« 【Web更新2/18】24-07 Webテキスト『天気の変化』の可能性!?等 更新!! | トップページ | 2024年3月のオンライン「寅の日」は #防災 #減災 #traday #寺田寅彦 »

本日(2024/02/20)、第372回オンライン「寅の日」!! #怪異考 #traday #寺田寅彦

Dscn4621

▼「そんな非科学的な!!」
 「でも…」

 「民話」「昔話」「伝説」「伝承話」等に対して、そう評価されることがある。
 ナットクする反面
 「それでも…」と反駁するコトバももたない。
 でも思うんだ

 「科学的って何?」

 ▼本日(2024/02/20)は、第372回オンライン「寅の日」!!
 2月テーマは

【2月テーマ】「寅彦と科学・非科学」

 である。
 本日はその二回目、読むのは「怪異考」である。
 

◆本日(2024/02/20)、第372回オンライン「寅の日」!!

●「怪異考」(青空文庫より)


▼寅彦は最初に自分のスタンスをあきらかにしていた。

 物理学の学徒としての自分は、日常普通に身辺に起こる自然現象に不思議を感ずる事は多いが、古来のいわゆる「怪異」なるものの存在を信ずることはできない。しかし昔からわれわれの祖先が多くの「怪異」に遭遇しそれを「目撃」して来たという人事的現象としての「事実」を否定するものではない。われわれの役目はただそれらの怪異現象の記録を現代科学上の語彙(ごい)を借りて翻訳するだけの事でなければならない。

つづけて、こうも言っていた。
ただできうる唯一の方法としては、有るだけの材料から、科学的に合理的な一つの「可能性」を指摘するに過ぎない。

従ってやや「もっともらしい仮説」というまでには漕(こ)ぎつけられる見込みがあるのである。そこまで行けば、それはともかくも一つの仮説として存在する価値を認めなければならず、また実際科学者たちにある暗示を提供するだけの効果をもつ事も有りうるであろうと思われる。

 それで、ただここにはほんの一つの空想、ただし多少科学的の考察に基づいた空想あるいは「小説」を備忘録として書き留めておく。もしこれらの問題に興味をもつほんとうの考証家があればありがたいと思うまでである。

そしてここから二つの具体例があがっている。
そのひとつが、「孕のジャン」である。

 その怪異の第一は、自分の郷里高知こうち付近で知られている「孕(はらみ)のジャン」と称するものである。孕は地名で、高知の海岸に並行する山脈が浦戸湾うらどわんに中断されたその両側の突端の地とその海峡とを込めた名前である。

 この地形を自分の目で確かめたくて、「高知県立牧野植物園」への道を車でのぼったこともある。
 さて、この後の展開は寅彦らしいみごとなものだった。
そのほんとうの原因的機巧はまだよくわからないが、要するに物理的には全くただ小規模の地震であって、それが小局部にかつ多くは地殻ちかく表層ひょうそうに近く起こるというに過ぎないであろうと判断される。
 もし「孕(はらみ)のジャン」として知られた記録どおりの現象が、実際にあったものと仮定し、またこれが筑波地方(つくばちほう)の地鳴りと同一系統の地球物理学的現象であると仮定すると、それから多少興味のある地震学上のスペキュレーションを組み立てる事ができる。
 
さて、これらの大地震によって表明される地殻(ちかく)の歪(ひずみ)は、地震のない時でも、常にどこかに、なんらかの程度に存在しているのであるから、もし適当な条件の具備した局部の地殻があればそこに対し小規模の地震、すなわち地鳴りの現象を誘起しても不思議はないわけである。そして、それがある時代には頻繁ひんぱんに現われ、他の時代にはほとんど現われなくなったとしても、それほど不思議な事とは思われない。

 それで問題の怪異の一つの可能な説明としては、これは、ある時代、おそらくは宝永地震後、安政地震のころへかけて、この地方の地殻に特殊な歪を生じたために、表層岩石の内部に小規模の地すべりを起こし、従って地鳴りの現象を生じていたのが、近年に至ってその歪が調整されてもはや変動を起こさなくなったのではないかという事である。

このみごとな作業仮説に感心してしまう!!
それ以上に寅彦がすごいと思い、注目したいのは次だ!!
しかしもし現代の読者のうちでこれと類似の怪異伝説あるいは地鳴りの現象についてなんらかの資料を教えてくれる人でもあれば望外の幸いである。

これは「現代」にも通ずる!!
今だからこそという言う思いもある!!

▼もうひとつの具体例はこうである。

 次に問題にしたいと思う怪異は「頽馬(たいば)」「提馬風(たいばふう)」また濃尾(のうび)地方で「ギバ」と称するもので、これは馬を襲ってそれを斃死(へいし)させる魔物だそうである。

 これに反して、ギバがなんらかの空中放電によるものと考えると、たてがみが立ち上がったり、光の線条が見えたり、玉虫色の光が馬の首を包んだりする事が、全部生きた科学的記述としての意味をもって来る。また衣服その他で頭をおおい、また腹部を保護するという事は、つまり電気の半導体で馬の身体の一部を被覆して、放電による電流が直接にその局部の肉体に流れるのを防ぐという意味に解釈されて来るのである。 
「科学的」謎解きの展開が面白い!! 最後のしめくくりもみごとである。
結局は実際の野外における現象の正確な観察を待つ必要がある。
 ギバの現象が現時においてもどこかの地方で存在を認められているか。もしいるとすればこれに遭遇したという人の記述をできるだけ多く収集したいものである。読者の中でもしなんらかの資料を供給されるならば大幸である。

 「現代」だからこその「多くの収集」の手段も考えられるのかもしれない。
 
 最後の最後に寅彦はこう記していた。

(この「怪異考」は機会があらば、あとを続けたいという希望をもっている。昭和二年十月四日)

 寅彦の「にわかファン」である私は、「怪異考」の続編を書いたのか知らない。
 
 「科学的って何?」

|

« 【Web更新2/18】24-07 Webテキスト『天気の変化』の可能性!?等 更新!! | トップページ | 2024年3月のオンライン「寅の日」は #防災 #減災 #traday #寺田寅彦 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 【Web更新2/18】24-07 Webテキスト『天気の変化』の可能性!?等 更新!! | トップページ | 2024年3月のオンライン「寅の日」は #防災 #減災 #traday #寺田寅彦 »