【お薦め本】『ふだん着の寺田寅彦』(池内 了著 平凡社)

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▼12日に一回ずつ寺田寅彦の作品(随筆)を読むオンライン「寅の日」をはじめて8年が過ぎ、今、9年目である。
 通算回数は、次回(2020/07/10)で第258回目である。
 自分でも驚いてしまう回数である。 
 ひとりの人間の書いたものを、こんなに長く読み続けたのは、人生はじめての体験だった。はじめた当初は面白くなくなったらすぐやめようと思っていた。
 ところが、続けてみると様子が変わってきたのだ。
 「にわか寅彦ファン」は、やがて「追っかけ寅彦ファン」になっていったのだ!!
 読めば読むほど寅彦が面白くなっていった!!
 寅彦はいつ読んでも驚くほど今日的だった!!
 なぜだろう!?
 寺田寅彦の魅力はどこに!?

▼このオンライン「寅の日」をより楽しく続けていくために、とても参考になりそうな本に出会った。それが、今回の【お薦め本】である。

◆【お薦め本】『ふだん着の寺田寅彦』(池内 了著 平凡社 2020.05.20)

 お薦めポイントのいっぱいあるとても面白い本だ!!
 いつものようにはじめにお薦めポイントを3つに絞り先にあげておく。

(1)寺田寅彦の作品(随筆)をより深く、豊かに楽しめるようになる!!

(2)愛すべき人間「寺田寅彦」像がまるごと見えてくる!!

(3)寺田寅彦を「活用」するヒントがここにある!!

▼ひとつずつ、少しだけ詳細に

(1)寺田寅彦の作品(随筆)をより深く、豊かに楽しめるようになる!!

 実は、オンライン「寅の日」をはじめたころ、「何から読んでいけばよいか?」を考える上でとても参考にした本があった。それがこの本と同著者・池内 了氏の
 ●『寺田寅彦と現代~等身大の科学を求めて~』(池内了著 みすず書房 2005.01.21)
である。「等身大の科学」というフレーズに惹かれていたこともあり、興味深く読み、さらにオンライン「寅の日」で読む随筆の決定にずいぶん参考にさせてもらった。言わば、オンライン「寅の日」ガイドブックとして利用させてもらったのである。深謝。

 さて、この本である。この本の趣旨を著者自身に語ってもらおう。それが最高の紹介のような気がしてきた。
 それは、最後の最後にあった。
 

本書を手にして、私が寅彦への悪口を書いたと誤解してはならない。人間はさまざまの側面を持っており、寺田寅彦にも欠点や限界があり、悪癖を止められずいたことも知った上で、彼が残した仕事を概観すればまた違った景色が見えてくるのではないだろうか。褒め上げるばかりが寺田寅彦を評価することではない。人間的な弱点、時代が課した制約、自分の好悪に左右された側面も含めて、批判的に見、その上で全体像を把握することこそが寺田寅彦を真に理解することに繋がるのである。「寺田寅彦は謹厳実直で文理融合の偉大な先覚者とばかり思っていたが、こんなに多様な顔があったのか、見直した」と思ってくだされば、本書を書いた甲斐があったというものである。(同書P283より)
  

ここにすべてが語ってあった。
 さらに、「これから」のオンライン「寅の日」にひきつけて言えば、科学者「寺田寅彦」の書いたものを、より深く、豊かに読み解くことができる気がしてくるのだった。
 寅彦のほんとうの魅力とは、実はこのあたりに起因しているのかも知れない。

(2)愛すべき人間「寺田寅彦」像がまるごと見えてくる!!

 「甘い物とコーヒー好きの寅彦」
 「タバコを止めない寅彦」
 「癇癪持ちの寅彦」
 「心配性の寅彦」
 「厄年の寅彦」
 … 等々、読み進めていくとその「こだわり」ぶりにあらためて驚く。そのひとつひとつがどれも半端でなかった!!
 しかし、不思議と「なんだそんな人間だったのか」と落胆するようなことはまったくなかった。
 むしろ、「やっぱり…」と、笑ってしまい、納得し共感までしてしまうのだった。
 妙に人間「寺田寅彦」が愛おしくすら思えてくるのだった。
 これは8年間に渡るオンライン「寅の日」でのつき合いの成果だろうか!?
 変な話だが、私は自分の親族以外の墓所で、寅彦の墓所ほど頻繁に参ったことがない。
 いつのまにやらどこか、愛すべき身内意識まで生まれているのかもしれない。
 
なかでも印象的だった「こだわり」は
 「心配性の寅彦」(寅彦なりの子どもたちへの愛情表現なのだろうか!?それにしても…)
 「医者嫌いの寅彦」(科学者・寅彦の言動とは思えぬ矛盾、しかし…)
 ここで、たいへん興味深い著者の仮説をあげておられた。
 「寅彦の業病の由来?…… X線回折実験」(同書P204より)
これは一読に値する!!

 ここでも、やっぱり著者のコトバを借りよう。

 これまで神棚に祀っていた、文理双方に卓越した寅彦の厳めしい大判の写真から、アルバムに収められた、数多くのふだん着のスナップ写真に目を移すと、人間味に富み矛盾した言動も辞さなかった寺田寅彦の異なった実像が浮かび上がってくるのではないだろうか。読者も、寅彦ワールドの豊かさを味わっていただければ幸いである。(同書P6より)

▼最後に行く。

(3)寺田寅彦を「活用」するヒントがここにある!!

 寺田寅彦を「活用」する。これは鎌田浩毅氏(京大 火山学・地球科学)のコトバである。

 アウトリーチに関する私の修行は今も進行中であり、寺田が残してくれた試行錯誤の記録は知恵袋となっている。彼の専門と思想を引き継ぐ者として、これからも寺田寅彦を「活用」していきたいと思う。」(「寺田寅彦を「活用」する」鎌田浩毅『科学者の目、科学の芽』(岩波書店)P174より)

 このコトバが気に入ってしまった。 
 私には特に寅彦と重なる専門分野があるわけではないし、また寺田寅彦研究を本格的に語るほどの知識も力量もない。
 単なる「にわか寅彦ファン」にすぎない。(最近は少し「追っかけ寅彦ファン」に進化したかも…)
 そんな私にも私なりに寺田寅彦を「活用」したいという願いがあった。
 
 どんな状況のなかで、どんな思いを持って、85年以上の時空を越えて、現在もなお「きわめて今日的!!」と響いてくるコトバを発し続けたのか!?
 それを知るには、まるごと「寺田寅彦」を理解することが必須だ。
 
 「こんなとき、寅彦ならどう考えただろう?」
 「こんなとき、寅彦ならどうしただろう?」
 と寅彦を「活用」しようとするとき、役に立つヒントがこの本にはいっぱいある!!
 

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【お薦め本】『雲と出会える図鑑』(武田康男著 ベレ出版)

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▼「今、いちばんやりたいことは何ですか?」
と問われれば、私は何の躊躇もなく次のように答えるだろう。

 「雲見」の旅に出たい!!

 行く先の希望もいろいろあるが、それは二の次である。ともかくいろんな雲に出会える「雲見」の旅である。いろんなところに出かけた「雲見」の旅のなかで、最も忘れることのできないうれしい旅があった。

●富士山五合目へ、「雲見」の旅!!(1)
●富士山五合目へ、「雲見」の旅!!(2) 

である。

▼その「雲見」の旅を思い出させてくれるようなうれしい本が出た!!
それが今回の【お薦め本】である

◆ 【お薦め本】『雲と出会える図鑑』(武田康男著 ベレ出版 2020.5.25)

実に面白い!!
 お薦めポイントはいっぱいありすぎて、またまたダラダラと語ってしまいそうだ。
 いつものように前もってポイントを無理やり3つにしぼっておく。

(1) 空の探検家・武田康男さんと一緒に「雲見」の旅をしている気分になる!!
(2) 雲と出会うための「秘技」のすべてがここにある!!
(3) 「雲見」のカガクを楽しめる!!

▼3つのポイントは重複し、深く関連しているが、少しだけ詳細に語ってみる。

(1) 空の探検家・武田康男さんと一緒に「雲見」の旅をしている気分になる!!
 武田さんの「雲見」の解説は、いつもわかりやすく説得力をもつものだった。
 それは、きっと武田さん自身が「雲見」の魅力を知り尽くしているからだろうと思っていた。
 「雲見」の魅力については、「はじめに」のなかで、次のように語っていた。

 空に生まれては消え、風に流されて、雨や雪をもたらす雲は、人類が生まれるずっと前から地球に存在し、雲の下で人間は進化してきました。私は雲を眺めると、そうした時間と空間のスケールを感じるのです。(同書P2より)

 1章「雲について」
 2章「身近に見られる雲」 
 で、「雲見」の基本的なことをマスターしてから、いよいよ3章「おもしろい雲を探す旅」から、最高の案内人と一緒の「雲見」の旅がはじまるのだった。
 春・夏・秋・冬の「雲見」の旅が用意されている。!!
 8章「海外の雲」では、アラスカや南極への「雲見」の旅までつれて行ってもらえる。
 使われている写真はすべて武田さん自身が出かけて行き撮ったとっておきの写真ばかりである。
だからこそ、リアルで説得力をもつ。
 ワクワクと感動の伝わってくる文体もいい。
 どこから開いても、最高の案内人と一緒に「雲見」を楽しんでいる気分になるのである。

(2) 雲と出会うための「秘技」のすべてがここにある!!
 本のタイトルからいけば、これこそが本意なのかもしれない。

 いつも驚き感動することがある。
 今朝は栃木におられたのではと思ったら、昼には東京で仕事をされていた。
 飛行機で九州まで飛ばれたと思ったら、夕方には千葉に戻っておられる。
 そんなことがしょっちゅうだった。
 驚くべき行動力である。それは国内にかぎらなかった。地球上ならいつでもどこでも出かけて行かれた。
 まさに「空の探検家」であった。
 そうして誰よりもたくさんの雲を見てきた武田さんだからこそ語れる「雲と出会える」のための「秘技」があった。
 それを、この本ではおしみなく公開されていた。

 雲の写真は、レア度を3段階に分けて載せてあった。
・レア度 低 …年に何度か出会える 
・レア度 中 …年に1度くらい出会える
・レア度 高 …10年に1度くらい出会える
 という具合だ。
 レア度「中」「高」とあるとついつい冒険心、探検心をくすぐられてくるのだった。
 そして、これが最高のウリだ!!
 どの雲についても「雲との出会い方」が記してあった!!
この「雲」に出会うための「秘技」、具体的のノウハウのすべて、観察のための心得等が書いてあった!!

 さすがだと思ったことがいくつもある。
・「下見」をしておいて、「予想」をもって観察する。 
・メインの写真だけでなく、「その前」のあるいは「その後」の写真が掲載されている。
・同時刻の写真でも見る方向・角度を変えた写真もある。
(これは実にスバラシイ試みだ!!、その雲に出会える前の写真があることで、そのタイミングを知ることができる。またその後の変化を知ることで、どんな変化の一コマかを知ることができるのである。)

 これぞ、「ひとりでも多くの人に、この雲と出会って欲しい!!」という著者の願い・本意の現れである。

▼最後の3つ目のポイントにいく。

(3) 「雲見」のカガクを楽しめる!!
 メインの写真については、必ず
 「なぜ、その雲がみられるのか?」
 「どんなときに、その雲がみられるのか?」
 等について、わかりやすく「カガク」的解説がついていた。
それがとてもわかりやすいのである。
 けっして難解な専門用語を使うわけでもなく、誰が読んでもわかる用語を使って「カガク」的分析がしてあるのだ。
 だから誰もが納得できるのだった。
 
 「カガク」だからこそ、私にもきっと「出会える」はずと思えてくるのだった!!
 「雲見」しながら、たくさんの「カガク」が学べるのだ!!
 
 この本を読んで、次なる「雲見」の旅の準備しておきたいものだ!!
 さあ…!!

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【お薦め本】『教科書に掲載された 寺田寅彦作品を読む』(山田功著 リーブル出版)

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▼2012年4月にはじめたオンライン「寅の日」は、9年目の歩みに入ってはや一ヶ月がすぎた。
  一度も休むことなく、昨日(2020/04/29)で第252回目であった。
 この間に読んだ寺田寅彦の随筆はついに100編に達した。
 はじめた当初は「面白くなくなったら、すぐやめよう」と思っていた。
 ところが、読む度に 益々面白くなっていった。
 寅彦が亡くなってからでも、はや85年もの歳月が過ぎていた。
 ところが読む度に驚いたことがある。
 どの随筆もが、たった今書かれたように新鮮で今日的だった!!
 そして、なにより面白かった!!

 

▼ 元々「にわか寅彦ファン」だった私は、やっとここまで来て寅彦の随筆の面白さを少し人に語れるところまできたかも知れないと自負していた。
 そんな勝手な思いをうちのめされるような本に出会った!!
 この本が「寅彦のほんとうの面白さはそんなものでない。まだまだあるよ…」と教えてくれているようだった。
 正直言ってちょっとショックだったが、それ以上にうれしかった。
 その本が、今回の【お薦め本】だ。

 

【お薦め本】『教科書に掲載された 寺田寅彦作品を読む』(山田功著 リーブル出版 2020.4.15)
             (※「寺田寅彦記念館友の会」に連絡すれば入手可能!!)

 著者はいつもお世話になっている「寺田寅彦記念館友の会」の副会長の山田功先生だ。
「にわか寅彦ファン」の私は「友の会」のみなさんにはこれまでずっとたくさん教えられてきたが、今回のこの本にもいっぱいはじめて知ることがあった!!
 お薦めポイントもいっぱいあるが、いつものように3つにしぼる。

(1)学生にもどって、寅彦作品を深く味わうことができる!!

(2)寅彦作品教科書掲載の歴史がわかる!!

(3)寅彦作品のバックグラウンドを知り、より楽しく読める!!

 

▼では3つのポイント少しだけ詳しく。

(1)学生にもどって、寅彦作品を深く味わうことができる!!

 私の記憶が正しければ、私が最初に出会った寅彦の作品は現代国語の教科書に掲載された「茶わんの湯」だったと思う。(昭和40年代前半、半世紀以上前の話)
 変な話だが、内容よりも肖像画(写真?)をよくおぼえている。今から思えば切手になった「あれ」だったと思う。
 もう今は、教科書では出会えないようだ。残念である。
 この本では、5つの作品に再会できる。アリガタイ!!

・「新星」
・「凌霄花」
・「森の絵」
・「藤の実」
・「たぬきの腹つづみ」(ローマ字)

 うれしいことに、教科書に記載された当時と同じように

○(注)があり読み方、詳しい説明がある!!
○ 段落にわけてあり、著者のくわしい解説がある!!それがスバラシイ\(^O^)/
○ 当時のままの本文前の解説では、「取り上げのねらい」などが記載されている。
○ 「学習の手引き」までついている!!
 うれしいかぎりである!!

 ダカラ

 だから私たちは、学生にもどった気分になって、時空を越えて寅彦の作品に再会できるのである。

 これ以上語れば「蛇足」になると思いながらも語らずにおれない。
○ 段落にわけてあり、著者のくわしい解説がある!!それがスバラシイ\(^O^)/
 これが本書を最高に魅力的なものにしている。 
 少しだけ例をあげさせてもらう。

「森の絵」についてである。

 さてこの絵を寅彦は、とても大切にしてきたが今はない。作者も分からないとある。果たして実際の絵はどんなふうに描かれているのだろうか。バルビゾン派の画家かも知れないと思い、ミレーやコローの画集を開いてみたし、関連の展覧会にも出掛けたが、それだと思われる作品には出会わなかった。ならば、この文章から「森の絵」を再現したらどうだろかと考えた。残念ながら画才のない私にはできない仕事である。そこで、岐阜県在住の風景画家森本彰氏にお願いをした。このやっかいな願いを画家は、快く引き受けてくださった。それが、ここに掲載した絵である。文章を丹念に読み取り、「森の絵」を再現してくださったのである。この絵を見ていると、言葉では言い尽くせなかった森全体の雰囲気が漂ってくるのである。(同書 p82より)

 なんというこだわりだ!!単なる通り一遍の「解説」ではないのだ。

 もうひとつだけ例をあげさせてもらおう。

「藤の実」にあった。

藤の実がはぜたときの音とは、いったいどんな音だろうか。私も確かめたくなった。ある年の十一月中頃、藤の実を捜すことにした。大きな公園の藤棚を見に行くと、手入れがされていて藤の実はない。近くの家に藤棚があることを思い出し出かけた。幸い、いくつかの藤の実が残っていた。それを貰い、部屋にひもを張りつるした。十二月中頃、部屋で本を読んでいると、突然「びしっ」と乾いた短い音がし、藤の実がはぜた。その時、体がピクリと緊張した。そしてタネは部屋のドアに当たり床に落ちた。これが寅彦が体験した藤の実のはぜる音なのかと納得したのである。それだけのことだが、作品「藤の実」がぐっと自分に近づき、いっそう深い関心が持てたのである。(同書 p105より)

 これは、ほんのさわりにすぎない。このようにに深い読み解きがつづくのである。
これらによって、

 私たちは、寅彦の作品に再会するだけでなく、深く味わうことができるのである。 

 もう一度、言おう アリガタイ!!

 

(2)寅彦作品教科書掲載の歴史がわかる!!

この本は、寺田寅彦研究においても貴重な一冊である。
著者の長年にわたる調査研究によってまとめられた報告があがっている。
【教科書に掲載された寅彦作品の一覧】が表にまとめられていた。
■大正時代
■昭和初期(第二次世界大戦前まで)
■昭和戦後時代
と分けて「掲載年」「作品名」「掲載冊数」「備考」が記載されていた。
なんと多くの寅彦の作品が掲載されていたのだろう!!
感激することしきりである。
これを見ていると、いかに寅彦の作品が時代を超えて読み継がれてきたかがわかる。

なぜ、寺田寅彦だったのだろう!?

著者のコトバをかりよう。

寅彦の言葉に「ねえ君、不思議だと思いませんか」というのがある。すべての科学の始まりはここにある。この不思議を解き明かしてゆくことが科学である。そんなことを寅彦の随筆を通して、学んでいくのである。(同書p21より)

▼最後に行こう。

(3)寅彦作品のバックグラウンドを知り、より楽しく読める!!

 ここも著者のコトバをかりよう。 

 寅彦の作品のアンソロジーは多々出版されているが、丁寧な解説を加えた本は少ない。自由に読めばよいのであるが、できる限りの調査をし、作品に直接表れていない背景を紹介して、それをもとに作品を読んでもらったらどうかと考えた。それは遅々として進まぬ仕事であったが、ようやく代表的五作品をここに紹介することができた。
 寺田寅彦の作品を学校で学んだ方も、学ばなかった方もこれをきっかけに、寺田寅彦随筆集を手に取ってくだされば、著者の喜びとするところである。(同書p142より)

 著者の意図はみごとに成功している!!
 この本を読んで、これからのオンライン「寅の日」が益々楽しみになってきた。
 著者の手法を学ぶこともかねて、6月・7月のオンライン「寅の日」では、ここに取り上げられた五作品を読むこととしたい。
 詳細については後日案内させてもらう。

 オンライン「寅の日」参加者はぜひご一読を!!
 もちろんそれだけでない寅彦に興味のあるすべての人に!!
 とりわけ現役の「学生」さんにもお薦めである!!

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【お薦め本】『鳥の目・虫の目・子どもの目』(酒井 浩著 無明舎出版)

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 自然は 最高の教科書!!
 子どもは 最高の指導書!!

 理科教育の先達からの貴重な教えだった。
 現場で授業に困ったら思い出した。教えはいつも「有効」だった!!
 「やっぱりそうだつたのか」と実感をともなって納得することも一度や二度ではなかった。
 それは、言わば理科教師にとって「不易」の教えでもあった。

▼現場を離れて久しくなろうとしていた。
 この春、この教えを「やっぱりそうだったのか」と思い出させてくれるうれしい本に出会った。
 著者はネットでいつもお世話になっている酒井浩さんだ。


◆ 【お薦め本】『鳥の目・虫の目・子どもの目-ヒロちゃんの子育て自然観察ガイド-』(酒井 浩著 無明舎出版 2020.4.10)


 あまりに面白かったので一気に読んでしまった!!
 お薦めポイントはありすぎるほどいっぱいある。ひとつひとつあげていけばきりがない。
 いつものように、あえて3つにしぼっておく。
 勝手に自分の文脈にひきつけ過ぎの感もあるが…。

(1)「自然は最高の教科書!!」を具体例をあげながら熱く語ってくれている。
(2)「子どもの目」を通しての自然観察の面白さを教えてくれている。 
(3)最高の「子育て自然観察ガイド」ブック!!

▼ここからはポイントひとつずつについて

(1)「自然は最高の教科書!!」を具体例をあげながら熱く語ってくれている。
 少し著者自身のコトバにかえてみよう。

 自然の中には、子育てのヒントとなるものがたくさん隠されています。具体的な一つ一つの自然が私たちに様々な姿で「子の育ち」にとって大切なことを教えてくれます。まさに「自然は先生」なのです。
 本書では、本格的な「子育て論」とまではいかないものの、野山で育つ生き物たちや子どもたちの具体的な姿を紹介していくことで、「ヒトの育ち」にとって大切なことは何か、お伝えできたらと思います。(同書p4より) 

 ここで感動したことがあります。
 私が、「自然は最高の教科書!!」というとき、射程内に入っているは授業・学習のことどまりです。でも著者はそこまででとどまらず、「子の育ち」「ヒトの育ち」まで射程内に入れてきます。さすがです!!
 さらに驚くのは、この本では一貫してこの姿勢が貫かれています。
例えばこうだ。

わずか半年だが、カンムリカイツブリには大切な子育ての原理が詰まっているように思えた。
 子育てを半年で終えるようにカンムリカイツブリの一生は、私たち人間と比べて圧倒的に短い。はっきりとしたことはわかっていないが、一説には10数年だという。
 それだけに、生きていくうえで大切なことが凝縮されていたと思えてしょうがない。(同書p41より)


(2)「子どもの目」を通しての自然観察の面白さを教えてくれている。

「葉っぱが風で小鳥のように飛んでいる!」(同書p102より)
 この子どものみずみずしい感性に感動する著者は、これまた徹底して「子どもの目」にこだわっていきます。

 子どもの目線というのは、大人と違って低い位置にある
 大人が1.5~1.8メートルならば、子どもは0.7~1.3メートルぐらいだろうか。
 子どもが様々な発見ができたのは、その低い目線の位置にもよるだろう。それだけに、子どもの目線から教えられることは多い。
 しかし、それ以上に子どもの何物にもとらわれないまっすぐな目やそれを支える感性が大人も驚くほどの発見につながっているに違いない。(同書p52より)

 ここにこそ、「子どもは最高の指導書!!」にツナガル信念がある。

▼最後にいこう。
(3)最高の「子育て自然観察ガイド」ブック!!
 本のタイトルを単なる「自然観察ガイド」とせずに「子育て自然観察ガイド」としたところに、大いなる著者の主張があるのだろう。
 この意図は、みごとに成功している!!
 類書にみられないすばらしい取り組みの数々!!
 
3 森の子どもたち
4 子どもと楽しみたい自然

 には、実際に自分でも「自然観察会」をやってみたいと思っている人にはとても役立つヒントが満載だ!!
 なかでも著者のお薦めは「親子自然観察会」である。

 私は、現職時代から「親子」での自然観察会にこだわってきたが、子育てには最高のシーンであると考えている。
 もし、私に小さな子どもがいたら、わずかな時間でかまわないから親子で野山や公園を歩いてみたいものだ。
 そのことの繰り返しがどれだけ子どもの心や体の成長につながることか、年を重ねれば重ねるほど痛感するのだ。

 

 「親子自然観察会」は、一過性のイベントであってはならないと思う。
 この観察会をきっかけにして、親子でのコミュニケーションを図るだけでなく親子で自然に触れることの大切さを感じてほしいと願っている。(同書p80~81より) 

 他にも面白そうな具体的取り組みがいっぱい紹介されている。
 私が特に気に入ったのは
○歌って楽しむ自然観察「繭の抜け殻3兄弟」(同書p85より)
だ。
 そう言えば、オンラインで著者にヤママユガの抜け殻のことで教えてもらったことがあったような。その節はありがとうございました。
 
 「自然観察会」に興味があっても、実際に自分でやってみようと思ったら、はじめの一歩は誰しもちょっと躊躇してしまう。
「親子自然観察会」でも同様だろう。
 そんなとき、とっても参考になることが書かれていた。 
失礼だが、項目だけ引用させてもらう。くわしくは、ぜひ本書を手にとって読んでみてください。
 
  ○ 子どもとどう関わったらよいの? (同書p93より)

 ① 教えようと思わずむしろ子どもと一緒に遊ぶ気持ちで
 ② 問いかけと実物を説明の推進力にする
 ③ 大人にとってやっかいなものが子どもの遊び道具になる。

 

 最後にもうひとつだけふれておきたいことがある。
 すばらしい「写真集」が記載されていることだ。
 まず「写真集」を、そして本文を読んでからまたこの「写真集」を!!
 一枚一枚の写真が「物語」を語りはじめる!!

 私のお気に入りベスト3は
「落葉を使って首飾り」
「草笛に挑戦する2歳児」
「小学校の教室で3・2・1の合図で種子模型を飛ばす」

 さあ、こんな時期だからこそあまり人の集まっていない近くの野山で著者お薦めの「親子自然観察会」を楽しもう!!

 

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【お薦め本】『ニュートン式超図解 最強に面白い!! 天気』(荒木健太郎 監修 ニュートンプレス)

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▼私は今、長いあいだ構想してきたWebテキスト『天気の変化』がどこまで進んだかをふりかえる作業を続けている。
Webテキスト試案『「雲見」を楽しもう!!』
Webテキスト試案「アメダス」
 次にWebテキスト試案「高層天気図」に向かおうとしているところだ。
 「ふりだし」にもどって考えていると、益々この「天気」のことが不思議で面白く思えてきているところだ。
 天井までせいぜい10数㎞の「大気の物理学実験室」のなかですべてが起こっていた。
 日々刻々と変化する「天気」!!
 そこにどんなルールがあるのだろう!?
 私にも明日の「天気」がわかるようになるだろうか!?
 どこまでも興味は尽きない!!
▼そんなとき、一冊のテキストに出会った。
 タイトルもズバリの本だった。

◆ 【お薦め本】『ニュートン式超図解 最強に面白い!! 天気』(荒木健太郎 監修 ニュートンプレス 2020.03.10)

 あらためて「天気」の面白さに気づかされる一冊だ!!
 重なるところもあるが、いつものように【お薦め】ポイント3つをあげる。

(1)教科書よりわかりやすい超図解!!
(2)「天気」の基礎・応用はこの一冊でバッチリ!!
(3)子どもから大人まで楽しめる「天気学」最高テキスト!!

▼3つのポイントは重なっているところも多い。それも、また別の切り口でということで、ひとつひとつあげてみる。

(1)教科書よりわかりやすい超図解!!
 試しに中学校理科の教科書をあけてみた。
 「雲はどのようにしできるのか」
 ・雲のでき方
 ・雨や図のでき方
たしかにそれについての説明があった。図もあった。
 しかし、この本のように過不足なく的を射たものになっていなかった。
 この本のすごいと思ったところは、誰もがいだくであろう「天気」の「ふしぎ!?」にズバリ答えるものとなっていた。
 それは、小見出しのタイトルだけ見てもわかる!!
 「直径0.01ミリメートルの水や氷の粒が雲の正体」(同書p10より)
 「雲粒が合体して、100万倍の大きさの雨粒ができる」(同書p12より)
 これに呼応して、超図解もそこに焦点をあてていた!!オミゴト!!

 他の箇所でも同様である。
 初学者がどんなことをを不思議に思い、なにに感動するかを心得た編集だ。

(2)「天気」の基礎・応用はこの一冊でバッチリ!!
 私は「天気の変化」は究極2つのルールでいけると思っていた。
 2つのルールとは
「上がるとザアザア 下がるとカラカラ」
「光は東から 天気は西から」
である。
 1.雲と雨のしくみ
 2.日本の天気は気圧と風で決まる
では、その「基礎」が徹底して語られていた。これまでのこの種の本ではここまでのことが多かった。
 しかし、この本はそこだけにとどまらなかった。

 私には
3.海と大気がつくる世界の気候
 がとても新鮮で興味深かった。読みながらひとり何度もつぶやいた!!
 「おおっ!! ここでも上がるとザアザア 下がるとカラカラは使えるゾ」

4.スーパー台風と集中豪雨
 においても2つのルールが応用できるのがうれしかった!!
 5.天気予報のしくみ
  一貫して防災・減災の視点にたった解説がすばらしい。

▼もう最後にしよう。

(3)子どもから大人まで楽しめる「天気学」最高テキスト!!
 これは小さなことかも知れないが、この本のコンセプトに関わる重要なことのようにも思われた。
 例えば
 「氷晶」(ひょうしょう)、「雲凝結核(くもぎょうけつかく)」「過冷却(かれいきゃく)」「沿岸湧昇(えんがんゆうしょう)」「赤道湧昇(せきどうゆうしょう)」等々使い慣れている人にとってはアタリマエのコトバ。
 ところがはじめて学ぶ人間にはひとつのハードルであったりする。
 そこで、それらのコトバの初出には「ふりがな」がつけてあった。これがけっこうアリガタイ!!

 そのことひとつとりあげてもわかる!!
 子どもから大人まで楽しめる「天気学」最高テキストになっている。
 TVの横にでも置いておき、「天気予報」見ていて、「あれっ、どういうことだったかな ?(゜_。)?(。_゜)?」
 と思ったら開いてみるのに最適だ!!
 超図解だから一目でわかる!!

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【お薦め本】『いたずら博士の科学教室 磁石の魅力』(板倉 聖宣著 仮説社)

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▼新年明けてから夢中になって読んでいる本があった。
 それは今ここで連載を続けている「今さらですが、「磁石」って!?」シリーズと関係していた。
 いつも【お薦め本】であげてきたような新刊ものではなかった。 
 本棚の隅からひっぱりだしてきた古い古い本だ!!
 およそ40年も前に出された本だ。
 なのに読めば読むほど新鮮だ!!
 「へえーこんなこと書いてあったのか!?」と。
 読んだはずなんだけど、「新発見」と「感動」の連続だ!!
▼題名を紹介しよう。

◆【お薦め本】『いたずら博士の科学教室 磁石の魅力』(板倉 聖宣著 仮説社 1980.2.5)

今は手に入るのだろうか?
 検索かけてみたら、古書、オンデマンドで読むことできるようだ。
 『科学的とはどういうことか』(板倉聖宣著 仮説社 1977.4.25)とならぶ名著中の名著だ。
 はじめて読んだ頃も、今と同じように「磁石」にはまっていた。
 書き始めると話がいろんなところに拡散してしまいそうだ。
 いつものように3つのお薦めポイントを先にあげておこう。

(1) 「磁石」の「ふしぎ!?」のすべてがここにある!!

(2) 「磁石」のことを楽しみながら学べる!!

(3) 「磁石」の授業づくりのヒントがここにある!!

▼さてひとつずついこう。

(1) 「磁石」の「ふしぎ!?」のすべてがここにある!!

この本はこんな書き出しからはじまります。

 必ずしも科学好きでない人々にも科学を親しんでもらうためには、どんな話題をとりあげたらよいか-そう考えたとき私が一番よさそうに思えたのは磁石の話でした。  じっさい、磁石は不思議です。電気となるとピリッとくるから「おそろしい」という人が少なくありませんが、磁石ならそんなことありません。科学にあまり親しみをおぼえない人たちでも、磁石を手にとるとけっこうたのしめます。(同書「はしがき」p1より)

 この事情は40年経った今も同じでしょう。
 さらに著者は、次にこうまで言い切っていました。
 

 ところが、不思議なことに、これまで磁石だけのことについてのたのしい歴史物語や、やさしい実験について書いた本はまったくといっていいほど出版されていません。
 「そういう本があったら、だれだってもっともっともっと磁石をいじったり、磁石についての空想と科学をたのしめるようになるだろうに」私は長い間そう考えていました。そしてとうとう自分で、こんな本を書いてことになりました。(同書「はしがき」p1より)

 事実、私自身この本にずいぶんお世話になってきました。
 先に話題にした「磁石石」(同書p184)、「柵原鉱山の磁鉄鉱」(同書p152)等のことも元々はここに出ていたんですね。 
 特に第三部「磁石と人間の年代記」の「年表」は今もとても参考になります。
「磁石」に関する等身大の「ふしぎ!?」のすべてがここにあります。

▼次にいこう。
 
(2) 「磁石」のことを楽しみながら学べる!!

 またまた引用からはじめよう。

 近ごろは、強力な磁石が私たちの日用品のなかにも広くとりいれられるようになりました(たとえば、スチール黒板やスチール家具にピタッとすいつくマグネツト鋲があります)。そこで私たちは、あらためて磁石の不思議な性質をじかにたのしむことができるようになっています。  私など、よく人々の集まっているいるところへいろいろな磁石を持っていくのですが、すると、老若男女を問わず、みんなその磁石をいじくりまわして、飽くことを知らないかのごとくになります。みんな子どもにかえったようになって遊ぶのです。  おとながこんな夢中になつて不思議がって遊ぶものは、ほかにあまりないのではないでしょうか。(同書p10より)

 それから40年です!! 
 いや、最初に書かれたときから言えば45年です。
 今は100円ショップで「あこがれだった」超強力磁石も簡単に手に入ります。
 より進化した「磁石」あそびが考えられるのではないでしょうか?

 そんなとき、この本はとても参考になると思います。
 この本ではストレートに磁石不思議物語を語るだけでなく、可能な限り自分で予想を立て、実験をする。
 というスタンスを貫きながら、「磁石」のことを楽しみながら学ぶことができるようになっているのです。
 アリガタイ!!
 
最後です。
(3) 「磁石」の授業づくりのヒントがここにある!! 

 お薦めポイントの本命はここかも知れません!!
 「磁石」の不思議は時代を超えて「不易」です!!
 しかし、時代は進みます。
 「流行」意識しない教材は新鮮な「驚き」「感動」を失います。
 「磁石」教材の「不易流行」の原点はここにあります!! 

 「これから」の「磁石」授業のヒントは必ずここにあります。


 最後の最後にもうひとつだけ引用させてもらいます。 
 

 新しく発見された事実は、そのことに関心をもつている人々をもとめて、つぎつぎと伝わっていきます。私たちは、多くの人々に自分自身の興味のありかを知らせておくと、自分自身で新発見しなくとも、多くの人々から多くの新発見をすばやく知らせてもらえるようになるのです。私はそういう連絡網が自然にできあがっていることを知って、とてもうれしかったのです。科学に興味をもっているアマチュアもけっして孤立していないのです。(同書p180より)

 さすがです!!
 これは今も、いやネツト時代の今こそ有効です!!
 
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【私の読んだ本・ベスト13】2019!!

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▼これまた恒例化してきた【私の読んだ本・ベスト○○】をリストアップしてみる。
 リストアップするのは、2019年一年間に【お薦め本】としてあげたもの13冊である。
 順番はあくまでここのblogに書き込んだ順番である。

 では、はじめる!!

【その1】【お薦め本】『「ロウソクの科学」が教えてくれること』(尾嶋好美/編訳 白川英樹/監修 サイエンス・アイ新書)
 不思議なことだ。2019年を象徴するような一冊となった。
 「ロウソクの科学」にはじまり、「ロウソクの科学」に終わる一年だった!!


【その2】【お薦め本】『気象予報と防災ー予報官の道』(永澤義嗣著 中公新書)
 これまた2019年にとって意義深い一冊となった!!
 今一度、読み返しておきたい本だ。


【その3】【お薦め本】『世界は変形菌でいっぱいだ』(増井真那著 朝日出版社 )
 この本を【お薦め本】にあげることにより、私のヒューマンネットワークは大きく拡がった。
 やっぱり「研究」は面白い!!を再認識させてくれた一冊だ。


【その4】【お薦め本】ヒガンバナ(曼珠沙華)と日本人 ~日本人の曼珠沙華との交流~( 樽本 勲 著MyISBN - デザインエッグ社)
 実はこの論文を本になる前から、栗田子郎先生に薦められて読んでいた。
 あらためて本になって読んでみると、益々面白かった!!独自の立場からの「ヒガンバナ研究」最前線だ!!


【その5】【お薦め本】『実験で楽しむ宮沢賢治 銀河鉄道の夜』(四ヶ浦弘著 HISA・勝山陽子絵 金沢・金の科学館)
 ファラデーラボでのあのすばらしいレクチャーをまざまざと思い出させてくれる一冊だ!!


【その6】【お薦め本】『科学絵本 茶わんの湯』(文:寺田寅彦 解説:髙木隆司/川島禎子 絵:髙橋昌子 窮理舎)
 「寅彦」ファン必読の科学絵本!!『茶わんの湯』のすべてがわかる本である!!


【その7】【お薦め本】『青の物理学』(ピーター・ペジック 著 , 青木 薫 訳 岩波書店)
 「目から鱗」とはこんなこと!!
 青空と原子論的物質観がツナガッテイタとは!!私はほんとうにわかっていたのだろうか!?


【その8】【お薦め本】『理科ハウス図録』(世界一小さな科学館 理科ハウス著 ) #理科ハウス
 理科ハウス10年の歩みすべてがわかる!!理科ハウスの魅力満載!!
 まだ読んでいない人は、今すぐぜひ!!


【その9】【お薦め本】『クマムシ調査隊、南極を行く!』 (鈴木 忠 著 岩波ジュニア新書 )
 クマムシファン必読の書!!
 「研究」ってこんなに面白い!!をわかりやすく伝えてくれている。


【その10】【お薦め本】『めんそーれ!化学 おばあと学んだ理科授業』(盛口 満著 岩波ジュニア新書)
 我らがゲッチョ先生の化学授業実践報告だ!!
 こんな面白い授業実践報告を読むのは久しぶりだった!!面白いだけではない。
 「化学」ってどんな学問!? あらためて考えさせられる本だ。


【その11】【お薦め本】『今の空から天気を予想できる本』(武田康男著 緑書房)
 空のことを知りつくした「空の探検家」武田康男さん本だ。
 題名の通りきわめて具体的に役に立つほんである。読む本と言うより、「雲見」のそばに置いておき使う本だ!!
 自分でも空に矢印書き込んでみたくなる。


【その12】【お薦め本】『アオバナと青花紙』(阪本寧男・落合雪野著 サンライズ出版)
 33年ぶりにやっと思いをはたし、草津の「アオバナ」に出会った。
 そのとき出会った本がこれだった。
 「アオバナ」「青花紙」のすべてがわかる本だ!!


【その13】【お薦め本】『ヒガンバナの博物誌』(栗田子郎著 研成社) #ヒガンバナ
 今さら紹介するまでもない名著中の名著だ!!
 ヒガンバナ研究の第一人者 栗田子郎先生の著書である。ヒガンバナ研究の「これまで」のすべてがここに書かれていた。
 2019年は日本のヒガンバナ研究にとって哀しい残念な年になってしまった。
 2019.8.22栗田先生は逝ってしまわれた。
 追悼のつもりで【お薦め本】を書き始めたが… まだまだ…。


 さあ、来年2020年はどんな本に出会うだろう。

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【お薦め本】『ヒガンバナの博物誌』(栗田子郎著 研成社) #ヒガンバナ

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▼それからちょうど一ヶ月が経った!!
 こう書き始めながらも迷っていた。書けばそれを事実として認めることになってしまう。
 何処かで「間違いかも知れない」という部分を残したい気持ちがあるからである。しかし…

 私のヒガンバナ研究の師・栗田子郎先生が、今年の8月22日に亡くなられた!!

 はじめて知ったのは、9/1自分のWebページを更新しているときだった。表紙に先生の「野の花便り」をリンクさせてもらっていた。
 日記風エッセイでとてもきれいな写真とともに各季節の植物が紹介してあった。ずいぶん勉強になりいつも楽しませてもらってきていた。
 そこが「リンク切れ」になってしまうのだった。ネットで調べて訃報の情報を知った。
 まだ信じられなかった。
 関係各位へ電話をして確認してみた。訃報の情報はほんとうらしかった。
 まだ信じたくなかった。
 いたたまれず 9/3、私は始発列車にのり静岡のご自宅にむかった!!
▼栗田子郎先生には、ヒガンバナ研究のことでずいぶんとお世話になっていた。
 特に、実生ヒガンバナ実験については、メールやblogのコメントでアドバイスをもらっていた。アリガタイ!!
 それだけでない。栗田先生をほんとうに尊敬するのは次のことがあるからだ。
 『進化生物学入門~宇宙発生からヒト誕生への137億年~』(栗田子郎著 講談社学術文庫 2013.4.10)の「まえがき」にすごく気に入った文章があった。
 よくいろんな場面でも引用させてもらってきた。少し長くなるが今一度、引用させてもらう。

 ホモ・サピエンス(Homo sapiens 賢い者)と自らを名付けた我々「ヒト」も「チンパンジーとの遺伝的差はほとんどない」 としながらも、二つの大きな特徴があると書かれている。

 しかしヒトという種にはほかのどんな生物にもない(と思われている)きわだった特徴が一つあります。自分自身の由来、ひいては万物のルーツを知りたがるとともに、まだ存在しない未来に思いを馳せるという性質です。チャールズ・ダーウィンが『種の起源』を著し進化論を説いたのもこの衝動に駆られたからでしょう。(中略)  いま一つのヒトの特徴は、細胞外で複製・増殖することのできる遺伝因子、つまり言語(言葉、文字)と映像を操る能力です。生きとし生けるものはすべて、自らを存在させているプリン塩基とピリミジン塩基で記された基礎情報(遺伝子)を次の世代へ残そうとします。ヒトも例外ではありません。しかし、この情報は時間軸に沿って垂直にしか伝わりません。ところが言語や映像という形の情報は水平方向にも伝わります。しかも、細胞核内に収められた情報は親から子へと伝わるのみで、その逆は不可能です。言語情報はこれが可能です。この第二のヒトの特徴が、私をしてこのようなテキストを綴らせたようです。(『進化生物学入門』「まえがき」p11より)

なんと示唆的であろう。
栗田先生がほんとうにすごい思うのは、<水平方向>に情報を伝えることに自らもひじょうに積極的であったことである!!
これまでの自分の研究成果をHP・Webページをつくられ誰でもいつでも見られるように公開されていた。
深謝!!
▼10年ほど前に、栗田先生から驚くべきことを連絡をいただいた。 
 先生の書かれたあの名著『ヒガンバナ博物誌』を画像も増補してWebで読めるようにしたのでということだった。
 うれしかった!!
 あまりうれしかったので、ヒガンバナに少しでも興味ある人をみつけたら、このWebページを紹介しまくった。
 残念ながらこのページは今のところ見れなくなってしまった。
 あらためて、静岡に向かう列車のなかでもこの名著『ヒガンバナの博物誌』を読んでみた!!
 やっぱり名著中の名著だ!!
 この機会にあらためて【お薦め本】にあげておこうと決めた。

◆【お薦め本】『ヒガンバナの博物誌』(栗田子郎著 研成社 1998.9.1)

▼いつもようにお薦めポイント3つをあげてみる。どうも同じことの繰り返しになるが…
(1)「 ヒガンバナ」のすべてがここにある!!
 「もくじ」をあげてみよう。

プロローグ ~花と人類~
1 ヒガンバナと出会う
2 図鑑の中のヒガンバナ
3 なぜか気になる人里植物
4 魅せられた人々
5 花は咲けども
6 種子から生まれたヒガンバナ
7 故郷をもとめて
8 ヒガンバナ渡来再考
9 ヒガンバナ類の起源の地
エピローグ ~さまざまな出会い~
あとがき
参考図書

 「ヒガンバナ」に関することはすべてが語られていた。
 「4 魅せられた人々」などはほんとうに面白い。植物「ヒガンバナ」に話はとどまらない!!


(2)「ヒガンバナ」研究のバイブルだ!!

 1998.9.1以降に書かれた「ヒガンバナ」研究に関する論文、研究報告、文献を見れば驚くだろう。
 必ず参考文献の第一にこの本があがっているのである。
 つまり、1998年以降の「ヒガンバナ」研究はここからはじまっているのである!!


(3) 参考図書は必見だ!!

 1998年以前の「ヒガンバナ」研究に関する参考文献のすべてがこの本の「参考図書」にある。
 これはとてもアリガタイ!!

 この名著中の名著!!手元にない人、今ならまだ手に入りますよ!!
 「ヒガンバナ」ファン必読書!!ぜひぜひ…

 追悼の意味を込めて書き始めた文章だったが、やっぱり哀しい!!
 淋しい!! 合掌。 
 

 

 

 

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【お薦め本】『アオバナと青花紙』(阪本寧男・落合雪野著 サンライズ出版)

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▼そもそものはじまりは、33年前の「紅花を追って」の旅で京都「古代友禅苑」を訪ねたときだった。
 そこで、私は実際に友禅染めの下絵を描いておられる職人さんに「青花紙」を見せてもらい、「アオバナ」=「オオボウシバナ」のことを教えられたのだった。いつかは草津に行ってこの目で「アオバナ」の咲くのを確かめたいと思っていた。
 そして、ついにこの夏の終り草津に旅をしたのである。

•草津「あおばな」を追って(1) #あおばな #青花 #オオボウシバナ 

•草津「あおばな」を追って(2) #あおばな #青花 #オオボウシバナ

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▼この旅で「草津宿街道交流館」を訪ねたとき、学芸員の方に「アオバナ」「青花紙」に関する唯一無二の本と紹介してもらった本が、今回の【お薦め本】である。

◆【お薦め本】『アオバナと青花紙』(阪本寧男・落合雪野著 サンライズ出版 1998.9.20)


 その場でパラパラとめくってみた。なかなか面白そうだった!!
 それに読みやすそうだった。そんな貴重な本なら、手にいれられるうちにと帰るなりAmazonで発注した。
 手には入って、じっくり読んでみた。これが滅茶苦茶面白かった!!
 話がひろがってしまわないうちに、いつものようにお薦めポイント3つをあげておく。
(1) 「アオバナ」「青花紙」のすべてがわかる!!
(2) 調査・研究の姿勢に大いに学ぶべきものがある!!
(3)「常民の科学」再考のきっかけを与えてくれる!!
▼蛇足にならない程度に少し詳しく
(1) 「アオバナ」「青花紙」のすべてがわかる!!  学芸員の方がおっしゃった通りだった。
 すべてが書かれていた。わかりやすいように「目次」をあげてみる。

はじめに
第一章 アオバナとツユクサの植物学
第二章 アオバナと青花紙の歴史
第三章 アオバナの栽培
第四章 青花紙のできるまで
第五章 青花紙の販売ルート
第六章 青花紙の利用
まとめ
あとがき
主要参考文献

 これで「すべて」が出てくることがわかるだろう。さらに、その場でもコピーをしていただいのだが、資料としてあがっている図譜がとてもいい。繰りかえす!!
 この一冊で「アオバナ」「青花紙」のすべてがわかるのである。

(2) 調査・研究の姿勢に大いに学ぶべきものがある!!
 特に気に入った章がある。
第三章 アオバナの栽培
第四章 青花紙のできるまで
 である。ここは実際に今なお「アオバナ」を栽培し、「青花紙」をつくっておられる農家に入り込んでの現地ルポなんである。
 さらに、具体的な様子を多数の写真でよりリアルに「記録」されている。
 もっとも気に入ったのが、作業される農家さんは固有名詞で登場されるのである!!
 作業するのは農家さん誰かの手ではないのである。「○○さんの手」なのだ!!
 それがすごい説得力をもつことになるのである!!
 それにもうひとつ感動した説得力をもつものがあった。それは、作業の過程で使われているコトバを、そのまま「記録」していることである。
 「アオバナのキ」「カイ」「カッテバエ」
 「ハナツミ」「シル」「アラシボリ」「ナガス」「ツケル」「ネカス」等々
 全体として、農家さんの美しい青花紙づくりへのこだわりをみごとに伝えることになっている。
 根っこのところに、調査・研究をすすめる人の姿勢があるような気がした。
 大いに学びたいところである!!

▼最後にきわめて個人的感想のようなことをあげている。
(3)「常民の科学」再考のきっかけを与えてくれる!!
 「常民の科学」!!
 なんともなつかしさすらおぼえるコトバだ。草木染めにはまっていたころよくつかったコトバだ。
 もうひとつの「科学」が、人々の日々の暮らしや自然とつき合いながら営まれてきた「生産」と「労働」のなかにある!!
 それを名づけて「常民の科学」!!
 それを思い出させるような文章に出会った。

●青花紙の役目は『消えること』
 青花紙は友禅染や絞染の製作工程にかかせない材料として、いまでも確固たる地位を占めている。その理由は、下絵用絵具としてのきわめて優れた性質にある。
 アオバナ色素で描いた下絵は、そのままの状態で置いておきたいときは安定的に長い間消えないでいるのに、消したいときは霧を吹くか水につけるだけで簡単にしかもきれいに消えるという相反する特質を併せ持つ。
 このような性質を、人工的に合成された化学青花ですべて代用することは、今のところ不可能なのである。(同書p158より)

続けてこうも語られていた。

 滋賀県草津市では、いまでも農家の人たちによって毎年アオバナが栽培され、その花弁から青花紙が生産されている。できあがった青花紙は「束」という伝統的な単位で取引きされ、地元の仲買人を通じて日本各地へ出荷される。そして、友禅染や絞染といった日本を代表する華やかな染織文化の裏方としてその役目を果たす。つまりアオバナと青花紙は、滋賀県草津地方にしか存在しない貴重な文化財であるととらえることができるのである。(同書p159より)

 来年の夏には、もっと早い時期に「アオバナ」摘み、青花紙づくりの現場を訪ねたいものである。
 この一冊、今ならまだ間に合うかも!! 

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【お薦め本】『今の空から天気を予想できる本』(武田康男著 緑書房)

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▼ 台風一過の「雲見」もなかなか楽しいものだった!!
 「雲見」の究極のねらいのひとつとして
 防災・減災にツナガル「観天望気」のスキルを身につける!!
 というのがあった。
 昔の人の「観天望気」に技に大いに学びつつ、「雲見」から明日の天気を予想する技術を身につけたかった。
 それが理想であった!!
▼そのねらいにピッタリの本が出た!!
 著者は、このテーマに最もふさわしい空の探検家・武田康男さんだ。

◆【お薦め本】『今の空から天気を予想できる本』(武田康男著 緑書房 2019.08.10)

 さっそく手に入れ読んでみた!!
 これまでにないダイナミックな展開だ!! たいへん興味深い!!

 いつものようにお薦めポイント3つ先にあげておく。
(1) 空を見ながら、その場でレクチャーを受けている気分になる!!
(2) 実体験に基づく解説はわかりやすく説得力をもつ!!
(3) 必ず自分でも空を見ながら明日の天気を予想したくなる!!

▼ひとつずつ少しだけ詳細に。
(1) 空を見ながら、その場でレクチャーを受けている気分になる!!
 少し前になるが私は、富士山5合目で「雲見」のレクチャーを直接受けたことがある。
なんとわかりやすいのだろう!!
なんと説得力ある説明だろう!! 
 それにいたく感動してしまった。
 そのときのレクチャーを「本」というかたちで具現化したのが、これだと思った。
  こんな本ははじめてであった!!
 大胆にも「文字」「矢印」等が写真にダイレクトに書いてあった。
 そのダイナミックな展開が、妙に説得力を持っていた!!
 ここは著者自身の言葉を借りよう。

本書には、そんな天気を予想するための観察アドバイスをたくさん詰め込みました。あたかもその場で指を指して解説しているかのように、大きな写真に文字や矢印を直接書き入れ、見て欲しい場所を示し、そこにふさわしい説明を加えました。
 また、風で雲が絶えず変化していますから、風の流れもわかるように工夫しました。
 これは本書の大きな特色です。(同書p2「はじめに」より)

(2) 実体験に基づく解説はわかりやすく説得力をもつ!!
 空の探検家・武田康男さんのアクティブさにはいつも驚かされる。
「えっ!?いつの間に…」と思うことしばしばである。
興味深い<空>の情報があれば、日本中(いや世界中)どこでもいつでも駆けつける!!
そんな武田さんが長年にわたって撮りためてきた写真を使用しての説明だけに自ずとすごい説得力をもつ。
 単なる理屈だけではない、実際に武田さん自身が自分の目で確かめた「事実」があるのだ。
ここもまた著者の言葉を借りよう。

 このような空の観察方法は、私が数十年間、空を見続けて知ったことです。私の撮った写真に、私がわかったことを具体的に記したもので、その後の天気も、実際に起こったことが基になっています。(同書p2「はじめに」より)

▼ 最後にもっとも肝心なことをひとつ。
(3) 必ず自分でも空を見ながら明日の天気を予想したくなる!!
 この本は「読む」本というより、「見て使う」本だ!! 
 自分で「雲見」をしながら、明日の天気を予想するときに「見て使う」のである。  
 取り上げた<空>は89種
<雲から読む天気>44種の空
<光から読む天気>19種の空
<風から読む天気>13種の空
<季節から読む天気>13種の空
 レアな<空>を取り上げるだけでなく、むしろアタリマエの見慣れた<空>を取り上げてくれているがうれしい!!
 89種あれば似たような<空>は一応網羅していると言えよう。 
 しかし、あなたの暮らす地域独特の<空>もあるだろう。
 この本の真似をして、自分で撮った写真に、説明文、矢印などを書き加えて新しいページを加えれば、著者もすすめる『あなただけの天気の本』ができあがるだろう。
 ぜひ私も挑戦してみたいものだ!!

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