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【お薦め本】『雲の超図鑑』(荒木健太郎著 KADOKAWA )

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▼私の究極の道楽は、次の2つだ!!

・賢治の「雲見」
・寅彦の「宇宙見物」

とりわけ前者の「雲見」は、いつでも どこでも 誰でも 簡単に楽しめる。
 最高の「自然観察」事始め!!
と思っていた。

▼その「雲」に特化した「図鑑」が出たというので、さっそく手に入れてみた。
 『すごすぎる 天気の図鑑』シリーズの第3弾である。

◆ 『雲の超図鑑』(荒木健太郎著 KADOKAWA 2023.3.27 )

 これまでとも重なるところがあるが、お薦めポイントは次の3つである。

(1)「雲見」をゆたかに膨らませてくれる!!

(2)動画解説も含めて、「雲見」を科学する面白さを教えてくれる!!

(3)子どもから大人まで楽しめる「雲見」徹底ガイドブック!!
 

▼ではお薦めポイント3つを少し詳しく

(1)「雲見」をゆたかに膨らませてくれる!!
 著者は「はじめに」のなかで、このように言っていた。

 雲がいるから空は楽しく、私たちは美しい風景に出会えます。
雲について少し知っているだけで、さまざまな見方で空を観察できるようになり、新たな発見もたくさんあると思います。この本が、みなさんにとって楽しい雲ライフを送るきっかけになればいいなと考えています。(同書 P2より)

 特に「ゆたかに」というところでひとつ気に入っているところがあります。
それは「目次」を見ればわかるように

第1章 すごすぎる 雲のしくみ
第2章 すごすぎる 雲の分類
第3章 すごすぎる 積乱雲
第4章 すごすぎる 雲の文化
第5章 すごすぎる 雲と天気

そうです。第4章「すごすぎる 雲の文化」があることで、「雲見」はうんと「ゆたかに」なるのです。
 暮らしのなかの「文化」「文学」「芸術」等で「雲見」の楽しさが生きているのです。
 第4章のなかでも特に気に入ったのは「45 正岡子規は雲が大好きだった!」(P126)です。

 彼には「雲」(1898年)という最高なタイトルの作品があります。これを読んで驚いたのが、独自の雲の名前や地域ごとの積乱雲の名前(P122~125)などにもかなり言及していることです。さらには、「春雲は綿の如く、夏雲は岩の如く、秋雲は砂の如く、冬雲は鉛の如く、晨雲は流るゝが如く、午雲は湧くが如く、暮雲は焼くが如し。」という記述もあります。
 …
 極めつきは「雲好きと果物好きと集まつて一日話してみたい」と述べていることです。筆者がこの時代に生きていたら、きっと仲良しの雲友になれていたはず……!(同書 P126 より)

 そんな集まり(「雲見」オフ)があったら、ぜひ私も寄せてもらいたいですね。

(2)動画解説も含めて、「雲見」を科学する面白さを教えてくれる!!
 今回もうれしいことに、とてもくわしい「動画解説」があった。

 ※この本の内容は、筆者のYouTubeチャンネル『荒木健太郎の雲研究室』で目次の項目すべてについて動画で解説していますので、本とあわせてご覧ください。(同書P2より)

 アリガタイ!!
 これまでもそうだっが、著者自らのミニレクチャー(動画解説 なかみはけっしてミニではないが)はとてもうれしい。
 リアル「雲見」をしているとき屋外でも、スマホ、タブレットでミニレクチャーを楽しめるということだ。
 それも何度でも繰り返して学べる。

・リアル「雲見」
・【お薦め本】『雲の超図鑑』
・著者自らのミニレクチャー(動画解説)

 この3つを繰り返し行ったり来たり これぞ最高の「雲見」だ!!


▼お薦めポイント最後の3つ目である。 
 
(3)子どもから大人まで楽しめる「雲見」徹底ガイドブック!!
 ひょっとしたら、私は順番をまちがったかも知れない。
 この3つ目こそが最大のお薦めポイントなのかもしれない。
 大人が読んで、見て(「図鑑」なのだから必須)楽しめる!!
 まずは、これが大切だった。
 いつものように、我らが「パーセルくん」が登場してくる。
 なんだか、それだけで身内気分になってくるから不思議だ!!
 今回はさらにうれしいことに
 「十種雲形の雲たち」(同書P3)のキャラクターも登場するのだ。
・どのキャラクターも、その雲形の特徴をとらえていてかわいい!!
・特に一度見たら忘れられないキャラ 2つ
 「巻層雲」薄く空に広がってハロ・アークの虹色を生む。
      虹色の帯がかわいい!!
 「層積雲」畑のうねのように並ぶ。野菜はイメージ。
      手に持ったニンジンが印象的。層積雲を見るたびにニンジンを探していたりする。困ったものだ(^^;ゞポリポリ)

 子どもたちへの配慮は、かわいいキャラクターの登場だけではありません。 全文とおして、難しい気象用語のみならずすべての漢字には「ふりがな」がついています。これは私にもアリガタイです。
 そのこころざしは、「おわりに」の文の中に現れていました。
 そして雲を見て、「おもしろい!」「これは楽しい!」と感じたら、家族や友達に伝えてみてください。それを一緒に楽しめれば、ワクワクも倍増です。

 逆に、誰かに「こんな発見をしたよ!」と教えてもらったら、もし「そんなのあたり前じゃん」と思ったとしても、頭ごなしにはねつけず「それはすごいね! じつはこういうおもしろいこともあってさ……」と楽しさを共有しましましょう。発見と感動をわかちあう経験は、きっとみなさんの人生をより豊かにしてくれると思うのです。(同書 P170より) 

 最後にどうしても引用させてもらいたい一文があった。
 積乱雲による局地的大雨に加え、線状降水帯による大雨やJPCZによる大雪など、危険な現象がたびたび起こっています。私たちは自分や大事な人の命を守るために災害への備えを進めるなど、防災の行動していく必要があります。しかし、つねに防災を意識していると肩に力が入り、疲れてしまって長続きしません。そこで楽しいことなら自分から日常的に取り組めるはずなので、楽しい防災をしようというのが感天望気の考え方です。(同書 P168 より)
 

 「感天望気」!!
 著者の一貫した主張です。大賛成です!!

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