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【お薦め本】『竹取工学物語』(佐藤 太裕著 岩波書店)

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▼今年の春先に、しばし、前の竹薮で「竹」とつきあう機会があった。
 そんなカッコイイ話ではない。
 荒れ放題にしていた竹薮を、少しだけ片づけたのだ。
 ちょつとだけ「ポンコツ竹取の翁」を演じてみたのだった。
 あらためて、「竹」という「植物」を見ていると、なんか「凄いやつ」に思えてきた。
 その「竹」に関して、もっといろんなことを知りたい。
 それを教えくれる面白い本はないかとさがしていた。

▼そしたら、そのなかで出会ったのが今回の【お薦め本】である。
 まだ半わかりだが、あまりに面白いのでここであげてみることにした。

◆【お薦め本】『竹取工学物語 土木工学者、植物にものづくりを学ぶ』(佐藤 太裕著 岩波書店 2023.7.12)

 例によって、いつものように3つのお薦めポイントを先にあげておく。

(1)植物「竹」の凄さを、「構造力学」の視点で解明してくれている。
(2)身近なモノを、ちがった切り口で「科学する」面白さを伝えている。
(3)「常民の科学」の凄さと「これから」を語っている。

▼では蛇足にならない程度に、少しだけ詳しく
(1)植物「竹」の凄さを、「構造力学」の視点で解明してくれている。
  構造力学の研究者である著者の視点で、3つの「ふしぎ!?」を最初にあげてくれていた。
 すると現地で、竹を少しでも知る人にとっては至極当たり前なのかもしれませんが、穴と節、断面が丸ということしか認識していなかった私にとっては新しい発見がいくつもありました。そのうち、今後の研究に大きく影響を及ぼす事実が以下の三点でした。
(1)節と節の配置間隔(節間長)は縦方向に一定ではなく、根元(地際)と先端(梢端)付近で短く、中央部付近で長い 
(2)竹は円筒ではなく円錐形をしている
(3)竹を切って断面を見てみると、縦方向に貫く繊維(維管束鞘)の分布が断面内で一様ではなく、内側よりも外側に多く存在する
 (同書P21より)
はじめて聞けば、まったくシロウトの私には驚きの「事実」デアル。
 「なぜなんだろう!?」
 この謎解きを構造力学研究者の視点でみごとに展開してくれています。 
・竹の「節」がもつ力学的役割
・竹の「維管束」がもつ力学的役割
等など半わかりながら、ナルホド ソウイウコトカ と少しずつ読み進めていくと、思わず感嘆してしまいます。
 うまいことなっとるんやな!!
 竹ってなんて賢いんだ!!
 竹は凄い!!
 と。

(2)身近なモノを、ちがった切り口で「科学する」面白さを伝えている。
 「竹」に限らず、身の回りのモノたちについて、ちがった切り口で「科学する」ことの有効性・面白さを次のように語っていた。

 竹や樹木をはじめとする自然由来の植物を構造物に見立て、その形状や仕組みを力学的な観点からひもとくことは、長年にわたって植物たちが積み重ねてきた智恵を、私たちが獲得することにつながると思わずにはいられません。
 また、次世代で求められる自然と調和する構造物を開発していくために、自然との関わり方を誰よりも知っている植物たちに訪ねることは極めて合理的なアプローチであるといえるでしょう。さらに、植物そのものを力学的特性をうまく利用した材料として使用し、かつ日進月歩で進化する科学技術を駆使して材料としての機能を高めることで、植物は私たちの暮らしを豊かにするツールとなりえるわけです。(同書P74より)

 竹との「つき合い」をもう少し考えてみたいな!!
 このままでは少しモッタイナイ!!

▼最後のお薦めポイントに行きたい。
(3)「常民の科学」の凄さと「これから」を語っている。
第一章のタイトルはこうだった。
 「竹取の翁は優れたエンジニアだった?」
 なかなか興味深い作業仮説の導入である。
 「野山にまじりて、竹をとりつゝ、よろずの事に使ひけり」というのであるから、これが教えてくれるように

我々の祖先は科学や工学が発達する以前の遙か昔から、竹の優れた構造・材料的性質を「経験的に」認識し、生活のさまざまな場面で利用してきたのではないか、と想像されます。現代に生きる私たち日本人が何気なく使う竹の心地よさを、竹取の翁も感じていたのかもしれません。(同書P4より)

 竹取の翁も「経験的」に認識していただろう先人たちのすぐれた智恵と技術!!
 そこから生まれた科学、それを私は勝手に「常民の科学」と呼びたい。
 それらは営々と引き継がれ今日にいったっている。
 それらは、「これから」の科学技術のあり方についても大きなヒントを与えてくれている。
 研究領域は私が把握しきれないほどに広がり、細分化されてきていますが、研究者それぞれの専門領域から植物を深く洞察したときに知りうることを共有できれば、学術の大きな世界が開けてくるのではないでしょうか。研究は研究者のためだけにあるのではなく、一般の方のものでもあります。科学という範疇に入っていないと皆さんが思われるような、経験的な知見や発想もまた貴重で、こういったことを科学者と共有することも大きな価値があると考えています。土木工学、機械工学の視点から植物を見るということは、通常ではないことかもしれませんが、皆さんもご自身の専門や得意分野から、関係なさそうな別のものを眺めてみるときっと面白い気づきがあると思います。
 (同書P105より)

 もういちど、ヤブ蚊の出てくるまでに竹薮をのぞいてみたくなってきた。

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