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本日(2024/04/20)、第377回オンライン「寅の日」!! #マーカス・ショーとレビュー式教育 #traday #寺田寅彦

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▼「最もよく学ぶ者は、最もよく教える!!」
 カッコよく言ったら、それはほんとうだった。
 「教える」がなくなった今も、よく学ぶためには「教える」を想定して考えるがいちばんだ。
 「〇〇を科学する」シリーズをはじめて、なおさら強くそう感じている。

▼本日(2024/04/20)は、第377回オンライン「寅の日」である。
 4月テーマは

【4月テーマ】「寅彦と科学教育」

 である。
 本日はその2回目、読むのは 「マーカス・ショーとレビュー式教育」である。


◆本日(2024/04/20)、第377回オンライン「寅の日」!!

●「マーカス・ショーとレビュー式教育」(青空文庫より)


▼今回の随筆の「前ふり」は長い。
 しかし、それをも楽しませてくれるのが、寅彦随筆のすばらしさだ!!
 いよいよ本論に入っていく。

 筋の通った劇よりも、筋はなくて刺戟と衝動を盛り合わせたレビューの流行(はや)る現代に、同じような傾向が色々の他の方面にも見られるのは当然のことかもしれない。それについて先ず何よりも先に思い当るのは現代の教育のプログラムである。

さあ、いよいよはじまった!!
 寅彦が当時の「教育」どう見ていたかがつづく。
 自分等が商売がら何よりも眼につくのは物理学の中等教科書の内容である。限られた紙幅の中に規定されただけの項目を盛り込まなければならないという必要からではあろうが、実にごたごたとよく色々のことが鮨詰(すしづめ)になっている。

そのうちの一つだけにして他は割愛して、その代りその一つをもう少し詳しく分かるように説明した方が本当の「物理」を教えるためには有効でありそうに思われる。それからまた、近頃の教科書には本文とは大した関係のない併(しか)し見た眼に綺麗なような色々の図版を入れることが流行(はや)るようである。

 物理の教科書を見るたびに何となくこの汽車弁当を思い出すのであったが、今度レビューを見学してからレビューと教科書の対照を考えさせられるような機会に接した。

 三つのものを一つに減らしてもその中の一番根本的な一つをみっしりよく理解し呑込んでしまえば、残りの二つはひとりでに分かるというのが基礎的科学の本来の面目である。そうでなくても一つのものをよく玩味(がんみ)してその旨(うまさ)が分かれば他のものへの食慾はおのずから誘発されるのである。

 一体「教えるためには教えない術が必要である。」というパラドックスが云わば云い得られなくはない。

何故かと云えばS先生のは一と口うまいものを食わせておいて、その外に色々の旨そうなものをちらと見せたきり引込めてしまう流儀であるが、教科書は一向うまくない汽車弁当のおかずの品々を無理やりに口の中へ押し込むような流儀だからである。

 物理のような基礎科学の教科書が根本の物理そのものはろくに教えないで瑣末(さまつ)な枝葉の物理器械や工学機械のカタログを暗記させるようなものでは困ると思う。レビュー式でも本当に面白いレビューならまだしも、さっぱり面白くない百景を並べたのでは全く生徒が可愛相(かわいそう)である。結局は物理学そのものが嫌いになるだけであろう。

 えっ!?いつの時代のことを言っているだろう。と思って、最後の「出典」を見てみると、昭和九(1934)年6月となっていた。
 つまり、今からちょうど90年前のことだった。

▼一方的に「批判的」だけで終わらせないのが、寅彦のすごいところでもあった。
 ナラバとつづける。

 一体レビュー式ということには何もそれ自身に悪い意味は少しもないはずである。善用すればむしろ非常に好い効果をあげ得べき可能性を多分にもっているものである。

学校の教育ではそういう自由は利かない。それをすれば落第させられる。無拠(よんどころなく)教程を鵜呑(うのみ)にする結果は知識に対する消化不良と食慾不振である。
 教えるためには教えないことが肝心である。もう一杯というところで膳を取り上げ、もう一と幕と思うところで打出しにするという「節制」は教育においてもむしろ甚だ緊要なことではないか。この点について世の教育者、特に教科書の内容に関する一切の膳立ての任に当る方々の考慮を煩わしたいと思う次第である。

現代民衆の心理を無視した学者達が官庁の事務机の上で作り上げた教程のプログラムは理論上如何に完全に出来ていても、活きて動いている時代の人間の役に立つ教育には少しどうかと思われるのである。
 
 あらゆるレビューのうちで何遍繰返し繰返し観ても飽きない、観ればみる程に美しさ面白さの深まり行くものは、こうした自然界のレビューである。この面白いレビューの観賞を生涯の仕事としている科学者もあるようである。ずいぶん果報な道楽者だとも云われるであろう。

 そして、最後の一文にたどり着くのだった。
やはり天(あめ)が下(した)に新しいものは一つもないと思ってひとりで感心して帰って来たのであった。


  寅彦はいつ読んでも今日的である!! 

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