面の青田で向こうには徳川以前の小さい城跡の丘が見える。 古風な屋根門のすぐわきに大きな楝(おうち)の木が茂った枝を広げて、日盛りの道に涼しい陰をこしらえていた。 通りがかりの行商人などがよく門前で荷をおろし、門流れで顔を洗うたぬれ手ぬぐいを口にくわえて涼んでいる事がある。 一日暑い盛りに門へ出たら、木陰で桶屋(おけや)が釣瓶(つるべ)や桶のたがをはめていた。 きれいに掃いた道に青竹の削りくずや鉋かんなくずが散らばって楝(おうち)の花がこぼれている。
さすがの名文を読みながら、考えてしまった。
私には、いくつの「花物語」があるかな!?
ちなみに朝ドラ「らんまん」の今週のテーマは「ユウガオ」だ!!
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