本日(2023/12/10)、第365回オンライン「寅の日」!! #塵埃と光 #自然観 #traday #寺田寅彦
▼私は、毎日の「雲見」と【宇宙見物】を究極の道楽としている。
最近はなかでも、「地球照」の居る景の【宇宙見物】は最高のお気に入りである。
もちろん【宇宙見物】は、寅彦の「懐手して宇宙見物」の受け売りである。
▼本日(2023/12/10)は、第365回オンライン「寅の日」!!
12月テーマは、少し大きなテーマです。
【12月テーマ】「寅彦と自然観」
本日は、その第一回目。「塵埃と光」を読む。
◆本日(2023/12/10)は、第365回オンライン「寅の日」!!
▼その「雲見」、【宇宙見物】も深くそのひとの「自然観」と関わっていると思っていた。
なんと、こんな出だしからはじまっていた。
昔ギリシアの哲学者ルクレチウスは窓からさしこむ日光の中に踊る塵埃(じんあい)を見て、分子説の元祖になったと伝えられている。
それは、「自然」を見るとき、そのひとの「物質観」が深く関わっていることを示唆するものだった。
続けてこう言う。
塵を含んだ空気を隔てて遠方の景色を見る時に、遠いものほどその物から来る光が減少して、その代りに途中の塵から散らされて来る空の光の割合が多くなるから、目的物がぼんやりする訳である。
池の面の波紋でも実験されるように、波の長さが障碍物(しょうがいぶつ)の大きさに対して割合に小さいほど、横に散らされる波のエネルギーの割合が増す。従って白色光を組成する各種の波のうちでも青や紫の波が赤や黄の波よりも多く散らされる。それで塵の層を通過して来た白光には、青紫色が欠乏して赤味を帯び、その代りに投射光の進む方向と直角に近い方向には、青味がかった色の光が勝つ道理である。遠山の碧(あお)い色や夕陽の色も、一部はこれで説明される。
アタリマエは、みごとに「科学」されるのである!!
「レイリー散乱」「ミー散乱」も意図も簡単に解説してくれているのだった。
その解説は「雲発生の原理」まで及んだ。
普通の顕微鏡では見えないほどの細かい塵の存在を確かめ、その数を算定するために、アイケンという人が発明した器械がある。その容器の中の空気に、充分湿気を含ませておいてこれを急激に膨張させると、空気は膨張のために冷却し含んでいた水蒸気を持ち切れなくなるために、霧のような細かい水滴が出来る。この水滴が出来るためには、必ず何かその凝縮する時に取りつく核のようなものが必要であって、これがなければ温度が下がっても凝縮は起らない。
▼さらには、話は「宇宙」「偏光」へと拡がっていく。
蒼空(あおぞら)の光も何物か空中にあって、太陽の光を散らすもののあるためと考えなければならない。もし何物もない真空であったら、太陽と星とが光るだけで、空は真黒に見えなければならない。
こういう光を散らす微粒はその散らす光の振動方向に片寄りを生ずる、いわゆる偏光を生じる。それで空の光を適当な偏光器で検査すれば、空の部分によって偏光の度や偏光面の方向が規則正しく分布されている事が分る。この偏光の度や配置を種々の天候の時に観測して見ると、それが空気の溷濁(こんだく)を起すようないわゆる塵埃の多少によって系統的に変化する事が分る。
この偏光の研究を更につきつめて行って、この頃では塵のない純粋なガスによって散らされる光を精細に検査し、その結果からガス分子自身の形に関するある手掛りを得ようとしている学者もあるようである。
なんとこの短い文章のなかに、すべてがつまっていた!!
繰り返す。
そのひとの「自然観」は、その人の「物質観」「科学観」と深く関わっている!!
寅彦の「自然観」から大いに学びたいものだ!!
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