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ヒガンバナの思い出! #higanbana

Dscf0228▼今、風の音がすごい!!雨の音もだ。台風15号の位置を確認する。
迷走していた台風15号も、スピードをあげて北上してきた。昨日も少し小降りのころを見計らってあの「石垣のヒDscf0254ガンバナ」を見に行った。水に完全につかることは免れたようだ。すでに、小花でしらみかけたものがある、萎れはじめたのかもしれない。定点観測地Bにも見に行った。草むらのなかでも、続々と花茎をのばし、赤い松明の行列をつくろうとしていた。
▼私は、幼い頃はこのヒガンバナのことを「テクサレ」と呼んでいた。
「台風」と「テクサレ」はセットで私の記憶のなかにある。私の家は、今もそうだが台風の風の影響を受けやすいところに建っている。小さい頃は、ワラ屋根の百姓家であった。
 だから台風のことがいつも気になっていた。台風がやってくるとなると雨戸を閉め厳重に防備態勢に入らなければならない。時には、雨戸が吹き飛ばれそうなって雨戸を手で押したまま夜を明かしたこともある。
 そんな台風がやってくるころには野には「テクサレ」が咲いていた。
▼早くから、台風に備えて雨戸を閉め切ったままの縁側で、薄明かりのなかで「テクサレ」を持ち込んで数㎝ごとにポキンポッキンと花茎を折って、首飾りをつくって遊んだ憶えがある。
「そんなもの家に持ち込んで…」と叱られた憶えもある。
 台風一過は、外に出て「テクサレ」相手にチャンバラである。チャンバラはそのころ子供たちの最もスタンダードな遊びのひとつである。チャンバラでも切られ役の多かった私には、「テクサレ」は格好の敵であった。
「テクサレ」相手だと、私は赤胴鈴之助にもなれたし、「真吾十番勝負」もやれたのだ。
折れやすい花茎は、意図もたやすくなぎ倒されたのである。
▼「テクサレ」のことを「ヒガンバナ」と呼ぶようになったのはいつの頃からだろう。
「曼珠沙華」などという呼び方を知ったのは、ずっとずっと後になってからだと思う。
「テクサレ」(「テクサリ」とも言ったかも知れない)は、この地域の呼び方である。花茎をポキンとおると、たしかにいやなにおいのする汁がでてくる。それを毒と知って、それを触ることを子供たちに戒めるためにもこう呼んだのだろうか。「そなもの触ったら手が腐るぞ!!」と。
 ヒガンバナは人里の植物のなかではダントツで里名を多く持つという。
手持ちの『日本植物方言集成』(八坂書房編 2001.2.28)で数えてみたら、555もあった。
もちろん「テクサレ」もあった。
 もうヒガンバナをそんな「里名」で呼ぶ人は少なくなっているだろう。
すごく残念に思う。
 「里名」にこそ残る「植物と人間のつきあい」まで消えていってしまうようで。

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