ヒガンバナは葉の季節へ #higanbana
▼10月に入ってほんと寒くなってきた。それはそうだ初雪のたよりが聞かれるぐらいだから…。先週末盛りのヒガンバナをみていてこの休みが今年最後のチャンスかと、あの「ジュズバナ」の語源である彼岸花の首飾りをつくってみた。軒先のコンクリートの上に置いたが、それがけっこう日もちしているのには驚いた。
▼ヒガンバナは、「花の季節」を終え、「葉の季節」へと向かっている。花茎の足元をみると鮮やかなみどりをもった葉が生えてきている。昨日の朝の散歩では、最初に花芽の顔を見たヒガンバナスポットの花茎の足元をみた。
まだ花茎の上端には萎れかけてはいるが花がかろうじて残っている。
しかし、足元では次の季節の展開が起こっていた。覆い被さった土まで持ち上げて葉がのびてきている姿に、この植物の途方もないたくましさとしたたかさを見た。
▼私にとってのヒガンバナの「ふしぎ!?」のはじめはここにあった。お彼岸が近づくとスルスルと一日に何㎝も花茎をのばし、彼岸にピッタリと照準をあわせて真っ赤に燃え立つヒガンバナ!
花茎をのばすエネルギーはどこからやってくるのか。葉もないのに…。
これを伝えたくて「科学読み物『彼岸花の一生』」を書いた。
▼我田引水で理科的に言うなら、ヒガンバナの観察の本番は「葉の季節」に入った今からはじまるのである。
なんど観察してみごととしか言いようない一年をかけた植物「ヒガンバナ」の戦略である。
ヒガンバナの花を楽しんみ愛でたすべての人に伝えたい。
「今こそ花茎の足元を観察してください!」と。
これが、ひょっとしたらサイエンスコミュニケーターとしての私の初仕事かも知れない。
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コメント
リコリスです。
先日は身に余るお褒めの言葉をいただき、恐縮です。
いよいよ葉の季節ですね。
今年のヒガンバナの花期はいつになく長く、面白いことに中国から持ち帰った個体はどの産地のものも、やっと花茎を伸ばし始めています。
葉緑体DNAと核型からは同一のクローンとみなされるのですが、核DNAでは温度や水分条件に対する反応に違いが生じているのでしょう。
投稿: 栗田子郎 | 2011/10/05 14:19
リコリスさん
コメントありがとうございます。
へー、今からですか。
花期が長いというのは、前に播磨のヒガンバナ見て回ったときそう思いました。同じ場所でもまだまだこれからというのと盛りすぎたのとありましたから。
>葉緑体DNAと核型からは同一のクローンとみなされるのですが、核DNAでは温度や水分条件に対する反応に違いが生じているのでしょう。
やはり温度と水分が大きな要因なんですね。
ところで今年すごく気になることが出てきました。
前に教えていただいた「退色ヒガンバナ」についてです。
いろんな人からの報告で「白い縁取りヒガンバナ」「退色ヒガンバナ」の話題が出てきています。
そのつもりで自分のまわりのヒガンバナ見ますとこれがけっこう多いです。
ずいぶん前から教えてもらいながら、しっかり見ていなかったのだろうかと自分を疑って見たりしています。
何年か前の画像も、もう一度見直してみるつもりです。
この退色ヒガンバナは、除草剤の影響と言われていたと思うのですが、
そう理解していていいですか。
それから、それは一年ごとのことで、来年はもとにもどるということもあるのですか。
どんな化学変化でこんなことがおこるか、ある程度わかっているのでしょうか。どんな物質が関与しているのかもわかっているのでしょうか。
それから、これはいつのころから顕著になってきたものなんでしょうか。
質問ばかりしてすみません。わかっている範囲で教えていただくとうれしいです。
宜しくお願いします。
投稿: 楠田 純一 | 2011/10/05 19:06
リコリスさん
こんにちは、いつもお世話なっています。
いろいろ質問してもうしわけありませんでした。
今日『日本ヒガンバナ学会』のトピックを見ておりましたら、もうすでに教えていたんですね。
たいへん失礼をしました。
すでに確かめられていることとしていては、ひとつは「イソプロピルアンモニウム」などの物質が退色に関係していると理解してよいですか。
それ以後にわかった情報があるようでしたら、また教えてください。
投稿: 楠田 純一 | 2011/10/07 18:08