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「原子論」を科学する(25) #原子論の歴史 #原子仮説 #ヴェーラー #尿素 #有機物

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「イルカ飛行機!!」 

 それが制作者の弁だった。
 「えっ!?」、それはたしか前は「○○恐竜」ではなかったのかな!?
 ブロックの配置や組み替えをやるだけで、それはいろんなモノになった。

 多様なリアル物質の世界でも、こんな夢物語はおこらないのかな!?

▼「原子論」の歴史をさらにつづけよう。

 原子仮説がみごとな成果をあげた実例の一つは尿素の合成である。一八二八年ドイツの化学者、二十八歳のヴェーラーは、数年前に自分がやったある実験の「失敗」の記録を読みかえした。
(『原子論の誕生・追放・復活』P164より)

 実験ノートを読みかえしているうちに、ヴェーラーは一つのことを思いついた。シアン・ガスはアンモニアと化合して、今の式で書けばNH4CNOという化合物-シアン酸アンモニウムをつくったのだろう。そして、もしかすると、この分子の内部で、原子が配列だけを変えて、ほかの物質になったのではなかろうか。シアン酸アンモニウムの分子と同種類、同数の原子からできているものとして知られている化合物は尿素である。それは今の式で書けば(NH2)2COである。そう推理したヴェーラーは「失敗」の実験をくりかえした。やってみると、はたして尿素の結晶がとれた。成分元素を分析し、既成の尿素の試料と比較しても、まちがいはなかった。

(『原子論の誕生・追放・復活』P166より)


▼この「失敗」実験の意味するところは大きかった。

 ヴェーラーはこの発見には、重大な意味があることを見てとった。というのは、尿素はもともとその名のとおり人間の尿から分離された物質である。当時動植物のからだから分離される物質や、それを化学変化させてつくられる物質は、砂糖も蛋白質も酢酸も、すべて「有機物」とよばれていた。「有機」とは「生命あるもの」という意味で、無生物の岩石や鉱物からつくられる物質は「無機物」とよばれた。そして「有機物」は「生命力」の作用によってはじめてつくられるもので、人工でこれを製造することは不可能だと一般に信じられていた。
 若いヴェーラーはこの「信仰」をやぶって、「有機物」といえども、結局は原子と原子の相互作用によってつくられる分子以上のものではない。明らかに自分は人間の腎臓のはたらきを借用せずに、フラスコの中で原子のはたらきを発動させることによって、尿素を合成したのだ。
(『原子論の誕生・追放・復活』P166より)

▼原子仮説は物質探検のあらたな道を切り拓いた!!

ヴェーラーの着想は「生命力」信仰を打破してゆく最初の衝撃となった。ヴェーラーの発見と着想は、原子仮説の導きによって実現したものである。彼がシアン酸アンモニウムの分子の内部で、この分子を形づくる原子が配列を変えて尿素に変化したと考えたことには、もう一つの重要な問題がかくれていた。それは分子を形づくる原子の配列という問題である。それは分子の構造という重要な問題へせまってゆくための第一歩となった。
(『原子論の誕生・追放・復活』P167より)

(つづく)

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