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【授業】動脈、静脈、包帯!?

 この頃保健室前に立ち止まることが多くなった。気になりだしたのだ、その前に掲示してある「保健ニュース」などの掲示物が。「歯のこと」「目のこと」「風邪のこと」「骨粗鬆症のこと」「鬱病のこと」「血液のこと」等々が。
気になりだしたのはやはり、授業で「人体」のことをやりだしたころからだろう。
 気になると同時に驚いてしまうのである。授業で学習していることそのものが、いっぱい載っているではないか。あたりまえとあたりまえのこと、保健室は学校の「総合病院」だ。およそ生徒のからだに関することは全てかかわる総合センターのような役割をしているところである。
 驚いた次に自問した。「学んだことは、生活に生きているのだろうか」と。
▼授業は、この単元ラストからふたつ目である。めでたく「細胞に酸素と栄養が与えられた」ところで、その酸素、栄養を運び、二酸化炭素、アンモニア等の不用物を回収している血液の大循環についてである。
 ここのところ、教室で授業をやるときは、ペットボトル2本、4Lの「血液」をリュックに入れて背負って教室に向かう。けっこう重いのである。実感・体感である。これだけの血液を巡らして一日に7トンとは、やっぱり心臓というものはたいしたものだ。授業をはじめる前に、教卓に2本の血液をならべる。
▼まず最初は、動脈血=きれいな血、静脈血=きたない血の確認である。
そして、「ぬりえ」で、動脈、静脈を確認する。静脈の弁を確認する。
実際に、自分の手首を圧迫して静脈弁を確認させる。
机間をまわりながら、「これ、これ!」と丸くふくらみはじめたところを示す。
次は、血液の循環を、赤、青の色鉛筆で「ぬりえ」で追跡していく、スタートは右心室であるこれまでの学習の復習でもある。
すこしたっぷりめにとる。
▼「ぬりえ」をしながらの余談だ。
「いま塗っている、青=静脈、赤=動脈という色分けしてとらえる考え方の歴史は古いようです。こんなの(ぬりえをしているあいだに理髪店のマーク(看板)を板書しておいた)みたことないですか。」
「あっ、散髪屋の…」(小さな声で、半信半疑ながら)
「そうです。見たことあるでしょ」
「一説では、これが動脈、これが静脈を意味している、この白は…」
「?(゚_。)?(。_゚)?」
「包帯です。昔ヨーロッパでは外科医は理髪店を兼ねていた、そしてここが、お医者さんだよとわかるように看板をつくった。看板の色は赤、青、白で、それがやがてお医者さんと散髪屋とは分かれた。散髪屋さんはこれをじぶんところの看板にしたという歴史があるそうです。
また、これとはちがう説もあるようですが…」
「また、この看板を見かけたら、自分の身体のなかを巡っている血液のこと思い出してください。ぬりえ続けて…」
▼このエピソードを井尻正二さんの「ヒトの解剖」で知ったときから、ずっと使ってきた。これは、使えると思った、最近、TV番組で、これは「ガセネタ」として紹介されるということもあったようだ。異説もいくつかあるようだ。いずれにしてもこれが血液を意味することは有力な説なようだ。
 健康な生活と「人間のからだ」に対する認識は同源であることは確かである。
私には、理髪店の看板が
理科の「学び」が、日々の「生活」とつながっていく、そのシンボルマークのように見えてきた。
 
 

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