本日(2022/10/28)、第330回オンライン「寅の日」!! #茶わんの湯 #traday #寺田寅彦
▼寅彦のコトバ
「天災は忘れられたる頃来る」
「ねえ君、不思議だと思いませんか?」
どれもあの中谷宇吉郎が「記録」し、「増幅」して私たちに伝えてくれていた!!
それは、ふたりのあいだには単なる師弟を越えた熱く響き合うものがあったからだろう。
▼本日(2022/10/28)は、第330回オンライン「寅の日」である。
10月オンライン「寅の日」は、「茶わんの湯」100年を記念してテーマを次のようにしていた。
【10月テーマ】「寅彦と茶わんの湯」
である。本日は科学読みものの金字塔「茶わんの湯」について、あの中谷宇吉郎はどう語っているのだろうか。
それを読みたい。
アリガタイ!!これもまた「記録」し、残してくれていた。
「「茶碗の湯」のことなど」(中谷宇吉郎)を読んでみたい。
◆本日(2022/10/28)、第330回オンライン「寅の日」!!
▼文章の端々に、敬愛する師・寺田寅彦への思いが読みとれるのである。
たとえばこうだ。
ところで、この話をもって来られた時に「この中に、たしか寺田(てらだ)先生が変名で書かれたものがあるはずだ」という話があった。私は大変興味をもって、それを心探しの気持で、ずっと読んで行った。その一篇は勿論(もちろん)すぐ分った。それは、八条年也(はちじょうとしや)という名前で出ていて、題は「茶碗の湯」というのであった。
恐しいもので、この「茶碗の湯」を数行よみかけたら、これは寺田先生以外には誰も書けないものだとすぐ直観された。それは、文章の良い悪いなどの問題では勿論なく、また内容が高級で表現が平易であるなどということを超越したものであった。強いて言えば、それは芸が身についた人の芸談にあるような生きた話であった。
さらには寅彦が書かなかったことについてまで話が及んでいた。
先生は、この色については「またいつか別のときにしましょう」と言っておられるが、この現象は小水滴による光の廻折(かいせつ)によるもので、その色を見ると、水滴の大体の大きさが分るのである。C・T・R・ウィルソンが有名な「ウィルソン霧函(きりばこ)」の実験を初めてやった時に、この現象を利用して、その霧函の中の霧の滴(しずく)の大きさを推定している。「ウィルソン霧函」というのは、特殊な方法によって、急にその函の内部に霧が出来るような条件を与える装置である。
電子や分子程度の大きさのものの運動の状態が、このようにして、人間の眼に見えることになったのである。「ウィルソン霧函」が、現在世界の物理学の主流となっている原子物理学の領域で果(はた)している任務の重さが十分理解されるであろう。この霧函の発明がなかったならば、原子物理学は、現在の進歩をなし得なかったと言うことが出来る。そういう風に考えると、茶碗の湯の湯気を作っている霧の粒も案外に重要な意味をもっているのである。
これらを読んでいると、ひじょうによくわかる!!
中谷宇吉郎は、師・寅彦の書いたものを読み解くだけでなく、「増幅」してくれていた!!
▼次に行こう。
「茶碗から上る湯気」は顕微鏡にも見えない細い塵や、更に進んでは分子や電子の世界までを、われわれに覗(のぞ)かせてくれるばかりではない。それはまた真夏のひるさがり、山野を圧して襲来するあの豪壮な雷雨の模型とも見ることが出来る。
この展開のみごとさは、そのままパワーアップして宇吉郎に継承されるのである。
最後の文は、師・寅彦への敬愛のほどを語るものとなっていた!!
昔の仙人は、一つの壺(つぼ)の中に森羅万象(しんらばんしょう)の姿を見たというが、一杯の茶碗の湯の中にも、全宇宙の法則があるということも出来よう。唯ただ「茶碗の湯」の中に全物理学の姿を見ることの出来るような人は、なかなかいない。
これもまた中谷宇吉郎にしか語れないコトバであった!!
今年もまた雪の季節がやってきた。
むしょうに
『中谷宇吉郎 雪の科学館』に、宇吉郎が寅彦から譲り受けたというあの「ネクタイ」を見に行きたくなった!!
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