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本日(2023/05/20)、第348回オンライン「寅の日」!! #自然界の縞模様 #traday #寺田寅彦

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▼ありふれた自然界の景のなかに、「ふしぎ!?」をみつける!!
 みつけた「ふしぎ!?」をツナイデ「科学」にまで高める。
 やっぱりその先駆者は寅彦だろう。
 
▼本日(2023/05/20)は、第348回オンライン「寅の日」である。
 5月のテーマは、

◆5月テーマ 「日常のなかの科学」

 である。「ふしぎ!?」発見名人寅彦の技を楽しみたいものである。
 5月2回目の本日は「自然界の縞模様」を読む。


◆本日(2023/05/20)、第348回オンライン「寅の日」!!

●「自然界の縞模様」(青空文庫より)


▼最初に白状しておくが、この随筆を何度か読んできたが、私に少し難解すぎてよくわかっていなかった。
 しかし、とても気になり、わかっていないくせにとても「お気に入り」随筆なのである!!
 さあ、はじめよう!!いきなりこうきたのだ!!

  ここでかりに「縞模様(しまもよう)」と名づけたのは、空間的にある週期性をもって排列された肉眼に可視的な物質的形象を引っくるめた意味での periodic pattern の義である。

これらの現象の多くのものは、現在の物理的科学の領域では、その中でのきわめて辺鄙(へんぴ)な片田舎(かたいなか)の一隅(いちぐう)に押しやられて、ほとんど顧みる人もないような種類のものであるが、それだけにまた、将来どうして重要な研究題目とならないとも限らないという可能性を伏蔵しているものである。今までに顧みられなかったわけは、単に、今までの古典的精密科学の方法を適用するのに都合がよくないため、平たく言えばちょっと歯が立たないために、やっかいなものとして敬遠され片すみに捨てられてあったもののように見受けられる。しかし、もしもこれらの問題をかみこなすに適当な「歯」すなわち「方法」が見いだされた暁には、形勢は一変してこれらの「骨董的(こっとうてき)」な諸現象が新生命を吹き込まれて学界の中心問題として檜舞台(ひのきぶたい)に押し出されないとも限らない。そういう例は従来でも決して珍しくはなかった。

そう言われてみれば興味津々だ。

しかし、自然は人間の知らないいろいろな理由を知っており、持ち合わせているために、世界の万物はことごとく円や球や均質平等であることから救われるのである。

 そして、またしても我らが「金平糖」が登場する!!
二十余年の昔、いろいろこういう種類のことを考えていたころに、何よりもまずわが国に特有で子供の時からなじみの深い「金米糖(こんぺいとう)」というものの形が自分の興味を引いた。どうしてあのように角(つの)ができるか、どうして角の数が統計的に一定になるか、この疑問を年来いだいて今日に至る間に、おりにふれてはこれによく似たいろいろの問題が次第に蓄積して来た。

▼ここから次々とたたみ込むように「ふしぎ!?」が列記されるのである。
 まるで、あのコトバを連発されるように
 「ねえ君、不思議だと思いませんか?」
 もうすっかり寅彦ワールドの展開である。

 樹木の年輪や、魚類の耳石の年輪や、また貝がらの輪状構造などは一見明白な理由によって説明されるようではあるが、少し詳細に立ち入って考えるとなると、やはりわからないことがかなりありそうである。

 しかし、実験的現象として見た割れ目の現象はなかなか在来の簡単な理論などでは追いつきそうもない複雑多様なものであって、これに関する完全な説明のできる前にはまだまだ非常にたくさんの実験観察ならびにそれからの帰納的要約が行なわれなければならない。そうして新しい「割れ目の方則」が発見されなければならないであろうと想像される。

 そして、結論めいてこう語る。
こう考えると、形が不規則だとか、reproducible でないからとか言って不規則な放射像を物理学の圏外に追いやる必要はないであろう。光の場合の不規則は人間の感官認識能力の低度なおかげで「見えない」から平気であるが、現在の場合は「見える」からかえって困るのである。

 そして、最後にこう締めくくった。
このはなはだ杜撰(ずざん)な空想的色彩の濃厚な漫筆が読者の中の元気で自由で有為な若い自然研究者になんらかの新題目を示唆することができれば大幸である。ただ記述があまりに簡略に過ぎてわかりにくい点が多いことと思われるが、そういう点についてはどうか聡明(そうめい)なる読者の推読をわずらわしたい。

科学者・寺田寅彦がこう書いたの1933年(昭和8)2月である。
それから19年後

●1952年 チューリング・パターンが発表された!! 

 寅彦ははやすぎたのだろうか!?

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