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柳田国男とヒガンバナ #higanbana

Dscn0930▼お彼岸の中日の昨日もやっぱりヒガンバナ三昧の一日だった。久しぶりに定例コースの朝の散歩をした。もののみごとにお彼岸に照準をあわせて、いたるところでヒガンバナが開花している。朝日のあたるヒガンDscn0959バナというのもすばらしい。散歩から帰り、定点観測地Aの引っ越しした場所をじっくりと見ていた。となりのシロバナヒガンバナの方の花芽はどんどん伸びてきているのにと思いながら。
 そしたら、なんとあったのだ!!引っ越しの地からひとつだけニョキッと花芽が顔を出しているのだった。あきらめかけていただけにうれしかった。それはまるで「日本ヒガンバナ学会」の誕生日を祝うがごとくであった。
 お彼岸ということで墓参りをした。その道にも燃え立つ松明の行列ができるところであった。
▼このヒガンバナを追いかけた同郷の大先達のことがずっと以前から気になっていた。その人はあの民俗学の父、柳田国男翁である。同郷というだけでこの人の大きな仕事の幾分かも知るわけではない。
 しかし、柳田国男がこの「ヒガンバナ」のことを書き残してくれいるのはうれしかった。
それは『野草雑記』「草の名と子供」(定本柳田國男集 第二十二巻 筑摩書房)のなかにある。
まず、「草の名と子供」の緒言に非常に興味深く示唆的なことを書いている。

  緒  言
 小さな自然に名を與へる事業には、兒童が誰よりも多くの興味を以て働いてゐる。其言葉が成人にも承認せられ永く行はれ、一方には又同じ子供のやうな気持を以て、新たに言ひ始めた物の名も多かったことは、方言を集めてゐると容易に心づく筈である。此頃外國から持込んだ色々の新語と竝べて見て、殆と兩極端と言ってもよい態度のちがひは、やがて叉近世の國語の歴史の、看過すべからざる變革を暗示するものかと思ふ。(上記書P63より)

 浅学を省みず言わせてもらえば、これだけで「同感!!」である。
彼の仕事の大きさはなかなか理解できるものではないが、方向だけは少しだけわかる気にもなるのである。
▼そして、問題のヒガンバナであるが、「狐の剃刀」のところで書いている。
播磨の地に関係する部分だけを引用させてもらうなら、こうだ。
 自分たちの郷里では、子供は此植物に就いて三つの名を知つて居た。其一つは前に挙げた狐の剃刀で、是は専ら其葉をさして謂ひ、次にはジュズバナ、今一つはテクサレであるが、此事は後で一しょにいふ。ジュズ花といふのは此花の茎を折って、数珠の形に員
似て首に掛けて遊ぶからで、播磨一國だけで無く三河の寶飯郡石見の邑智郡等にも同じ語が有る。(同書P72より)


 播州も西の境では、此草をシビト花ともいふが、又シブラ・シビレ・シブライなどゝも呼んで居る。此植物の汁液
が唇などに附くと刺戟するので。此語を痺れの意味に解したのであらう。
 大和の竹之内村などではテクサリ又はシタコジキ、富士山南麓地方は一般にハコボレグサと謂ひ、子供は此草をロに入れると歯が抜けるなどゝ嚇されて居り、或は又ハッカケバナーハツカケバアサンとも謂ふ者もある。信州の南部でも歯抜けばばアといひ、此花を折っただけでも歯が抜けると信じられて居た。九州も大分絲の南海部郡ではハカゲバナ・ハモギ・ハンモゲ・歯抜けいばら等の異名がある。何れも小兒を警戒する爲らしいから、作者は成人であったことがほヾわかる。
 テクサリといふ語の方は、或は子供の實驗だったかも知れぬが、私たちは手が腐るなどゝ謂ひながらも、いつも折って遊んで居た。テクサリといふ名は私の郷里だけで無く、近畿では處々に行はれて居るやうだが、伊像の大三島などでは之をテハレグサ、紀州の尾鷲ではヒゼンバナと謂って居る。ヒゼッはいやな皮膚病の名で、實際此液がつくと指の股が白くなる。(同書P73より)

ほんとよく調べておられる。この情報収集力はすごいものだ。
ゆっくりとであるが、真似事しながら後を追ってみたくなる。
▼今日、その柳田國男記念館を起点(9時集合)にして、播磨の地のヒガンバナスポット巡りをやってみることにした。
 どんなヒガンバナと出会えるだろう。
どんなヒガンバナ情報を手に入れることができるだろう楽しみである。

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