【お薦め本】『今の空から天気を予想できる本』(武田康男著 緑書房)

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▼ 台風一過の「雲見」もなかなか楽しいものだった!!
 「雲見」の究極のねらいのひとつとして
 防災・減災にツナガル「観天望気」のスキルを身につける!!
 というのがあった。
 昔の人の「観天望気」に技に大いに学びつつ、「雲見」から明日の天気を予想する技術を身につけたかった。
 それが理想であった!!
▼そのねらいにピッタリの本が出た!!
 著者は、このテーマに最もふさわしい空の探検家・武田康男さんだ。

◆【お薦め本】『今の空から天気を予想できる本』(武田康男著 緑書房 2019.08.10)

 さっそく手に入れ読んでみた!!
 これまでにないダイナミックな展開だ!! たいへん興味深い!!

 いつものようにお薦めポイント3つ先にあげておく。
(1) 空を見ながら、その場でレクチャーを受けている気分になる!!
(2) 実体験に基づく解説はわかりやすく説得力をもつ!!
(3) 必ず自分でも空を見ながら明日の天気を予想したくなる!!

▼ひとつずつ少しだけ詳細に。
(1) 空を見ながら、その場でレクチャーを受けている気分になる!!
 少し前になるが私は、富士山5合目で「雲見」のレクチャーを直接受けたことがある。
なんとわかりやすいのだろう!!
なんと説得力ある説明だろう!! 
 それにいたく感動してしまった。
 そのときのレクチャーを「本」というかたちで具現化したのが、これだと思った。
  こんな本ははじめてであった!!
 大胆にも「文字」「矢印」等が写真にダイレクトに書いてあった。
 そのダイナミックな展開が、妙に説得力を持っていた!!
 ここは著者自身の言葉を借りよう。

本書には、そんな天気を予想するための観察アドバイスをたくさん詰め込みました。あたかもその場で指を指して解説しているかのように、大きな写真に文字や矢印を直接書き入れ、見て欲しい場所を示し、そこにふさわしい説明を加えました。
 また、風で雲が絶えず変化していますから、風の流れもわかるように工夫しました。
 これは本書の大きな特色です。(同書p2「はじめに」より)

(2) 実体験に基づく解説はわかりやすく説得力をもつ!!
 空の探検家・武田康男さんのアクティブさにはいつも驚かされる。
「えっ!?いつの間に…」と思うことしばしばである。
興味深い<空>の情報があれば、日本中(いや世界中)どこでもいつでも駆けつける!!
そんな武田さんが長年にわたって撮りためてきた写真を使用しての説明だけに自ずとすごい説得力をもつ。
 単なる理屈だけではない、実際に武田さん自身が自分の目で確かめた「事実」があるのだ。
ここもまた著者の言葉を借りよう。

 このような空の観察方法は、私が数十年間、空を見続けて知ったことです。私の撮った写真に、私がわかったことを具体的に記したもので、その後の天気も、実際に起こったことが基になっています。(同書p2「はじめに」より)

▼ 最後にもっとも肝心なことをひとつ。
(3) 必ず自分でも空を見ながら明日の天気を予想したくなる!!
 この本は「読む」本というより、「見て使う」本だ!! 
 自分で「雲見」をしながら、明日の天気を予想するときに「見て使う」のである。  
 取り上げた<空>は89種
<雲から読む天気>44種の空
<光から読む天気>19種の空
<風から読む天気>13種の空
<季節から読む天気>13種の空
 レアな<空>を取り上げるだけでなく、むしろアタリマエの見慣れた<空>を取り上げてくれているがうれしい!!
 89種あれば似たような<空>は一応網羅していると言えよう。 
 しかし、あなたの暮らす地域独特の<空>もあるだろう。
 この本の真似をして、自分で撮った写真に、説明文、矢印などを書き加えて新しいページを加えれば、著者もすすめる『あなただけの天気の本』ができあがるだろう。
 ぜひ私も挑戦してみたいものだ!!

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【お薦め本】『めんそーれ!化学 おばあと学んだ理科授業』(盛口 満著 岩波ジュニア新書)

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▼アンテナが低くなっているなあ~ (/_;)
 正直そう思った。こんなことがあったからだ。
 前回の【お薦め本】『クマムシ調査隊、南極を行く!』 (鈴木 忠 著 岩波ジュニア新書 )を読み終えて、表紙カバーのうらを見てはじめて知った。
 ゲッチョ先生こと盛口満さんの新刊が出ていたのである。私は『僕らが死体を拾うわけ』以来、ずっとずっとゲッチョ先生の大ファンである。
 あのユーモアたっぷりの等身大の文章、そしてすばらしいあのスケッチ画!!あこがれてしまう。
 それにあることが理由で勝手に親近感を持ってしまっていたのである。
 そんなゲッチョ先生の新刊を知らなかったなんて、やっぱり…。
▼さっそく、その新刊を手に入れた。

◆ 【お薦め本】『めんそーれ!化学 おばあと学んだ理科授業』(盛口 満著 岩波ジュニア新書 2018.12.20)

なんと昨年末にもう出ていたのである。
 これまではどちらかというと生物関係の本が多かったので、ゲッチョ先生の化学は興味津々だった。
 パラパラとページめくっただけでわかった!!
 これは絶対に面白い!!あのスケッチ画、実験のイラスト画も冴えている!!
 ゆっくりゆっくり楽しみながらと思うが、次が読みたくなってしかたない!!
 そんな面白さだ。ヤバイ (^^ゞポリポリ)
 お薦めポイントも、ダラダラと長くなってしまいそうだ。 
 先に、3つにしぼってあげておこう。

(1) 授業の理想のかたちがココにある!!
(2) 化学実験の面白さがココにある!! 
(3) 化学という学問の本質がココにある!!    

▼では、ダラダラ文をはじめよう。
(1) 授業の理想のかたちがココにある!!
  これはゲッチョ先生が沖縄の夜間中学校でやった化学の授業15時間の授業記録である。
  こんな面白い授業記録ははじめてだ!!
  サブタイトルがそのスタンスをよくあらわしていた。
 「おばあと学んだ理科授業」デアル。けっして「おばあの学んだ…」デワナイ!!
 学んだのは生徒であるおばあだけではない。いやむしろ教師自身なのかも知れない。
 このあたりについては、的を射たゲッチョ先生自身の言葉を借りよう。少し長くなるが、ヘタな紹介をするよりやっぽど説得力あるから。

 でも、僕がこの本を書こうと思ったわけは、ちゃんとある。もし化学に苦手意識がある人がいるとしたら、この本で紹介したような「地点」から、化学について見直すことができるんじゃないかということだ。だってこの本は、一度も化学を勉強したことがない人たちの化学との出会いの記録なのだから。  それに、本文を読むとわかると思うのだけれど、夜間中学校の生徒たちは、僕らとはちがった経験知を持っている人たちだ。つまり、夜間中学校の生徒たちは、本や学校から得たのではない知識とは、どんなものかということを僕たちに教えてくれる存在だ。  僕と、(その多くは)おばあちゃんたち(沖縄風にいえば、おばあたち)との授業の輪に、読者のみなさんも一緒に入って、あれこれ考えてみてほしい。沖縄の言葉では、「いらっしゃい」を「めんそーれ」と言う。   では、みなさんがこれまで持っていた「化学」のイメージと、ちょっと違う化学の世界へ「めんそーれ」!(同書ⅷ「はじめに」より)

(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン納得である。
これ以上の紹介文はないだろう。後は私の「蛇足」デアル!!
ココにこそホンモノの「授業」がある!!
ココにこそホンモノの「授業記録」がある!!

(2) 化学実験の面白さがココにある!!
「目次」より15時間の授業内容のタイトルを引用させてもらう。
[1時間目] 料理から化学――肉じゃがをつくる
[2時間目] 身近な実験――ロウソクの化学
[3時間目] 化学反応――ホットケーキはなぜふくらむの?
[4時間目] たたくと延びる――金属の3大性質
[5時間目] 電気を通す液体――コーラって電気を通す?
[6時間目] 金属と金属じゃないもの――世界の3大物質
[7時間目] 塩と砂糖はどうちがう?――「とける」と,「燃える」
[8時間目] 砂糖の仲間――カロリーゼロのひみつ
[9時間目] イモの思い出――デンプンのいろいろ
[10時間目] デンプンの仲間――こんにゃくをつくる
[11時間目] タンパク質をさぐる――小麦粉からガム
[12時間目] 牛乳の不思議――コロイド
[13時間目] 油は油と混ざる――油の仲間調べ
[14時間目] 石けんをつくろう――油とアルカリ
[15時間目] 化学は「もの」の学問――くらしの知恵とのかかわり

 現場を離れて少し時間が経ってきているが、これまでの経験から[7時間目]までぐらいの実験はおおかた想像できた。
 事実、私が中学校の授業でやってきた実験も多く登場してきた。(それは、それでうれしかったが)
 でもちがっていた!!
 一見似ているだけでその実験の持つ意味は、ゲッチョ先生の授業に完全にカスタマイズされていた!!
 いやもっと言えば、おばあ向けに完全にカスタマイズされていた!!
 もっとすごいと思ったのは、一時間のなかで次なるあらたな化学実験が生まれていることだ。
 後半の化学実験は、ゲッチョ先生のいや、おばあたちの独壇場だ!!
 読ませてもらいながら、こちらまで o(^o^)o ワクワクドキドキだ!!
 化学実験ってほんとうに面白いな!!

▼語りすぎはむしろ逆効果と思いながらも続けてしまうのである。
 これが最後だ。
(3) 化学という学問の本質がココにある!!    
 ここもヘタな言葉連ねるより著者自身の言葉を借りよう。

 最後の授業で口にしたように、夜間中学の授業は、生徒の皆に教えていることよりもずっと多くのことを、僕が生徒たちから教わった。くり返しになるけれど、僕が夜間中学校で化学分野を扱いながら強く思ったのは、化学は本来「もの」を扱う、くらしに密着した学問だということだ。  化学式や計算など、それを理解し、扱うことで、深くわかることがたしかにある。  でもその前に、僕はまず、さまざまなものとかかわって生きてきたことに立ち返りたい。  ふだん口にしている「化学」や「科学」といった言葉から押し出されてしまっていることがないか、ふり返ってみる必要があるように僕は思う。(同書p211「あとがき」より)

 おみごと スバラシイ!!
 益々ゲッチョ先生の大ファンになってしまう。
 最後に「蛇足」の「蛇足」をひとつ。
 私は最初に「あることが理由で勝手に親近感を持ってしまっていたのである。」と書いた。その「あること」とはこういうことだ。
 この著書の最後の方に、著者自身も書いておられるように、著者の父は「盛口襄先生」だ。(『実験大好き!化学はおもしろい』盛口襄著 岩波ジュニア新書)
 化学教育の大先達だ!!
 私も若い頃いっぱいいろいろ教えてもらった。化学教育に関する著書も多くあるが、詩集も出しておられた。
 あこがれの先生の詩集ということで、その詩集にサインをお願いしたら、こころよく応じてくださった。
 その詩集を今、書棚からひっぱりだしてきた。
 「高知 第一ホテルにて 一九八七年八月三日 盛口襄」
 もう32年も前の話だ。
 言いたいのはそこではない。その詩集にそのとき先生からいただいた今はもう色茶けしまった実験プリントが三枚はさんであった。「バケツ電池」「セロファン電池」等の面白い実験の数々が紹介してあった。
  そして、そのプリントの端に先生の言葉を私がメモしていた。
「ものの声を聞け」
 と。

 今は亡き 盛口襄先生はこの本を読んできっと誰よりも大喜びだろう!!

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【お薦め本】『クマムシ調査隊、南極を行く!』 (鈴木 忠 著 岩波ジュニア新書 )

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▼私は、この10数年のあいだに自分のこれまでの「生きもの観」を決定的に変えてしまうような驚異の生きものと3種類と出会った。
 クマムシ・コウガイビル・ゲホウグモである。それも3種類とも遠く離れた場所ではなく最も身近な我が家の庭で出会ったのである。その事実が驚きを倍加してくれていた。
 クマムシへの興味のはじまりは、二冊の本との出会いからはじまった。その二冊とは
・『クマムシを飼うには』(鈴木忠・森山和道著 地人書館)
・『クマムシ?!小さな怪物』(鈴木忠著 岩波科学ライブラリー)
である。2008年の夏の終りである。この本に出会ったときのことをblogに記録していた。
 二冊とも実に面白かった。私は、すっかりクマムシに夢中になってしまった。この世界最強の生きものが、私の足元にも暮らしていると思うとなんともわくわくしてきた。どうしても、私自身の目で確かめたいと思った。
 しかし、じっくりと観察する時間もないまま時が過ぎていった。
●2010年夏 【理科の部屋】オフ(神戸)で、理科ハウスさんにその場で採集したクマムシを見せてもらった。深謝<(_ _)>
●2011年夏  校庭・我が家の庭でも、アタリマエにオニクマムシをみつけることができるようになった。
●2012年 夏  『クマムシはあなたの近くにもきっといる!!』と呼びかけていた。
 呼びかけてもなかなかすぐには信用してもらえなかった。
 実際にさがすのに時間がかかり、「これがクマムシですよ!!」と即座に見せることができないことにジレンマを覚えていた。
 そんなとき、究極の観察方法を思いついた!!
 「乾眠」を利用するのである。一度採集したクマムシを「乾眠」させておき、「さあ、観察だ!!」というとき、水をかけるのである。それこそ、数分もすれば、ゴソゴソ動き始めるである。
●2012 年 秋 クマムシが「乾眠」から目覚める瞬間を見た!!
 究極の「乾眠」観察法にたどり着いてから、私のクマムシ熱は少し冷めたかに見えた。
 実はここまでが前置きだ。いやはやなんとも長い長い前置きである。(^^ゞポリポリ
▼先日、偶然に、私にとってはじめてのクマムシ本二冊の著者である鈴木忠さんが本を出されたと知った。それも南極にまでクマムシを追っかけられての本だという。見逃すわけにはいかなかった。
 さっそく入手してみた。

【お薦め本】『クマムシ調査隊、南極を行く!』 (鈴木 忠 著 岩波ジュニア新書 2019.6.20 )

 ひと言で言えば「うまい!!」だ。 
 11年ぶりに出会う鈴木忠さん文章はやっぱり冴えていた!!
 いかにクマムシのこととは言え、「調査報告」などと最初は思っていた。まったくちがっていた!!
 読み始めたら滅茶苦茶面白いのだ!!
 またまた長くならない間にいつものお薦めポイントは3つをあげておこう。
(1) 南極クマムシ調査隊の一員にしてもらった気分になる!!
(2)「記録」することの面白さを教えてくれている!!
(3) 仲間と共に「研究」することの愉しさを語っている!!

▼今回のお薦めポイント3つは、深く関係しツナガッテイタ!!まず
(1) 南極クマムシ調査隊の一員にしてもらった気分になる!!
  ちょっと後ろ向きの話から始めるが、私の年齢から判断しても、今から南極大陸にでかけることは、いくら奇跡が起きてもまずないだろう。たしかに、人の話を聞いて行ってみたいと思ったこともあったが…。
 しかし、この本を読んでいるといつしか夢の南極に出かけ、南極クマムシ調査隊の一員に加えていただいた気分になるのだ。
 不思議だ!?なんでそんな気分になったのだろう?
 どんな「しかけ」「からくり」になっているのだろう?その謎解きをするのが、この本を紹介する私自身のひとつの目的でもある。

 「おもな登場生物」は、最初に紹介がある。 
「ツジモト隊員」「ナカイ君」「ヒラノさん」「ミウラさん」「私(スズキさん)」「クマムシ」 今このように書き写していて気づいた。  ずっと不思議に思っていたひとつの謎解きができた!! 
 なんで名前がカタカナ表記に統一されているのか?(゜_。)?(。_゜)?
 「おもな登場人物」でなく「登場生物」なんだ!!
  著者スズキさんにとって、みんなが「クマムシ」と同格なんである。「クマムシ」同様に観察される側に回っていたのだ。
 こんなユーモアたっぷりな「しかけ」がいたるところにあった。
 本文のなかに名前が出てくる度に、顔写真付きで紹介されている「登場生物」のページをひらいて確認していると、いつしか「登場生物」は旧知の友だちのように思えてくるから不思議だった。
 「あのツジモトさんが言うのだから…」
 「きっとあのナカイ君が助けてくれる!!」
 「ミウラさんならああ言っていてても配慮してくれる」
 等々
 いつの間にやら、気づけば勝手に夢の南極へ行き、クマムシ調査隊の一員にしてもらっていた。 
 ポンコツの私の場合はどこまでも仮想体験を楽しむだけであるが、若い読者の場合であれば、「未来」をシュミレーションをしてうんと楽しめるはずだ。ジュニア新書にあげているのはそんな意味もあるのだろう。

(2)「記録」することの面白さを教えてくれている!!
 ログ(log)には元々「航海日誌」という意味があると聞いたことがある。語源は「丸太(ログ)」を流して、船の速さを測ったところからきているとも。(Web log=blogだとblogはじめたころ教えてもらった。)
 これはまさに南極「航海日誌」ログだった!!
 
気象情報(風向・風速・気温・気圧・天気)、毎回の食事メニュー、各自の健康状況、雑談、トイレ、等々。なんでも「記録」されていた。特に興味深かったのは毎回の食事メニーの話だ。
 誰がどんな腕前の持ち主か、プロの「南極料理人」は!?
 一見どうでもいいような「記録」がとても、この本をとても面白くしていた。
 忘れならない「記録」もあった。
 それはスズキさんと、ユリちゃん(娘さん)+サナエさんのメールのやりとりの「記録」だ。絶妙のタイミングでメールの「記録」が挟みこまれていた。
 状況説明するのに「メール」を利用するなどほんとうにうまい!!
 それから忘れてならない「記録」は写真だ。
 表紙には写真点数「157点!!」とアル。膨大な量である。すごいのは量だけではない、本文ストリーにあわせてイメージをリアルに膨らませてくれるているのだ。(口絵、本文挿入とあちこちに散らばっているのはどうして!?最後にはこれも楽しみになったので、これも「しかけ」のひとつ?)
この本を書く大元になったスズキさんの「日誌」の現物がぜひ見てみたい!!「写真集」も!!
「記録」をツナグとこんな面白い物語になるだ!!
 
▼またまた「蛇足」が長くなってしまっている。
(3) 仲間と共に「研究」することの愉しさを語っている!!
なんか肝心の南極のクマムシのことについてあまりふれなかったが、「クマムシ」研究についても、とてもくわしくわかりやすく語ってあった。南極の「クマムシ」研究の歴史についてもたいへん興味深い話が紹介されていた!!
 スズキさんがやっと南極産のオニクマムシに出会ったときのことも熱く語られていた。
 あらためてスズキさんのクマムシ愛に感動した!!
 読んでいるうちに、昔懐かしい学生時代の「研究室」のことを思い出した。
   
この本を読んだ若い読者のなかからツジモトさんやナカイ君そしてスズキさんの後を継ぐ
「 研究者」がきっとうまれるのだろう。
 
 この夏、久しぶりにクマムシ熱が再燃するかも知れない。そんな予感がしてきた。
 
 
 

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【お薦め本】『理科ハウス図録』(世界一小さな科学館 理科ハウス著 ) #理科ハウス

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▼「ワッハッハ」と思わずひとりで大笑いしたり、
 「(゜o゜)ゲッ!! そこまでやるの!?」
 「さすがだ!!パチパチ!!」
 「うーん、奥が深いな~!!」
 「ヘェー、そうなんだ!!」
 と拍手したり、感激のひとり言を繰りかえしたりしながらその本を読んでいた。
 ともかく面白い!!
 一気に読んでしまうのがちょっとモッタイナイほどだった。
▼こんな本と出会うのは久しぶりだった。いやひょっとしたらはじめてかも…。
 ちょっと自分だけの秘かな楽しみにとって置きたい気分にもなるほどだった。
 そんな面白い本が今回の【お薦め本】だ。

◆【お薦め本】『理科ハウス図録』(世界一小さな科学館 理科ハウス著 2019.06.14)

 私のヘタクソな文章では、ほんとうの面白さは伝わらないだろうと思いつつもやっぱり紹介したくてしかたなかった。
 いつものようにお薦めポイント3つを最初にあげておく。
(1) 理科ハウス10年の歩みの秘蔵アーカイブ本!!
(2) 理科室を理科ハウス化する最適のビジュアルテキスト!!
(3) 理科ハウスの「空気」を吸ってみたくなる本 !!
▼ひとつずつ少しだけ詳しく
(1) 理科ハウス10年の歩みの秘蔵アーカイブ本!!
 これは理科ハウス10年の歩みの貴重な「記録」である。
 開設当初から、私は勝手に
「ここから「科学館」の歴史が変わる」
「「理科ハウス」詣からはじまる世界がある」
と唱えておきながらも、実際には数回しか訪問できていなかった。
 他の機会にお会いして展示物のお話を聞いていても、ほんとうはよくわかっていなかった。
 この本を読ませてもらってあらためてそのことを認識した。
 理科ハウスのほんとうの面白さを!!
 理科ハウスのほんとうの凄さを!!
 ヘタな繰りかえしよりも、著者のコトバを借りよう。

 理科ハウスは10年が過ぎて、そろそろ記録を残しておかないと展示物を作った私たちの記憶からも消えてしまいそうです。備忘録として撮りためた大量の写真を見ながら、図録のようなものを作れないかと考えました。「来館者へのネタばれになるから」という理由で、これまで写真をあまり公開しないようにしてきました。けれどもここで一挙公開、放出することにしました。
 展示物を紹介したところで、理科ハウスで起こった様々な出来事が再現できるとは思いません。けれども私たちが伝えたいものが展示物なのであって、展示物が理科ハウスの主役であることは間違いありません。(同書「はじめに」より)

前半は「常設展示」「物理」「生物」「化学」「地学」「数学」の分野ごとの展示。 
後半は理科ハウスの真骨頂「企画展」の貴重なアーカイブだ。
どれもこれもがきれいなカラー写真で紹介されている。ひとつひとつ「展示」に今さらのごとく感動する。
 「これは絶対面白い!!」「うまいな~!!」「凄い!!」と思ったら付箋をつけるようにしていた。そしたら一ページに2枚、3枚の付箋つけたりして、ついには付箋だらけになってしまった。(^^ゞポリポリ)

(2) 理科室を理科ハウス化する最適のビジュアルテキスト!!
 このお薦めポイントが、実は私のいちばん力説したいところだった。
「展示」「企画」の斬新さ!!
その「問題設定」の切り口の面白さ・アイデア!!
ここもまた著者のコトバを借りよう。
 「理科ハウスの展示のアイデアはどこからくるのですか」に応えるようにして次のように語っていた。

 いつも日常の中にアンテナを張っておき、展示をわかりやすくするには、楽しんでもらうには、驚いてもらうには、どうしたらいいかと考えています。展示はできたらおしまいではなく、それに触れた人たちによって進化していくことがあり驚かされました。展示を通してたくさんの人とのつながりが生まれたと感じています。(同書「あとがき」p271より)

 理科教師である私にはここの「展示」=「教材」と読めてくるのだった!!
 そして、また「教材」が授業のなかでこそ進化していくことを語っておられるようにも思えてくるのだった。 
 事実、ここで紹介されている数々の「展示」は、即、極めてすぐれた「教材」になるものばかりだった。
 授業で使う「教材」づくりに大いにヒントになることばかりが語られていた。
 授業で直接使わなくても、理科室をこんな「展示」を真似て理科を楽しむ空間にすることができれば、きっと子どもたちは理科が大好きになってくれるだろう。
 理科室の理科ハウス化!! とはそんなことだ。
 それを試みようとするとき、この本は最適のビジュアルテキストとなるだろう。
 さらに発展して、家庭の理科ハウス化や家庭で「自由研究」を考えるときのヒントにもなるだろう。

▼最後にもうひとつだ!!
(3) 理科ハウスの「空気」を吸ってみたくなる本 !!
 この本がいかにすばらしくても、やっぱり最高に楽しいのは、実際に理科ハウスに出かけて行って、理科ハウスの「空気」を吸うことだ。
 「展示物」を見せてもらいながら、館長の森裕美子さんや学芸員の山浦安曇さんと実際に理科問答を愉しむことだ!!
 かつてから私は「理科ハウスの空気を吸う会」を呼びかけていた。   
 そして、先日はリニューアルオープンした理科ハウスの「空気」を吸わせてもらってきた。益々パワーアップした理科ハウスの「空気」は最高だった!!

 この本を読めば、きっと誰もがこの理科ハウスの「空気」を吸ってみたくなるはずだ!!

 この本を手に入れるのには理科ハウスに直接行って手に入れるのがいちばんだ。
 しかし、今すぐは行けない場合は郵送もしてもらえる。メールで申し込めばいい。
 本屋では売っていない。
 発行部数もかぎられているようだ。
 こんな面白い貴重な本、 絶対に入手しのがさないようにしたいものだ!! 

 手にとって読んでもらえば、私が言っていることが少しもオオバーでないことがすぐわかるはずだ。いや、きっともっともっと面白いことを「発見」されるはずだ。
 そのときはぜひ、私にもその「発見」を教えてください。<(_ _)>

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【お薦め本】『青の物理学』(ピーター・ペジック 著 , 青木 薫 訳 岩波書店)

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▼まだまだ牧野富太郎の『赭鞭一撻ノート』の余韻が残っていた。

十四. 書を家とせずして、友とすべし
ー本に書かれていると安心せずに、本を対等の立場の友と思いなさい

二十歳に満たない少年(青年)がこんな域に達するなんて、さすがというしかない!!
ポンコツ頭では、「そうだな~あ」と同感はするが、現実はなかなかついていかない。
 今さら言ってもしかたないが、もう少しちゃんと勉強しておくべきだったなあ。\(__ ) ハンセィ
▼特に強くそう思ったことがある。
 それは、この本に出会ったからである。

◆【お薦め本】『青の物理学 空色の謎をめぐる思索』(ピーター・ペジック 著 , 青木 薫 訳 岩波書店 2011/02/15 )

 「この本が面白いよ」と教えてもらったのはちょうど一ヶ月前だ!!
 さっそく手に入れて読もうとした。
 たしかに面白いとは思うのだが、なかなか前に進まない。私の理解力・学力ではついていけないのだ。
 それでも、ちびりちびりと読み進めた。やっと終わった!!
 私にとってはとても難解なところが多かったが、
 やっぱり 面白い!!
 今回は、【お薦め本】と言うより、「なんとか読み終えたよ」と言う報告文だ!!
▼こんな私が最後まで読んでしまったのはやっぱりこの本がとても面白いからだろう。どこまで理解したかは別にして、いつものようにお薦めポイントを3つあげる。

(1)「空はなぜ青い!?」の謎解き長編探偵物語を楽しめる!!

(2) 「原子論」のほんとうの有効性(意味)がわかって来る!!

(3)かつて科学者たちが挑戦してきた実験レシピがオマケについている!!

 ではひとつずつボロが出ない範囲で少々書いてみる。
(1)「空はなぜ青い!?」の謎解き長編探偵物語を楽しめる!!
 「空はなぜ青い!?」誰もが一度は抱く「ふしぎ!?」だ。
 みんなはその「ふしぎ!?」にどう答えて、納得してきたのだろう? 
 いや、その「ふしぎ!?」は置き去りにされたままだろうか。 
 私の場合はどうだろう? 
 青空、夕空は「レイリー散乱」で…、雲が白いのは「ミー散乱」で… !!
 えっ、ほんとうにわかっていたのだろうか。?(゜_。)?(。_゜)?
 この本を読みながら、自分を疑ってみた。
 「空はなぜ青い!?」というアタリマエの「ふしぎ!?」が、こんなにも面白く、奥の深い不思議だとは思っていなかった。
 プラトンやアリストテレスからはじまり数え切れないほどの科学者・哲学者・芸術家がこの謎解き長編探偵物語に参加していた。
 私が知る範囲の科学者はすべてが…と言っても過言ではなかった。
 この謎解きの面白さを、こう語っていた。

空はなぜあのように見えるのだろうか?その疑問に答えるという目標に向かって、わたしたちはまだほんの数歩ほど踏み出したにすぎない。しかし、どれほど小さな一歩でも、その一つひとつには大きな意味がある。なぜならその一歩をきっかけに、より深く、より広く理解したいという思いがふくらむからだ。新しい知識がひとつ増えるたびに、はじめの疑問を見直すことにもなる。そうして知識が進展してきた歴史をひもとけば、すでに解明されたこと、そしてまだ解明されていないことが明らかになる。(同書 p169より)

▼この本でもっとも衝撃だったのは次だ。
(2) 「原子論」のほんとうの有効性(意味)がわかって来る!!
 実は正直言ってショックであった。
 「原子論的物質観を…」と力説してきていた。「原子論」の有効性・意味がわかっているつもりでいた。
 でもわかっていなかった!!
 「レイリー散乱」と言いながら、窒素分子は見えていなかった!!ツナガッテ考えることができていなかった。
 「アボガドロ数」の意味もここであらためて認識した。(^^ゞポリポリ

 青空の謎を解くための道のりは、小さな世界へと向かう旅である。なぜなら、もしも原子が実存しなかったなら、空は青色になりえなかったのだから。空に目を向けるとき、わたしたちは原子論の正しさを証明する証拠のうち、もっとも美しいものを見ているといえよう。そしてまた、青空を探求する旅は、大きな銀河の世界へと向かう旅でもある。なぜなら、夜の明るさを決定しているのは、宇宙にちらばる銀河たちなのだから。光について深く考えるとき、私たちはこの宇宙が、時間においても空間においても、いかに広大かを示す無言の証拠を受け取っているのだ。そして、昼と夜のあいだには黄昏がある。黄昏どきの天頂の色は、大宇宙と小宇宙のあいだで、壊れやすい地球が置かれている状況を告げているのだ。(同書p184より)

最後のもうひとつ。
(3)かつて科学者たちが挑戦してきた実験レシピがオマケについている!!
 できるだけ今からでも復元できるように、手に入れやすいものを紹介してくれたりしている。
 なかなかアリガタイ!!
 自分でもこの長編探偵物語に参加してみたいものだ。

 もうあまりボロが出ないうちにこれぐらいにしておく。
 ここまで書いて思った。やっぱりこれは【お薦め本】だ!!

 大賀ハス観察池は蓮根の植え替えから12週目だった。最大のピンチでSOS発信をして、アドバイスをもらいながら、まだそのアドバイスに従うことができないでいた。スミマセン<(_ _)>
 雨が降るたびに元気さを回復してきているようで、どこの部分を一時退避しようかと迷ってしまうのだった。
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 さあ、青空が見えてきた。!!
 今朝は、今から屋外作業だ!! ときどき青空ながめて…「なぜ!?」を反芻してみよう。 

 
 

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【お薦め本】『科学絵本 茶わんの湯』(文:寺田寅彦 解説:髙木隆司/川島禎子 絵:髙橋昌子 窮理舎)

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▼実はまだ4月の10回目の「土佐の寅彦」詣の余韻のなかにいた。
 今回の「土佐の寅彦」詣の余韻がこう長く尾を引いているのにはわけがあった。
 今年度の寺田寅彦記念館友の会の総会の場で、7年間続けてきたオンライン「寅の日」について少し話をさせてもらう機会があったからである。
 いつも話を聞かせてもらう立場の人間が話をしたのである。まとまらない話であったが、それなりに緊張もした。
 そのぶんそれだけ印象深く、今もなおその反芻作業を繰りかえしているのだった。
▼その総会のとき、一冊の面白そうな本が紹介されていた。
 
◆【お薦め本】『科学絵本 茶わんの湯』(文:寺田寅彦 解説:髙木隆司/川島禎子 絵:髙橋昌子 窮理舎 2019.05.01)

 

 である。さっそく入手して読んでみた。
 これが実に面白かった!!
 ぜひ【お薦め本】にあげたいと思った。
 面白いところはあれもこれもといっぱいあるので、きっとまとまらない紹介になってしまいそうだから、いつものようにお薦めポイント3つ先にあげておく。
(1)子どもから大人まで楽しめる科学絵本である!!
(2)『茶わんの湯』すべてがわかる本である!!
(3)きっと、今一度「茶わんの湯」を自分の眼で観察してみたくなる本である!!

▼名著『茶わんの湯』は、寺田寅彦の作品のなかでももっともよく知られた一編だろう。
 現にオンライン「寅の日」でも、これまで5回も読んできている。
 文章を読むだけなら、今すぐ青空文庫でも読める。
●『茶わんの湯』(青空文庫より)  
そこをあえてこの本を【お薦め本】としてとりあげたのは、先にあげたお薦めポイント3つをはじめとしてすばらしいところがいっぱいあるからだ。
 少しくわしくのべてみよう。

(1)子どもから大人まで楽しめる科学絵本である!!
 先に目次をあげてみよう。

(目次構成)
茶わんの湯(絵本版)――寺田寅彦
科学解説:「茶わんの湯」には何が書かれているのか――髙木隆司
文学解説:「茶碗の湯」について――川島禎子
茶碗の湯(初出原文)――八條年也
付録:『茶碗の湯』のことなど――中谷宇吉郎

目次を見るとわかるように、これは単なる「科学絵本」ではないんです。
 まず『茶わんの湯』(絵本版)には寅彦のあの名文に30枚を越えるやさしい絵(イラスト)が加えられているのです。
 ひとつひとつの絵もとてもすばらしいです。寅彦の書いている文章が具体的にイメージしやすくなっています。これなら子どもが読んでも充分に理解できます。もちろん大人にも…。(「子どもにとって名著こそ、大人にとっては最高の名著である!!」は私の持論
さらにうれしいのは、この本には「科学解説」と「文学解説」がついていることです。
 髙木隆司さんの「科学解説」にも、髙木さん直筆の画、図が追加されていてわかりやすい解説になっています。
 髙木さん言っていた。

これらには難しい科学の用語は出てきません、しかし、説明が短いためにわかりにくいところや、見たことがなくて想像しにくいところもあると思います。そこで、私が描いた図を追加して、「茶わんの湯」の内容をわかりやすく説明することにしましょう。
(同書P38より)

(2)『茶わんの湯』すべてがわかる本である!!
 この本を類書に比べて特別面白くしているのは、「科学解説」だけでなく「文学解説」を加え、さらには茶碗の湯(初出原文)――八條年也、付録:『茶碗の湯』のことなど――中谷宇吉郎 まであることだ。
 この本で、名著『茶わんの湯』のすべてがわかるようになっていた。 
 寅彦ファン必読の一冊だ!!
 私には、「文学解説」:「茶碗の湯」について――川島禎子 がとりわけ面白かった。
 鈴木三重吉の創刊した雑誌『赤い鳥』に記載されるまでの経緯、初出のペンネーム「八條年也」は三重吉の命名であったこと等々。
 はじめて知ることも多かった。
 また、とりわけ次の2つの読み解きが面白かった!!

 しかし、図を使うことに対する寅彦のこだわりは、教育者としての問題意識がより強く関係しているように思われます。(中略)とあり、他人の目を通してでなく自分の目で見て興味をもつことの大切さを述べています。当時は相対性理論などが発表されてるなど古典物理学から現代物理学へ移っていく最中で、そのため人間の五感が軽視されていた時期でもありますので、余計にそうした危機感を持っていたのではないでしょうか。
(同書P71より)

 もうひとつあります。

 自然現象の不思議を次々に提示してみせる「茶碗の湯」は、若い頃に親しんだ正岡子規らの俳句に対する感動が少なからず影響しているのではないかと思います。(中略)子規同様、西洋科学に基づく学校教育を受けていた寅彦は、見立てなどの技巧を駆使した近世的な俳句を喜ぶ父と違って、自然そのものの美しさがそのまま文学になるということを感動とともに味わった人です。また自然の美への感動のみならず、表現の方法においても子規の影響が読み取れます。
(同書P71・72より)

この読み解きが実に面白い!!
▼ちょっと長くなってしまっている。最後のお薦めポイントにいこう。
(3)きっと、今一度「茶わんの湯」を自分の眼で観察してみたくなる本である!!
 ともかく『茶わんの湯』の面白さ・すばらしさは、寅彦をもっともよく知るあの中谷宇吉郎も認めるところである。その文章も「付録」についていた。 アリガタイ!! 「付録」:『茶碗の湯』のことなど――中谷宇吉郎

恐しいもので、この「茶碗の湯」を数行よみかけたら、これは寺田先生以外には誰も書けないものだとすぐ直観された。それは、文章の良い悪いなどの問題では勿論なく、又内容が高級で表現が平易であるなどということを超越したものであった。強いて言へば、それは藝が身についた人の藝談にあるような生きた話であった。(同書P89より)

 この本を読めば、まちがいなく誰もが、今一度一杯の「茶わんの湯」を自分の眼でじっくり観察してみたくなる!!
 髙木さんの解説に登場する簡単な実験も自分で挑戦してみたくなる!!

 もう一度繰り返し言う。
寅彦ファン必読の一冊だ!!
 いや
「科学」に興味あるすべての人の必読の一冊だ!!

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【お薦め本】『実験で楽しむ宮沢賢治 銀河鉄道の夜』(四ヶ浦弘著 HISA・勝山陽子絵 金沢・金の科学館)

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▼まだまだ先日のファラデーラボ8周年企画「実験と歌で楽しむ宮沢賢治『銀河鉄道の夜』」の講座の余韻のなかにいた。
 砂鉄を使ったテルミット反応で真っ赤にとろけた鉄!!
 「ルビーより赤くすきとおり、リチウムよりもうつくしく酔ったように」のところで見せてもらったリチウムのみごとでダイナミックな炎色反応!!
 等々が眼の底に焼き付いていた。
 心に響くあの「歌声」「朗読」の声が、耳の奥にしっかり残っていた。
▼講座のあった2019.03.10にぴったりあわせて一冊の本が出版された。
 それが今回の【お薦め本】である。

◆【お薦め本】『実験で楽しむ宮沢賢治 銀河鉄道の夜』(四ヶ浦弘著 HISA・勝山陽子絵 金沢・金の科学館 2019.03.10)

 講座を思い出しつつ読んでみた。
 実に面白い!! 
  講座ではまだよく理解できていなかったことも、この本を読んでみて納得したところもある。なぜその部分を特に四ヶ浦さんが熱く語っていたのかも少しわかりはじめた。
【お薦め本】を書くことでさらに私の頭も整理してみたかった。  
 例によってお薦めポイント3つにしぼり書いてみる。

(1)あらたな「賢治の世界」の楽しみ方の提案がある!!

(2)『銀河鉄道の夜』をイメージするのに役立つ、簡単にできる実験の紹介がある!!

(3)あなた自身で「賢治の世界」をより楽しむ方法をみつけようとするきっかけを与えてくれる。 

▼ひとずつ少しだけ詳しく、「蛇足」にならない程度に

(1)あらたな「賢治の世界」の楽しみ方の提案がある!!
こう言ってしまうと、なんかとても簡単なことのように聞こえるが、それはちがう。
これはすごい「大発見」だ!!
前著 『増補版 実験で楽しむ宮沢賢治~サイエンスファンタジーの世界』(四ヶ浦弘著 細川理衣 絵 金沢・金の科学館)でもこのことは強く感じたが、今回それはさらにパワーアップされていた。

『銀河鉄道の夜』の講座をこの本では次のようにしめくくっていた。

賢治にとって美しいものとは、自然、摂理を感じる実験、音楽、人間関係、社会のあり方等々いろいろだった気がします。それらを心から楽しみ、そして苦しみながら、皆が幸せに生きる道を模索し続けたのではないでしょうか。今日は実験をたくさん見ていただきました。私の言ったことは忘れてしまっても体験したことは忘れないと思います。これからも、賢治が好きだった美しい星空や実験を見ながら、音楽を口ずさみながら、ほんとうの幸いとは何かを賢治と一緒に探し続けていきたいと思います。(同書p41より)

さらには、こうとも言われていた。

この講座の準備と実施を通じて、賢治の世界は文学、科学、音楽等々がすべてが一体となった素晴らしい世界であること、それが少しずつ見えてくるような気持ちになれました。(同書P47より)

 先日の講座では、「実験」はもとより「音楽」という切り口にも重点をおかれているように感じた。
 そうだ!!
 四ヶ浦さんの「賢治の世界」の楽しみ方の提案は進化し続けているのだ!!

 またHISA(ヒラタヒサコ)さんの絵は「賢治の世界」をみごとに表現していた!!
 勝山陽子さんのイラストもわかりやすくすばらしい!!

 絶対に忘れてはならない、すばらしいことがもうひとつあった。
 この本には、『銀河鉄道の夜』(第四次稿 青空文庫より)の全文がついている。
 だから、この実験は原文のどことリンクしているのか。(色まで変えて明示してある。)
 一目瞭然デアル!! それがとてもアリガタイ!!
 第三次稿とちがいにふれてくれているのも説得力をもつ。 

(2)『銀河鉄道の夜』をイメージするのに役立つ、簡単にできる実験の紹介がある!!
 四ヶ浦さんはこれまでにもたいへん興味深い実験をいくつも開発してこられているが、今回は、『銀河鉄道の夜』の世界をイメージするのに役立つ実験に特化して簡単に読者にも体験できるように紹介されている。
 紹介のある実験は5つである。
(1) 銀河(ミルキィウェイ)の実験1 
(2) 銀河(ミルキィウェイ)の実験2 
(3) 燐光の実験(光る水、石、三角標)
(4) 水晶の実験(鳴き砂、摩擦発光、熱伝導)
(5) 炎色反応

▼どうも、ダラダラと「蛇足」傾向にある。最後にいこう。

(3)あなた自身で「賢治の世界」をより楽しむ方法をみつけようとする「きっかけ」を与えてくれる。
 最後につけ足しのように書いたお薦めポイントだが、実は私としてはここがいちばんのお薦めなのかもしれない!!
 四ヶ浦さんは、難解と言われてきた「賢治の世界」の読み解きを、賢治の大好きだった「実験」を再現してみることにより、「賢治の世界」の楽しみ方を提案してくれた。
 そして、今回は「音楽」も加えて…。
 これは「大発見」であり、これからも進化しつづけるだろう。

 今度はあなたの番だ!!
「賢治の世界」は深く広い!!
まだまだもっと他の方法もあるかも知れない。いやあるはずだ!!
  その可能性をこの本は教えてくれている。
それをみつけようする「きっかけ」をこの本はきっと与えてくれるはずだ。

「読んでから見るか 見てから読むか」
 角川映画全盛時代こんなキャッチコピーがあったような。
 古~いな (^^ゞポリポリ)

四ヶ浦さんのこの本を読んだら、今度はぜひ「生」で「実験と歌で楽しむ宮沢賢治『銀河鉄道の夜』」を体験して欲しい!!
もうすでに講座を「生」で体験した人は、ぜひこの本を読んで、あの感動を今一度蘇らせてほしい!!

 

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【お薦め本】ヒガンバナ(曼珠沙華)と日本人 ~日本人の曼珠沙華との交流~( 樽本 勲 著MyISBN - デザインエッグ社)

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▼私は栗田子郎先生に薦めてもらってこの論文を読んだ。

◆樽本勲著「ヒガンバナと日本人」
雑誌「農業および園芸」連載 1回(91巻3号、2016)~15回(92巻6号、2017)

そのときのことを記録していた。
この論文の出だしがとても気に入っていた。

 著者は大学在職時に、ヒガンバナ属植物(Lycoris)を研究テーマの一つとして取り上げ、博士論文2件、修士論文3件などの指導をさせて頂いた。最初の目的は“冬のヒガンバナ”、すなわち冬に青々と葉を茂らせ、寒冷季に球根を太らせるヒガンバナの光合成能力に注目し、そのDNAを利用して寒冷気候帯の作物の生産向上を図れないかというものでした。

▼ヒガンバナに関するあることを検索していてこの論文を元に本になっていることを知った。

◆【お薦め本】ヒガンバナ(曼珠沙華)と日本人 ~日本人の曼珠沙華との交流~( 樽本 勲 著MyISBN - デザインエッグ社)

である。さっそく手に入れ読んでみた。
 やっぱり面白かった!!
 お薦めポイント3つ

(1)ヒガンバナ渡来の謎解き物語が面白い!!

(2)日本文化としてのヒガンバナ拡散の不思議を追う!!

(3)ヒガンバナと俳句の世界への誘い!!

▼気に入ったところだけ少し詳細に

(1)ヒガンバナ渡来の謎解き物語が面白い!!

 この本の本意を「まえがき」で語ってしまっていた。

 日本人の曼珠沙華への関心は高いのです。その関心の高さはどの程度かというと、日本への渡来、利用に関する書籍等が多い植物は1番がイネ、2番がサツマイモ、3番目がジャガイモですが、日本への伝播に限ってはジャガイモと曼珠沙華はほぼ匹敵するほどの書籍・資料があります。主要な食用植物や園芸植物でない曼珠沙華になぜそれほどの関心があつまり、また多くの書籍類があるのでしょうか。(同書p3より)

この素朴な疑問を解き明かすために、先の論文を書き

 曼珠沙華の渡来について①いつの時代に(when)、②何処から(where)、③誰が(who)、④何の目的で(why)もたらされたかを調べ、結論として室町時代に仏教新宗派臨済宗の伝教と普及に資するために曼珠沙華が伝播させたと論述しました。また⑤どのように日本で分布したか(how)や⑥日本文化への影響など論じました。(同書p3より)

 この謎解きをやっていくとき忘れてはならない事実があった。 
 日本のヒガンバナは3倍体(2n=33)で種子をつくらず、分球(球根(鱗茎)が分かれる)によってのみ殖えるという事実である。(これに待った!!をかけることができるか?というのが私の実生ヒガンバナ実験の挑戦なのだが)
 ヒガンバナ渡来の謎は、ヒガンバナ研究最大の謎であった。
 すでにいくつもの有力な仮説がたてられていた。
 筆者はすでに迷宮入りした難事件の謎を解く名探偵のように、その豊富な資料・文献(有力な証拠)を駆使して真実に迫っていく。それはまるで名探偵物語かハラハラドキドキの推理小説を読むように面白い!!
 まず「自然分布説」の3つの仮説
 (1)陸続き生き残り説 (2)渡り鳥起因説 (3)球根海流漂着説
 を次々とこれまでの先行研究も参考にくずしていく!!
 「休眠性がある生命のタイムカプセル」=「種子」をつくらないのはつらい!!

 「自然分布説」が無理であるなら「人為分布説」ということになる。
 いくつかの「人為分布説」の仮説がこれまでにも出ていた。
 たとえば
(1)縄文中期に渡来人によりもたらせられ、半栽培段階に食用植物として栽培されたという仮説
(2)弥生時代稲作と共に渡来したという仮説 
(3)万葉集「壱師」=曼珠沙華とする仮説
 等々である。
 それらを次々と具体的資料をあげながら可能性を否定していく。
 おみごと!!
 としか言いようがない。
 たとえば(1)を否定するのに「冬季8ヶ月間の栽培による曼珠沙華の球根重量の増加 浅尾・前田(2009)」(p24より)のデータ等をあげて、「このように低収量の曼珠沙華を食用作物として植えるだろうか」と疑問を呈する。
 このように用意された証拠はきわめて具体的で説得力をもつ。

 そして、最終的に

  「結論として室町時代に仏教新宗派臨済宗の伝教と普及に資するために曼珠沙華が伝播させた」

 と論じています。


(2)日本文化としてのヒガンバナ拡散の不思議を追う!!
 渡来の不思議に次ぐ次なる不思議は、不稔性のヒガンバナがどのようにして広がっていったのかである。
 ここでも著者の謎解きの推論はさえていた。
 特に興味深いと思ったのは、江戸時代のお伊勢参り(お蔭参り、抜け参り)とヒガンバナの里名の急増を関連づけてひとつの推論をたてているところだった。

 講から選ばれて代参して者は伊勢神宮のお札を持ち帰るだけでなく、村への新農作物と新品種の種苗、新農業技術情報や諸文化を持ち帰ることも重要な任務だったようです。これを曼珠沙華について見れば、四季を問わず球根が採種できるので、農民百姓は見逃さず球根を掘取り各地に持ち帰ったと想像されます。(同書p97より)
 

 その結果がヒガンバナの拡散にツナガリ、里名が急増していったことなると仮説を立てていた。お伊勢参りという大民族移動と関連づけたところが実に面白い。
 具体的な数値等(人口と参詣者数)あげての説明には説得力がある。

 忌み嫌われものとしての歴史はどこからはじまったのだろう!?
 
▼少しちがった角度から

(3)ヒガンバナと俳句の世界への誘い!!
 この本がとても気に入ったのは、ヒガンバナと俳句の関係をかなり本格的に語っているところだった。それは著者自身の第一の趣味が「俳句」であることとも大いに関係あるのだろう。
 第三章のはじまりに、子規と漱石の曼珠沙華を詠んだ句があがっていた。

 「草むらや土手あるかぎり曼珠沙華 子規」
 「曼珠沙華あっけらかんと道の端 漱石」 

 実にいい!!
江戸期に不人気だった「曼珠沙華」という季語を、子規は戦略的季語として多用したのでないかというのが著者の仮説だった。
事実、子規は「曼珠沙華」を多く詠んでいた。

子規としての秀逸の句ではないですが、曼珠沙華の赤さ、花の多さ、秋の趣を写生として詠んでいて、子規が因襲悪弊から脱却を図ろうとする強い意図が感じられます(同書p111より)

この後
・子規の曼珠沙華は明治期の小説、詩歌へ受け継がれた
・大正~昭和の短歌を季語「曼珠沙華」が先導
・曼珠沙華の俳句は大正、昭和に満開になった
へと続くドラスティクな展開もたいへん興味深い!!
その章のしめにもってきた二句も印象深い!!

「つきぬけて天上の紺曼珠沙華 誓子」

「西国の畦曼珠沙華曼珠沙華 澄雄」

最後に著者自身の詠んだ句もあげておきたい。(同書p155より)

 曼珠沙華の近句(樽本いさお):
ものによる赤の好き好き曼珠沙華
戦いとは信ずることや曼珠沙華  
曼珠沙華摩訶曼珠沙華曼荼羅袈

ヒガンバナファンならぜひぜひ読んでみよう。
あの「ふしぎ!?」が解決するかも知れない。

益々ヒガンバナ(曼珠沙華)の魅力に気づくにちがいない!!

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【お薦め本】『世界は変形菌でいっぱいだ』(増井真那著 朝日出版社 )

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▼私はここ10年ばかりの間に、これまでの生きもの観を大きく変える3つの「ふしぎ!?」な生きものに出会ってきた。

・巧みな糸技を目の前で披露してくれた「ゲホウグモ」
・水をかけたら「乾眠」からみごとに目覚めた「クマムシ」
・エサなしで385日も生きのびた「コウガイビル」

である。
 どれもこれもがビックリの生きものたちだった。
 なんと言ってもいちばん驚いたのは、この3つの「ふしぎ!?」な生きものどれにも、最も身近である我が家の庭で出会ったことである。
 そう、私はこの「ふしぎ!?」生きものたちとずっとずっと一緒に暮らしてきていたのだ。 

 この3つの生きものに出会う前から存在だけは知っていて、ぜひ仲良くしたい生きものがいた。
「粘菌」である!!
これははじめて南方熊楠を田辺、熊野に訪ねたころからはじまっていた。
あの熊楠をあそこまで夢中にさせた生きもの=「粘菌」に興味が湧かないはずはなかった。「動物の世界」の授業びらきに、コウガイビルとともに話題にあげたりもしていた。

▼しかし、まだこの生きものとの本格的なつき合いははじまっていなかった。
 「もうそろそろちゃんと出会ってみたいな。」と思いはじめてていた矢先に偶然出会ったのが、今回の【お薦め本】だ。

◆【お薦め本】『世界は変形菌でいっぱいだ』(増井真那著 朝日出版社 2017.11.10)

 ちょっと読み始めたらやめられなくなった!!
 とっても読みやすくわかりやすい。絶対に【お薦め本】にあげてみたくなる本だった。
 著者は書いた当時なんと16歳!!
 それがまたスバラシイ!!若い感性がこの「ふしぎ!?」な生きものをとらえた。
 教えられること満載だ!!

 興奮のあまり話があちらこちらに飛び回りそうな予感がする。(^^ゞポリポリ)
 そこでいつものようにお薦めポイント3つを先にあげておく。

(1) 変形菌の「キレイ」「フシギ」「カワイイ」が満載だ!!
   
(2) 最高の「変形菌入門書」だ!! 

(3) 科学研究の面白さ・醍醐味のすべてを教えてくれている!!

▼ひとつずついこう。

(1) 変形菌の「キレイ」「フシギ」「カワイイ」が満載だ!!

 こんにちは、増井真那です。  ぼくは変形菌が大好きです。     今16歳で変形菌と10年間いっしょに暮らしながら研究を続けています。  (中略)  この本では、ぼくが変形菌とすごした10年間に  見たこと、体験したこと、知ったこと、考えたこと  ー「キレイ」や「フシギ」や「カワイイ」についてお話しします。  (同書p3より)

 こんな文章からはじまった。なんともこの等身大の語り口調がうれしい!!
 これはまさに真那君と変形菌の10年間の交遊ドキュメントだった。
 真那君の日常の写真、研究生活のドキュメント写真、そして真那君自身が撮影された「変形菌」の写真等々すべてがすばらしかった。写真、図に添えられたコメントもとてもわかりやすい!!
 それにつられるように次へ次へとページをめくってしまっていた。
 気がついたらすっかり「変形菌」の虜になり、今度は自分の眼でもそれを確かめたいと思うようになっていた。

(2) 最高の「変形菌入門書」だ!! 
 真那君の文章はとてもわかりやすかった。
 専門用語を使うときにも必ずシロウトにわかるようにくわしく解説してくれていた。
 たとえば、私は恥ずかしながら、まだ熊楠の「粘菌」と「変形菌」のちがいがよくわかっていなかった。その説明をわかりやすくこう書いてくれていた。

変形菌?粘菌? 「粘菌」って聞いたことありますか?  たぶん、変形菌よりも粘菌のほうが、なじみのある人が多いのではないでしょうか。ここまで、当然のように「変形菌」と話してきましたが、変形菌イコール粘菌と考えてもらって大丈夫だと思います。   「粘菌」と呼ばれたことがある生物は3つあって、変形菌はそのひ1つ。あと2つは細胞性粘菌と原生粘菌です。変形菌は「真正粘菌」と呼ばれることもあります。整理すると、「変形菌イコール真正粘菌」で、「変形菌は粘菌のなかま」です。(同書p51より)

 「ソウダッタノカ!!」「わかった!!」(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン
 それにしてもうまい説明だ!!

 こんなくだりもある。

 このように変形菌には4プラス1、合計5つの姿があります。もちろんどれも変形菌です!変形菌好きの人は、変形体派と子実体派に分かれるって聞いたことがあります(胞子派とか粘菌アメーバー派は聞いたことないな……そういう人いますか?ぼくは最近、胞子っておもしろいな~って思い始めたんですけど)。(同書p46より)

 これまたうまい!!なにかツボを心得ている!!
 例をあげればきりがない。
 それほど、シロウト・初学者にとてもやさしい「変形菌入門書」なのである。
 
▼どこまでも等身大に語る「変形菌の世界」!!
 面白いかぎりである。最後にいこう。

(3) 科学研究の面白さ・醍醐味のすべてを教えてくれている!!
 シロウト・初学者にやさしい「変形菌入門書」だからと言ってけっしてそのレベルをさげてはいない。
 むしろホンモノの「科学研究」とはこんなものだと教えてれているようだった。
 第3章 ぼくの変形菌生活
第4章 変形菌と暮らしてぼくはいろいろ考えた
第5章 変形菌の「自他」の研究
を圧倒される思いで読んだ。

 とりわけ第5章の「研究」には興味津々だ。
 最後に「ーあとがきにかえてー変形菌がぼくにくれたもの」で、10年間の変形菌研究生活をふり返って次のように語っていた。

 みなさんに支えられて研究が進むたびに、ぼくは学会やコンテストなどで成果を発表してきました。「発表をすると知識が増える。人とのつながりが増える」ということは新鮮な驚きでした。変形菌や生物の研究者だけでなく、本当にさまざまな分野の方々と出会い、議論ができる。それが刺激になるし、楽しくてしかたないということにも気づきました。 研究友だちも増えました。生物だけでなくいろいろな分野に夢中な子がいっぱいいて、研究を続けていると、またどこかで会える。それもうれしいことでした。  こうしたつながりは、気がついたら日本中、そして今では海外にも広がっています。(同書p150より)

 こんなの読んでいるとすっかり真那君のファンになってしまう。
 いつかどこかで直接、真那君のレクチャーを受けたいものだ。

さあ、今年の夏は、第四のこの「ふしぎ!?」な生きもの=「変形菌」と出会うことができるだろうか!?
o(^o^)o ワクワク

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【お薦め本】『気象予報と防災ー予報官の道』(永澤義嗣著 中公新書)

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「大気の物理学実験室」!!
 私は、けっこうこの呼び方が気に入っていた。
 自分の日々暮らす空間をこう呼ぶことに、毎日大好きな「実験」をやっているような気分になれるからだ。
 この実験室は宇宙空間から見るとおそろしく薄っぺらであった。
 その薄っぺらな空間で、日々刻々異なる「大気の物理学」実験がおこなわれていた。
 
 実験の様子は「雲見」とよんで観察した。
 そして、なんとアリガタイことに実験結果のデータは「アメダス福崎」に記録されていた。
 昨日もいつもと同じように、「実験」が続くのだった。

▼この「実験」を予想するプロの書いた本に出会った。
 出会った本とは

◆【お薦め本】『気象予報と防災ー予報官の道』(永澤義嗣著 中公新書 2018.12.25)

である。タイトルからしてなかなか面白そうな本だ。
  いつの頃からだろうか、私は本を読む前に変なことをするのが習慣となってしまっていた。
 今回もそれをやってしまった。
 「著者は何歳ぐらいなんだろう?」と奥付の著者紹介の欄を見た。
 
 著者・永澤義嗣氏は、「1952年(昭和27年)札幌市生まれ」と書いてあった。私は1951年(昭和26年)生まれだから、私の方が一歳年上である。
 いずれにしても同時代人だ。同じ時代の空気を吸って今日まで生きてきた。
 もうそれだけで他人事と思えなくなり、親近感わいてくるのだった!!
 
 そんな著者が言っていた。

 本書は、気象を愛し、気象に情熱を注ぎ、社会に貢献することを願って気象に人生を捧げたある予報官の決算書である。(「おわりに」同書p265 より)

 勝手に身内意識をもちはじめた著者がこう言い切っていた。【お薦め本】にあげないわけにはいかないだろう。
 だからと言って、シロウトの下手な紹介は失礼になるかもしれない。
 読んでから少し躊躇していた。
 決めた!! 自分のための「一次感想文」ということであげておく。

 とりあえずいつものようにお薦めポイント3つをあげておく。

(1) ツボを押さえた解説!!

(2) 伝える側からの等身大情報が面白い!!

(3) 防災・減災に関わるすべての人の必読書!!
 

▼では少しくわしく書いてみる。

(1) ツボを押さえた解説!!

我々は地球の中に住んでいる
この小見出しは間違いではない。我々は、決して、地球の「上」に住んでいるのではないのだ。なぜなら、大気圏も地球の一部だから。(同書p3より)
 

 と第一章1「地球大気の構造」ははじまった。
 このこだわりが気に入った。
 うまい!! と思った。ツボを心得ていると思った。
 私のようなシロウトがいつも誤解してしまう「落とし穴」がここにあった。
 私たちは大気の海の底で暮らしている。
 そして、その大気の海はおそろしく浅い。(大気の層は薄い)
 「大気の物理学実験室」は薄っぺらいのだ!!
 多くの気象解説本はこのアタリマエをすんなりとやりすごしてしまっていた。

 この本は違っていた。そのこだわりは徹底していた。

 

よくいわれるように、地球をリンゴにたとえると、大気はリンゴの皮ほどしかない。(同書p3より)

 
そのリンゴの皮ほどの大気圏の中で起きる現象が「気象」である。

 

リンゴの皮にもたとえられる大気圏だが、驚くなかれ、我々になじみの深い「天気」を決定する雲や雨・雪などの気象現象の大部分は、薄っぺらな大気圏の最下部10キロメートルそこそこの「対流圏」で起きるのだ。(同書p4より)

 我々の生活に大きな影響を与える「天気」とよばれるものが、薄っぺらな地球大気の最下部の厚さ10キロメートルそこそこの対流圏で起きているという事実を、我々は果たしてどれだけ実感しているだろうか。(中略)しかし、10キロメートルを水平にとれば、せいぜい隣の町に出かけるほどの距離で、時速60キロメートルの自動車で10分間も走れば着いてしまう。このように、天気は鉛直方向にほとんど厚みのない、薄皮のような対流圏に生じるしわのようなものだ。そのしわが、実は一筋縄ではいかないむずかしさと、面白さをもっている(同書p5より)

 このアタリマエ!!このアタリマエにここまでこだわるこの本はホンモノ!!
 ここにこそ「天気」理解のツボがあると私は長年思っていた。

 他にツボを押さえた説明が随所に出てきた。 
 たとえば 
・ 熱帯域から偏西風帯への“帰化” (同書p15)
・ 時間断面図 左から右へのわけは (同書p31)

ナルホド(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン
 と膝をうつことしきりである。

 また

 だれもが知っている天気ことわざ(天気俚諺)として、「夕焼けは晴れ」がある。驚くなかれ、キリスト教の聖書に出てくる。
 「あなたたちは、夕方には『夕焼けは晴れだ』と言い、朝には『朝焼けで雲が低いから、今日は嵐だ』と言う」(マタイによる福音書16章2~3節、新共同役)(同書p33より)

 からはじまる「第三章 天気予報発展のあしどり」は特に面白い。

(2) 伝える側からの等身大情報が面白い!!
「気象予報官」と聞いて、どこか「雲の上の人」とまで言わなくても「別世界の人」という感である。
そんな人の楽屋裏話はとても面白い。野次馬的にも興味津々だ。
  「夜明け前が最も忙しい」 
  「気象予報士の違い」   
「予報官の心掛け」
  「魅力のない3割打者」等々の話が面白い。
 たとえばこんな感じだ!!


  平均的には高打率であるだが、肝心ときにあまり期待できない。本項ではそれを野球になぞらえて「魅力のない3割打者」と表現してみた。そこに介入して魅力を付加するのが予報官の役割である。知識と経験に裏打ちされた予報官が積極的に関与しホームランやタイムリーヒット、逆転打を放ってこそ、予報官の存在意義がある。(同書p96より)

 このように随所にみられる予報官としての「誇り」「責任感」がまたスバラシイ!!

 また、その道のプロならではの天気の見方が面白い。
 現在、どのようにして「天気予報」がつくられるかの話は、「天気予報」を受信する側の人間としてもぜひ知っておきたいこと満載だ。
 ここを読んでからTVの「天気予報」を見たら、ナルホド!!と思った。
 いちばん私が感心し納得したのは、「天気予報の原理」だった。
 

 天気予報の原理は、「現在の状態を知り、それに何らかの法則を適用して将来の状態を推し量る」ことであると前章で繰り返し述べた。現在の状態を知ることは天気予報の第一歩である。(同書p49より)

このアタリマエ!! 
納得デアル。(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン

「ハズレとズレ」(同書p71)
も大納得の話だ!!

「用語とのつきあい」(同書P111より)
 用語を発信する側からの説明は自ずから説得力をもつ。どんな経緯でその用語が使われ出したのか。くわしく語られている!!

 ひょっとしたここが本書のいちばんのウリかも知れない。
 実際に手にとってぜひたしかめてもらいたい。 

▼最後に
(3) 防災・減災に関わるすべての人の必読書!!
著者としては、第三部「気象防災と予報官」にいちばん力点をおきたかったのではないだろうか。

 気象情報は、ぜひとも伝えるべきこと、伝えたいことを予報官がもっていることが大前提だ。いま何を伝えるべきかを明確に意識し、それを端的に表現する。気象情報はそうあるべきだ。(同書p257より)
 そのような期待と責任を十分に担いうる予報官を育てるのは、気象情報の利用者である国民と、予報官の仕事と密接にかかわる防災関係機関や報道機関、そして予報官の職場である行政官庁としての気象庁である。  気象情報の利用者は、気象情報に関する要望などを遠慮なく発表者にぶつけるのがよい。そのことが、気象情報の発表者と利用者の意思疎通を促進し、予報官のモチベーションを高めることにつながる。(同書P262より)

 これらのコトバを聞くと、この本の副題「予報官の道」の本意も見えてくる気がするのだった。

 最初にもどり、実にみごとな「決算書」である。!! 

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