本日(2021/03/07)、第279回オンライン「寅の日」!! #津浪と人間 #traday #寺田寅彦
▼「天災は忘れられたる頃来る」
寺田寅彦記念館のこのレリーフの前にはじめて立ったのは、オンライン「寅の日」をはじめた2012年の夏の終りだった。
その日のことを、私は「記録」していた。
●寺田寅彦を訪ねて(2) #traday (2012/08/30)
そのとき以来、ここを起点にして、土佐に寅彦を訪ねる旅を私は勝手に「土佐の寅彦」詣とよんでいた。
11回目の「土佐の寅彦」詣まで来ていた。
今、12回目の「土佐の寅彦」詣は保留のままになっていた。さて、それはいつ…!?。
▼本日(2021/03/07)は、第279回オンライン「寅の日」である。
まもなく3.11から10年だ!!
3月のテーマは ずっとこれでやってきた。
【3月テーマ】警鐘「天災は忘れられたる頃来る」
初回の本日は、定番中の定番「津浪と人間」を読む。
◆本日(2021/03/07)、第279回オンライン「寅の日」!!
▼読む度にあらたな「発見」があるのが、寅彦の随筆だった!!
とりわけ、3.11から10年目の今年読む「津浪と人間」は、あらたな思いを喚起するものがあった。
まず、このアタリマエの「事実」を受けとめなければならない。
現在の地震学上から判断される限り、同じ事は未来においても何度となく繰返されるであろうということである。
また、この「事実」も
さて、それから更に三十七年経ったとする。その時には、今度の津浪を調べた役人、学者、新聞記者は大抵もう故人となっているか、さもなくとも世間からは隠退している。そうして、今回の津浪の時に働き盛り分別盛りであった当該地方の人々も同様である。そうして災害当時まだ物心のつくか付かぬであった人達が、その今から三十七年後の地方の中堅人士となっているのである。三十七年と云えば大して長くも聞こえないが、日数にすれば一万三千五百五日である。その間に朝日夕日は一万三千五百五回ずつ平和な浜辺の平均水準線に近い波打際を照らすのである。
もっとも深く受けとめなければならない「事実」はこれだ!!
しかし困ったことには「自然」は過去の習慣に忠実である。地震や津浪は新思想の流行などには委細かまわず、頑固に、保守的に執念深くやって来るのである。紀元前二十世紀にあったことが紀元二十世紀にも全く同じように行われるのである。科学の方則とは畢竟(ひっきょう)「自然の記憶の覚え書き」である。自然ほど伝統に忠実なものはないのである。
「自然」は過去の習慣に忠実である
科学の方則とは畢竟(ひっきょう)「自然の記憶の覚え書き」である。自然ほど伝統に忠実なものはないのである。
けっして忘れてはならない「事実」である。
▼ならばどうするか!?
寅彦はそれも示唆してくれていた。まずは、こうだ!!
残る唯一の方法は人間がもう少し過去の記録を忘れないように努力するより外はないであろう。
示唆的なコトバが続く。
人間の科学は人間に未来の知識を授ける。
それで日本国民のこれら災害に関する科学知識の水準をずっと高めることが出来れば、その時にはじめて天災の予防が可能になるであろうと思われる。この水準を高めるには何よりも先ず、普通教育で、もっと立入った地震津浪の知識を授ける必要がある。
理科(科学)教育の役割は大きいのだ!!
寅彦がこう言ってから、88年、3.11から10年!!
最晩年まで寅彦が鳴らし続けた警鐘「天災は忘れられたる頃来る」は今も響いてくるのであった!!
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コメント
おはようございます。
先週でしたか100分de読書で寺田寅彦の「天災と日本人」が取り上げられてました。講師は若松英輔氏です。今回は寺田寅彦を皮切りに4つの作品を100分で読む企画です。
先回を見ましたが、どうもピンとこないのです。若松氏の広い視座から論じているので、私の狭い座標軸とは食い違っているのかも知れません。とにかく寺田の作品を読んで自分なりに咀嚼した方が良い、と云うことかな。(^^;
投稿: sakamoto | 2021/03/07 08:58
sakamotoさん
コメントありがとうございます。
私もテキストまで手に入れて見ました。sakamotoさんの言われていることなんとなくわかる気がします。
私は、逆に若松さんテリトリーまで、寅彦は影響を与えているんだと感心しました。
若松さんが
哲学も科学も寒き嚔(くさめ)哉
の一句をとりあげたことで、若松さんのスタンスを見たような気がしました。
次回は柳田国男ですね。
寅彦と柳田国男をどうツナグかが焦点だと思っています。明日が楽しみです。
投稿: 楠田 純一 | 2021/03/07 15:48
おはようございます。
>逆に若松さんテリトリーまで、寅彦は影響を与えている
>んだと感心しました。
なるほど。やはり寅彦先生のおよぶ範囲は広く大きいですね。
寅彦先生の文章も何とはなしにするすると読めてしまって、はて、何が肝要なのか・・それで何回か読み返すうちに、何気ない言葉に深い洞察が込められているのに気がつくのです。
次は柳田国男ですね。楠田さんはどう感じられるでしょうか。
投稿: sakamoto | 2021/03/08 07:20
sakamotoさん
おはようございます。
「柳田国男」見ました!!
「常民」が出てきたところまでは納得できたけど、やっぱり少しちがうな。という印象でした!!
私はどうしても「常民の科学」へとツナイデ欲しかった。
そうすれば寅彦ともうまくツナガルと思っていた。
どうも若松さんは「科学」とツナグ気がなさそうだ。
だから寅彦のときも寅彦の軸足は「科学者」にあることを忘れているような気がする!!
投稿: 楠田 純一 | 2021/03/10 06:33
私は見損ないました。
>どうも若松さんは「科学」とツナグ気がなさそうだ。
>だから寅彦のときも寅彦の軸足は「科学者」にあること
>を忘れているような気がする!!
まさにそこなんです。テキストを持ってますが、文章がふわふわとしてとりとめがない。何をおっしゃりたいのかがわからない。
投稿: sakamoto | 2021/03/11 09:21
sakamotoさん
個人的願望としては、柳田国男のときも「常民の科学」につないで欲しかった。
「常民の常識」なんていうわけのわからぬコトバを出して来るのでなく。
そこが、ピントがずれているのかも。
寅彦も柳田をきっちり読んでいましたね。きっちりと自分の文脈にひきつけながら…!!
さすがです。
投稿: 楠田 純一 | 2021/03/12 06:03