63号・64号・65号コウガイビルはエサなしで3ヶ月経った、そして!?(2023/10/19) #コウガイビル #陸生プラナリア #生命科学最前線 #教材化 #渡辺憲二

Dscn8633

▼三つの袋を、日のあたるところに取りだして見た。
 あの日から三ヶ月が経っていた。
 最初に動きを見せてくれたのは、63号だった。
 活発に動き回り 生きている!! を主張していた。
 次は64号だ。袋の入り口付近にそれらしい「黒いかたまり」が。
 動かない!? 袋の中の水がなくなっていた。ヤバイ!! ミイラ化!?
 65号の袋の水は濁っていた。袋のなかのどこをさがしてもあいつの姿はなかった!!

Dscn8620_20231020042601

Dscn8629

Dscn8658_20231020042901

Dscn8666

Dscn8673_20231020042901

▼三匹のコウガイビルの「生と死」を観察しているうちに、渡辺憲二先生の講義を受けたあの日を思いしだした。

コウガイビルとES細胞
コウガイビルが生命科学最前線へ
コウガイビルからiPS細胞まで

▼渡辺先生のこの講義を受けたのは、2009/08/20である。
 もう14年以上前の話である。
 私はそれからもずっと「コウガイビル」の「ふしぎ!?」を追い続けた。

◆「コウガイビル」を追う 

 そして、この「ふしぎ!?」をぜひ教材化したいと思った。
 Webテキスト試案「コウガイビル」をつくってみて、再び渡辺憲二先生を訪ねるのが夢だった。
 なんとそれが叶わぬうちに渡辺先生は逝ってしまわれた。悲しい、残念である。
 今一度、「教えてもらったこと」を反芻してみる。

▼63号~65号までの時代は終わった。
 前回に報告したとおり、66号コウガイビルから70号コウガイビルまでスキップした。
 そして、今また71号コウガイビルの観察をはじめている。
 さて、どこまで!?
 それは、私にもわからない。「ふしぎ!?」がつづくかぎりだろうか。

Dscn8695_20231020050701

Dscn8676_20231020050701

Dscn8689_20231020050701


| | コメント (0)

62号コウガイビルは 4ヶ月を待たずに消えた!!そして!?(2023/10/12)#コウガイビル #陸生プラナリア #生命と再生 #教材化

Dscn7995

▼水はたしかに黄色っぽく濁っていた!!

 ナイロン袋のなかを、隅から隅まで目を凝らして見るがあいつの姿は見られなかった。
 62号コウガイビルは、4ヶ月を待たずに消えた!!
 消えたという表現がふさわしいかは、私にはわからない。
 濁った水に溶け込んでしまった!?

Dscn8014

▼「生命あるモノ」が消える!?
 あのダーウィンもこの「消える」を観察していた。

私は、南半球の各地で、陸生のプラナリアを十二種以上見た。ブァン ディーメンス ランド Van Dimen's Land で得た若干の標本には、朽木を食わせて、約二ヶ月も生存をつづけさせた。一匹のプラナリアをだいたい相等しい大きさに横断すると、二週間のうちに双方とも完全な体となった。更に、片方が下面に開口を二つとも持ち、従って他の方は開口を一つも持たぬように切ってみた。施術後25日を経て、比較的完全に近かった方は、普通の標本と区別できぬまでになった。片方もその形がいちじるしく大きくなり、そして後端に近く柔らかい細胞集団のうちに透明な空間を生じ、その中には椀のような形の口の原基が明らかに認められた。しかし下面に裂口が開くには到らなかった。赤道に近づいたために、気温の上昇によって、すべての個体を殺すようなことがなかったならば、この最後の段階も構造を完成したに違いない。この実験はすでによく知られているところであるが、一方の個体の簡単な体の一端から、必須の器官がことごとく次ぎ次ぎに生ずるのを見るのは面白かった。プラナリア類を飼うのは極めてむずかしい。生活現象が終われば、一般に見る天然の変化の法則がここにも働いて、体は全体に柔らかくなり、液化する。そのはやさは、他に比べるものもないほどである。(「ピーグル号航海記 上」(チャールズ・ダーウィン著 島地 威雄訳 岩波文庫 P54より)

 
▼「陸生のプラナリア」=コウガイビル である。
 「天然の変化の法則」って何!?
 「生活現象が終わる」それは「死」を意味するのだろうか!?
 
 濁った水の中にどんなモノが溶け込んでいるのだろう。
 62号をかたちづくっていた「細胞」!?
 それとも、分解はさらに進み「分子」!?
  
▼なにひとつ解明できぬままに、「ふしぎ!?」が積もっていく。
 正直に言うと、長きにわたる「コウガイビル」の「ふしぎ!?」を追う に飽きてきていた!!
 無手勝流「研究」の私には、同じことを繰り返すしかなかった。
 それにも少し限界を感じていた。

 65号コウガイビル発見以後も、東の畑でコウガイビルがつづいていた。

・2023/09/07 66号コウガイビル発見。プラスティックの容器にいれる。
・数日後 67号コウガイビル発見。畑にかえす。
・10月にはいって、68号コウガイビル発見。これまでと同じように袋には入れるが、「記録」しないことにした。
・2023/10/08 69号・70号コウガイビルを同時に発見。2匹を同じ袋に入れる。大きく変化が起きたときのみ「記録」することにする。

 71号からは、気をとりなおし「記録」をつづけることにする。

Dscn8025

Dscn8060

Dscn8071s

Dscn8099

| | コメント (0)

63号・64号・65号コウガイビルはエサなしで2ヶ月生きのびた!!(2023/09/19) #コウガイビル #陸生プラナリア #飢餓と再生 #教材化 #Webテキスト

Dscn5676

▼最初に動き始めたのは63号コウガイビルだった。
 ついで64号コウガイビルが「の」字をといてゆっくり動き始めた。
 やっぱりいちばん活発に動いたのは、65号コウガイビルだった。
 
 3匹ともまちがいなく生きている!!

Dscn5568

Dscn5572

Dscn5606


▼私は、ここ15年ほどのあいだに、自分の「生きもの観」を変えてしまうような「ふしぎ!?」な生きもの3つに出会った。
●クマムシ
●ゲホウグモ
 そして この
●コウガイビル
 である。クマムシの「乾眠」、ゲホウグモの「糸ワザ」等々その「ふしぎ!?」を語り始めるときりがなかった。
 3種類の「ふしぎ!?」な生きものに共通することがあった。

 それらはすべて、我が家の庭で出会ったということである!!
 最も「ふしぎ!?」は、最も身近に居た!!

▼コウガイビルでいちばん「ふしぎ!?」に思うのは、「食べない」で生きるということである。
 それまで、「動物の世界」の謎解きの最大のキーワードは「食べる」であると思っていた。
 どんな生きものも、「食べる」を探っていけば生きものの暮らしが見えてくると確信していた。
 ところが、コウガイビルはちがっていた。

 「食べない」で生きるは正確さを欠くのかも知れない。
 自らを「食べながら」、自らの体をつくり変えていく=「再生」する!!
 それが「生きる」ということ!!
 無手勝流生物学の私には、コウガイビルが多数もつという「幹細胞」との関係についてはくわしくは知らない。
 
▼考えれば考えるほど、Webテキスト「コウガイビル」までの道のりは遠のくばかりだ。
 かくなるうえは、コウガイビルの「ふしぎ!?」と ゆっくり ゆっくり 
 楽しく つきあうつもりで

Dscn5610

Dscn5623

Dscn5643_20230920043901

Dscn5650


| | コメント (0)

62号コウガイビルはエサなしで3ヶ月生きのびた!!(2023/09/12) #コウガイビル #陸生プラナリア #飢餓と再生 #教材化 #Webテキスト

Dscn4912

▼最初は「の字」に蜷局を巻いていた。
 生きているのか、わからぬ状態だった。
 そこに目に見える状態の「物体」があることだけは確かだった。
 いっしょに入れた水が、少しにごっているようにも見えた。
 
Dscn4867

Dscn4869_20230913041201

▼あたたかいところに出して、しばらくしてからだった。
 その瞬間、あの逆三角形でイチョウの葉のような頭がうごいたような気がした。
 それからは、またたく間だった。
 生きている!!

 62号コウガイビルはエサなしで3ヶ月生きのびた!!

Dscn4880_20230913041401

Dscn4943

Dscn4968

▼「なんで、そんなこと「記録」しているの!?」
 と人に問われれば、即答に窮した。
 「ふしぎ!?」だから、としか言いようがなかった。

 その「ふしぎ!?」を他人にも伝えたいと思っていた。
 そのためのWebテキスト試案「コウガイビル」をつくりたいという思いだけはあった。

▼「テキスト」は遅々として進んでいなかった。
 今の私には、その知識も能力も不足していた。
 ただただ「記録」をつづけるのみであった。

◆「コウガイビル」を追う 
 
 のなかから、どれだけの「ふしぎ!?」を抽出できるだろう!?

Dscn4966

Dscn4954

| | コメント (0)

63号・64号・65号コウガイビルはエサなしで1ヶ月生きのびた!!(2023/08/19) #コウガイビル #陸生プラナリア #飢餓と再生 #教材化 #Webテキスト

Dscn3593

コウガイビルの「ふしぎ!?」を追い始めて、はや15年近くが経とうとしている。
 そのなかでも、3匹同時にというのははじめてであったかも知れない。
 1ヶ月前に、少量の水と一緒ナイロン袋に入れた63号・64号・65号コウガイビルは元気だった。

●63号・64号・65号コウガイビルに出会った!!(2023/07/19)

▼3匹は別々のナイロン袋に入れていた。
 ナイロン袋をあたたかいところに出すと、時間の少しちがいはあるもののそれぞれは活発に動き始めた。

Dscn3601_20230820042401

Dscn3616

Dscn3624

Dscn3654

Dscn3660

Dscn3669

▼いちばん活発で大きいのは、65号である。
 3匹は、同じときに、同じ場所にいたという「事実」は知っていても、どんな関係にあるのか知らない。
 親子!?
 それとも兄弟姉妹!?
 今のところそれを確かめるすべも知らなかった。

▼「生きもの」の学習においては、2つの主要テーマを中心にすすめていたことを思い出した。
・個体維持(「食べる」)
・種族維持(「仲間をふやす」)
である。
 「食べる」については、自らの食べながら、「再生」を繰り返しているのでは!?
 「仲間をふやす」については、卵から出てくる「赤ちゃんコウガイビル」を見たこともある。
 
 Webテキスト試案「コウガイビル」までには、まだまだ、いっぱいの「ふしぎ!?」の整理が必要なようだ。

Dscn3683

| | コメント (0)

62号コウガイビルはエサなしで2ヶ月生きのびた!!(2023/08/12) #コウガイビル #陸生プラナリア #飢餓と再生 #教材化 #Webテキスト

Dscn3552

▼元気だ!!
 動いた!!
 前回の観察よりかなり活発に動き回っていた。

●62号コウガイビルはエサなしで1ヶ月生きのびた!!(2023/07/12)

▼エサなしで生きるこの「ふしぎ!?」
 私がもっとも信頼している参考文献に次があった。

◆『プラナリアの形態分化~基礎から遺伝子まで~』(手代木渉、渡辺憲二著、共立出版 1998.3.25)

 この本にこの「ふしぎ!?」に答える一文があった。
 「14.陸産プラナリア,コウガイビル種類・生態並びに形態分化」(P259~)「14.9 飢餓と再生」(P275)である。

 コウガイビルの飼育では給餌が大切な要素となるが、餌に対しての反応は同一種内でも異なり積極的に摂取するグループとそうでもないものとがある。また長期間の飢餓に耐え、もとの体重の1/100に減少しても生存し続けることができる。このような生理的変化が、顕著な再生能をもつ本動物の器官形成にどのような影響を及ぼすのか、頭部再生の有無、形成所要時間、極性との関連について、採集直後の体重を100として、もとの30~40%に減少したグループを飢餓個体として実験を行った。
 なお、飢餓個体の設定は、採集された個体のうち、何としても餌を食べないものがあり、かなりの期間絶食にも耐えられるが、やがて死に至る。体重減少と生存期間の長短は一定ではないが、採取後減少の一途をたどる体重は、ある時点で平衡状態となり、これ以降急激に減少して死ぬものが多い。体重が安定をみせる状態を越えると個体は死を迎えることから、この安定期(もとの体重の30~40%)を飢餓状態と考えた。これらの飢餓グループと採集まもないものとを次の実験により比較した。(同書P276より)

▼この動き回るエネルギーはどこから来ているのだろう!?
 必須は2つである。
・「食べる」
・「呼吸」
 これまであまりに当然のこととして、問題としてこなかった「呼吸」についても考えて行きたい。
 「呼吸」=食べものからエネルギーを取りだすこと

▼動物が「生きる」 の最も根本を問うコウガイビル!!
 「ふしぎ!?」のかたまりのような生きものコウガイビル!!

 やっぱり実現したいWebテキスト試案「コウガイビル」!!

 ゆっくり ゆっくり 急ごう!!

Dscn3547

Dscn3575

Dscn3564

| | コメント (0)

63号・64号・65号コウガイビルに出会った!!(2023/07/19) #コウガイビル #陸生プラナリア #飢餓と再生 #教材化 #Webテキスト

Dscn2360_20230721035701

「お~い、また3匹もおったよ!!」

 東の畑の草刈りをする後ろで、妻が叫ぶ声がした。
 すぐに、あいつのことだとわかった。畑に放置していたネットの下にいたという。
 コウガイビルである!!
 これで、人生で出会った63番目・64番目・65番目のコウガイビルたちと同時に出会ったことになる。
 とりあえず一緒のナイロン袋に入れた。
 3匹とも、クロイロコウガイビルである。

Dscn2371

Dscn2409_20230721035801

Dscn2415

Dscn2434

▼いつものように、少量の水といっしょに別々のナイロン袋に入れた。
 65号コウガイビルが、他の2匹より若干黒く大きいようだ。

Dscn2457

Dscn2463

Dscn2474

▼65号コウガイビルまでの出会いと、その後の顛末のすべてを私は「記録」していた!!

◆「コウガイビル」を追う  

▼私はこの「記録」を元にしてWebテキスト試案「コウガイビル」をつくろうと思っていた。
 まずは、どこまで「わかっているのか!?」リストアップしようとした。
  面白くない!!
 急激にそう思うようになった。なにか「知ったかぶり」をして語るのがいやになってきた。
 実は私もよくわかっていなかった。
 
 コウガイビルの「ふしぎ!?」はまだまだあった!! 
 コウガイビルの「ふしぎ!?」を多くの人と一緒に追いたい!!
 それが面白い!!

 どんな小さな情報でもいいです。「コウガイビル」のこと教えてください!!

Dscn2450

| | コメント (0)

62号コウガイビルはエサなしで1ヶ月生きのびた!!(2023/07/12) #コウガイビル #陸生プラナリア #飢餓と再生 #教材化 #Webテキスト

Dscn2194

確かに、頭部がわずかに動きはじめた!!
 生きている!!

 62号コウガイビルは、冷蔵庫からだして、しばらくしてから、イチョウの葉のような頭部(コウガイ)をヒラヒラと動かしはじめた。
 以前のような活発な動きはみられなかった。
 見方によっては体はえらく扁平な姿になっているようにも見えた。

Dscn2107

Dscn2124

Dscn2129

▼わずかな水といっしょにこのナイロン袋に入れたのは、ちょうど1ヶ月前だった。

●62号コウガイビルに出会った!!(2023/06/12)

▼62号コウガイビルの体内で何が起こっていたのだろう!?
 エサなしで生きる「ふしぎ!?」
 この「ふしぎ!?」に答えるとてもうれしい文章があった。
 それはあの名著『切っても切ってもプラナリア』(阿形清和 文 土橋とし子 絵 岩波書店)のなかにあった。

 このことは、何を意味しているかというと、プラナリアはエサがなくてちぢんでいくときも、エサを食べて大きくなっていくときも、いつも体の《つくり直し》をしているということだ。プラナリアにはこのような性質のあるために、再生のときもエサを食べずに、のこった体の《つくり直し》をしながら新しい体を再生できるのではないだろうか。(同書P38) 

 陸生ブナリアであるコウガイビルついても同様のことが言えるのではないかと思っていた。

▼水中に住む「プラナリア」が、生物教材としてりっぱに「市民権」をもっているのに、陸生プラナリア=「コウガイビル」の方はあまり注目されていなかった。
 わりかし身近に暮らしている生きものなのに!!
 そこで、まったくシロウトながら 無謀なる夢をもつようになった。

◆Webテキスト試案『コウガイビル』 !! 

 構想は遅々としてすすんでいなかった。
 この夏に作業が少しでも進むといいな!!

 ナイロン袋の水は、まだ濁ってはいなかった。
 今までに見てきたことから考えると、濁る「その日」もあまり遠くないように思われた。

Dscn2135_20230713044201

Dscn2141

Dscn2148

Dscn2158

Dscn2110

Dscn2113


| | コメント (0)

62号コウガイビルに出会った!!(2023/06/12) #コウガイビル #陸生プラナリア #飢餓と再生 #教材化 #Webテキスト #テキスタイル

Dscn0989_20230616045401

「また、コウガイビルおったで~!!」

 畑に出ていた妻が、少し階段をのぼってきて叫んでいた。
 二階でイヤホーンで、「録音」を聞いていた私はそれにしばらく気づかなかった。
 正直に言うと、「えっ、またか…」という気持ちがなかったわけではない。
 しかし、そのままにしてしまうと、もう報告もしてもらえず、もう「あいつ」と出会うことができないかも知れない。
 大急ぎで、階段を下りていった!!
 人生62匹目のコウガイビルとの出会いであった。

Dscn0998

▼最初に「あいつ」にであったのは、2008.11.14である。
 それから、およそ15年!!
 この「ふしぎ!?」のかたまりのような生き物とつきあってきた。
 それ以前にも出会っていただろうが、私が知らなかったというだけの話かも。
 この間、ずっと同じ方法で「飼育(!?)観察」を続けて来た。

◆「コウガイビル」を追う!!
 
▼あの「水生プラナリア」に負けずに、教材化をめざすと言いながらも、いっこうにその展望が見えてこないことに少しあせっていた。
 多くの人の「知恵・知識」をお借りして

●Webテキスト試案「コウガイビル」

 を構想したいと思っていたのだが。

 今回もやっぱり、前回までと同じように「ナイロン袋」に少量の水といっしょに62号コウガイビルを入れた!!

▼Webテキスト試案「コウガイビル」のことをおぼろげに思い描く中で、思い出すコトバがあった。
 「テキスタイル」!!
 デアル。

 ”テキスタイル”ということばは、いつとはなしに造り出され、使用されるようになった。”わたしたち”の造語である(textile=織物ではなくて、text+style=textyleである。)”わたしたち”が教えたい、わかってほしいと願う事柄がきまったからといって、それはまだテキストではない。テキストは、発問と、資料と、実験と、読み物などで構成されるが、とりわけ、どんな発問を、どんな順序で用意するかが重要である。いや、内容がきまってから「さて発問は?」というのでなくて、事例に関する発問、事例を法則の支配下に位置づけさせる発問、等を考える過程の中で、”わたしたち”の中に次なる内容が求められ、獲得されていくのである。(『極地方式入門』(高橋金三郎・細谷純編、国土社1974.3.20) p174より)

 私がどうしても伝えたいコウガイビルの「ふしぎ!?」とは!?
 ゆっくり ゆっくり 急ごう !!
 
Dscn1017

Dscn1036

Dscn1001

| | コメント (0)

60号・61号コウガイビルは 5ヶ月を待たずに消えた!!(2023/04/08)#コウガイビル #陸生プラナリア #生命と再生 #教材化

Dscn9326

「あれっ!? 居ない!!」
 1ヶ月前には、たしかにここに姿があったのに!!」

 とりわけ61号のナイロン袋には目を凝らしてしっかり見た。
 やっぱり居ない!!
 消えた!! 水が異様に「濁っている」!!
 あわせて60号のナイロン袋も観察してみる。
 1ヶ月前と大きく変化はないようだ。袋の隅にこびりついた茶色の「モノ」があるのは変化ない。
 水は透明に澄んでいた!!
 いずれにしても こうして

 60号・61号コウガイビルはともに 5ヶ月を待たずに消えた!!

Dscn9245

Dscn9249

Dscn9269_20230409040001

Dscn9277_20230409040101

▼ 「生命あるモノ」が消える!?
 今年も、やっぱり「授業びらき」の構想にはこの「ナイロン袋」を持ち込んでと考えていたのに。

 しばしば引用させてもらってきたが、あのダーウィンもこの「消える」を観察していた。

私は、南半球の各地で、陸生のプラナリアを十二種以上見た。ブァン ディーメンス ランド Van Dimen's Land で得た若干の標本には、朽木を食わせて、約二ヶ月も生存をつづけさせた。一匹のプラナリアをだいたい相等しい大きさに横断すると、二週間のうちに双方とも完全な体となった。更に、片方が下面に開口を二つとも持ち、従って他の方は開口を一つも持たぬように切ってみた。施術後25日を経て、比較的完全に近かった方は、普通の標本と区別できぬまでになった。片方もその形がいちじるしく大きくなり、そして後端に近く柔らかい細胞集団のうちに透明な空間を生じ、その中には椀のような形の口の原基が明らかに認められた。しかし下面に裂口が開くには到らなかった。赤道に近づいたために、気温の上昇によって、すべての個体を殺すようなことがなかったならば、この最後の段階も構造を完成したに違いない。この実験はすでによく知られているところであるが、一方の個体の簡単な体の一端から、必須の器官がことごとく次ぎ次ぎに生ずるのを見るのは面白かった。プラナリア類を飼うのは極めてむずかしい。生活現象が終われば、一般に見る天然の変化の法則がここにも働いて、体は全体に柔らかくなり、液化する。そのはやさは、他に比べるものもないほどである。(「ピーグル号航海記 上」(チャールズ・ダーウィン著 島地 威雄訳 岩波文庫 P54より)

 「天然の変化の法則」って何!?

▼このときどうしても引用しておきたいもうひとつの文献があった。

■『プラナリアの形態分化~基礎から遺伝子まで~』(手代木渉、渡辺憲二著、共立出版 1998.3.25)

 この本の
 「14.陸産プラナリア,コウガイビル種類・生態並びに形態分化」(P259~)「14.9 飢餓と再生」(P275)にあった。

 コウガイビルの飼育では給餌が大切な要素となるが、餌に対しての反応は同一種内でも異なり積極的に摂取するグループとそうでもないものとがある。また長期間の飢餓に耐え、もとの体重の1/100に減少しても生存し続けることができる。このような生理的変化が、顕著な再生能をもつ本動物の器官形成にどのような影響を及ぼすのか、頭部再生の有無、形成所要時間、極性との関連について、採集直後の体重を100として、もとの30~40%に減少したグループを飢餓個体として実験を行った。
 なお、飢餓個体の設定は、採集された個体のうち、何としても餌を食べないものがあり、かなりの期間絶食にも耐えられるが、やがて死に至る。体重減少と生存期間の長短は一定ではないが、採取後減少の一途をたどる体重は、ある時点で平衡状態となり、これ以降急激に減少して死ぬものが多い。体重が安定をみせる状態を越えると個体は死を迎えることから、この安定期(もとの体重の30~40%)を飢餓状態と考えた。これらの飢餓グループと採集まもないものとを次の実験により比較した。(同書P276より)

 なんとも示唆的な文章である。

▼これまでの 「コウガイビル」を追う のなかで、エサなしで長く生き延びた「記録」は

●36号コウガイビルはエサなしで「385日」生きのびた!!

 次いでの「記録」は

●第1号コウガイビルはエサなしで「261日」生きのびた!!

 デアル。
 あらためて問いたい!!

 「生きる」って!?
 「生命」って何!?

 「コウガイビル」の「ふしぎ!?」の謎解きはまだまだつづきそうである。

 

| | コメント (0)

より以前の記事一覧