コガネグモはどうしてここにやって来たのか? #クモ学
▼「君はどうしてここにやって来たんだい?」
思い切って貴奴(コガネグモ)に訊いてみた。
うっかりしていると、今年もその機会を逃してしまいそうな気がしたからだ。
最高のときは、7匹まで同時観察していたコガネグモも、台風11号の通過で3匹に減り、富士山から帰ってきたら一匹になってしまっていた。
この一匹もまもなく姿を消しそうな予感がする。
だから、「今こそ!!」なんだ。
▼それにしても「ふしぎ!?」だった。
三年連続して、ほぼ同じ場所で貴奴等に出会うことができるなんて。
貴奴等は毎年こうしてここにやって来ていたのだろうか?
私がはじめて気づいたのが3年前というだけの話なのだろうか?
では、どうして「ここ」なんだろう?
3年間の観察で気づいたことがいくつかある。
家の庭先に現れたといいながらも、大きく分けて2ヶ所あった。
一ヶ所はほんとうに家の目と鼻の先、家から数十メートルの土手、もう一ヶ所は家から離れること数百メートルの竹藪の近くの草むらだ。
この二ヶ所に共通することがいくつかあった。
・草が生い茂った草むら
・その草むらにクズが目立つ(マント群落)
・近くに溝がある
・私の家の光を含めて、街灯がある。(一晩中ついている!!)
等である。
考えて見ると、これらの共通項は、獲物の虫たちの環境としての必須条件でもあった。
でも、この条件ならば他所にもいくつもある。
現に今、ナガミコガネグモは、川沿いの土手にはいっぱい見られる。
しかし、コガネグモは居ない。
▼私は、いつものように勝手な仮説を立てた。
この「ふしぎ!?」の謎解きの鍵はクズにある!!
他のクモに比べて大きな身体を維持するためには大量の獲物が必要である。
いっぱい虫たちが生息しそうな、クズ群落はよりよい狩場を提供してくれる。
葉をいっぱい広げて、灼熱の太陽から身を守る「かげら」をつくってくれる。
待機につかれれば「かげら」で休めばよい。
外敵から身を守るのに都合がいい。
次なるステージである産卵の場を提供してくれる。
等々の理由で、「クズが生い茂るところにコガネグモが現れる」というシロウト仮説を立ててみた。
▼貴奴はまだなんとも答えてはくれなかった。
クズにも花が咲き始めた!!
3年ぐらいのつき合いでは無理だろうか。
ところで、「引っ越しした」コガネグモはどこにいってしまったのだろう?
もっと快適な場所をみつけたのだろうか?
それとも、単なる「引っ越し」でなく次なるステージ(産卵)に向かったのだろうか?
貴奴は今朝もいてくれるだろうか。
明るくなったら見に行ってみよう。せっかくすぐそこに居てくれるのだから…。
ところで大賀ハス観察池は蓮根の植え替えから17週目だった。
葉の成長が目立つ!!花の季節は終わった。これからは葉の季節である。
その葉に隠されてしまっていたが、果托の種子は完熟しつつあった。
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コメント
楠田先生、こんにちは。
鈴木勝浩です。
造網性のクモの定住度?
どのくらいなんでしょうね?
おもしろいですね。
網を造る場所を
クモは、どうやって決めているのか
変えているのか?
クモに聞きたいところですね。
投稿: 鈴木勝浩 | 2015/07/26 06:24
鈴木勝浩さん
コメントありがとうございます。
ほんとクモは不思議ばっかりですね。
それだけ面白いですね。私にとってうれしい「偶然」なんですが、3年連続ということとなると、「偶然」とばかり言っておれない。それなりの理由があるはずですよね。
それが知りたい!!
「引っ越し」の後の追跡調査可能な限りやりたいですね。
まだコガネグモの卵のうもみせてもらつていませんし…。
こうなってくると昨年のゲホウグモとの出会いがどれほど貴重なものだったかわかってきますね。
もうゲホウグモに出会うことはないんだろうか?
投稿: 楠田 純一 | 2015/07/26 19:29