『寺田寅彦全集 科学編 全六巻』(岩波書店)を手に入れた!! #traday #寅の日 #寺田寅彦

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▼ずいぶん迷った。
 すべての断捨離を決行しなければならない時期になって、この買い物はちょっと勇気がいった。
 でも気になってしかたなかった。
 オンライン「寅の日」をすすめるなかで、随筆は青空文庫の世話になって読むことができるが、科学論文は無理だった。
 だから、その大元になった科学論文を見てみたいとずっと思っていた。
 それをついに手に入れた!!

●『寺田寅彦全集 科学編 全六巻』(岩波書店 1985.12.2 第2刷)

▼手に入れる前に、寅彦のことならなんでも知っておられる寅彦研究の大先達のSさんに前もって聞いていた。
 そしたら、第一巻から第五巻は英文、第六巻のみ邦文ということだった。
 なるほど箱をあけてみると、そうだった!!
 もう これだけでも 圧巻だ!!
 ページを開いてみて、なおさらだ!!
 第一巻を開いてみたら、寅彦の写真がでてきた。なんかとてもうれしい気分になった。

 科学論文を読むと言うより、私には、これが「寺田寅彦 科学資料館」に見えてくるのだった!!

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▼論文そのものの読み解きは歯が立たなくても、図、グラフ、写真は十分楽しめた!!
 
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ON THE MECHANISM OF SPONTANEOUS EXPULSION OF WISTARIA SEEDS

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ON THE MOTION OF A PECULIAR TYPE OF BODY FALLING
THROUGH AIR-CAMELLIA FLOWER

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▼「にわか寅彦ファン」が、今さら寅彦研究をすすめようとは思わないし、またそんな力量もない。
 寺田寅彦の「科学」の世界を楽しみたいだけだ!!
 
 してみると、この「寺田寅彦 科学資料館」は、けっこう面白いかも!!
 いつでも、開館中というのもアリガタイ!!
 

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「寺田物理学」とは!?(12) #寺田物理学 #traday #寅の日 #寺田寅彦 #藤の実 #アポトーシス #池内了

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▼2021/02/27の夕方のことだった。「その場所」に行ったのは。
 実はなかばあきらめかけていた。
 「今年も、やっぱり藤豆が、はじけ飛ぶのを観察することができなかったか」と。

 「その場所」は、昨年の夏あたりから目をつけていた。ある公園の藤棚だ!!
 ときおり、「その場所」に行きまだかまだかと観察していた。
 その日のいちばん近くでは、2021/02/16に行って、藤棚にいっぱいの藤の実の鞘がぶら下がっているのを確認していた。
 ところが、この日は、様子が少し変わっていた。
 藤棚の下の砂利の上には、夥しい数のねじれた鞘が落ちていた。
 たまたま藤棚の下にあった板の上には、ねじれた鞘といっしょに飛び散った藤豆も確認できた!!

 2021/02/16と2021/02/27の間にその「瞬間」があったのだ!!
 その「瞬間」に立ち会うことはできなかったが、一歩 「夢」に近づいた!!

 この「夢」は寅彦の「藤の実」(青空文庫より)を読んだときからはじまった!!

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▼まだまだ続けよう。「寺田物理学」とは!?
 参考にさせてもらうのは続けてこれだ。

●「第二章 寺田寅彦が提唱した新しい科学」池内 了(『寺田寅彦と現代 ~等身大の科学を求めて~』(池内 了著 みすず書房)より)

 またまた興味深いコトバが出ていた。
 「アポトーシス」である。

「アポトーシス」  寺田寅彦は、現在、「アポトーシス」と呼ばれる生物現象に気付いていた。アポトーシスとは、遺伝子にプログラムされた細胞死のことで、しかるべき時期に細胞が死を迎えるようセットされており、それによって生物の形態形成が完成する仕組みになっている。秋の落葉、昆虫の変態、おたまじゃくしの尾の消失、指の形成、などがその代表例である。(同書P54より)

▼先の「藤の実」のことが取り上げられているので少し長く引用させてもらおう。

 寺田は「藤の実」(昭和八年四月)の中で、アポトーシスに気付いたことを記述している。ある日、藤豆が一斉にはじけるのに遭遇する。そこで、枯れ死しているような豆の鞘から、どうして藤豆がはじけるのかの機構を研究するのだが、もう一つ大事なことに思い至った。

植物界の現象にもやはり一種の「潮時」とでもいったようなもののある

ということである。春の庭先で風もないのに椿の花が一斉に落ちることにも気付いていた。 また、銀杏の葉が

 ほとんど突然にあたかも一度に切って散らしたようにたくさんの葉が落ち始めた。驚いて見ていると、それから十余間を隔てた小さな銀杏も同様に落葉を始めた、まるで申し合わせたように濃密な黄金色の雪を降らせる

のを目撃したのだ。「どこかでスウィッチを切って電磁石から鉄製の黄葉をいっせいに落下させたとでもいったような感じ」 を持った。そこで考えたのが、

葉という物質が枝という物質から脱落する際には、ともかくも一種の物理学的の現象が発現している事も確実である

ということだった。「潮時」と呼んだ「物理学的の現象」が存在することを確信したのだ。まさに、アポトーシスの存在を予感していたと言える。(アポトーシスは、ギリシャ語で「離れて」「落ちる」の意味がある)。(同書P55より)

▼まだ続けよう。

彼が

このことはわれわれにいろいろな問題を暗示し、またいろいろの実験的研究を示唆する。もしも植物学者と物理学者と共同して研究することができたら案外おもしろいことにならないとも限らない

と書いているように、実際に細胞レベルでの落葉のメカニズムについて、植物学者と物理学者の共同研究が行なわれていれば、アポトーシスの発見は日本人の手になっていたかもしれない。(同書P56より)

 やっぱりここでも「寺田物理学」は、古くて新しかった!!
 いや新しすぎたのかも!? 

 来年は、いや今年かも知れない。
 ぜひとも、「藤の実」のその「瞬間」に立ち会いたいものだ!!

【2021/02/27の藤棚】
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【2021/02/16の藤棚】
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(つづく) 

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第7回オンライン句会「寅の日」3月例会案内!! #寅の日 #オンライン句会 #夏雲システム

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▼風は冷たかった!!
しかし、今年もこの椿の季節がやってきた。
寅日子先生と椿というと 
師・漱石先生の「落ちざまに虻を伏せたる椿かな」から三十数年を経て行なった「椿の花の落下実験」のことを思い出すのだが、寅日子先生自身は椿は詠まなかったのだろうか? さがしてみた。 あった!!

練塀の上に散りたる椿かな (夏目漱石へ送りたる句稿 その十一 明治31-2年)

苔の上に椿落ちにけり五輪塔 (夏目漱石へ送りたる句稿 その十三 明治31-2年)
 この句には「卵塔二基苔滑にして落椿」とまえがきがあり、 とでもするか[漱石] とあるのは、これは漱石先生の指導があったことを意味するのだろうか?

人形の笠にきせたる椿哉 (明治34年)

▼寅日子先生こと寺田寅彦に師事するオンライン句会「寅の日」は、この2月を終えて、はじめてから半年が過ぎたことになる。
 なによりの成果は、半年続けた!! ということだ。
 半年前は、どんな展開になるのやらさっぱりわからず 暗中模索であった。
 私自身が、リアルな「句会」を一度も経験したことのないずぶのシロウトであった。
 半年続けてこれたのはこの2つのおかげである。

・夏雲システム
 これはほんとうにすばらしいシステムである。私のようなまったくのシロウトでもオンラインで「句会」を開催することを可能にしてくれた。
 今、私は思う。リアル「句会」よりもオンライン「句会」の方が簡単で面白いのかも!?

・呼びかけに応えて参加してくださっているメンバー 
 これはアタリマエすぎるほどアタリマエのことだが、この方々がいなければ「句会」は成立しない。
 回を重ねるごとに、メンバーのすばらしさが見えてくる。
 俳句を通してのコミュニケーション、これぞ「句会」の醍醐味だ!!
 深謝 永く 永く よろしくお願いします。

▼半年を過ぎて、今度は一年をめざしてのあらためての案内である。

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第7回オンライン句会「寅の日」3月例会実施 案内

0.はじめに
 本会をオンライン句会「寅の日」と称する。
 オンライン「寅の日」から生まれたオンライン句会です。
 俳句結社「寅の日」が運営しています。
 寺田寅彦に師事します。 

0からはじめる人のためのオンライン句会です。

 本会は「夏雲システム」を利用させてもらっています。

1.原則として月一回の月例句会を実施します。

2. 参加者
 あらかじめ登録された者のみ。
 (「俳号」をきめて、【句会「寅の日」参加希望】のタイトルで楠田までメールを)
 
3.投句のお題
・当季雑詠(その季節の季語を自由に詠む。)

4.句数
・5句だし
・5句選(特1・並4)特選は2点 並選は 1点 扱い
・予選句は自由 

5.【投句期間】
 2021年3月1日0時から15日23時30分まで

6.【選句期間】
 2021年3月16日0時から25日23時30分まで  

7.【結果発表】
 2021年3月26日から
同時に「談話室」が書き込み可能になります。

8.賞について
 ・最高得点句は最優秀句であり、その句会の「寅日子」賞とする。
 ・特別賞として、次の賞を設ける。
 「これぞ科学!!」が詠まれた句 → 「牛頓」(ニュートン)賞!!
 「よくぞそこまで観察した!!」という句 → 「藪柑子」賞!!
  特別賞は、毎回でなくてよい。
  もちろん「寅日子」賞と重なることがあってもよい。
  参加者が、選評の際に書き込むようにようにしたい。複数票を獲得したときに受賞としたい。

9.注意事項
 参加する前に「夏雲システム」、「同意事項」をよく読んでおいてください。

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▼さあ、3月も「ひとり吟行」を繰り返して、投句してみようと思う。
 いつの日か、オンライン句会「寅の日」のリアル吟行を夢みながら…。

 私もやってみようかな!?
 と思ったら、「俳号」(俳句を詠むときのペンネームのようなもの)をきめて、メールをください。
 投句期間であれば、その回から参加できます。
 それ以降であれば、次回から参加できます。
 ぜひ、ご一緒に…<(_ _)>

  

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【必見】100分de名著3月「災害を考える」(Eテレ)!! #100分de名著 #寺田寅彦 #柳田国男 #若松英輔 

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▼いつもお世話になっているMさんから、たいへん興味深い情報をもらった。
 100分de名著3月(Eテレ)の情報だった。

●100分de名著3月「災害を考える」(Eテレ)

 あまりに興味深かったので、テキストも手に入れ読んでみた。

▼なんと言っても、最高に興味あるのは第1回が寺田寅彦であることだ。

●第1回 「自然」と対話する 『天災と日本人』寺田寅彦

 それは、まったくぴったりとオンライン「寅の日」3月と重なるのだった。

●2021年3月のオンライン「寅の日」は #天災は忘れられたる頃来る #traday #寺田寅彦

 3月オンライン「寅の日」は、100分de名著3月(Eテレ)も含みたい気分になってくるのだった。

▼テキストを見ていると
「津浪と人間」
「日本人の自然観」
「天災と国防」
「台風雑俎」
等々が次々と出てきた。オンライン「寅の日」で繰り返し読んできた随筆ばかりだった。
 また、それらは青空文庫を利用させてもらえば、誰でも今すぐ読めた。 アリガタイ!! 深謝!!

◆作家別作品リスト:No.42 寺田寅彦 (青空文庫)

 テキストの著者 若松英輔氏が「最後に、『天災と日本人』に収録されている随筆のなかで、私がもっとも感銘を受けた一篇」として紹介している「何故泣くか」は、「自由画稿」のなかにあった。

●「十七 なぜ泣くか」(「自由画稿」青空文庫より)

▼さらに興味深いのは第2回は柳田国男であるということだ。

第2回 見えざる隣人としての「死者」 『先祖の話』柳田国男

 あらためて読んでみたくなる名著への誘いだ。
 第3回『生の短さについて』セネカ、第4回『14歳からの哲学』池田晶子 も同様だ。
 テキスト表紙から言葉を引用させてもらおう。

 大震災、巨大台風、そして感染症 ー 。
 予測不可能な災禍が相次ぐこの国で、
 私たちに求められている叡知とは何だろうか?
 四冊の名著が、いま、あなたの心に問う。

 もう一度言う。

 100分de名著3月「災害を考える」(Eテレ)は必見だ!!    


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「寺田物理学」とは!?(11) #寺田物理学 #traday #寅の日 #寺田寅彦 #複雑系の科学 #フラクタル #池内了 #松下貢

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ひょっとしたら自然界は「フラクタル」に充ちているのかも!?

・前の竹やぶのシダ葉!!
・あの柿の木!!
・見上げた空の雲のモクモク!!
・地図で見るあの海岸線!!
・…

 スケールを変えながらも同じパターンを繰り返す、これぞ「フラクタル」!!
 ナラバ そんなもの身のまわりにいっぱいありそうな気がしてきた。

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▼まだまだ続けよう。「寺田物理学」とは!?
 参考にさせてもらうのは続けてこれだ。

●「第二章 寺田寅彦が提唱した新しい科学」池内 了(『寺田寅彦と現代 ~等身大の科学を求めて~』(池内 了著 みすず書房)より)

 「フラクタル」面白い!!
と思ったのもつかの間。
・「自己組織化臨界状態」
・「カオス」
とつづき、またしても思考は暗礁にのりあげてしまった。

▼「フラクタル」で暗礁にのりあげたら、いつも聞かせてもらう講演があった。
市民講演会「身の周りの科学から震災まで:寺田寅彦とサイエンスの今」(2011)
 
 この講演会のなかのひとつ、松下貢先生のお話だ。

●「フラクタルの目で自然を見る」松下貢

 市民講座だから、ゼロから語って下さっているのが アリガタイ!!
 寺田寅彦との関係もしっかり ウレシイ!!

▼松下貢先生の話の後、本にもどって読み進めると、少しずつ納得できるところも出てきた。

 こうして、自己組織化臨界状態やカオスが、フラクタル概念を通じて結びつくことになった。しかし、現在のところでは、それがより基本的な法則のどのような断面を見ているのかがわからない。まだ、「第一近似」での関係が朧気ながら浮き上がってきているというところかもしれない。おそらく、将来、自己組織化臨界状態・カオス・フラクタルなどの概念が結び合わされて、複雑系の科学の重要な基本法則へと昇格するのではないだろうか。寺田が、「量的と質的と統計的と」に、

この自然に起こる自然現象を支配する未知の統計的自然方則であって、それは――もしはなはだしい空想を許さるるならば――熱力学第二方則の統計的解釈に比較さるべき種類のものではあり得ないか。マクスウェル、ボルツマン、アーレニウスらを悩ました宇宙の未来に関するなぞを解くべきかぎとしての「第三第四の方則」がそこにもしや隠れているのではないか

と予言した通りである。まだ「未知の統計的自然方則」は発見されていないが、寺田の夢が一歩一歩実現されつつある、と言えるかもしれない。(同書P46 より)

「量的と質的と統計的と」(青空文庫より)
※「法則」は、寅彦が使っていた「方則」に変えさせてもらった。

「寺田物理学」は古くて、おそろしく新しい!!

(つづく)

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本日(2021/02/23)、第278回オンライン「寅の日」!! #言語と道具 #traday #寺田寅彦

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▼昨日の朝、川霧が発生していた!!
 近づいていって、しばし観察してみた。場所によって微妙に霧の発生具合がちがうようだ。
 少し時間がたつと消えてしまった。

 川霧の発生する条件とは ?
 川の水温と気温との温度差!?
 臨界点はどこにあるのだろう!?

 やっぱりここにも「寺田物理学」あるのかな!?

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▼本日(2021/02/23)は、第278回オンライン「寅の日」である。
 2月のテーマは

【2月テーマ】「寺田物理学とは!?」

である。本日はその二回目、読むのは「言語と道具」である。

◆本日(2021/02/23)、第278回オンライン「寅の日」!!

●「言語と道具」(青空文庫より)

▼結論からいこう。
 またしても寅彦に一本とられてしまった!!
 「タイトル」から想像して、アリキタリの話かと思っていた。そのことを理解していると言うのではないが、少しなめていた。
 それはとんでもないはやとちりだった。

 まずは、こんなところからはじまっていた。

言語と道具という二つのものを、人間の始原と結び付けると同様に、これを科学というものあるいは一般に「学」と名づけるものの始原と結び付けて考えてみるのも一種の興味があると思う。

 「科学」の始原!!
 やっぱり寅彦は切り口がちがうぞ。
 そう気づいたときは、もう寅彦のテリトリーにはまっていた。

 共通な言葉によって知識が交換され伝播(でんぱ)されそれが多数の共有財産となる。そうして学問の資料が蓄積される。  このような知識は、それだけでは云わばただ物置の中に積み上げられたような状態にある。それが少数であるうちはそれでもよい。しかし数と量が増すにつれて整理が必要になる。その整理の第一歩は「分類」である。適当に仕切られた戸棚や引出しの中に選り分けられて、必要な場合に取り出しやすいようにされる。このようにして記載的博物学の系統が芽を出し始める。
分類は精細にすればするほど多岐になって、結局分類しないと同様になるべきはずのものである。しかしこの迷理を救うものは「方則」である。皮相的には全く無関係な知識の間の隔壁が破れて二つのものが一つに包括される。かようにしてすべての戸棚や引出しの仕切りをことごとく破ってしまうのが、物理科学の究極の目的である。隔壁が除かれてももはや最初の混乱状態には帰らない。何となればそれは一つの整然たる有機的体系となるからである。

まくしたてられるようにして読み進めると
あれっ!?
「方則」!! 
「物理科学の究極の目的」!!
うまいな、またしてもやられてしまった。そして、とどめは次の一文だ。

 出来上がったものは結局「言語の糸で綴られた知識の瓔珞(ようらく)」であるとも云える。また「方則」はつまりあらゆる言語を煎じ詰めたエキスであると云われる。

▼しかし、ここまででとだまらのないのが寅彦のすごさだった!!
 引用が長くなってしまうが、せずにはおれない。
 今度は「道具」である。

 そして科学の発達の歴史はある意味においてこの道具の発達の歴史である。  古い昔の天測器械や、ドルイドの石垣などは別として、本当の意味での物質科学の開け始めたのはフロレンスのアカデミーで寒暖計や晴雨計などが作られて以後と云って宜い。そして単に野生の木の実を拾うような「観測」の縄張りを破って、「実験」の広い田野をそういう道具で耕し始めてからの事である。

 うまい!!実にうまい表現だ!!

ただの「人間の言語」だけであった昔の自然哲学は、これらの道具の掘り出した「自然自身の言語」によって内容の普遍性を増して行った。質だけを表わす言語に代って数を表わす言語の数が次第に増して行った。そうして今日の数理的な精密科学の方へ進んで来たのである。

 こんな短い文章で「科学史」を凝縮して語っていた。
 そして、本意中の本意を最後の言葉にする。それが寅彦のいつもの手法だった。
 また一本、ワザあり!! 

 

言語と道具が人間にとって車の二つの輪のようなものであれば、科学にとってもやはりそうである。理論と実験――これが科学の言語と道具である。

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「寺田物理学」とは!?(10) #寺田物理学 #traday #寅の日 #寺田寅彦 #複雑系の科学 #フラクタル #池内了

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おおっ フラクタル !?

 数年前、となりのお家から、「ロマネスコ」という名のとても珍しい野菜を「おすそ分け」で頂いた。
 ブロッコリー、カリフラワーの変形バーションのような野菜だ!! 
 そのものにも驚いたが、家で作れるんだということにもいたく感動してしまった。
 
問題はこの「ロマネスコ」の蕾の形状(構造)だ。
 フラクタル形状だ!!
 ひとつひとつ蕾は螺旋形をしている、その蕾をよく見ているとまた小さな螺旋形の蕾からできている。その蕾もさらなる小さな螺旋形から…!!
 まさにフラクタル!! 
 
 と言いながらも、今なお「フラクタル」のほんとうの意味をよく知らなかった!!
 「フラクタル」もまた、「寺田物理学」のひとつ!!

▼「寺田物理学」とは!? まだまだ続けよう。
 参考にさせてもらうのは続けてこれだ。

●「第二章 寺田寅彦が提唱した新しい科学」池内 了(『寺田寅彦と現代 ~等身大の科学を求めて~』(池内 了著 みすず書房)より)

 正直に言うと、引用させてもらいながらも、ポンコツ頭は限界に近かった。
 今の状態では、理解困難なところは スキップすることにした。

 「質的研究が大事であることを強調する場合」として次の三つがあがっていた。
・「思いつき・直観」
・「偶然的統計的現象」
・「物理学の生物学への応用」

▼そして、これまでをまとめるようにして、「複雑系の科学」にふれていた。
 

 以上に述べたような、寺田寅彦が提唱した「質的な」科学は、当時は「趣味的な物理学」と揶揄されたが、多くの新しい分野を生み出すことになった。
 寺田が偶然的統計的現象と呼んだ多くの現象は、現在一括して「複雑系の科学」と呼ばれることが多い。複雑系の特徴は

(一) 系を構成する成分が多数であること、
(二) それら部分系の間の相互作用が非線形(入力と出力が比例関係でないこと)であること、
(三) 部分系の集団的な運動によって新しい質が生じること、
(四) 従って部分の和が全体にならないこと、
(五) ゆらぎや偶然が系の振る舞いを決めること、

などがである。それらを解析する中で、互いに関連する新しい概念が発見されてきた。それらを現代使われている物理学の言葉で整理しておこう。(同書P40より)

 来た!!
 「寺田物理学」→「複雑系の科学」!!
 寅彦は早過ぎたのだ!!

▼そして、「現在使われている物理学の言葉」として登場したのが、「フラクタル」だった。

「フラクタル」  その最初のものが「フラクタル」だろう。フラクタルの概念によって、ガラスの割れ目、リヒテンベルクの放電像、膜の樹枝状の縞模様、河川の分岐など、日常的に眼にする実に多くの分岐現象を整理することができるのだ。(同書P41より)

 「ふしぎ!?」を置き去りにするのはやめよう。
 ゆっくり ゆっくり 進めようと思う。

 先の「ロマネスコ」、
 このときは、今度は自分の畑でも作ってみようと思ったがまだ実現していない。

(つづく) 

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2021年3月のオンライン「寅の日」は #天災は忘れられたる頃来る #traday #寺田寅彦

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▼ 天災は忘れられたる頃来る

 寺田寅彦銅像の台座側面にはこの言葉があった。寺田寅彦記念館の牧野富太郎筆のレリーフと同じだった。
 この言葉について、神田健三氏(中谷宇吉郎 雪の科学館顧問)は、「槲」66号(寺田寅彦記念館友の会発行)で次のように書かれていた。

 

司馬遼太郎が寅彦記念館のレリーフを見て、「土佐弁こそ日本語?」と賞讃したという話を樋口敬二氏が紹介しています(「科学」1996・10、火災研究の開拓)。寅彦記念館のレリーフは、その八年前に出版された『国民座右の銘』を参考にしたと考えられますが、「る」の一字を加えるなど、独自の検討が行われたことが想像されます。

 寅彦の随筆のなかにダイレクトにこの言葉はない。この言葉を「記録」したのもやはり中谷宇吉郎だった。
 その顛末のすべてが、「天災は忘れた頃来る」(中谷宇吉郎 青空文庫より)に語られていた。その最後にこうあった。

それでこれは、先生がペンを使わないで書かれた文字であるともいえる。

▼2021年3月のオンライン「寅の日」の計画を立てる時期である。
 まもなく3.11から10年だ!!
 3月テーマは ずっとこれでやってきた。

【3月テーマ】警鐘「天災は忘れられたる頃来る」

 3月は3回ある。

■2021年3月オンライン「寅の日」!!
◆第279回オンライン「寅の日」 …3/07(日)
◆第280回オンライン「寅の日」 …3/19(金)
◆第281回オンライン「寅の日」 …3/31(水)

▼では何を読むか。
 警鐘「天災は忘れられたる頃来る」にもっとも近い定番で行こう。
 読むたびに、あらたな「発見」があるのが寅彦だ!!
 定番中の定番 「津浪と人間」「天災と国防」に加え「地震雑感」を読みたい。

■2021年3月オンライン「寅の日」!!

◆第279回オンライン「寅の日」 …3/07(日)「津浪と人間」(青空文庫より)

◆第280回オンライン「寅の日」 …3/19(金)「天災と国防」(青空文庫より)

◆第281回オンライン「寅の日」 …3/31(水)「地震雑感」(青空文庫より)

▼3.11から10年!!
 寅彦が最晩年まで鳴らし続けた警鐘に耳を傾けながら、
 「これまで」と「これから」を考えてみよう。

 寅彦はいつ読んでも、今日的だ!!きっと「これから」を!!

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「寺田物理学」とは!?(9) #寺田物理学 #traday #寅の日 #寺田寅彦 #等身大の科学 #新しい科学 #雲をつかむ話 #池内了

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▼こんな面白い「見せ物」はなかなかなかった!!
 上空わずか十数㎞内で起こる「大気の物理学実験」の数々!!
 雲は刻々と姿かたちを変えていった。次のかたちもなかなか予想できなかった。
 手をのばせばつかめそうな気がするのであるが、…

 寅彦門下の藤原咲平が『雲をつかむ話』(藤原咲平著 岩波書店)を書いたのは1926年3月1日だ。
 それから95年!!
 私たちは「雲をつかむ」にどこまで近づいたのだろう。

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▼「寺田物理学」とは!? まだまだ続けよう。
 参考にさせてもらうのは続けてこれだ。

●「第二章 寺田寅彦が提唱した新しい科学」池内 了(『寺田寅彦と現代 ~等身大の科学を求めて~』(池内 了著 みすず書房)より)

 続けて引用させてもらおう。

 そのため、科学はすべて「定量化して」(あるいは「定量化できてはじめて」)科学となる、という暗黙の合意ができ上がってしまった。逆に言えば、「数値的な表現ができないものは科学でない」のである。その結果、もっぱら定量的に表すことが科学の営みであり、「全てを量的に」が合い言葉となってしまつた。より精度の高い実験器具を使い、より精密な実験を行って数値の整合性を確かめるのが科学の王道だとされるようになったのだ。現在の科学の多くの分野では、量的関係を扱わなければ、まともな科学とみなされなくなつている。  むろん、定量的な関係を満足しなければ普遍的な科学の法則として確立し得ないのだから、「定量化」を否定する者は誰もいない。(同書P28より)

 シロウトの私は、ここに大きな「落とし穴」があるように思えてならない。
 
▼さらに寅彦の主張を聞こう。

 しかしながら、「全てを量的に」進めようとしてもできない分野、そもそも「全てを量的に」が馴染まない分野があることも事実である。寺田寅彦が目を付けたのはそのような分野であった。彼は「量的と質的と統計的と」(昭和六年一〇月)のなかで、量的な研究の重要性を認識しながらも、質的な研究を見過ごしたり、無視しないように何度もくどいくらい繰り返している。例えば

現時の世界の物理学界において「すべてを量的に」という合い言葉が往々はなはだしく誤解されて行なわれるためにすべての質的なる研究が encourage される代わりに無批評無条件に discourage せられ、また一方では量的に正しくしかし質的にはあまりに著しい価値のないようなものが過大に尊重されるような傾向が、いつでもどこでもというわけでないが、おりおりはところどころに見られはしないかと疑うからである。そのために、物理的に見ていかにおもしろいものであり、またそれを追求すれば次第に量的の取り扱いを加えうる見込みがあり、そうした後に多くの良果を結ぶ見込みのありそうなものであっても、それが単に現在の形において質的であることの「罪」のために省みられず、あるいはかえって忌避されるようなことがありはしないか、こういうことを反省してみる必要はありはしないか。

と辛辣に述べている。まだ量的に扱えないが故に、無視されたり軽んじられたりしていることが多いのではないかと危惧しているのだ。(同書P29より)

※「量的と質的と統計的と」(青空文庫より)

▼長くなるがまだ続けよう。

 その反省の上で

そういう研究を奨励することが学問の行き詰まりを防ぐ上に有効でありはしないか

という信念を披瀝している。定量化できなくても、とりあえず質的な研究を行なって新しい分野を拓くことが重要である、と考えたのだ。彼が、量的ではなく、質的研究が大事であること強調する場合として、次の三つを指摘している。(同書P30より)

 だんだんポンコツ頭には「雲をつかむ話」になってきたぞ!!
 ただ、この話どうも科学研究だけでなく

 現在の「理科(科学)教育」にとっても大きな「落とし穴」になっているのでは!?
 
 さらに ゆっくり 急ごう!!

(つづく)

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「寺田物理学」とは!?(8) #寺田物理学 #traday #寅の日 #寺田寅彦 #等身大の科学 #新しい科学 #金平糖 #池内了

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「金平糖」(『備忘録』 青空文庫より)は実に面白い随筆である。
 少年時代にこの随筆を読み、いたく感動し、徹底的に「金平糖」の不思議を追いかけた人がいた。金平糖研究の第一人者・中田友一先生だ。
 中田友一先生は、ついには「金平糖博物館」までつくってしまわれた。
 オンライン「寅の日」200回達成記念オフでは、うれしいことに「金平糖博物館」で中田先生から直接お話を聞くことができた。

「金平糖博物館」は最高に面白かった!!(1)
「金平糖博物館」は最高に面白かった!!(2)

 寅彦がここまで連れてきてくれた!!と思うと、とてもうれしい気分になった。

 そう、この「金平糖」も「寺田物理学」のひとつ!!

▼「寺田物理学」とは!? まだまだ続けよう。
 参考にさせてもらうのは続けてこれだ。

●「第二章 寺田寅彦が提唱した新しい科学」池内 了(『寺田寅彦と現代 ~等身大の科学を求めて~』(池内 了著 みすず書房)より)

 続けて引用させてもらおう。

 また量的すぎることへの反省から決定論でないような現象にも目を付けた。偶然的統計的な現象の重要性を指摘したのだ。そのような現象として、ガラスの割れ目、金平糖の角の出方、膜に見られる樹枝状のパターン、液体の渦の生成・分布・相互作用などを挙げ、自分でも実験を試みた。(同書P27より)

 おおっ、金平糖が出てきたぞ \(^O^)/

▼さらに引用を続けよう。
 

 必ずしも高価な器械や豊富な設備を要しない

として、地方にいる科学者にも参加するように促したりもした。また、自然界に見られるさまざまな周期構造ー温泉噴出口の物質集積模様、対流渦、墨流し、氷柱や鍾乳石のしわ、砂や泥の波形、放電の極の縞などーや生物における形態的類型ー珊瑚のヒダや樹葉の紋などーについて、その原因を追及することの重要性を指摘した。(同書P27より)

 これぞビッグサイエンスに対しての「等身大の科学」だ!!
 これは、私の勝手な思い込みだが、「夏休み理科自由研究」テーマ選びのヒントともなるのでは!!

▼次の主張が、池内氏の主文脈であろう。

 このような寺田が興味を抱いた問題が、後年になって、散逸構造、粉体力学、弾性的不安定、散逸揺動定理、フラクタル、カオス、自己組織化など、さまざまな複雑系の物理学の分野へと発展していった。いずれも、一九七〇年頃から盛んになり始めた分野である。また、生物の挙動を物理学の手法で読み解いたり、アポトーシスや免疫のような生物特有の現象にも、寺田の目は注がれていた。むろん、本格的な研究が寺田によってなされたわけではないが、アイデアの新鮮さや目のつけ所の斬新さには驚かされる。ようやく、寺田の慧眼が見直されるようになったのだ。以下でそのことを具体的に見ることにしよう。(同書P27より)

 「寺田物理学」→複雑系の物理学!!
 「寺田物理学」は古くて、もっとも「新しい科学」のはじまりだったのだ!!

 さあ、ゆっくり ゆっくり 急ごう。

(つづく)

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