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今、なぜ寺田寅彦なのか!?(3) #traday

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▼昨日はゆっくりと「雲見」の時間がとれなかった。
それでもと思い新しい「雲見」定点観測地に立った。いつものように空にカメラを向けた。
師走2日目、寒かった。
北風はひときわ冷たかった。もうすぐにも白いものが舞いそうな気配だった。
それをカメラは捉えただろうか。ちゃんと記憶しただろうか。
▼「雲見」にカメラは必携の道具だった。
カメラの面白いところは、撮った本人の記憶にないものまで「記録」してしまうところだ。
寅彦もこのカメラの面白さに気づいていた。
カメラについて面白いエッセイを残してくれている。
●「カメラをさげて」(青空文庫より)
である。

しかし写真をとろうという気で町を歩いていると、今までは少しも気のつかずにいたいろいろの現象や事実が急に目に立って見えて来る。つまり写真機を持って歩くのは、生来持ち合わせている二つの目のほかに、もう一つ別な新しい目を持って歩くということになるのである。

親譲りの目は物覚えが悪いので有名である。朝晩に見ている懐中時計の六時がどんな字で書いてあるかと人に聞かれるとまごつくくらいであるが、写真の目くらい記憶力のすぐれた目もまた珍しい。一秒の五十分の一くらいな短時間にでもあらゆるものをすっかり認めて一度に覚え込んでしまうのである。  その上にわれわれの二つの目の網膜には映じていながら心の目には少しも見えなかったものをちゃんとこくめいに見て取って細かに覚えているのである。

ナルホド!!その通りだ!!
それにしても寺田寅彦という人は、思っていることをかくもうまく言葉にしてくれているのだろう!!
それに感動してしまう。
▼「再び、寺田寅彦を訪ねて」の旅の反芻作業はまだまだ続いている。
先日、人の薦めもあって『寺田寅彦を「活用」する』鎌田浩毅(『科学』2014.11号p1100 岩波書店) という文章を読んだ。これまたナルホドと思った。
「活用」するとはうまく言ったものだ。
私ごときが鎌田氏と同じレベルで語るのは少し恥ずかしいが、とても共感した。
ヒントをもらったような気がした。
▼この「活用」するを使わせてもらおう。
私の分野、立場で、寺田寅彦を「活用」させてもらおう。
カメラや顕微鏡と同じように、これまで見えていなかった世界を見る道具として「活用」させてもらおう。
「寅彦」を通して新たな世界を発見するのである。
ここで、新たな作業仮説のフレーズが生まれた。

(4) ツールとしての「寺田寅彦」!!

だから、今、寺田寅彦なんだ!!

(つづく)

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