【お薦め本】『地図がわかれば社会がわかる』(田代 博著 新日本出版社)
▼いつもと変わらぬ「雲見」の空。
日々刻々と変化する「雲見」。ひとつとしてまったく同じ「雲見」はない。
だからその瞬間の「雲見」が面白い!!
しかし、よく見ていると同じような雲が同じような高さに 出現していた。これには空の下の「地形」が微妙に関係しているように思えてならない。
【大地の動きをさぐる】とも関連して、今一度自分の暮らす地域の「地形」を自分の目と足で確かめてみたい。
そのために必要なのは「地形図」だと思いはじめていた。
▼ちょうどそんな矢先だった。
この本のことを知ったのは。
◆『地図がわかれば社会がわかる』(田代 博著 新日本出版社 2016.07.16)
著者の田代 博さんとは、パソコン通信(もはや死語!?)時代以来の二十数年来のお付き合いがある。
お付き合いがあると言っても、いろんなことを教えてもらったり、富士山の画像を毎日のように「おすそ分け」で見せてもらったりばかりであるが。
あの時代からの知人には妙に親近感を持ってしまうのである。
さっそく手に入れて読んでみた。
▼実に面白い本だと思った。
話がひろがってしまわないうちに いつものようにお薦めポイント3つをあげておく。
(1) 「地図楽」再入門に最適!!
(2) Webページにリンクしてわかりやすく読める!!
(3) 最新「地図」事情が満載!!
ではもう少しだけくわしく。まず
(1) 「地図楽」再入門に最適!!
のっけから納得した。
地図の基本的役割は、未知の案内=道案内ですが、命と暮らしを守る重要な役割を持っています。(p12より)
同感である。
第一章では「ハザードマップ」をはじめとするその具体例がいくつもあがっていた。
ナルホド(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン
と納得する例ばかりである。
正直に言おう。
私はまだこの段階では躊躇していた。【お薦め本】にあげるかをどうかを。役にたつことは確かだが、なにもよくわかっていない私がヘタな紹介を書くことはむしろ失礼になるのではと思っていたからだ。
ところが、次のページ読んだとき、絶対にどうしても【お薦め本】にあげて感想を書きたくなってきたのだ。
それが
●地形図は「YMT47」!(p46)
である。
最初目次で「YMT47」の文字を見たときなんだろうと思った。?(゜_。)?(。_゜)?
新しい「地図アプリ」かと思った。
ちがっていた。
何事にもキャッチコピーが必要です。私は地形図を「YMT47」と名付け、普及(啓発)活動をしています。 「Y」は安い、「M」は持ち運べる(ミウラ折りができる、もかねている)、「T」は高さが読める(等高線がある、も可)です。「47」は、47都道府県、つまり全国を網羅していることを意味しています。(p46より)
うまい!!ザブトン三枚ダ、いやもっとかも知れない。
これで終わらない。とどめの一発があった。
それは、「Y」(安い)の説明に我らが寺田寅彦の「地図をながめて」が引用されているのである。
あまりにうれしいので再引用させてもらう。
「当世物は尽くし」で「安いもの」を列挙するとしたら、その筆頭にあげられるべきものの一つは陸地測量部の地図、中でも五万分一地形図などであろう。一枚の代価十三銭であるが、その一枚からわれわれが学べば学び得らるる有用な知識は到底金銭に換算することのできないほど貴重なものである。
それだけの手数のかかったものがわずかにコーヒー一杯の代価で買えるのである。
今、かりに地形図の中の任意の一寸角をとって、その中に盛り込まれただけのあらゆる知識をわれらの「日本語」に翻訳しなければならないとなったらそれはたいへんである。等高線ただ一本の曲折だけでもそれを筆に尽くすことはほとんど不可能であろう。それが「地図の言葉」で読めばただ一目で土地の高低起伏、斜面の緩急等が明白な心像となって出現するのみならず、大小道路の連絡、山の木立ちの模様、耕地の分布や種類の概念までも得られる。
そう言えば、オンライン「寅の日」で田代さんのお薦めもありこの「地図をながめて」を読んだことがあるのを思いだした。
これできまりだった。
ながくなってなってしまった。次へ行こう。
(2) Webページにリンクしてわかりやすく読める!!
私はこの本を読むとき、田代さんがつくっておられる「地図がわかれば社会がわかる」のページを同時に開いておいて読んだ。
これがとてもわかりやすかった。
図表もカラーでみることができるし、参照するページにもリンクしてあって見に行くことができた。
田代さんが長年にわたって蓄積されてきたデータもすぐさま見せてもらうことができるのはうれしい!!
▼最後に3つ目の
(3) 最新「地図」事情が満載!!
だ。
田代さんは42年間、高校の「地理」を担当してこられた。それに大学講師をしたり、NHK高校講座講師としても活躍してこられた。今は一般財団法人日本地図センターにお勤めだ。
いわば「地図」にかけてはプロ中のプロだ。
だから「地図」に関する最新情報に精通されていた。「地図」の世界も、ネット・デジタル化で大きく進化し田代さんコトバを借りれば「新たな大航海時代」を迎えているようです。
「地図楽」再入門とは言ってみたものの、ポンコツ頭ではなかなかついていけそうにないなと「不安」もあるのが現実です。
実は私はまだ「スマホ」を持っていません。
私には必要のないツールときめていました。その気持ちが少しゆらぎはじめました。
それは、この本の
第4章「スマホと地図アプリ」
を読んだからです。
それが、今、私がやりたいことだ!!
ということが次から次と出てくるからです。
ひょっとしたら衝動買いをしてしまうかも… (^^ゞポリポリ
まだまだお薦めポイントは数々ある。
でもあまり語ると私のボロがでるので、これぐらいにしておく。
最後にもう一度だけ
これから「地図」を活用してみようという人は必読です!!
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コメント
過分な評価を賜り誠に恐縮です。
本書の意図をよく理解してくださり、心より御礼申し上げます。
YMT47は広めたいので、感謝、感謝です(^_^)。
投稿: 田代博 | 2016/07/23 16:21
田代博さん
いつもお世話になっています。
著者自らのコメント恐縮です。<(_ _)>
この本のすばらしいところうまく伝わるだろうかと不安だったのですが、田代さんにそう言っていただいてホッとしています。こちらこそ感謝です。
これからもいろいろ「今さら」というようなことをお尋ねすると思いますが、よろしくお願いします。
投稿: 楠田 純一 | 2016/07/23 20:34