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本日(2022/10/16)、第329回オンライン「寅の日」!! #茶わんの湯 #traday #寺田寅彦

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▼100年前に生まれた科学読みものの金字塔『茶わんの湯』!!
 ほんとうの名作というものは、いろんな展開を見せてくれるものである。
 <科学絵本>という展開もなかなか興味深いものであった。
 
◆【お薦め本】『科学絵本 茶わんの湯』(文:寺田寅彦 解説:髙木隆司/川島禎子 絵:髙橋昌子 窮理舎)

 今、再び例の「朗読」を聴きながら、シロウトが勝手に<映像化>=「映画」という展開を妄想してみた。
 最新の映像技術を駆使したら、すごい「名作」が…!!

▼本日(2022/10/16)は、第329回オンライン「寅の日」である。
 10月オンライン「寅の日」は、「茶わんの湯」100年を記念してテーマを次のようにしていた。

【10月テーマ】「寅彦と茶わんの湯」

 である。「茶わんの湯」を2回に分けて読んでいる。
 本日はその2回目である。後半である。

◆本日(2022/10/16)は、第329回オンライン「寅の日」!!

●「茶わんの湯」(2)(青空文庫より)


▼今さら、文章修業をしたところで、こんな名文は書けるわけはない。
 わかってはいるが、自分で<科学読みもの>を書くときのヒントがあるかもしれない。
 そんな思いで、繰返し読んでみた。

 「科学」への誘い!!それがうまい!!

 白い茶わんにはいっている湯は、日陰で見ては別に変わった模様も何もありませんが、それを日向(ひなた)へ持ち出して直接に日光を当て、茶わんの底をよく見てごらんなさい。そこには妙なゆらゆらした光った線や薄暗い線が不規則な模様のようになって、それがゆるやかに動いているのに気がつくでしょう。これは夜電燈の光をあてて見ると、もっとよくあざやかに見えます。夕食のお膳(ぜん)の上でもやれますからよく見てごらんなさい。それもお湯がなるべく熱いほど模様がはっきりします。
 
と言われたら、やっぱり自分でやってみたくなるのである。
そして、その謎解きをやってみせてくれる。
そうなると、茶わんに接したところでは湯は冷えて重くなり、下のほうへ流れて底のほうへ向かって動きます。その反対に、茶わんのまん中のほうでは逆に上のほうへのぼって、表面からは外側に向かって流れる、だいたいそういうふうな循環が起こります。よく理科の書物なぞにある、ビーカーの底をアルコール・ランプで熱したときの水の流れと同じようなものになるわけです。これは湯の中に浮かんでいる、小さな糸くずなどの動くのを見ていても、いくらかわかるはずです。

こんなふうにして湯の表面には水の降りているところとのぼっているところとが方々にできます。従って湯の中までも、熱いところと割合にぬるいところとがいろいろに入り乱れてできて来ます。これに日光を当てると熱いところと冷たいところとの境で光が曲がるために、その光が一様にならず、むらになって茶わんの底を照らします。そのためにさきに言ったような模様が見えるのです。

 謎解きだけでは終わらせません。それを身近な自然現象につないで行きます。うまい!!

 日の当たった壁や屋根をすかして見ると、ちらちらしたものが見えることがあります。あの「かげろう」というものも、この茶わんの底の模様と同じようなものです。「かげろう」が立つのは、壁や屋根が熱せられると、それに接した空気が熱くなって膨脹してのぼる、そのときにできる気流のむらが光を折り曲げるためなのです。

 近ごろはまたそういう方法で、望遠鏡を使って空中の高いところの空気のむらを調べようとしている学者もいたようです。

▼さらに興味深い<発展>があります。

 次には熱い茶わんの湯の表面を日光にすかして見ると、湯の面に虹(にじ)の色のついた霧のようなものが一皮かぶさっており、それがちょうど亀裂(きれつ)のように縦横に破れて、そこだけが透明に見えます。この不思議な模様が何であるかということは、私の調べたところではまだあまりよくわかっていないらしい。しかしそれも前の温度のむらと何か関係のあることだけは確かでしょう

 湯が冷えるときにできる熱い冷たいむらがどうなるかということは、ただ茶わんのときだけの問題ではなく、たとえば湖水や海の水が冬になって表面から冷えて行くときにはどんな流れが起こるかというようなことにも関係して来ます。そうなるといろいろの実用上の問題と縁がつながって来ます。

「むら」をキーワードにして、どんどんダイナミックな展開になっていきます。
これと同じような気流の循環が、もっと大仕掛けに陸地と海との間に行なわれております。それはいわゆる海陸風と呼ばれているもので、昼間は海から陸へ、夜は反対に陸から海へ吹きます。少し高いところでは反対の風が吹いています。
 これと同じようなことが、山の頂きと谷との間にあって山谷風(さんこく)ふうと名づけられています。これがもういっそう大仕掛けになって、たとえばアジア大陸と太平洋との間に起こるとそれがいわゆる季節風(モンスーン)で、われわれが冬期に受ける北西の風と、夏期の南がかった風になるのです。

そして、最後はこうしめくくるのだ!!
 茶わんの湯のお話は、すればまだいくらでもありますが、今度はこれくらいにしておきましょう。

 「もっと続きが聞きたい!!」そんな思いにさせるのである!!
 さすがである!!

 最後にもう一度、誰か「茶わん湯」<映像化>してくれないかな!!


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