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【お薦め本】『原子論の歴史 上・下』 (板倉聖宣著 仮説社)

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▼「原子論」を科学する というシリーズをはじめて、はや三ヶ月がすぎた。
 その中で、「原子論」の歴史 について、最初に語りはじめたのは2022/06/05であった。
 最初の参考文献は
 
◆『原子論の誕生・追放・復活』(田中実著 新日本文庫 1977.7.25 初版)

であった。今さらながらはじめて知ることも多く、とても勉強になった。

▼その本につづいて参考にした本、それが今回の【お薦め本】である。


◆『原子論の歴史-誕生・勝利・追放-』(板倉聖宣著 仮説社 2004.4.5初版)
◆『原子論の歴史-復活・確立-』(板倉聖宣著 仮説社 2004.4.5初版)

の『原子論の歴史 上下』2冊である。
 これまた実に面白く、学ぶところも多かった。これからも大いに活用させてもらうつもりだ。そこで、これまでの「整理」もかねて、【お薦め本】にあげてみることにした。
いつものようにお薦めポイント3つあげてみる。

(1)「原子論の歴史」の最新・決定本!!

(2)等身大の文体で、わかりやすく「原子論の歴史」を読み解くことができる!!

(3)私にとっての「原子論」を問うのに最適の書!!


▼では少しだけ詳しく

(1)「原子論の歴史」の最新・決定本!!
 著者は「「私の原子論とのつきあいと原子論の教育の歴史」……あとがきにかえて」のなかで、この本について次のように語っていた。

 この本の中心は、「古代ギリシアの原子論は、エピクロスによって科学となった」という事実の発見にあります。これまで原子論の歴史を書いた人は、そのことに気づいていなかったので、古代の原子論を単なる空想にすぎないと貶めてきたのです。
(『原子論の歴史-復活・確立-』P151より)

私は、「この本によって、これまでの世界の原子論教育を全面的に変えることができるだろう」とも自負しています。私はこれまで、「読み、書き、計算、分子模型にコンピュータ」ともいって、原子論の教育を最も基礎的な教育の一つとして重視しているのです。それは私の一方的な思いこみによるものではありません。子どもたちに少しでも原子論を教えたときにその子どもたちの示す驚きと喜びの発見が元になっているのです。
(『原子論の歴史-復活・確立-』P153より)

 
 とても自信に充ちたコトバです。それはそれなりの「私の原子論とのつきあい」から生まれたものだと思われます。
 「…あとがきにかえて」の文章がとってもいいです!!
 これからはじめて読まれる方、またあらためてこの本を読まれる方への提案です。
 はじめにこの文章を読んでから、各章を読んでみましょう!!
 各章で何を言いたいのかとてもよくわかってきます。


(2)等身大の文体で、わかりやすく「原子論の歴史」を読み解くことができる!!
 著者は今度は「はしがき」で、この本を書きはじめた意図を次のように語っていました。

 さて、じつは私がこの本の原稿を書きはじめたのは、高等学校の『基礎理科』というコースで「科学史を中心とした授業」が始まることを知ったときでした。これまでの理科教育は、多くの「科学嫌い」を生産する結果になりましたが、高校で科学史の授業が始まると、またまた多くの「科学史嫌い」が生産される結果になるのではないかと、とても心配だったからです。
(中略)
 そこで、科学史と科学教育の研究の両方を専門にしている私としては、ごく一部分の授業でもいいから「私ならこうする」というプランが発表できないものか、と思い悩んできました。
(中略)
 そこで思いついたのは、「<原子論の歴史を中心にした科学史>の授業をやったら、高校生たちにも楽しい授業かも知れない」ということでした。
(『原子論の歴史-誕生・勝利・追放-』P2より)

 最初の意図は、みごとに成功しています。
 単に歴史的事実を文章で羅列するのではなく、授業書風に<予想>を立てながら読めるようにしたり、簡単な<実験>を提案したりの工夫が見られる。
 文体もいつものように板倉さんの語り口調の等身大の文体で、あまりなじみないこともわかりやすく読み解ける。
 高校生にもどった気分で楽しく科学史を学べた。
 これが私にはいちばんアリガタイところだった!!


▼最後に

(3)私にとっての「原子論」を問うのに最適の書!!
 著者はこの本を次のようにしめくくりました。

 このような経緯を見れば、本書は「私の原子論との付き合いの総決算のようなもの」とも理解していただけると思うのですが、どうでしょうか。
(『原子論の歴史-復活・確立-』P175より)

言い換えれば、この本を読めば
 「板倉聖宣氏にとっての「原子論」とは何か!?」
  がわかるということだろう。
私が 「原子論」を科学する シリーズをはじめた究極の意図は
 私にとっての「原子論」とは何かを問うことであった。
 このことに答えるヒントがこの本にはいっぱいある。


【オマケ】付録 最高に役に立つ!!
◆「原子論の歴史」年表
(『原子論の歴史-復活・確立-』年表P178~P200)
これを手に入れるためだけにこの本を手に入れても損はしない!!


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