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人はなぜヒガンバナを運んだのか? #higanbana

Dscf0160▼今日は彼岸の入りである。それにしても、またまた雨である。それも凄い雨である、台風の刺激で秋雨前線が活発化しているようである。前の被災地に被害がないことを祈る。
 またしてあの石垣のヒガンバナは水に浸かってしまっていることだろう。
昨日降り出す前に見に行ったところでは、小花すべてが咲き満開であった。溺れてしまうなよ!
▼どれほどのヒガンバナが、この雨・洪水で運ばれるだれることだろう。
ひとつのヒガンバナの「ふしぎ!?」がだんだん大きくなっていた。
人はなぜヒガンバナを運んだのだろう?
川上から川下へ水が運ぶのはわかる。そして、それが分球を繰り返して分布を拡げるのはわかる。
しかし、川上に運んだのは主に人であろう。
それ以外に考えることができない。
では、なぜ、なんのために人はヒガンバナを川上(高い位置)にまで運んだのだろう?
▼このヒガンバナを我々の先祖が有用植物として利用してからにちがいない。
では、このヒガンバナをどう利用していたのだろう。
ヒガンバナの「ふしぎ!?」を追う大先達、松江幸男さんがまとめておられた。
◆『日本のひがんばな』(松江幸男著 文化出版局 1990.9.10)P17より

1 鱗茎の利用(水晒しを行って毒抜きをする)

(1) 救荒食用

(2) 代用食

(3) シレイ餅(モメラと呼ぶ)

(4) 雑穀と混用

(5) ハンペイの利用

2 澱粉の利用
(1) 織糸・織物・綜絖の糊付(鼠、虫の予防)
(2) 和紙を漉く粘料(トロロアオイの代用と防虫)
(3) くづ粉の代用
(4) 襖・屏風の下張り用糊(防虫)
(5) 漆器の下絵付絵具に混用
(6) 壁土に混用(鼠の予防)
(7) 網に塗る
(8) スイセン糊の代用

3 民間薬として鱗茎をすりおろして、貼り薬にした(酢、小麦粉とまぜて使用)
(1) 急性腎炎 (2) 心性浮腫 (3) 胸膜炎 (4) 乳房炎 (5) 打ち身 (6) 捻挫
(7) ジフテリア (8) 腫物の押薬

4 生汁のまま塗る
(1) あかぎれ (2) いんきん (3) たむし

5 西洋医学では、含有成分のガランタミン、リコリン其の他のアルカロイドを製薬原料に用いた。
(1) 吐剤 (2) 去痰 (3) ポリオ (4) 筋無力症  (5) 脳卒中後遺症 (6) アメーバ赤痢
(6) ヒドロコリン原料

6 其の他 
(1) 葉を温床の発熱原料・ミカン・イチゴの詰物・生植物運搬梱包材料・山羊、牛の飼料・
乾燥葉を飲用・豚肉と油いためにして睡眠用に食した。
(2) 墓前の献花
(3) 遺体埋葬の時に、獣害を防ぐために入れた。
(4) 寺院・墓地へ仏花として植えた。
(5) 土堤・畦畔に植えて、鼠・もぐら除けにした。
(6) 鱗茎をたこ釣りの疑餌に使った。
(7) 婦人整髪用に糊を用いた。
(8) 鱗茎を便所の蛆殺しに入れた。

なんと多様な利用方法であることか。
にわかに信じがたいもある。
これは松江幸男先生が、長年にわたって調査・収集をしてまとめられたものである。
あらためて驚き、感服するところである。
こうしてまとめられてからも、20年以上の歳月が流れている。
古い記録や、昔を語る人もどんどん少なくなってきているだろう。
だからこそ…。
▼この多様な利用方法を聞けば、少しは人がヒガンバナを運んだ理由もわかりそうな気がしてきた。
今も、私たちが直接わかることはないだろうか。
そんな意味も含めて、
●ヒガンバナスポット巡りオフin播磨 9/24(土)9:00~ 詳細未定
をやってみることにした。
昨日、雨のやんだ合間をぬって、この下調べとして佐用町(乙大木谷の棚田)までドライブしてみた。
開花は、まだこれからというところが多かったが、はじまっていることは確かだ。
きっちりと彼岸に的を絞ってきている。さすがだ…。

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コメント

おきなわのヒガンバナは芽もでてきません。

>今も、私たちが直接わかることはないだろうか。
一度食べてみたい気はしますね。

投稿: 津団 | 2011/09/20 22:03

津団さん
コメントありがとうございます。
私も今日、引っ越ししたところの草ひきをしてわかりやすようにしました。
 あく抜き、水で晒すというのも、なかなか難しそうですよね。
 確かに面白そうなことではあるが…。

投稿: 楠田 純一 | 2011/09/21 18:21

ヒガンバナスポット巡りオフin播磨 9/24(土)9:00〜、いよいよあすになりましたね。集合場所はどこがいいですか?試案ですが、9:00 西播磨スポット ー 市川町(棚田)ー 神河町(棚田) ー 多可町スポット ー 西脇市(フォルクスガーデン)でいかがですか。とりあえず、集合場所の連絡をお願いします。楽しみにしています。

投稿: hojin | 2011/09/23 13:53

hojin さん
連絡ありがとうございます。
連絡が入れ違いばかりになってしまいますね。すみません、計画ありがとうございます。
 提案していただい案でいきましょう。
集合場所ですが
福崎町 柳田国男記念館(生家)の駐車場ということにしましょう。生家前にヒガンバナの一株があります。
それを見てからということにしましょうか。
くわしくはお会いしてからということで、
よろしくお願いします。

投稿: 楠田 純一 | 2011/09/23 14:45

御無沙汰いたしております。ヒガンバナの利用のしかた その他 ⑧(『日本のひがんばな』松江幸男著)を知り、一昨年いだいた疑問が解けたような気がしましたので書きこみます。実はきれいな話ではないのですが、というより、ショックなものを見てしまいました。軟腐病にかかったヒガンバナの鱗茎を食しているウジ虫を見てしまったのです。先生のおっしゃるヒガンバナのしたたかさが突き崩されたショックでした。同時にウジ虫は、なぜヒガンバナを食するようになったのだろうという疑問も起こりました。それが解ったような気がしています。 もっとも、ヒガンバナのしたたかさは翌年回復。湿地状の土地の、他の株たちは、何と浮上株になって花を咲かせました。古い話ですが、画像、ご覧になられますか? 

投稿: 香川の蜂蜜 | 2011/10/04 23:34

蜂蜜さん
おはようございます。以心伝心ですね。
実は、私の方からも蜂蜜さんにいちど連絡をとりたいと思っていたところでした。それは「種子」に関してです。これはまた後ほどということにして、蜂蜜さんのおっしゃる画像ですが、ぜひぜひ見せてください。
 あわせて、それを公開することに関して許可をお願いします。よろしくお願いします。

投稿: 楠田 純一 | 2011/10/05 05:58

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