【お薦め本】『三つの石で地球がわかる』(藤岡換太郎著 講談社 ブルーバックス)
▼ポンコツ度がますます加速してきた。
同時にいくつかのことを考えることができない。
けっこう「三つ」にこだわていた。
木村学氏は『地質学の自然観』のなかの「これから論文を書こうとする若い読者のために」で次のようにのべていた。
私は多くても論点は三つまでと決めています。
なぜなら、これもまた読者の立場に立ってみましょう。三つ以上は多すぎる、と思うからです。人間の記憶能力のキャパシティーで、すとんと腑に落ちるのはせいぜい三つまででしょう。また、だらだらと並べるとインパクトが下がります。プライオリティーの低い論点は、重要な三つに比べて、明らかに比重を下げて一括するなどの書き方が必要と思います。(同書 P224より)
私のようなポンコツにもずいぶん示唆的です。
▼その「三つ」にこだわった本に出会った。
その本のタイトルからして、とても気に入った!!
【お薦め本】にあげることにした。
◆【お薦め本】『三つの石で地球がわかる』(藤岡換太郎著 講談社 ブルーバックス 22017.5.20)
こちらの方も「三つ」にこだわってみよう。
【お薦め】ポイントをさきに「三つ」あげてみる。
(1)石の科学を単純化することで、使える科学にしてくれている。
(2)中学理科の根拠を再確認できる。
(3)プレートテクトニクスを学ぶ基礎知識を教えてくれている。
▼ではひとつずつ行こう。
(1)石の科学を単純化することで、使える科学にしてくれている。
えっ!?
ほんとうに「三つ」でいいの? 正直に言うと最初は半信半疑だった。
それを見透かしたように、著者は「まえがき」のなかで強く言い切っていた。
この本は、そういう不満に応えるために書きました。石の名前は、いくつも覚える必要はありません。基本的には、たった三つ、覚えるだけでいいのです。
三つの石を覚えるだけで、石というものの本質がわかります。たくさんあるほかの石のことも体系的に頭に入ります。さらには、石がどう進化したかがわかります。生きもののように石も長い年月かけて進化しているのです。
そして、石の進化とはすなわち、石によってできている地球の進化でもあります。
地球が現在の姿になるまでに進化してきた歴史は、三つの石の物語でできているのです。(同書P4より)
さて、みなさんはこう言われて「三つ石」は何かわかりますか!?
本文を読む前に私は<予想>してみました。
「二つ」まで当たりました!!
もう「一つ」だけはわかりませんでした。少しだけ余談になりますが、偶然先日訪ねて行った「新温泉町・山陰海岸ジオパーク館」で、この石の<ホンモノ>と出会いました。
<ホンモノ>を見た後に、もういちどこの本の説明を読んでみました。
ナルホド!!
です。
「三つ石」それぞれに一つの章を設けてくわしく基本から説明されています。
(2)中学理科の根拠を再確認できる。
わかっているつもりで教えてきた「中学校理科」の石の知識を、あらためて「科学する」ことができました。具体的に語ってくれているのもアリガタイ!!
私が理科の先生だったら、やはりカレー鍋のたとえを持ち出すでしょう。第2章でも玄武岩をいろいろの「具材」が溶け込んだカレーに見立て、それが冷えるとさまざまな具材が結晶になって出ていくために、カレーがさまざまに変化するという話をしました。
そのときは個々の具材、つまり造岩鉱物の名前は出しませんでしたが、あらためて中学校の授業として考えると、造岩鉱物の名前もあげて、マグマの結晶分化について説明したいと思います。そこで、以下は、その考えに沿って話を進めていきます。(同書P157より)
アリガタイ!!
授業づくりの参考になることはまちがいない。
あえて専門家としての苦言を呈してくれているのもアリガタイ!!
教科書に書かれていることを絶体的なものであると教える側が鵜呑みにして、それを丸暗記させるようなことだけは、説対にしてほしくないと思います。(同書P162より)
▼では最後のお薦めポイントにいきます。
(3)プレートテクトニクスを学ぶ基礎知識を教えてくれている。
実はこの本のサブタイトルは
「岩石がひもとくこの星のなりたち」
となっています。
そうです、「三つの石」に徹底してこだわりぬくことによって、ドラスティクな「地球進化」の物語を語ってくれているのです。
三つの石によって、地球にはほかの惑星にはない特徴ができあがりました。まず層構造が生まれ、プレートがつくられ、プレートテクトニクスが起きて、水が大循環して地球内部へと運ばれるようになりました。水は生命をつくる一方で、地下深くに運ばれることによって島弧をつくり、島弧が衝突・集積することで大陸が誕生しました。私たち人間を含めた、多くの地球生命が住める場所ができたのです。三つの石が地球を特別な星へと進化させたのです。(同書P190より)
面白いです!!
「三つ」へのこだわりのおかげで、ポンコツ頭も「整理」しながら読むことができました。
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