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【お薦め本】『中学校理科 授業づくりアイデア大全』(河野 晃著 明治図書)

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▼直接中学校で「理科」の授業をすることから、遠ざかってだいぶん時間が経つ。
 しかし、「理科」(科学)のこと考えるとき、いつもいちばんベースにするのは、自分のやってきた「中学校理科の授業」のことである。
 拙い実践で恥ずかしいかぎりであるが、私がいちばん参考になる「情報」はやっぱりここからはじまっていた。事実はこれ以上でも、これ以下でもなかった。
 もし、現役時代に出会っていたら、もっとも参考になりそうな本に最近出会った。

▼ その本が今回の【お薦め本】である。

◆ 【お薦め本】『中学校理科 授業づくりアイデア大全』(河野 晃著 明治図書 2023.7)

 例によって【お薦め】ポイントを3つにしぼってあげてみる。
(1)中学校理科授業づくりの最前線の情報のすべてがここにある!!
(2)「授業づくり」のための最高の「相談役」の書である!!
(3)生徒の疑問に答えるための「授業づくり」の書である!!

▼では少しだけ詳細に3つのポイントにふれてみます。
(1)中学校理科授業づくりの最前線の情報のすべてがここにある!!
 著者は「イントロダション」のなかで、次のように述べていた。

 中学校の理科教員の仕事には、特有の大変さがあります。座学的な授業だけでなく、観察・実験も多くあり、物品の管理や理科室の運営も必要です。また、校内の分掌でICT等手間のかかる役割を担うことも多いのではないでしょうか。
 そんな多忙な日々の中で、効率よく充実した授業をつくるために大切にしたことを3つご紹介します。(同書P2より)
 納得できますね。
 「授業づくり」だけが、独立してあるわけではないですよね。
 「授業内容」だけに焦点をあてた類書が多い中で、「授業づくり」全般に配慮した本書はすばらしいです。それは「もくじ」にもよくあらわれていました。
第1章 授業準備 知的好奇心を喚起しながら、全員参加の授業を目指す
第2章 理科室づくり 管理や準備、片づけの工夫で、授業の効果を最大化する
第3章 観察・実験 手軽に、魅力的な学びを創り出す 
第4章 学習評価 効率的かつ確かなテスト、評価を行う 
第5章 生徒の疑問 素朴な問いから、知的更新を拡げる
(同書P5~P8「もくじ」より)

 どの章・どのページにも最新情報が満載である。
 きっと、今すぐ真似てみたい「情報」がいっぱいである。
 なかでもやっぱり最高にお薦めは、第3章 「観察・実験」である。
 一年 15
 二年 17
 三年  8
 全部で40もの「手軽に、魅力的な」観察・実験のアイデアが紹介されている。
 ナルホド これは面白い!! すばらしいアイデアだ!!
 と思うものばかりだ。
 特に私の気に入った「観察・実験」を次にあげてみる。
・スローモーションで沸騰を観察しよう
・水の蒸発による質量変化を、精密電子天びんで捉えよう
・豆電球を家庭用コンセントで点灯させよう
・ワイヤレスLEDを点灯させよう
・使い捨てカイロを使って、酸化を可視化しよう
・花粉管の観察を簡単、確実に行おう
・Webサービスで自然現象を把握しよう
・理科室を宇宙空間にしよう
等などである。
 どの項目にも「所要時間」「注意事項」が明示してあり、現場で活躍中の著者ならではの配慮・工夫があった。また著者自身のホームページの実験動画への案内もアリガタイ!!
 
 次の【お薦め】ポイントに行こう。
(2)「授業づくり」のための最高の「相談役」の書である!!
 やはり「イントロダクション」の「3 困ったときは人を頼る」のなかで、次のようにも述べていた。
 観察・実験や理科室運営は言うに及ばず、指導方法から評価方法まで、経験者から直接学ぶことは多いでしょう。ところが、理科教員が校内に1人しかいなかったり、複数名いてもお互いの時間が合わなかったりして、なかなか質問したり相談できないこともあるでしょう(本書も、そうした方を意識して書きました)。そうした中、学校外の人とのつながりはとても大切です。(同書P3より)

 またSNSにも理科のつながりがあります。例えばFacebookでもいくつか理科教育に関わるグルーブがあります。私自身も「FACEBOOK版【理科の部屋】」というグループを運営しています。LINEでもオープンチャットの「理科室の雑談」というグループをつくっています。
こうしたSNSのメリットの1つは、全国に広がっていることです。
 (中略)
 「学校内のこと(だけ)を一生懸命やるべきだ」という考え方の先生もいらっしゃいますが、生徒によりよいものを教えるためにはどうしたらよいか考えたとき、私は積極的に外とつながりをもつことも大切だと考えます。(同書P4より)

 まったく同感です!!
 著者自身も語られているように、この本そのものが、最高の「相談役」になっていると思います。
 また、この本を入り口として、外に「相談役」を求めることも、よりよい「授業づくり」のためには有効かもしれませんね。
 この本の続きは、ぜひ「FACEBOOK版【理科の部屋】」で

 著者自身が運営するWebサイトの紹介があるのもうれしい!!

◆「にしきの理科準備室」


▼【お薦め】ポイントの最後はこうです。
(3)生徒の疑問に答えるための「授業づくり」の書である!!
・自然は最高の「教科書」!!
・子ども(生徒)は最高の「指導書」!!
 理科の先達からの「教え」であった。
 なんども ナルホド!! と納得することがあった。
 この本でも、そのスタンスが具現化して書かれていた。
 それがこの本をより魅力的なものにしてくれていた。 
 それが
第5章 生徒の疑問 素朴な問いから、知的更新を拡げる
である。
 14の生徒の素朴な疑問がとりあげられていた。実際の授業実践のなかから生まれた疑問であろう。読者はきっと「それ あるある!!」となるだろう。
 疑問に対しての「応答例」もあがっている。なるほどウマイ!!
 「私ならどう答えるだろう?」と考えながら読むとより面白い。
【生徒に紹介したいWebサイト】まであがっているのはうれしい!!

 また、これらの真似して「授業」をやってみたくなるような本だ!!

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コメント

ご紹介いただき、ありがたいやらこそばゆいやらです・・・(^_^;)
またリンク先では、過分なお言葉をいただき恐縮しております。
といいますのも(お感じになられたかと思いますが)この本は、まさに私がnifty【理科の部屋】で育てていただき、それを自分なりに形にまとめたもの、というのがベースにあるからです。半分は、いや、それ以上は【理科の部屋】のおかげと言って過言ではありません。
今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: にしき | 2023/07/28 01:06

にしきさん

いつもお世話になっています。
著者自らうれしいコメントをいただき、こちらこそ恐縮しています。
あのCDをつくっていただいたころから、ずっとずっと【理科の部屋】を牽引していただき感謝しています。
この本の出版が契機になり、さらに多くの人との交流が深まるといいですね。
今後ともよろしくお願いします。

投稿: 楠田 純一 | 2023/07/28 06:23

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