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【お薦め本】『白菜のなぞ』(板倉聖宣著 仮説社)

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▼たまたま、遅れん坊の畑に出会うことにより、すっかり「野菜の植物学」にはまっています。
アタリマエすぎるほどアタリマエだけど、畑の「野菜」たちも、どれもりっぱに「植物」たちです。だから、植物としての「科学」が成立するはずです。
 そんなこと考えているうちに、ずっと以前に読んだあの一冊の本のことを思い出した。

▼本棚から、ひっぱり出して来て読み始めた。
 読み始めたら、なかなかやめられない面白さだ!!
 今一度、【お薦め本】にあげることにより、私自身の「記録」として、残して置きたくなってきた。

◆ 【お薦め本】『白菜のなぞ』(板倉聖宣著 仮説社 1994.11.1)


 例によって、3つのお薦めポイントをあげておく。

(1)身近な野菜の「植物学」を楽しめる本である!!
(2)科学の謎解きを、具体的に楽しめる本である!!
(3)豊富な資料・図版で大人から子どもまで楽しめる「科学読み物」!!


▼3つお薦めポイントは重なるところも多々あるが、ひとつずつ少しだけ詳しくのべていこう。

(1)身近な野菜の「植物学」を楽しめる本である!!
 ハクサイ(白菜)の歴史の「ふしぎ!?」から話は、はじまった。

 私ははじめ「日本人がハクサイを取り入れたのは明治以後だった」ということがあまりに信じ難いと思いました。そこで、「ハクサイは明治以後、どのようにして日本で栽培されるようになったのか」ということをくわしく調べてみることにしました。すると、調べれば調べるほど、いろんな面白いことがわかってきました。そこで、その結果をお知らせしたいと思います。少し話が長くなりますが、つきあって下さい。
(同書P22より)

 実はハクサイの原産地は、中国の「山東半島」であるという。
 案外近くなんですね。
 あんななじみのあるハクサイが、どうしてこんなに遅く、日本にやってきたのだろう!? この「ふしぎ!?」にこだわったわけです。
 このこだわりは、さすがですね。
読み始めたら、ついつい「次は!?」と展開の面白さに引きつけられて読んでしまいますね。
 ときには、こんな一節もでてきたりして、うれしくなってしまいますね。
しかし、それらの本がでたころになると、そういう知識も徳四郎さんの耳にはいるようになったに違いありません。科学の知識というものは、決して自然に得られるものではありませんが、その知識を切実に求めている人のところには集まってくるものだからです。
(同書P67より)

(2)科学の謎解きを、具体的に楽しめる本である!!
 著者の謎解きは、いつも具体的で、わかりやすく楽しいですね。

 私は、「ダイコンの仲間とカブの仲間とはタネで区別できるのではないか」と予想してみました。私はその予想を確かめたかったので、桜島大根・聖護院大根のほかに、時なし大根と二十日大根のタネを買ってきました。園芸屋さんに売っているタネは、作物の写真がきれいに印刷された紙袋に入っているので中身が見えません。そこで、ワクワクしながら袋を切ってみました。するとどうでしょう。桜島大根と聖護院大根のタネは二十日大根のタネより少し大きめでしたが、タネの形・色はそっくり同じでした。私の予想は当たったのです。あとで買ってきた宮重大根のタネもそっくりでした。それなら、カブの仲間のほうはどうでしょう。
(同書P126より)

 いいですね!!
 こちらまでつられてワクワクしてきますよね。
 なんとうれしいことにカラー図版もありますよ。

●カラー図版(同書P112より)
・野菜の形とタネ1
・野菜の形とタネ2

 見ていると自分でもタネを手に入れたくなってきますね。

▼では、最後のポイントです。

(3)豊富な資料・図版で大人から子どもまで楽しめる「科学読み物」!!
 先にあげた「カラー図版」だけでなく、図表・年表・地図・野菜のスケッチ図等がいっぱい出てきます。
 だから、とてもわかりやすく誰もが楽しめる「科学読み物」になっています。
 著者は「あとがき」に次のように記していました。

 ですから、私はこの読み物を、次のようないろんな人びとに読んでほしいと思っています。
 まず、「世界史のつながりや流れを考えたいと思う人びと」、「日本の歴史、とくに近代史に興味のある人びと」、それからさらに「生物学上の種の概念について知りたいと思う人びと」、「科学の歴史に興味をもつ人びと」です。そして、できるだけ、『ジャガイモの花と実』(福音館書店)『砂鉄とじしゃくのなぞ』(国土社)の姉妹編として中学生以上なら配慮したつもりです。
 しかし、出来上がったものは、専門的な科学史の論文と啓蒙的な科学読み物、歴史読み物の性格を併せもつような本になりました。じつは「日本の白菜の歴史については、この本が日本でもっとも詳しい本」と言っていいからです。
(同書P134より)

 著者の言うとおり、多様な興味に応えることができるホンモノ「科学読み物」デス。
 大人(専門家・野菜をつくる人)もきっと楽しめる本デス!!

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コメント

お久しぶりです。また面白い本があるのですね。

こどもが卒業研究の関係でとある野菜を育てるらしいので、「こんな本があるって~」と勧めてみます(私も図書館に走らなくちゃ)

投稿: いっちゃん | 2023/05/27 11:22

いっちゃんさん

こちらこそ、ご無沙汰しています。

>こどもが卒業研究の関係でとある野菜を育てるらしいので、「こんな本があるって~」と勧めてみます(私も図書館に走らなくちゃ)

 へぇー面白そうな「卒業研究」をやられるんですね。
 きっと、この本参考になると思います。いい研究ができることを願っています。

投稿: 楠田 純一 | 2023/05/27 13:42

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