「植物の世界」を科学する(9) #植物の世界 #花と実 #仮説実験授業 #授業書 #花とたね #板倉聖宣
▼どのように授業書「花と実」の構想につながっていったのか、さらにゆっくりと論考を追いかけてみよう。
◆「「花と実」の仮説実験授業-その授業書の構想-」(板倉聖宣 『理科教室』1966年12月号P53~65)
▼科学教育の最初に、留意すべきことをつぎのようにあげていた。
科学教育のはじめにあたって、まずとくに考慮しなければならないことは、子どもたちの常識的な行きあたりばったりの直観的な判断や、ばらばらな概念よりも、一貫した科学上の概念の方がはるかに有効であるということを知らせることだといってよいでしょう。「常識から科学へ」の段階であるわけです。そこで、そのような科学教育の初期の段階では、科学上のもっとも基礎的・一般的な概念・原理のなかでも、とくに常識的な概念や直観的としばしば対立し、しかも科学上の概念・法則の方がはるかに有効であることが子どもたちによって安易にかんげき的にみとめられるようなものを優先させなければならないと思います。(同書P54より)
▼少し長めの前置きのあったあといよいよ本論に近づいていく。
そういう科学上の基礎的な概念・原理にはどんなものがあるでしょうか。私たちの授業書の題名でいえば、「ものとその重さ」のほかに「ばねと力」「まかぬ種は生えぬ」「花とたね」といったものをまず最初にあげることができると思います。(同書P54より)
▼そして、「花とたね」の教育的意義についてつぎのように述べています。
「花とたね」というテーマは「ものとその重さ」とか「ばねと力」「まかぬ種は生えぬ」というようなテーマとくらべるとかなり特殊なテーマです。それは生物の中でも植物の、さらに顕花植物の生殖作用だけをとりあげたテーマであるからです。ですからこれはその存在的・論理的な位置だけからすれば、そんな重視されるべきものではありません。しかし、ひとつひとつの仲間がきわだった特長・個性をもっていてまったくばらばらであるようにみえる高等な生物にも、常識的直観的に認められているよりもはるかに広範囲にわたって有効な概念・法則があるということを知らされたら、それは子どもたちに科学の可能性の新しい期待をいだかせる上でどんなにか有効でしょう。そのように考えるとこの条件にもっともよくあてはまりもっともとっつきやすいテーマが「花とたね」ではないかと、思われます。そこでこのテーマをこのように重視するという考えが生まれたのです。(同書P54より)
長々と引用させてもらっているのは、今一度、自分でも「植物の世界」のことを楽しく学びなおしてみようという意図からです。
まだまだつづきそうです。
(つづく)
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