【お薦め本】『原子論の歴史 上・下』 (板倉聖宣著 仮説社)

Dscn0214_20220826035601

▼「原子論」を科学する というシリーズをはじめて、はや三ヶ月がすぎた。
 その中で、「原子論」の歴史 について、最初に語りはじめたのは2022/06/05であった。
 最初の参考文献は
 
◆『原子論の誕生・追放・復活』(田中実著 新日本文庫 1977.7.25 初版)

であった。今さらながらはじめて知ることも多く、とても勉強になった。

▼その本につづいて参考にした本、それが今回の【お薦め本】である。


◆『原子論の歴史-誕生・勝利・追放-』(板倉聖宣著 仮説社 2004.4.5初版)
◆『原子論の歴史-復活・確立-』(板倉聖宣著 仮説社 2004.4.5初版)

の『原子論の歴史 上下』2冊である。
 これまた実に面白く、学ぶところも多かった。これからも大いに活用させてもらうつもりだ。そこで、これまでの「整理」もかねて、【お薦め本】にあげてみることにした。
いつものようにお薦めポイント3つあげてみる。

(1)「原子論の歴史」の最新・決定本!!

(2)等身大の文体で、わかりやすく「原子論の歴史」を読み解くことができる!!

(3)私にとっての「原子論」を問うのに最適の書!!


▼では少しだけ詳しく

(1)「原子論の歴史」の最新・決定本!!
 著者は「「私の原子論とのつきあいと原子論の教育の歴史」……あとがきにかえて」のなかで、この本について次のように語っていた。

 この本の中心は、「古代ギリシアの原子論は、エピクロスによって科学となった」という事実の発見にあります。これまで原子論の歴史を書いた人は、そのことに気づいていなかったので、古代の原子論を単なる空想にすぎないと貶めてきたのです。
(『原子論の歴史-復活・確立-』P151より)

私は、「この本によって、これまでの世界の原子論教育を全面的に変えることができるだろう」とも自負しています。私はこれまで、「読み、書き、計算、分子模型にコンピュータ」ともいって、原子論の教育を最も基礎的な教育の一つとして重視しているのです。それは私の一方的な思いこみによるものではありません。子どもたちに少しでも原子論を教えたときにその子どもたちの示す驚きと喜びの発見が元になっているのです。
(『原子論の歴史-復活・確立-』P153より)

 
 とても自信に充ちたコトバです。それはそれなりの「私の原子論とのつきあい」から生まれたものだと思われます。
 「…あとがきにかえて」の文章がとってもいいです!!
 これからはじめて読まれる方、またあらためてこの本を読まれる方への提案です。
 はじめにこの文章を読んでから、各章を読んでみましょう!!
 各章で何を言いたいのかとてもよくわかってきます。


(2)等身大の文体で、わかりやすく「原子論の歴史」を読み解くことができる!!
 著者は今度は「はしがき」で、この本を書きはじめた意図を次のように語っていました。

 さて、じつは私がこの本の原稿を書きはじめたのは、高等学校の『基礎理科』というコースで「科学史を中心とした授業」が始まることを知ったときでした。これまでの理科教育は、多くの「科学嫌い」を生産する結果になりましたが、高校で科学史の授業が始まると、またまた多くの「科学史嫌い」が生産される結果になるのではないかと、とても心配だったからです。
(中略)
 そこで、科学史と科学教育の研究の両方を専門にしている私としては、ごく一部分の授業でもいいから「私ならこうする」というプランが発表できないものか、と思い悩んできました。
(中略)
 そこで思いついたのは、「<原子論の歴史を中心にした科学史>の授業をやったら、高校生たちにも楽しい授業かも知れない」ということでした。
(『原子論の歴史-誕生・勝利・追放-』P2より)

 最初の意図は、みごとに成功しています。
 単に歴史的事実を文章で羅列するのではなく、授業書風に<予想>を立てながら読めるようにしたり、簡単な<実験>を提案したりの工夫が見られる。
 文体もいつものように板倉さんの語り口調の等身大の文体で、あまりなじみないこともわかりやすく読み解ける。
 高校生にもどった気分で楽しく科学史を学べた。
 これが私にはいちばんアリガタイところだった!!


▼最後に

(3)私にとっての「原子論」を問うのに最適の書!!
 著者はこの本を次のようにしめくくりました。

 このような経緯を見れば、本書は「私の原子論との付き合いの総決算のようなもの」とも理解していただけると思うのですが、どうでしょうか。
(『原子論の歴史-復活・確立-』P175より)

言い換えれば、この本を読めば
 「板倉聖宣氏にとっての「原子論」とは何か!?」
  がわかるということだろう。
私が 「原子論」を科学する シリーズをはじめた究極の意図は
 私にとっての「原子論」とは何かを問うことであった。
 このことに答えるヒントがこの本にはいっぱいある。


【オマケ】付録 最高に役に立つ!!
◆「原子論の歴史」年表
(『原子論の歴史-復活・確立-』年表P178~P200)
これを手に入れるためだけにこの本を手に入れても損はしない!!


| | コメント (0)

【お薦め本】『原子論の誕生・追放・復活』(田中 実著 新日本文庫 )

Dscn9111_20220722044601

▼誰にも、思考の「原点」とよべるような本がある。
 もうとっくに「内容」など忘れてしまっているが、その本に書かれた断片的なフレーズをふっと思い出したりする。
 「原子論的物質観」というコトバもそのひとつである。
 物質探検の学習で、常套句のように使って来た。
 いったいこのコトバにどこで最初に出会ったのだろう!?

 きっとこの本だろう思って、ゆっくりゆっくり読みなおした本が今回の【お薦め本】である。

▼読みなおしてみて、感動であった!!
 今回は 【お薦め本】の紹介というより、私自身の読書メモとして、「記録」に残して置きたかったのである。

◆『原子論の誕生・追放・復活』(田中 実著 新日本文庫 1977.7.25 初版)

 【お薦め本】紹介ではないと言いながら、矛盾するようだがいつものように、3つのお薦めポイントをあげる。

(1)「原子論」の歴史を概観できる!!

(2)「原子論的物質観」に基づく授業づくりのヒントがここにある!!

(3)これからの「原子論」の可能性を教えてくれている!!

▼これに従い少しずつ詳しくのべてみる。

(1)「原子論」の歴史を概観できる!!
 「はじめに」次のように書いてあった。

敗戦後まもなく、マッカーサー統治下の一九四九年に、私は『原子論の誕生・追放・復活ー原子と化学』(三一書房刊)とい小著を出した。(同書p3より)

 つまりこの本の元本は1949年に出されていたということになる。
 今から73年も前のことになる。
 さらに旧著のはしがきを引用しながら、こう語られていた。
 旧著のはしがきに私は次のように書いた。
 「(中略)またもう一つ私が強調したいのは、科学を凶器にしてはいけないということです。このことが今ほど切実に感じられるときはありません。この重要な歴史の瞬間に、ギリシアや中世紀の人々の意見などを聞いてみるのは、ひどくまのびのしたことと思われるかもしれません。真実は、いつでもたたかいの中からかちとられてきました。その歴史をながめることは、迂遠ではない教訓を与えてくれるとおもいます。《中世》ははたしてわれわれの前に、たちふさがってはいないでしょうか。この本を書きながら、私はいつでもそういうことを思い続けました。」 
 この心持ちは二八年たった今日、いささかも変わっていないことを書きそえておく。
(同書P4 より)

 1977年5月。著者・田中実氏はこう語った。
 それからでも、45年の歳月が経った。

 《中世》ははたしてわれわれの前に、たちふさがってはいないでしょうか。

の問いかけは、よりリアリティをもって響いてくるのだった。
 私は不勉強でほんとうに「世界史」に疎かった。しかし、この本を読み進めるなかで「歴史」を読み解く秘訣・コツのようなものがあるのに気づかされた。
 たとえばこうだ!!

  では原子論史上二人のDすなわちデモクリトスとドールトンとをつなぐ一本の赤い糸は何であったのだろうか。オリエント社会から高い物質文明、とくに鉄器文明を受けついだギリシア人の中から、自然と人工の事物についての豊富な知識にもとづいて、万物の根源を問う学問と思想が生まれた。彼らがさぐりあてたのは、物質不滅の原理であり、それと表裏一体の元素と原子にかんする概念であった。それは二〇〇〇年にわたる物質探究の源流となった。社会的生産力が高まって、人間が自然を加工する活動の発展につれて、物質的自然の知識はたくわえられ、物質不滅の原理は実践を助ける重量保存の法則に高められた。それとともに、元素と原子の概念は、より多く現実の物質と結びつけられたものに変貌し、これらを実験自然科学の理論の中に位置づける模索がつづけられた。
(同書P161より)

 そうだ!!
 ものごとをバラバラにみるのではなく、ツナゲて考えることだ!!
 ツナグ「赤い糸」をみつけることだ!!
 
 「原子論」こそ物質探究の歴史を読み解くときの「赤い糸」だ!!


(2)「原子論的物質観」に基づく授業づくりのヒントがここにある!!
最初に言っていた「原子論的物質観」というコトバ、ここでみつけた!!

 ドールトンがニュートンの影響を受けて、その原子論的物質観を、当然のこととして受け入れて、ラヴォアジエの元素各種の本体をそれぞれ固有の原子と考え、そうした原子を重さの測定のできるものにしたことは、前章に書いたとおりである。そしてニュートンの原子の出どころを源流までさかのぼればデモクリトスにたどりつくことはまちがいない。
(同書P161より)

 他所でも使われていたかも知れないが、はじめて気づいたのはここだった。
もう一度「目次」をあげてみる。

はじめに
一 火の技術
二 原子論の誕生と追放
三 原子の忘却
四 原子のルネッサンス
五 科学的元素から原子へ
六 仮説の原子から実存の原子へ

 なんとか読み終えた今、痛切に思う!!
 「原子論的物質観」に基づく授業とは、この「原子論の歴史」のどこかにその「授業」を位置づける作業なのだ。
 従って授業づくりのヒントは、ここにある!!
 生徒たちの物質認識の過程は、この「歴史」のなかにある!!

 もうひとつある!!
「はじめに原子ありき」の授業の可能性だ!!
 21世紀に生きる「原子論者」を育てよう!!

▼最後にいこう。
(3)これからの「原子論」の可能性を教えてくれている!!
最後の方に、きわめて示唆的な文章があった。

 科学的方法による自然認識が、人間が物質的世界にはたらきかけることによって描き出す客観的世界の像である以上は-そのことの真偽がまた現代の哲学の一大論争点でもあるのだが-どんなに不完全で、断片的な像であろうとも、より完全な、より全体的な像へ接近するための手がかりでなければならない。不完全な像を完全なものと断定し、部分の姿を全体像ときめつけたとき、そこに誤りが生まれ、挫折がおこり、ひいては科学的真理への不信が芽生える。
(同書 P175より)

 たとえ「原子論」と言えども、更新を怠るとき内なる《中世》が蘇ってくるのである!! いつまでも、自分自身の「ふしぎ!?」を大切しながら更新をつづけ、これからも21世紀を生きる「原子論者」でありつづけたいものだ!!

読み終えて、あらためて色褪せてしまった「表紙」を見た。あのドールトンの「こだわり」を思い出した。

 ドールトンは原子を面白い円形の記号であらわした。酸素原子はただの円、水素原子は中心に点を打った円等々。それは原子にたいするドールトンのゆるがぬ確信をあらわしているかのようだった。現在われわれが使っている酸素=O、水素=Hなどの記号がスウェーデンの化学者べルセリウスによって提案されると、彼は頑固にそれを拒否した。アルファベットで原子をあらわしては、ほんとうに存在し、結合し分離する原子というもののイメージがあいまいになってしまうと考えたのである。
(同書 P158より)

まちがいない!!
『原子論の誕生・追放・復活』は名著中の名著デアル!!

| | コメント (0)

【お薦め本】『フランクリン』(板倉聖宣著 仮説社)

Dscn9879

▼私は、「フランクリンの末裔」くんからプレゼントしてもらったお宝本をこのまま本棚にしまい込んでおくのではモッイナイと思っていた。
 「静電気」を科学するシリーズ をつづけている今こそもう少しなんとかしたかった。
 とは言っても、「静電気」に関する絵・写真の資料は見ればなんとかわかるが、それ以上まったくわからなかった。思いはあっても、全文英語ではまったくお手上げだった。
 こんなことならもう少し英語も勉強しとくんだったな。

▼そんなとき、ファラデーラボの森本雄一さんに「この本が面白いよ」と教えてもらった本がある。それが今回の【お薦め本】だ。

 

◆【お薦め本】『フランクリン』(板倉聖宣著 仮説社 1996.8.15)

 

読んでみたら、ほんとうに面白かった!!
 人に語らずにはおれない面白さだ。そこで【お薦め本】にあげてみることにした。
 話があちらこちらにとばないうちに、いつものようにお薦めポイント3つをあげておく。

(1)等身大の語り口調で人間「フランクリン」の魅力に迫る!!

(2)科学者「フランクリン」の面白さをやさしく熱く語る!!

(3)社会や暮らしのなかでの「科学」とは!? を問う!!

▼ではもう少しだけ詳しくひとつずついこう。

(1)等身大の語り口調で人間「フランクリン」の魅力に迫る!!
 まず最初に正直に白状しておこう。
 私はあまりに「フランクリン」のことを知らなすぎた!!
 「凧をあげて、電気をあつめた男」程度の認識しかなかったのである。
 著者はこの本の最後にこう言っていた。

そこで私はこの本で、かなりくわしくフランクリンの仕事をできるだけ視野広く見ようと試みたのですが、理解していただけたでしょうか。私のこの『フランクリン』が、新しいフランクリン像を多くの人びとに知らせることができるといいと思っています。(同書P269より)

 この試みはみごとに成功しています。
 「フランクリン」というのがこんなすばらしい魅力的な人間だったとは!!
 感激です。
  いかし、これまたふつうの偉人伝のように、別世界の人間のようには扱われていません。そこがまた著者板倉聖宣先生のうまいところですが、平易な等身大の語り口調で新たな「フランクリン」像を浮き彫りにしていきます。

 ベンは年とった父親の子どもで、すでに五人の兄さんと五人の姉さんがいました。そのうち五人は前のお母さんの子どもでしたが、ベンを生み育てたお母さんはその後二人の妹を生んでいます。小さいときに亡くなった兄弟を除いて、子どもだけで十三人の大家族でした。手工業をやりながらそんな大家族を養っていくのは大変だったことでしょう。じつは私も九人兄弟の六番目で、似たような手工業の職人の家に育ったので察しがつくように思えるのです。(同書P14より)

 こんな調子です。
 読み進めるうちにわかってきます。板倉先生はこの「フランクリン」のことがとても気に入ったのだなあと。
 読んでいるこちらもそれにつられてどんどん「フランクリン」が好きになっていくことまちがいないです。

(2)科学者「フランクリン」の面白さをやさしく熱く語る!!
 私にとっては、ここがこの本を読む本命の部分でした。

 しかし、彼は「科学者になろう」などとは全く思っていませんでしたから、その研究の成果を論文に書いて発表することなど、考えてもみませんでした。彼はただ仲間と一緒に実験したり議論したりして楽しむだけで満足していたのです。そして、その他にも彼の実験に興味をもってくれる人がいることがわかると、その人に喜んで手紙を書いて知らせました。そこで、このときの実験のことも、ずっと後になって書いた手紙の中に書かれて残っているだけなのです。(同書P44 より)

 ここにフランクリンの「科学」の醍醐味とその「方法」が示唆されていた。
 だからこそ

 フランクリンの手紙の中の説明はとても簡単明瞭です。だから、その説明を読むだけでも、彼らがどんな実験を積み重ね、どんな議論をしていたか察することができます。(同書P96より)

 これは生涯一貫した科学者「フランクリン」の姿勢でした。
 板倉先生は、この本の中で、できるだけくわしく「フランクリンの手紙」をたくさん紹介してくれています。
 シロウトの私にはそれがとてもアリガタイ!!
 それは、きっとこんな思いからなんだろう。

 私がもっとも知りたいと思っていた部分についても具体的な多数の手紙を紹介してくれています。これが実にアリガタイ!!

・先端放電現象
・電気の行方
・電気流体の過剰(+)と不足(-)という考え方
・電気一流体説=電気量保存の原理の確立
・ライデン瓶=コンデンサーの謎の解明
・フランクリンのカミナリ研究の起源
・カミナリの正体をつきとるための実験方法の提案
・『電気の実験と考察』の出版
等々です。

 ますます「フランクリン」のファンになってしまいます!!

▼そして最後に
(3)社会や暮らしのなかでの「科学」とは!? を問う!!
 フランクリンのマルチな活躍ぶりにはびっくりばかりであった。

・『貧しいリチャードの暦』
・フランクリン暖炉の発明
・アメリカ理学会の創立
・北東風の研究
・フランクリンの人口論
・アメリカ植民地全体の政治家
・義勇軍の連隊長
・『富みに至る道』
・「アーモニカ」の発明
・メキシコ湾流の海図の作成
・アメリカ独立宣言
・フランス駐在大使の仕事
・遠近両用眼鏡の発明
等々

 ここでも、具体的な「フランクリンの手紙」を多数紹介してくれているのはアリガタイ!!
 こんなマルチな活躍の強力なバックボーンになっているのは科学者「フランクリン」なのではないかと思う。
 そして、今、問いかけてくるのである。

 社会や暮らしのなかでの「科学」とは!? 

 最後に、著者・板倉先生のこんなコトバを引用させてもらおう。

 フランクリンだけではありません。彼の時代の科学者たちには、自分がたのしんだ科学研究の感動をできるだけありのまま伝えたくて、その研究の経過をくわしく書く人が少なくありませんでした。しかし、最近の科学論文には、そういった生き生きとした表現がほとんど見られません。そこで、科学は多くの人びとにとって身近な存在でなくなってしまったのです。これは残念なことです。私は、科学の歴史を専門として、かつ科学教育の研究も専門としています。そこで「せめて私だけでも」と思って、専門的な論文でも自分の研究したことをできるだけ具体的に感動的に書くようにしています。すると、多くの人びとに喜ばれるだけでなく、フランクリンの場合と同じように、たくさんの人びとからいろいろなことを教えてもらうことができることを体験しています。(同書P214より)

【オマケ】最後のベンジャミン・フランクリン(1706~1790)年譜
  スバラシイ\(^O^)/ 使いモノ二ナル!!(エラソウに (^^ゞポリポリ)

 あの「お宝本」の資料が妙にリアルに見えてきた!!ウレシイ!!

 

| | コメント (2)

【お薦め本】『寺田寅彦「藤の実」を読む』(山田功・松下貢・工藤洋・川島禎子著 窮理舎)

Dscn0177

▼今年の元旦はうれしい報告からはじまった。
 ラボ(物置!?)に設置していた「藤の実」が3つも一斉にはぜったという。
 たまたまそこに泊っていた子供からの報告だった。
 夕方になって、2つがはぜった。さらに深夜には、2つが追加してはぜった。
 けっきょく2022/01/01だけでなんと7つもの「藤の実」が一斉にはぜったことになった!!
 元日はまさに「藤の実」の「潮時」だったのだろうか。
 普段はほとんど使わないエアコン暖房を使ったことも影響しているのだろうか!?

▼「ふしぎ!?」な「偶然」があるものだ。
 この日は今年最初の「寅の日」でもあった。それだけでない。
 以前から予約注文していた一冊の本が年賀状とともに届いた。
 それが今回の【お薦め本】である。


◆【お薦め本】『寺田寅彦「藤の実」を読む』(山田功・松下貢・工藤洋・川島禎子著 窮理舎 2021.12.31)


なんと発行日は前日の「寅彦忌」だ!!
  例によってお薦めポイントを先に3つをあげておく。

(1)寅彦の謎解きの科学を何倍にも増幅して楽しめる!!

(2)多面的な視点から寺田物理学の読み解きがされている!!   

(3)名作「藤の実」をより面白く読むための豊富な資料がここに集めてある!!


▼3つのお薦めポイントは重なるところもあるが、順次少しだけ詳しくのべてみる。
 まず

(1)寅彦の謎解きの科学を何倍にも増幅して楽しめる!!
 はじめの山田功氏の読み解きは実に面白かった。
 十段落に分けての読み解きは、寅彦の文章のバックグラウンドを詳しく興味深く解説するものだった。
 なるほどと納得することしきりだった。
 特に第三段落までの「藤の実」が一斉にはじける現象の謎解きはみごとである。
 それは、まるでコナンの探偵物語でも読むような面白さだ。
 謎解きは、自ら体験することからはじめておられた。

 藤の実がはぜたときの音とは、いったいどんな音だろうか。私も確かめたくなった。ある年の十一月中頃、藤の実を探すことにした。大きな公園の藤棚を見に行くと、手入れがされていて藤の実はない。近くの家に藤棚があることを思い出し出かけた。幸い、いくつかの藤の実が残っていた。  それを貰い、部屋にひもを張りつるした。十二月中頃、部屋で本を読んでいると、突然「ぴしっ」と乾いた短い音がし、藤の実がはぜた。その時、体がピクリと緊張した。そして、タネは部屋のドアに当り床に落ちた。これが寅彦の体験した藤の実のはぜる音なのかと納得したのである。それだけのことだが、作品「藤の実」がぐっと自分に近づき、いっそう深い関心がもてたのである。(同書P17より)

 これはこの探偵物語のはじまりにすぎなかった。
 謎解きは、次々とリアルに展開された。
 寺田邸の藤棚はいつどこにつくられたのか? 
 タネがはげしくあたった障子のある居間とガラス窓の台所と藤棚の位置関係は?
 寺田邸平面図、現場写真、居間スケッチ等々。
 次には藤の実が一斉にはじけた時の気象条件の検証を行なっていた。
 当日の「天気図」、中央気象台の観測データから、「異常に低い湿度」の謎を読み解こうしていた。
 それで驚いてはいけない。
 山田氏とその教え子の川口氏はなんと2014年、二ヶ月にわたり数百の藤の実で、はじけた数と、気象状況(湿度)との関係を調べているのである。
 まだまだある。
 猛烈な勢いで飛び出すタネの「初速度」を寅彦がやったように「高校物理」の問題として計算しているのである。さらには「その瞬間」を写真に収めようと根気よく試み成功しているのである。(この本にはそのときの写真が口絵に紹介されている)
 この取り組みを読んでいるあいだに、寅彦の次のコトバを思い出したのだった。

一方で、科学者の発見の径路を忠実に記録した論文などには往々探偵小説の上乗なるものよりもさらにいっそう探偵小説的なものがあるのである。実際科学者はみんな名探偵でなければならない。 (「科学と文学」青空文庫より


 山田氏の「むすび」のコトバを引用させてもらおう。
 

 こうして、「藤の実」を読み終えてみると、身近な事象も気を付けて眺めると、「おや」、「不思議だな」と思うことが結構あることに気づく。それは、興味深いことで、楽しい疑問である。そうした出会いができるためには、普段から自分の五感の感度を少し上げておかねばならぬ。五感というアンテナを磨き、いくつも立てておくことだ。そして、不思議だと思ったことを、「それは偶然だ。」とか、「悪日」とか、「神様や悪魔の仕業だ。」と、簡単に思考を止めてしまわないことである。根気強くもう一歩調べていくと「不思議」の原因を発見できるかもしれないのである。(同書P29より)


▼次のお薦めポイントにいこう。

(2)多面的な視点から寺田物理学の読み解きがされている!!
 多面的・多角的な視点で読み解きがおこなわれているということは、著者たちのそのタイトルからもわかった。

○「藤の実」によせて:偶然と必然のはざま 松下 貢
 「銀杏の一斉落葉」にふれて次のように語っていた。
  

 ここでのポイントは、落葉集団の表面は外部の空気抵抗を受けるが、その内部では空気も一緒になっているので、葉っぱ達は空気の抵抗なしに落ちるということである。こうなると、落葉集団の縁の葉っぱはひらひらとするが、集団内の葉っぱは滝の流れのようにどどっと一斉に落ちるであろう。
 この落葉の流れのきっかけを考えてみると、どの一枚の葉がどこで落ちるのかは、まったく偶然であろう。しかし、落葉が集団となって滝のように流れる段階では、この流れは実際の滝の水の流れと同様に、必然的な現象ということになる。すなわち、寅彦が見た銀杏の一斉落葉は偶然から必然への推移を観察したことになる。(同書P36より)

 思わず、なるほどと膝をたたくのだった。


○植物生態学からみた「藤の実」 工藤 洋

 自然科学者としての立場では、あらゆることに先入観を持ち込まない。まずは、現象をよく観察し、数値データを集め、偶然でなく説明し得る仮説を立てる。そして、その仮説が否定されるあらゆる可能性を考えて、観察と実験を繰り返す。この行為は自分が仮説を信じるかどうかとは別次元の行為で、仮説は証明されるものではなく、否定されないことをもって保持される。(同書P53より)
 
 さすが自然観察のプロのコトバは示唆的である。


○寺田寅彦「藤の実」に見る自然観 川島禎子

 「藤の実」について、文学的な考察をしてきました。とても短い作品ですが、これは備忘録であると同時に、連句的手法を活用して今寅彦が見ている世界を写した試みであり、身近な出来事から「潮時」という現象を読み取る実験である、と言っていいでしょう。
 また科学者として分析的で論理的な自然観を持つのみならず、連句的手法を随筆に取り込むことで東洋的な自然観で対象をとらえることも意識的に行なっていたのではないかと指摘しましたが、そうした複眼的な自然観が、文学者としても、また科学者としても独自の興味深い視点を提示し得た理由だと考えられます。(同書P76より)

 「連句的手法」「複眼的な自然観」私にはなんとも興味深いキーワードだ!!


最後のポイントに行こう。

(3)名作「藤の実」をより面白く読むための豊富な資料がここに集めてある!!
 これはこれまでのお薦めポイントと重なることにもなるのだが、やっぱりこの本の大きな特徴ともなっているのであげておきたい。
 よくありがちなケースとして、「これをより深く知るためには、こんな参考資料・文献がありますよ」と紹介のみに終わることが多いのだが、この本はちがっていた!!
 この本にはこのすべてが<付録>として「ここに集めて」あった。

<付録>
・「十五メートルも種子を射出す 藤の莢の不思議な仕掛」平田 森三   
 ※必読!!寅彦たちの論文をわかりやすく『子供の科学』(昭和八年十月号)に発表したもの

・「破片(抄)」 吉村冬彦(寺田寅彦)

・「雪子の日記(昭和七年十二月~昭和八年一月)」

・「鎖骨」 吉村冬彦(寺田寅彦)

・寺田寅彦 略年譜

 この一冊で名作「藤の実」のバックグランウドのすべてがわかるのだ。

 
 寅彦ファン必読の一冊だ!!

| | コメント (0)

【私の読んだ本・ベスト8】2021!! #お薦め本

Dscn9850_20211229050101

▼年末恒例の【私の読んだ本・ベスト○○】をあげてみる。
 リストアップするのは、この2021年一年間に【お薦め本】としてあげたもの8冊である。
 順番はあくまでここのblogに書き込んだ順番である。


【その1】【お薦め本】『高校世界史でわかる 科学史の核心』(小山慶太著 NHK出版新書)
 アタリマエのことであるが、「科学」も歴史のなかにある!!
 ニュートンのあの有名な発見は、ペストの流行の時期だったという。
 コロナ禍の今、「科学」の現在地は!?


【その2】【お薦め本】『細胞とはなんだろう』(武村政春著 ブルーバックス)
 今、再び問う。そもそもウィルスって何!?
 ウィルスが感染するのはヒトではなくて細胞!?
 細胞とウィルスの関係は!?


【その3】【お薦め本】『地震はなぜ起きる?』(鎌田浩毅著 岩波書店)
 「ほんとうの名著は児童書にアリ!!」の確信を強めてくれた本だ!!


【その4】【お薦め本】『理系的アタマの使い方』(鎌田浩毅著 PHP文庫)
 あの名著『知的生産の技術』の現代版!!
 アウトプット優先主義の知的生産術を伝授!!今一度、自分の知的生産術の吟味を!!
 ヒントのすべてがここにある!!


【その5】【お薦め本】『すごすぎる 天気の図鑑』(荒木健太郎著 KADOKAWA)
 子どもから大人まで誰もが楽しく学べる!!
 動画(YouTube)のレクチャーで楽しく学べるのもうれしい!!


【その6】【お薦め本】『チバニアン誕生』(岡田誠著 ポプラ社)
 子どもから大人まで誰もが「チバニアン誕生物語」を楽しめる本!!
 私としては「地磁気逆転」の松山基範博士と寺田寅彦のツナガリが面白かった。
 さらには、「磁石石」の堂面春雄先生にまでツナガッタのはとてもうれしかった!!


【その7】【お薦め本】『煮干しの解剖教室』(小林眞理子著 仮説社)
 私はこの本をテキストとして、はじめて「煮干しの解剖」実験に取り組んでみた。
 とてもわかりやすく、楽しかった!!
 この本の著者・小林眞理子先生にオンラインレクチャーを受けたのは今年最高の思い出だ!!


【その8】【お薦め本】『寺田寅彦と物理学』(池内了著 玉川大学出版部)
 オンライン「寅の日」への最高の案内書!!
 「オンライン「寅の日」って何!?」と問われれば、これからはこの本をお薦めしたい。
 

 さあ、2022年はどんな本と出会えるかな。
 楽しみである!!

| | コメント (0)

【お薦め本】『寺田寅彦と物理学』(池内了著 玉川大学出版部)

Dscn9798

オンライン「寅の日」をはじめたのは2012年4月だった。
 面白くなくなったらすぐやめようと思っていた。 
ところが寺田寅彦の随筆は、読めば読むほど面白くなっていった。
はじめてから10年目になり、まもなく第300回目をむかえる。
 
 にわか寅彦ファンは、いつしか「寅の日」が最高の楽しみになってしまった。

▼そんなオンライン「寅の日」に関連しそうなたいへん興味深い本がこの夏に出された。
 それが、今回の【お薦め本】である。
 

◆ 【お薦め本】『寺田寅彦と物理学』(池内了著 玉川大学出版部 2021.7.30)


 いつものようにお薦めポイント3つを先にあげておく。
 でなければ、いくらでもダラダラと書いてしまいそうだ。それほど面白いのだ!!

(1)平易な一人称の語り口で語られる最高に面白い「寺田寅彦自伝」!!

(2)「寺田物理学」が子どもから大人まで楽しめるように語られている!!

(3)オンライン「寅の日」への最高の案内書である!!


▼ではひとつずついこう。 

(1)平易な一人称の語り口で語られる最高に面白い「寺田寅彦自伝」!!
 著者は寅彦研究の第一人者・池内了氏である。
 池内了氏はすでに

・『寺田寅彦と現代 ~等身大の科学を求めて~』(池内 了著 みすず書房)
・『ふだん着の寺田寅彦』(池内 了著 平凡社)

等で科学者・寺田寅彦の魅力を私たちに紹介してくれていた。
 今回は、これまでの「総まとめ」として、子ども向けにわかりやすく語り口調で書かれていた。
 いつまでもにわか寅彦ファンの私にはそれがアリガタイ!!
 著者は最初にこうとも言われていた。

 本書では、私が寺田寅彦になった気持ちで、かれの人生をたどりながら、どのような発想で研究をおこなってきたかを語ろうと思います。同時に、寅彦の長所だけでなく短所についてもふれ、かれの人間性の豊かさにもふれたいと思っています。わたしは、そんな欠点も見える寺田寅彦を好ましく思っているからです。(同書P3より)

 ますますアリガタイ!!


(2)「寺田物理学」が子どもから大人まで楽しめるように語られている!!
 「寺田物理学」!! 
 私にはなかなか魅力的なひびきをもつコトバです。
 しかし、 「寺田物理学とは!?」
 の問いに、自分のコトバで答えようとしてもなかなか難しかったです。
 あきらめずに、これからも何度でも挑戦してみたいと思います。
 この本には、それに答えるときのヒントがあります。

著者は言います。
 

 第2の点は、それまで解決が困難だとして敬遠されてきた問題にたいして、思いきったアイデアで挑戦したということです。
 一般に、敬遠されてきた問題というのはひじょうに複雑で、解決の糸口すら見つからないので「複雑系」とよばれてあとまわしにされてきました。寅彦はそのような複雑な系こそ今後重要となり、研究の本腰を入れなければならいと主張し、考えるヒントを提案したのです。(同書P8 より)

うれしいのはその「寺田物理学」を、子どもから大人まで楽しめるようにわかりやすく語られているのです。
 ときには、「現代」からの視点でその意義、先駆性が語られているのはうれしい!!
 それはまるで、寅彦自身が「現代」に蘇ったようだ!!


▼最後のポイントはこうだ!!
 今回はここが最も言いたかったお薦めポイントである。

(3)オンライン「寅の日」への最高の案内書である!!

 著者ははじめの「寺田寅彦とわたし」でこう言っていました。

 このようにわたしの進路を決めることなった寺田寅彦は、むろんとっくに亡くなった人だし、かれが書いたむつかしい論文を読んだわけではありません。わたしがおもに親しんだのは彼が書いた多くの随筆です。かれはその随筆で、だれもが経験するような日常のことがらをとりあげ、思いがけない発想でそれに関する「ふしぎ」について語っていくのです。その発想のおもしろさにひきこまれ、こんな見かたができるのか、そんなふうに考えられるのか、と思ってしまいました。かれは、自分の意見をおしつけるのでなく、筋道どおり考えればこうなるはずだとしめすだけなのですが、わたしは知らぬまに納得させられているのでした。合理的に考える方法さえ身につければ、だれもが納得する答えに行き着くためでしょう。  こうして寺田寅彦の随筆に魅せられるうちに、かれが物理学だけでなく広く科学の重要な課題を50年も前に予言したいたことがわかりました。(同書P2 より)

 思わず納得です。(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン
著者は寅彦の人生をたどりながら、そのときどきに書かれた随筆を数多く登場させます。
そして、その随筆を寅彦の視点でわかりやすく解説してくれます。
私が数えたかぎりでは
 26編もあります。(数えもれがあるかも知れませんので、これ以上です。)
 26編の随筆は、アリガタイことに今すぐ青空文庫で読むことができます。

◆作家別作品リスト:No.42 寺田寅彦 (青空文庫)


  そうです!!
  それをオンラインで、12日に一度これを読んでいるのが
オンライン「寅の日」なんです。

 ここからは完全な「我田引水」モードです。
私はこれからオンライン「寅の日」ってなに!?
と訊ねられたら、ぜひ

『寺田寅彦と物理学』(池内了著 玉川大学出版部 )を読んでみてください!!

と答えようと思う。

 この本は寺田寅彦の随筆の世界へ誘う本です!!
 オンライン「寅の日」への最高の案内書です!!

| | コメント (0)

【お薦め本】『煮干しの解剖教室』(小林眞理子著 仮説社)

Dscn0150_20210914031801

▼先週はずっといちどはやりたいと思いつづけてきた実験をやってみた。
 「煮干しの解剖」である。
 あの「煮干し」の「解剖」!?
 「煮干し」=カタクチイワシの準備からはじめて、その顛末の一部始終をこのblogで報告をした。
 結論から言うと、

「煮干しの解剖」は最高に面白かった!!

▼ このときテキストとして使用させてもらった本が、今回のお薦め本である。


【お薦め本】『煮干しの解剖教室』(小林眞理子著 仮説社 2010.7.22)


 はじめての「煮干し解剖」の報告を進めていくなかで多くの人からコメントをいだいたのはとてもうれしかった。
 きわめつけがこの本の著者・小林眞理子先生のオンラインレクチャーだ。
 あげた画像をとてもくわしく解説してくださった。
 わかりにくかったこともいっぺんにわかりはじめた!!
 見ていても見えなかったものが、見えはじめた!!
 最高だった!!
 感動だった!!
感動の余韻の中でこの本を今一度読みなおしてみたら、ぜひとも【お薦め本】にあげたくなってきた。

 お薦めポイントはいつものように3つだ。

(1)最高に楽しい「煮干し解剖」案内の書である!!

(2)あらたな「解剖」学習の提案がある!!

(3)発展学習のための豊富な資料がある!! 


▼ではひとつずつもう少し詳しく見ていこう。

(1)最高に楽しい「煮干し解剖」案内の書である!!
 「解剖」!?
 と聞くとちょっとかまえてしまうところがあった。ところが最初の「ようこそ 煮干しの解剖教室」なかで著者はこう語っていた。

 といっても、特別な道具はいりません。大きめの煮干しが数匹、そしてこの本があれば、あなたも魚の体についてたのしく研究することができます。  この小さな魚から、生きものの体と暮らしについていろいろなことが見えてきます。もちろん、解剖したあとは、おいしくいただきましょう。たかが煮干し、されど煮干し。目でも口でも味わいつくす煮干しの解剖です。  たのしいおどろきの時間を、さあご一緒に。(同書P1より)

 そうです。
 私もこの「解剖」実験のために用意したのは「爪楊枝一本」と「ルーペ」と「A4用紙」(白 解剖皿のかわり)だけでした。
 「解剖」の作業はすべて素手を使ってやります。
 これがまたうれしいです!!
 
また「謝辞 あとがきにかえて」では、こうも語られていた。
 

本書は、子どもが自分で読みながら煮干しの解剖が体験できるようにと思って書きました。先生方がこの本を元に、授業として「煮干しの解剖」をやっていただけるなら、それもまたとてもうれしいことです。(同書P32より)

 私もこの本を読みながら「解剖」を体験していきました。
 私は途中で「心臓」を見失ってしまいました。(^^ゞポリポリ
 オンラインレクチャーで教えていただきわかったのですが、よくあることだそうです。
 だから、そのため「標本」としての「心臓」や「胃」などの写真は複数ならべおられるそうです。
 該当のページを再度見て納得しました!! (゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン
 ほんとうに「子どもが自分で読みながら」を想定したつくりなっているのです!!
 この事実にいたく感動しました!!


(2)あらたな「解剖」学習の提案がある!!
 「解剖」学習というと、「生きている」ものの「命」を奪ってという負のイメージがつきまとうのも事実である。
 ところがこの本では、これまでにないあらたな視点に立つ「解剖」学習の提案があるように思えた。
 たとえばこうだ!!

 乾燥品での解剖は、「生命を絶つ」という心理的負担が子どもたちにも教員にもなくてすむのは確かです。でも、「煮干しの解剖」がおすすめなのは、それだけが理由ではありません。この本で、少しでもこの教材の魅力を感じていただけたらと願っています。  私が中学生に授業をしたときの子どもの感想に「煮干しも生きて泳いでいたんだね」ということばがありました。他の方の実践報告を見ても、年齢にかかわりなく、ひからびた魚をバラバラにしながら感じることは共通して「煮干しも、生きていた」ことのようです。 (同書P32より)

 そうです!!
 ここにあらたな「解剖」学習のねらいがあるのです。

 カタクチイワシの「在りし日」(生きているとき)の姿を想像する!!
 ひからびた煮干しを「観察」という学びによって蘇生させる!!
 それが、これからの「解剖」学習!!
 

▼次に行こう。

(3)発展学習のための豊富な資料がある!!

 楽しい「煮干しの解剖」学習からはじめて、そこから発展していく学習のヒントが随所に書かれていた。
 これもこの本の大きな魅力だ!!
 たとえば

・「食べる・食べられるカタクチイワシ」(P23)
・「もし見ることができたら」(P29)
・「解剖で見えてくるもの」(P30) 等々

 「主な参考文献」(P35)としてあげてあるものも興味深いものばかりだ。
 著者の体験的学びをもとに紹介されているのでなおさら興味深い!!

 きわめつけが 次のページだ。必見だ!! 

  ●煮干しの解剖資料室

 
 さあ!!
 あなたもこの本をテキストにして「煮干しの解剖」をはじめてみませんか!!

| | コメント (0)

【お薦め本】『チバニアン誕生』(岡田誠著 ポプラ社)

Dscn0940

▼「地球は1個の大きな磁石である」
 「しかもそのN極とS極が逆転する地磁気逆転が何度も起こっている」
 この驚くべき事実をはじめて知ったのは、はじめて中学校「電流と磁界」の授業をしたときだった。面白そうと思ったが深入りはしなかった(できなかった)。もうひとつ関連してたいへん興味をもったことがあった。
 「磁石石」のことである。
 最近では「地磁気逆転」の痕跡が刻まれたという「チバニアン」にすごく興味があった。
 面白そうだが、深く知るにはシロウトの私にはちょっとむつかしそうと思っていた。

▼そんなとき、私にもわかるかも知れないと思われる本が出たことを知った。
 さっそく手に入れてみた。


◆【お薦め本】『チバニアン誕生 ~方位磁針のN極が南をさす時代へ~』(岡田誠著 ポプラ社 2021.6)


 例によってお薦めポイント3つを最初にあげておく。

(1)子どもから大人まで誰もが「チバニアン誕生物語」を楽しめる本!!

(2)「チバニアン」のすごさを0からわかりやすく語ってくれる本!!

(3)研究の面白さを等身大に語り、「地球科学」の世界へ誘う本!!


▼ではひとつずつ少しだけ詳細に
 
(1)子どもから大人まで誰もが「チバニアン誕生物語」を楽しめる本!!
  これは、「児童書」である。それがうれしかった!!
私は昔から「ほんとうの名著は児童書にアリ!!」という信念を持っていた。
 初学者向けに書かれてわかりやすく面白い本は、誰が読んでも興味深く面白い。そんな本がほんとうの名著中の名著である。
 この本は私のこの信念に応えてくれていた。
 「児童書」ならではの配慮があってとてもうれしい!!順番関係なく気づいたこと列挙してみる。
・専門用語を使いながらもすべてにルビがうってある。
・章ごとに「用語解説」がある。(無理やり専門用語をさけ、簡単な言葉に言い換えるのでなく、それをわかりやすく解説するという姿勢に共感する)
・コラムは12あるがどれもすばらしい!!
・いちばん質問してみたいことがコラム「Q&A」でとりあげられている。
・「Q&A」の表記の方法がすばらしい。「A」はわかりやすく、簡明に結論がはっきりと書いてある。さらに詳しく知りたければ「Q」と「A」のあいだの説明を読めばいい!!
 実にうまい!! なんかこれにいたく感動してしまった!!
・導入のカラーページがとてもわかりやすい。本文を読むのを楽しみさせてくれる。
・本文中の図はスペースをしっかりとってありわかりやすい。
 
 等々である。ぜひ自分でも手にとって確かめて欲しい!!

(2)「チバニアン」のすごさを0からわかりやすく語ってくれる本!!
本の帯に 次のようにあった。

 “チバニアン”とは  今から77万4000年前から~12万9000年前の地球の時代を示す名称。「千葉時代」を意味する。千葉市原市の地層にちなんで命名され、2020年1月正式に決定した。

ニュース等を通して「すごいこと!!」とはわかっているつもりでいた。しかし、そのすごさのほんとうの意味はよくわかっていなかった。
というのが正直なところだ。
 たとへば「チバニアン」のはじまりの時代に起きた「地磁気の逆転」の話にしても、そもそも「地磁気」そのものについてのことをよく理解していなかった。
 それを0から「地磁気研究」の歴史から説き起こし説明してくれていた。
 アリガタイ!! 
「無口な地層」が、私たちに何を語りかけてくれているのか!?
 予備知識などなくても、「ふしぎ!?」を受けとるレセプターさえ持っていれば面白く読める。


▼最後に

(3)研究の面白さを等身大に語り、「地球科学」の世界へ誘う本!!
 著者・岡田誠氏は「千葉セクションGSSP提案代表」である。
 つまり「チバニアン誕生物語」の当事者であり、スタッフリーダーでこの物語の主人公である。
当事者が等身大に語るドキュメンタリーはもうそれだけで、すごい説得力をもつ。
 面白さを倍増させているのは、第3章「僕はこうして、地質学者になった」だ。
 岡田氏が「チバニアン」に出会うべくして出会ったことがよくわかる。
 きっとこの章を最も印象深く受けとる若者もでてくるだろう。ひょっとしたら、そこから次なる「後継者」が生まれるかもしれない。
 
 さらに、第4章「めざせ、チバニアン承認。国際レースにいどむ」はワクワクドキドキのノンフィクションドキュメント!
 最高に面白い!!

 少し「チバニアン」をはなれるが、とても気に入ったところがあった。
 

僕が考える「科学」とは
たとえば君たちが自由研究で、ある森に生えているキノコの調査をテーマにしたとする。(中略)
そこで君はある共通性に気づいたとする。それはキノコはどんな種類であってもほとんどが、日当たりが悪くジメジメと湿ったところに生えていることだ。
 君が気づいたこのキノコの共通性は、「法則性」といいかえてもいい。
そして、この法則性は、この森だけで発見したものだけれど、君はほかの森でも成り立つと考えた。これを「仮説」とよぶ。
君がこの観察結果とそこから導きだされた法則性や仮説を、学校で発表したとしよう。(同書P189より) 

  
まだまだ続く。
引用が長くなってしまったのは、いたくここに感動してしまったからだ!!
これぞすばらしい「自由研究」のすすめ!! ではないか!!
  
著者は、この本全体を通して、こんな面白い「地球科学」の世界へひとりでも多くの若者を誘おうとしているのだろう。いや、誘われるのは若者ばかりではないのかも!!


※ どうしても書いておきたい「蛇足」
 日本ではじめて「地磁気逆転」を報告したのは松山基範博士です。
 兵庫県のあの玄武洞で現在の地磁気の向きと逆方向を示す溶岩を発見したのです。(1926年)他の場所でもそれを確認・発見し、地球が過去に「地磁気逆転」を起こしていた可能性を指摘したのです。

 しかし、松山博士のように実績も実力も認められた人でも「地球の重力が下から上に向かっていくようなものだ」と、まわりからひどいことをいわれ、認められることはありませんでした。失望したのか、それからの松山博士は地磁気の研究をやめてしまったようです。  松山博士は自分の説に唯一興味を示し、論文執筆中から助言を受けていた寺田寅彦の推薦で論文を発表していました。寺田寅彦は、科学者であり文学者として有名な人です。  この発表が知のバトンとなって、科学者たちにリレーのように受けつがれていきます。 (同書P192 コラム12「科学の発見は知のバトンでつながっている?」より)
   ここにも我らが寺田寅彦が関連しているなんてなんかうれしくなってきますね。  「チバニアン」への注目で、あらためて松山基範博士や寺田寅彦が注目されるようになるとうれしいですね。これが、どうしてもふれておきたかった「蛇足」です。

| | コメント (0)

【お薦め本】『すごすぎる 天気の図鑑』(荒木健太郎著 KADOKAWA)

Dscn9314

▼私は「パーセルくん」のことがうんと気にいっていた。
 毎日の「雲見」でもよく思い出すのだった。
 私がはじめて「パーセルくん」に出会ったのは、『雲の中では何が起こっているのか』(荒木健太郎著 ベレ出版)のなかであった。
 はやあれから6年も経っていたのだ。

▼この度、あの「パーセルくん」だけでなく「温低ちゃん」「トラフくん」や「たつのすけ」に再会できる本が出た。
 それが今回の【お薦め本】です。

◆ 【お薦め本】『すごすぎる 天気の図鑑』(荒木健太郎著 KADOKAWA 2021.4.30)

 例によって、お薦めポイント3つを先にあげておく。

(1) 動画(YouTube)のレクチャーで楽しく学べる!!

(2)「空のふしぎがすべてがわかる!」は本当だった!!

(3)子どもから大人まで誰もが楽しく学べる!!


▼ではひとつずつ少しくわしく 

(1) 動画(YouTube)のレクチャーで楽しく学べる!!
 私は、この本の最大のウリはここにあると思っている。
 著者も「はじめに」次のように書いていた。

 この本では、空や雲、天気について、みなさんが疑問に思われることの多いトピックを中心に取り上げて、わかりやすく解説しています。また、天気について知っておくと便利なことことや、思わず「へえ~、そうだったんだ!」と思えるような知識についても紹介しました。この本の内容については、目次にあるすべての項目について、著者の荒木健太郎のYouTubeチャンネルで動画解説していますので、この本とあわせてご覧ください。(同書P2より)

驚きです!!
78の項目、column すべてにひとつずつの動画解説(83本の動画)があるんです。
本文と同じ写真、図(それ以上のことも多々ある)を使いながら著者のわかりやすいレクチャーがあるのです。これがとてもうれしいです!!
本を読む→動画を見る 動画を見る→本を読む の往復運動を繰り返しながら楽しく学べます。本は各レクチャーの「ノート」(覚え書き)としても利用できます。
 空の観察しながら、気になることがでてきたら「ノート」をみて、さらに動画を見て復習すればいいのです。アリガタイ!!


(2)「空のふしぎがすべてがわかる!」は本当だった!!
 本の正式なタイトルは 『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる 天気の図鑑』です。
 ちょっと長すぎるのと、「空のふしぎがすべてがわかる!」なんて本当かな!?という半信半疑の思いが最初はあったから、ここの部分省略していました。
 商品の誇大広告(「個人の感想です」みたいなヤツ)みたいに思ったからです。ずいぶん失礼な話です。<(_ _)>
 
読み終えたら(動画、見終えたら)、わかりました!!
「空のふしぎがすべてがわかる!」は本当です!!
 
【第1章】すごすぎる雲のはなし
【第2章】すごすぎる空のはなし
【第3章】すごすぎる気象のはなし
【第4章】すごすぎる天気のはなし
の4章に分けて空の「ふしぎ!?」のすべてを追いかけます。とことんです!!
 例えば、虹の「ふしぎ!?」については、第2章で10項目も設けて、あの手この手で謎解きをやってくれます。 

 私自身はじめて知ることも多かったです。


▼ 最後のお薦めポイントにいきます。

(3)子どもから大人まで誰もが楽しく学べる!!
 この「誰もが」「楽しく」というところがとても大切です。
 確かに難しい気象用語も多数でてきます。しかし、それらの漢字にはすべて「ふりがな」がふってあります。その気になれば誰でもが読み解くことができます。
 あの「パーセルくん」をはじめとするキャラクターも登場して、理解を助けてくれます。
 「誰もが」空の「ふしぎ!?」とつきあいながら暮らしているのですから。
 
「楽しく学ぶ」ことについて、著者は「おわりに」のなかでこんなことを言っています。

 空や雲の心を感じて楽しみながら天気の変化を予想することを、「観天望気」から、一歩先に進んだものとして、私は「感天望気」と呼んでいます。この本を読んで気になった雲や空、気象、天気のことを、ぜひ友達やご家族にも伝えてみてください。    空や雲への愛を育んで、それを友達と共有しあうことで、よりいっそう雲や空への愛が深まるはずです。(同書P170より)
   さらに著者は言います。  日常的な「感天望気」こそが、気象災害から身を守る防災・減災にツナガル道だと!!

ぜひ、ご一読を!!

| | コメント (0)

【お薦め本】『理系的アタマの使い方』(鎌田浩毅著 PHP文庫)

Dscn8883

▼「知的生産」というコトバで何を思い出すだろう?
 私がいちばんに思い出すのはあの名著『知的生産の技術』(梅棹忠夫著 岩波新書 1969.7.21初版)である。この本の初版が出てから半世紀以上たっている。
 大いに影響を受けてきた。一度は、自分自身の「知的生産」の「原点」を見つめ直すそんな意味も込めてこのblogで少しずつ読み進めたこともある。
 
●『知的生産の技術』を読む

▼この春、今もっとも熱く今日的「知的生産」を語る本に出会った。
 それが今回の【お薦め本】である。

◆【お薦め本】『理系的アタマの使い方』(鎌田浩毅著 PHP文庫 2021.4.15)

 「店じまい」にかかったポンコツが、今さら「知的生産」というと笑われるかもしれないが、実に面白かった。著者は、「これから」の若人向けに書かれたかもしれないが、私にもたいへん面白く読めた。
 いつものように3つのお薦めポイントを先にあげる。

(1)アウトプット優先主義の知的生産術を伝授!!
(2)自分の知的生産術を再吟味するのに最適!!
(3)「最初の一行目がなかなか書き出せない人」に有効!!

▼ではひとつずつ少しだけくわしくいこう。

(1)アウトプット優先主義の知的生産術を伝授!!
 「情報は発信するところに集まる」は、ずっと使い続けてきたお気に入りのフレーズである。まずは自ら情報発信をすることこそが、もっとも手に入れたい情報を収集する有効な手段だと思っていた。ずっと唱え続けてきて確信は深まるばかりだった。
 このフレーズと「アウトプット優先主義」どこか ツナガル 気がするのだった。
 このコトバは、この本では何回も繰り返された。
 例えばこうだ。
 

ここで「知恵」といったが、本書の内容自体は日常的なノウハウに近いものである。資料の整理法、時間の使いかた、作業の第一歩を踏み出せないときのコツ、アイデア出しや表現法などなど。
 しかしそれらに例外なく通底しているのは、理系のアウトプット優先主義だ。
 全体の構成は三部からなり、
①理系的システムの整備と情報の収集
②クリエイティブな情報整理と発想法
③理系的なアウトプットの実行と将来への準備
が語られる。(同書P6より)


(2)自分の知的生産術を再吟味するのに最適!!
 この歳になると、「これまで」とちがう手法でということになると正直言って億劫である。あたらしい手法に慣れるまでに使うエネルギーがモッタイナイ!!
 それは、この本に一貫している「ラクして」精神に反する。
 しかし、こちらの方が有効そうだという手法をみつけたら、それを採用することはやぶさかではない。
この本には繰り返し「知的生産」に有効な㊙テクニックが出てくる。
 16個もである。
 ネーミングもなかなかすばらしい!!巻末にまとめてくれているのであげてみよう。(同書P362~363)

【本書で取り上げた16のキーワード】
「一望法」
「落ち穂拾い法」
「コピー&ペースト法」
「三脚法」
「隙間法」
「棚上げ法」
「橋渡し法」
「バッファー法」
「ひと言法」
「不完全法」
「目的優先法」
「要素分解法」
「呼び水法」
「ラベル法」
「枠組み法」
「割り算法」

「それならすでにやっているよ」と言うのもいくつかはあった。それでも、あらためて「○○法」と言われるとナットクだった。(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン
 そして、「これでよかったんだ!!」と自信をもつこともできた。アリガタイ!!
 反対に「これはいい!!気がつかなかった。使わせてもらおう!!」というのもあった。
 時代にあわせて、また自分流にカスタマイズして採用させてもらおうと思う。 
 
このように「これまで」の自分の知的生産術を再吟味するのに最適の書である。

▼最後にいこう。

(3)「最初の一行目がなかなか書き出せない人」に有効!!
 「最初の一行目がなかなか書き出せない人」と聞いてドキッとした。(^_^;)
 私のことかと思った。心当たり大ありだった。
 この歳になってもこの病はなかなか克服できていなかった。
 そんな私にこの本は病克服のヒントと勇気をくれる本だった。
 著者は「おわりに」のなかで次のように語っていた。

 本書はまず、膨大な資料と格闘して悩んでいる人たちへ向けてアドバイスした。さらに、準備はできているのに一行目がなかなか書き出せないという人にも、「ラクな書き出し」のコツを指南した。いずれの場合も、目的を先行させることによって、状況は一変することをまず知って欲しい。  そして、「アウトプット優先主義」に変えれば、生産性が上がるだけでなく、部屋まで片づくというオマケがついてくる。  しかも片づいたところから、人生の次のステージが見えてくるのである。(同書P360より)

 さあ、残りの人生の次なるステージのためにも。


<オマケ> 蛇足的になるが、これ以外のお薦めポイントというか、いたく共感できることがいくつかあった。
  どうしてもあげてみたくなったのであげてみる。

【その1】

 本書の主要メッセージの一つに「デジタルとの賢いつきあいかたと逃げかた」があるが、そのポイントは「新しいツールに溺れない」である。(同書P8より)

【その2】
 私は今も昔も、メインのスケジュール管理は紙の手帳だ。(中略)よって、スケジュールの詳細はすべてアナログの手帳に書き込み、一元管理をする。(同書P82より)

【その3】
 私の経験では、実際に使ってみて効果があるテクニックは以下の二つであり、しかも二つだけで十分だと断言したい。
①パソコンについているいちばん簡便な検索機能で、全データを瞬時に文字検索できる。
②保存してある情報はすべてデータベースとして活用できる。これらを用いてコピー&ペーストすることで、次のアウトプットを簡単に行なうことができる。
(同書P125より)

【その4】
 この戦略はまったく正しかった。だからそれ以降もいったん使いこなしたソフトはよほどのことがないかぎり、とことん使ってみる。
 そのほうが、そのソフトのもつ潜在能力に習熟することができるし、何よりも、乗り換えにともなうタイムロスを激減させることができるからだ。(同書P127より)

【その5】
このように、不可能なことは早々に見切りをつけ、よい面を見るのがいちばんだ。
 では、日本式の細かなコミュニケーションは今後不要かというと、それも違う。オンラインで切り捨てられた部分を、いかに補完するか考えなくてはならない。(同書P230より)


 実はまだまだある。しかし、これ以上続ければ蛇足的がほんとうに「蛇足」になってしまう。「蛇足」こそが、この本の趣旨にもっとも反するものである。
 だから、これぐらいにしておこう。

 ぜひ、ご一読を!!

| | コメント (2)

より以前の記事一覧