「日本理科教育史」をプロットする!!(33) #1976年 #やさしくて本質的な理科実験 #極地方式研究会 #高橋金三郎
▼『やさしくて本質的な理科実験1』から4年経った1976年(昭和51)4月、『やさしくて本質的な理科実験2』がだされた。
●1976年4月10日 『やさしくて本質的な理科実験2』(高橋金三郎・若生克雄共編 評論社)
執筆者は「1」にくらべ「2」では全国的に拡がっていた。
▼再び、高橋金三郎氏の巻頭言「「実験集」の意味」から引用させてもらおう。
私たちの本は、ふつうの実験書とは違い、一般的な実験をたくさん解説していません。それどころか、できるだけむずかしい実験は避けて、やさしくできる装置、やさしく操作でき、実験の意味がやさしく理解できるようなものだけ、それも私たちが、自分で工夫したものを主として選びました。日本の理科教師は少し凝り性過ぎて、やたらとむずかしい実験を工夫する傾向があり、授業のための実験ではなくて、実験のための実験になることがあります。本来実験というものは、ただじっとして観察したりじっと考えているだけでは解決しない問題の解決のためですから、授業の発展によりまた子どもの要求によってあたらしい実験が必要になるものでしょう。即座に準備ができ即座にやれる「やさしくて本質的な理科実験」の豊富なレパートリーを教師は用意しておかなければなりません。(同書P1より)
納得である。
▼さらにはこうとも強調していた。
けれども、一般的には、実験装置のしくみが単純で、そのはたらきが子どもに納得できるものが、そして子どもが自由にあやつれるものが子どもの認識を高めるのに極めて有効であります。そうした授業を通してその有効性を確認したものが私たちの実験集です。これはいわば実践研究報告書であって、だから実験解説書では決してないのです。(同書P1より)
と「実践研究報告書」であることを強調していたのである。
▼では具体的にどんな「実験」が取り上げられていたのだろう。
そのほんの一部のタイトルだけをあげてみる。また、同時にそれを参考にした私の実践をあげてみる。
4. 熱とは何か(水爆の実験)
・「ナット焼き」で熱の移動を
8. 液体窒素を使おう
・液体窒素を使って(1)
・液体窒素を使って(2)
11. 200℃もある水蒸気
・過熱水蒸気の実験 (水でマッチに火を)
16. 光は直進する
・1 ものが「見える」とは
・2 教室全体のピンホールカメラ
21. 銅線も発熱する
22. 炭素棒も発熱・発光する
・【授業】電流と発熱
23. 何でもスピーカー
・9 なんでもスピーカー
26. 帯電する金属、帯電する水
27. 静電気と動電気は同じか
28. 静電気も移動する
・新『電気』発見ものがたり
37. スチールウールの燃焼
44. 炭化水素いろいろ ー溶かす、とろかす、燃やすー
47. 光をうばわれた植物
55. ヤブガラシのくらし
58. シャレコウベを作ろう
・「頭骨」コレクションの思い出-1
・「頭骨」コレクションの思い出-2
・「頭骨」コレクションの思い出-3
等々
これまたあげだしたらきりがない。
再び巻頭言にもどって、その最後をこうしめくくられていた。
そのためには、しかし、特定の研究会に所属する教師だけでなく、すべての子どもに高いレベルの科学を教えたいと願う教師のすべての支持がなくてはなりません。そのように願う理科教師なら必ず何か実験に一工夫されているはずです。歴史的にどんな有名な実験でも、授業に持ち込むには、現実の子どもの可能性を引き出すような新しい工夫が必要です。そうでなかったら子どもの心を打つことはできないでしょう。この本を読むみなさんは必ず何かの新しい実験を持っているはずです。もう一度教室の隅を探して、私たちの「実験集」に参加してくれませんか。 1975年 秋 (同書P3より)
なんと熱い呼びかけでしょう!!
45年の時空を超えて今も響いてきます!!
「これから」も有効であると感じるのは私だけでしょうか!?
(つづく)
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