« 「植物の世界」を科学する(12) #植物の世界 #花と実 #ジャガイモの花と実 #仮説実験授業 #授業書 #花とたね #板倉聖宣 | トップページ | 【Web更新5/14】23-20 サイエンスコミュニケーター宣言等 更新!! »

「植物の世界」を科学する(13) #植物の世界 #花と実 #カブの花と実 #仮説実験授業 #授業書 #花とたね #板倉聖宣

Dscn0050_20230514040701

▼置き去りにされてしまった畑にはカブの畝もあった。
 カブたちもやはり、花が咲き 実(たね)までできてしまっていた!!
 ここまできたら、やはり一度、ここからたねを取り、「発芽」に挑戦してみたくなるのだった。

▼じつに長く引用させてもらってきた論考であるが、ここらあたりで終わりとしたい。
 
◆「「花と実」の仮説実験授業-その授業書の構想-」(板倉聖宣 『理科教室』1966年号P53~65)

 やはりここらあたりが、すべてのはじまりであったのだろう。

▼最後の6節では、かなり具体的な授業書の構想が語られていた。
 ここでは、そのアウトラインだけを引用させてもらおう。

6.「花と実(たね)」の授業書の構想の展望

 1.実(たね)はすべて花からできる

A 花→実(たね)のプロセスをはじめて注目させるに都合のよい植物

B 栽培植物で実(たね)を食用その他に利用するが、花が観賞されることはほとんどない植物
 
C 同上栽培植物(実-たねを食用その他に利用するが、花が観賞されることことはほとんどない植物)で、雌雄同花・花弁の植物の場合。

D 実(たね)を食用その他に利用する植物で、花は花弁がなく常識的には花と認めがたい植物

E 実(たね)以外のものを食用その他に利用する栽培植物でタネをまいてふやす植物 


 2.植物のふえ方、ふやし方と花とタネの役目
  
A  花が咲けば実(たね)がてぎる-虫媒花のばあい-

B 風媒花のばあい 

C 自然にある植物のいろいろなふえ方

D タネ以外の方法で植物をふやす方法

E 品種改良と花とタネの役目

F 花もたねもない植物の話-隠花植物のふえ方(胞子)-


▼そして、最後の最後に「追記」として、次のように書かれていた。

(追記-現在、この構想にしたがって授業書の作成が進められています。おそらく、この文章が印刷になるころには、授業書そのものが出来上がっていると思います。現在進行中の授業書の展開の順序は、上の第6節の展開の順序とかなりくいちがっていますが、ここでは第6節を変更せずに御検討ねがうことにした。)
(同書P65より)

 ちなみにこう書かれた翌年1967年6月に授業書「花と実(たね)」の初版が出されたのだった。

(つづく)

|

« 「植物の世界」を科学する(12) #植物の世界 #花と実 #ジャガイモの花と実 #仮説実験授業 #授業書 #花とたね #板倉聖宣 | トップページ | 【Web更新5/14】23-20 サイエンスコミュニケーター宣言等 更新!! »

コメント

おはようございます。このところ、週末が雨ですね。今日は地区の除草作業の予定でしたが、一週間延期されました。この時期植物観察を楽しむというよりは、彼らとの闘いですね。😅 
この記事に触発されて板倉先生の「ジャガイモの花と実」を書棚から取り出して、パラパラ見てみました。物理学のような原理的な思考とは対極にある枚挙の世界と思われた植物の世界に、原理的な思考で一貫した切り口を提供したこの本は、意義があると思います。「らんまんの花」で植物の世界に注目集まりますが、板倉先生の開いた植物の世界にも目を向けてほしいですね。

投稿: sakamoto | 2023/05/14 08:52

sakamotoさん

コメントありがとうございます。
 私の方も地域での作業でしたが、実施されました。

>この記事に触発されて板倉先生の「ジャガイモの花と実」を書棚から取り出して、パラパラ見てみました。物理学のような原理的な思考とは対極にある枚挙の世界と思われた植物の世界に、原理的な思考で一貫した切り口を提供したこの本は、意義があると思います。「らんまんの花」で植物の世界に注目集まりますが、板倉先生の開いた植物の世界にも目を向けてほしいですね。

 今しばらく「植物の世界」を科学するにはまっています。
 今、見に行ったら「子規庵の糸瓜」も芽生えてきたようです。
 あらためて、植物のすごさ!!「ふしぎ!?」に感動しています。大賀ハスも浮葉が大きくなりつつあります。

投稿: 楠田 純一 | 2023/05/14 12:11

植物の科学で思いましましたが、先週田辺で南方熊楠賞の授賞式があって、受賞者の塚谷裕一先生の記念講演を聴いてきました。世界の最先端の分子遺伝学的研究から牧野富太郎や南方熊楠に通じるナチュラリスト的な研究それに文学との関わりまで、実に幅広く植物の世界を興味深くご紹介くださいました。
https://www.agara.co.jp/article/273964
それはそれとして、私も最近明治の生物学者丘浅次郎の「進化論講話」を読んでます。ちょうどメンデルの法則が再発見された頃に出版されていますが、かえって進化に焦点を当てて豊富な実例を挙げてわかりやすく説いています。
https://dl.ndl.go.jp/pid/936391/1/8

投稿: sakamoto | 2023/05/14 22:30

sakamotoさん

たいへん興味深い情報をありがとうございます。

>https://www.agara.co.jp/article/273964

 この講演はぜひ聴いてみたかったですね。
 こちらの情報も貴重ですね。書いたものは、こんなかたちで残っていくんですね。

>https://dl.ndl.go.jp/pid/936391/1/8

投稿: 楠田 純一 | 2023/05/15 06:05

講演はネットにアップされてませんが、講演後のインタビューはYoutubeにありました。
https://www.youtube.com/watch?v=BxbRUcw1Dik

投稿: sakamoto | 2023/05/15 17:10

sakamotoさん

おはようございます。
とてもうれしい情報をありがとうございます。
さっそく聴いてみました。とても興味深かったです。
6月オンライン「寅の日」のテーマも「寅彦と植物学」にするつもりです。

投稿: 楠田 純一 | 2023/05/18 05:48

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 「植物の世界」を科学する(12) #植物の世界 #花と実 #ジャガイモの花と実 #仮説実験授業 #授業書 #花とたね #板倉聖宣 | トップページ | 【Web更新5/14】23-20 サイエンスコミュニケーター宣言等 更新!! »