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本日(2022/11/21)、第332回オンライン「寅の日」!! #アインシュタインの教育観 #traday #寺田寅彦

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▼1922(大正11)年11月17日 神戸港・和田岬沖午後二時着。
 同年12月29日 午後三時門司出港、上海へ。

 43日間の「アインシュタイン訪日日程表」を見ていると、大正時代の日本を実に忙しく動かれている。
 どこかで、ゆっくりと紅葉を愛でることもあったのだろうか。

▼本日(2022/11/21)は、第332回オンライン「寅の日」である。
 11月のテーマは、アインシュタイン来日100年を記念して

【11月テーマ】「寅彦とアインシュタイン」

である。第2回目の本日は「アインシュタインの教育観」を読む。

◆本日(2022/11/21)、第332回オンライン「寅の日」!! 

●「アインシュタインの教育観」(青空文庫より)


▼まず最初に確認しておきたいのは、今回の随筆も前回の「アインシュタイン」と同じく、アインシュタイン来日の前年つまり1921(大正10)年に書かれたものであることだ。

 いつも言うことだが、ひとは自分の「文脈」でしか、他人の「文脈」を読むことができない。
 寅彦のまた然りであったようだ。

 余談はさておき、この書物の一章にアインシュタインの教育に関する意見を紹介論評したものがある。これは多くの人に色々な意味で色々な向きの興味があると思われるから、その中から若干の要点だけをここに紹介したいと思う。アインシュタイン自身の言葉として出ている部分はなるべく忠実に訳するつもりである。これに対する著者の論議はわざと大部分を省略するが、しかし彼の面目を伝える種類の記事は保存することにする。

 このことわりにあるように、寅彦もまたアインシュタインの「文脈」を抽出していたようだ。
 ではどのように を追ってみよう。
 アインシュタインはヘルムホルツなどと反対で講義のうまい型の学者である。のみならず講義講演によって人に教えるという事に興味と熱心をもっているそうである。それで学生や学者に対してのみならず、一般人の知識慾を満足させる事を煩わしく思わない。例えば労働者の集団に対しても、分りやすい講演をやって聞かせるとある。そんな風であるから、ともかくも彼が教育という事に無関心な仙人肌でない事は想像される。

「人間は『鋭敏に反応する』(subtil zu reagieren)ように教育されなければならない。云わば『精神的の筋肉』(geistige Muskeln)を得てこれを養成しなければならない。それがためには語学の訓練(ドリル)はあまり適しない。それよりは自分で物を考えるような修練に重きを置いた一般的教育が有効である。」

「数学嫌いの原因が果して生徒の無能にのみよるかどうだか私にはよく分らない。むしろ私は多くの場合にその責任が教師の無能にあるような気がする。大概の教師はいろんな下らない問題を生徒にしかけて時間を空費している。生徒が知らない事を無理に聞いている。本当の疑問のしかけ方は、相手が知っているか、あるいは知り得る事を聞き出す事でなければならない。

むしろ先生が悪いと云った方がいい。大抵の場合に教師は必要な事項はよく理解もし、また教材として自由にこなすだけの力はある。しかしそれを面白くする力がない。これがほとんどいつでも禍わざわいの源になるのである。

教える能力というのは面白く教える事である。どんな抽象的な教材でも、それが生徒の心の琴線に共鳴を起させるようにし、好奇心をいつも活かしておかねばならない。」

なかなか耳の痛い話が続く!!

▼話はより具体性を帯びてくる。

「私が実用に無関係と云ったのは、純粋な研究の窮極目的についてである。その目的はただ極めて少数の人にのみ認め得られるものである。それでせいぜい科学の準備くらいのところまでこの考えを持って行くのは見当違いである。むしろ反対に私は学校で教える理科は今日やっているよりずっと実用的に出来ると思う。今のはあまりに非実際的(ドクトリネーア)過ぎる。

「物理学の初歩としては、実験的なもの、眼に見えて面白い事の外は授けてはいけない。一回の見事な実験はそれだけでもう頭の蒸餾瓶(レトルト)の中で出来た公式の二十くらいよりはもっと有益な場合が多い。やっと現象の世界に眼のあきかけた若いものの頭に公式などは一切容赦してやらねばいけない。

その時代を反映したことにも言及していた。
「ついでながら近頃やっと試験的に学校で行われ出した教授の手段で、もっと拡張を奨励したいのがある。それは教育用の活動フィルムである。活動写真の勝利の進軍は教育の縄張りにも踏み込んでくる。

 そして、もっともキモへと!!
要するに教育事業を救うの道はただ一語で「もっと眼に浮ぶようにする」(die erh※(ダイエレシス付きO小文字)hte Anschaulichkeit)という事である。出来る限りは知識(Erlernen)が体験が(Erleben)にならねばならない。この根本方針は未来の学校改革に徹底させるべきものである。」

 引用させてもらいながら、気づいたことがある!!
 いつしかアインシュタインの「文脈」は寅彦自身の「文脈」になっているのでは!?
 これは「アインシュタインの教育観」と言いながらも、当時の「科学者・寺田寅彦の教育観」にツナガルっているのでは!?
 『赤い鳥』に「茶わんの湯」を書いた寅彦が見えてくるような気がするのだった。


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