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【Web更新1/30】22-05 オンライン「寅の日」等 更新!!

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竜の玉ポンと飛び出し跳ねにけり 22/01/29撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】22-05
週末定例更新のお知らせ
 2022年1月が終わる。
 2022年の抱負
 「捨てる」
 「詠む」
 「発信する」
 はどこまできたのだろう。
 ゆっくり ゆっくり 急ごう!!
 
◆表紙画像集2022 更新 竜の玉 ジャノヒゲ リュウノヒゲ
 手持ちの歳時記にはこうあった!!
 【竜の玉】竜の髯の実 蛇の鬚の実
 と。
 どうもしっくりこない。私にはこれはあくまで「ゴシタマ」なんである。
 「ゴシタマ」鉄砲をつくってよく遊んだものである。
 ポンと飛び出した玉はともかくよく跳ねた!!小さなスーパーボールのように。
 それが楽しかった。
 今さらだが、「ゴシタマ」って!?

◆オンライン「寅の日」 更新!!
 12日に1度巡って来るオンライン「寅の日」!!
 そして、1ヶ月に1度の月例オンライン句会「寅の日」!!
 「寅の日」ワールドは実に愉しい!!もうすぐ10年が終わろうとしている。

◆サイエンスコミュニケーター宣言 更新!!
 まだまだ私の「エレキテル」ばっかり病はつづいていた。
 「静電気」を科学する シリーズは「これは面白い!!」と思えるものがみつかる限りはつづけたい。
 

 大賀ハス観察池は、蓮根の植え替えから45週目である。
 池全体の泥が盛り上がっているようにも思える。
 泥の下には、どんな蓮根が眠っているのだろうか。2ヶ月後が楽しみである。

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「静電気」を科学する(8) #ボルタ電池 #舎密開宗 #ボルタの電気盆 #静電気の歴史 #動電気

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おおっ!!ボルタだ!!
 図や写真で見ることがあっても、その復元実験装置の現物を見るのははじめてであった。
 ちょっと感動ものだった。
 それを見たのはマッチを追いかけて、津山洋学資料館に宇多川榕庵を訪ねたときのことだった。
 最近、私は思い込みばかりが先行して、記憶があやしくなっている。このときほんとうに見たのは「現物」だったのか不安になってきた。
 昨日、津山洋学資料館に電話をして確認してみた。
 非常にていねいに対応していただき、宇田川榕庵の『舎密開宗』をもとに復元したものであることを教えていただいた。

◆『舎密開宗―復刻と現代語訳・注 (1975年)』
  (講談社 宇田川 榕菴 (著),田中 実 (著)

▼最近、ファラデーラボの森本雄一さんにたいへん興味深いYouTube動画を見せてもらった。

●静電気の実験「手作り箔検電器とボルタの電気盆」

 「ボルタの電気盆」?(゜_。)?(。_゜)?
 えっ、このボルタとはあのボルタだろうか!?
 森本さんに質問をして、教えてもらった。発明したのはボルタではないが広めたのはあのボルタであると。
 理科準備室に「起電機」「ライデン瓶」等といっしょにほこりかぶっておいてあったあれが「ボルタの電気盆」!!

▼ナラバ
 「電気盆」を使って、静電気実験に夢中になっていたボルタが、どのようにして「ボルタ電池」の発明にいたったのか!?
 このプロセスを詳細に知りたくなってきた。
 ボルタの思考に何が起こったのだろう!?

▼またまた電気の「歴史」である。
 少し関係ありそうなところをビックアップしてみる。
 (またまた『磁石と電気の発明発見物語』(板倉聖宣編 国土社)の年表を参考に)

●1780年(安永9) ガルバーニ カエルのあしの筋肉から電気がおこることを発表した。
●1785年(天明5) クーロン 電気力と磁気力の法則を実験で確かめる。
●1799年(寛政11) ボルタ 電池を発明した。
●1820年(文政3) エルステッド 授業中に、はりがねに電流を通すと近くの磁石に力をおよぼすことを発見した。
●1821年(文政4) ファラデー 最初のモーターをつくる。
●1827年(文政10) オーム 電流と抵抗と電圧の関係を示す「オームの法則」を発見
●1831年(天保2) ファラデー 「電磁誘導」の発見
●1833年(天保4) ファラデー 電気分解の法則を発見した。
●1836年(天保7) ヤコビ 電気メッキ法を発明した。
●1840年(天保11) ジュール 電流のだす熱に関する法則を発見した。

 明らかである!!

 「静電気」の世界からいっきょに「動電気」の世界にシフトしていた!!
 鍵をにぎるのはあのボルタ!!

(つづく)
 

 

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「静電気」を科学する(7) #阿蘭陀始制エレキテル究理原 #静電気の歴史 #ギルバート #ライデン瓶 #フランクリン

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▼私の「エレキテルばっかり病」はまだつづいていた。
 あいかわらずこだわっていたのは
 曇斎先生の『阿蘭陀始制エレキテル』だった。
 数々の「エレキテル」実験を楽しませてもらっていた。
 今、下巻の後ろから2つ目の実験に着目してみた。

○ 百尺の鐵串にて火を取る圖説

 なんとここの解説には「フランキリン」(フランクリン)の名前も登場するのである。
 いったい曇斎先生はどこまで!?

▼無知であるが故の無謀なるポンコツの野望を抱きつつあった。
 電気学事始めに「静電気」を!!  これを具現化するような「エレキテル」物語をつくってみたい。
 まずは「静電気」の歴史だ!!
 前回にはフランクリンからファラデーまでの歴史を概観していた。

▼今回はもっと大元からたどってみたい。
 ひとつの区切りとしてはやはりギルバートだろう。
 ギルバートからフランクリンまでのやく150年を概観してみよう。
 (今回も『磁石と電気の発明発見物語』(板倉聖宣編 国土社)の年表を参考に)

●1600年(慶長5) ギルバート『磁石』を出版して、地球が大きな磁石であることを証明した。また琥珀だけでなく、すべてのものは、こすると軽いものをひきつけることを発見した。
●1663年(寛文3)ころ ゲーリケ 大きな硫黄球を手で摩擦する起電機を発明し、電気火花をとばす実験などをやった。
●1679年(延宝7) ハワード 雷によって羅針盤がくるうことを報告した。
●1705年(宝永2) ホークスピー はじめて検電器をつくる。
●1729年(享保14) グレー 導体・絶縁体の発見。
●1733年(享保18) デュ・フェイ 電気に二種類あることを発見した。
●1745年(延享2) クライスト ガラスびんに釘をいれたものが電気をたくわえていることを発見。
●1746年(延享3) ミュッセンブルック クライストとは別に、電気をたくわえる瓶を発明、この発見はオランダのライデン市でおこなわれたので、ライデン瓶とよばれるようになった。
●1747年(延享4) フランクリン ものを摩擦するとプラスとマイナスの電気にわかれることを実験でたしかめた。
●1748年(寛延1) ロトスン 3710メートルのはりがねに電気が伝わる速さを実験して、一瞬のあいだに電気が伝わることを確かめた。
●1750年(寛延3) ズルツァー 鉛と銀の板で舌の先をはさむと、しびれるような味がすることをみつける。
●1752年(宝暦2) フランクリン  雷のある日に凧をあげて、雷の電気を取り出す実験に成功し、避雷針を発明した。

 

▼こうして時系列にならべてみるととてもよくわかる。

 「静電気」の歴史は実に面白いのだ!!

 この試行錯誤の歴史の「事実」を知るだけでも、「静電気」の科学はうんと
身近なものになるのだ。
 曇斎先生の「エレキテル」各種実験の面白さや意味もよくわかってくるというものだった。
 
(つづく)

 

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第18回オンライン句会「寅の日」2月例会案内!! #寅の日 #オンライン句会 #夏雲システム

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▼私は「○○の科学」遍歴を繰返してきた。今、いちばん気に入っているのが
 「共愉の科学」
 である。少しカッコつけて「コンヴィヴィアル サイエンス convivial science」と呼んだりしている。
 共に愉しむ、愉快になる科学だ!!

 少し我田引水で強引に発展させて
 「共愉の文学」=「俳句」!!
 だと思っている。

▼「俳句」が「共愉の文学」であることを教えてくれているのが、「句会」である。
 まったくのシロウトであった私にはこの「句会」はあこがれだった。
 オンライン「寅の日」から生まれた俳句結社「寅の日」!!
 つくってはみたものの次の一手が思案するばかりだった。
 いつも無手勝流の私にもこればかりはなかなかの難問だった。暗礁にのりあげてしまった。ところが
 ピンチはチャンス!!
 コロナ禍で対面句会がなかなかむつかしくなった。
 そのかわりあらたなオンライン句会の可能性が生まれた。
 そして実現した!!その句会もはや18回目となった。
 投句も選句も結果発表後の「談話室」も実に愉しい!!
 まさに共愉の世界だ!!
 
▼あらためて 第18回オンライン句会「寅の日」2月例会の案内をあげておく。

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第18回オンライン句会「寅の日」2月例会実施案内

0.はじめに
 本会をオンライン句会「寅の日」と称する。
 オンライン「寅の日」から生まれたオンライン句会です。
 俳句結社「寅の日」が運営しています。
 寺田寅彦に師事します。 

0からはじめる人のためのオンライン句会です。

 本会は「夏雲システム」を利用させてもらっています。

1.原則として月一回の月例句会を実施します。

2. 参加者
 あらかじめ登録された者のみ。
 (「俳号」をきめて、【句会「寅の日」参加希望】のタイトルで楠田までメールを)
 
3.投句のお題
・当季雑詠(その季節の季語を自由に詠む。)

4.句数
・5句だし
・5句選(特1・並4)特選は2点 並選は 1点 扱い
・予選句は自由 


5.【投句期間】
 2022年2月1日0時から15日23時30分まで
 
6.【選句期間】
 2022年2月16日0時から25日23時30分まで  

7.【結果発表】
 2022年2月26日から
同時に「談話室」が書き込み可能になります。

8.賞について
 ・最高得点句は最優秀句であり、その句会の「寅日子」賞とする。
 ・特別賞として、次の賞を設ける。
 「これぞ科学!!」が詠まれた句 → 「牛頓」(ニュートン)賞!!
 「よくぞそこまで観察した!!」という句 → 「藪柑子」賞!!
  特別賞は、毎回でなくてよい。
  もちろん「寅日子」賞と重なることがあってもよい。
  参加者が、選評の際に書き込むようにようにしたい。複数票を獲得したときに受賞としたい。

9.注意事項
 参加する前に「夏雲システム」、「同意事項」をよく読んでおいてください。

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▼毎回「句会」のレベルは高くなってきているようだ。
「作句」も「選句」もなかなか難しい作業になりつつあることを実感している。
 ところが不思議とその「難しさ」がまたまた愉しいのである。
 一回一回、あらたな世界がみなさんと共に愉しみながらひろがっていくようだ!!
 さあ、一緒にやってみませんか!!

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本日(2022/01/25)、第307回オンライン「寅の日」!! #科学と文学 #traday #寺田寅彦

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「今、なぜ寺田寅彦なのか!?」

それはオンライン「寅の日」をはじめてからずっとのテーマであった。
その答えはみつかったのか?
答えはひとつとはかぎらない。答える人によってもいろいろだろう。
10年が経とうとする今、私にはひとつの答えがはっきりしつつある。

▼本日(2022/01/25)は、第307回オンライン「寅の日」である。
 2022年1月のテーマは

●【1月テーマ】「科学と文学」

である。読むのもズバリ、テーマそのものの「科学と文学」
 本日はその2回目ということになる。

◆本日(2022/01/25)、第307回オンライン「寅の日」!!

●「科学と文学」(2)(青空文庫より)


▼後半である。

・随筆と科学
・広義の「学」としての文学と科学
・通俗科学と文学
・ジャーナリズムと科学
・文章と科学
・結語

 あたりを中心に読んでみたい。 
 後半は、寅彦の本意が次々と語られていた。

科学が文学と握手すべき領域は随筆文学、エッセー文学のそれであるかと思われる。
 これに反して科学者が科学者に固有な目で物象を見、そうして科学者に固有な考え方で物を考えたその考えの筋道を有りのままに記述した随筆のようなものには、往々科学者にも素人(しろうと)にもおもしろくまた有益なものが少なくない。
 それはとにかくとして、現在において、科学者が、科学者としての自己を欺瞞することなくして「創作」しうるために取るべき唯一の文学形式は随筆であって、そうしてそれはおそらく、遠き「未来の文学」への第一歩として全く無意味な労力ではないと信ずるのである。
ここに寅彦の本意を見た!!

これぞ科学する者たちへの「随筆のすすめ」なのである!!

 そこにとどまらないのが、寅彦のほんとうにすごいところだった。
 寅彦は「未来」をも見据えていた。

 非論理的論理というのは、今の人間のまだ発見し意識し分析し記述し命名しないところの、人間の思惟(しい)の方則を意味する。これを掘り出し認識するのが未来に予想さるる広義の「学」の一つの使命である。科学も文学も等しくこの未来の「学」の最後のゴールに向かってたどたどしい歩みを続けているもののようにも思われるのである。

 もちろんすべての知識には悪用の危険性を含んでいる。科学知識も同様である。しかし科学は全体として見れば人間一般の福利を増進するつもりで進んで来た。もちろん現在ではかえって科学の進んだために前よりも不幸になった人間も多数にありはするが、それは物質科学の方面だけが先駆けをしてほんとうの社会科学、現在のいわゆる社会科学よりももう少し科学的な社会科学、がはるかなかなたに取り残されたために生じた矛盾であり悲劇であるように思われる。


▼そして、今の私にとってはここからが特に意義深いところであった。

 科学者が自分の体験によって獲得した深い知識を、かみ砕きかみ締め、味わい尽くしてほんとうにその人の血となり肉となったものを、なんの飾りもなく最も平易な順序に最も平凡な言葉で記述すれば、それでこそ、読者は、むつかしいことをやさしく、ある程度までは正しく理解すると同時に無限の興趣と示唆とを受けるであろうと思われる。

 これこそが私の「理想」であった。
 ホンモノとニセモノの「見分け方」もきっちり語ってくれていた。

そういう永久的なものと、悪い意味でのジャーナリスチックなものとの区別は決してむつかしくはない。要するに読んだ後に、読まない前よりいくらか利口になるかならないかというだけのことである。そうして二度三度とちがった時に読み返してみるごとに新しき何物かを発見するかしないかである。


 そして文章作成術・作成心得がつづく!!

 そういう種類のものにはやはり必ず何かしら独創的な内察があり暗示があり、新しい見地と把握(はあく)のしかたがあり、要するになんらかの「生産能」を包有しているある物がなければならないのである。
それで、考え方によっては科学というものは結局言葉であり文章である。文章の拙劣な科学的名著というのは意味をなさないただの言葉であるとも言われよう。
これと反対に、読んでおのずから胸の透くような箇所があれば、それはきっと著者のほんとうに骨髄に徹するように会得したことをなんの苦もなく書き流したところなのである。

科学をわかりやすい言葉・文章にして人に伝える!!
それがサイエンスコミュニケーターとしての私の仕事である!!
そのための

「文章作成修行!!」
 
それこそが、「今、なぜ寺田寅彦なのか!?」の私のひとつの答えなのである。

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【Web更新1/23】22-04 サイエンスコミュニケーター宣言等 更新!!

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足音に耳澄ませたる冬芽かな 22/01/22撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】22-04
週末定例更新のお知らせ
 状況は刻々と変化する。
 変化に対応した動きを!?
 などと言われるとポンコツはオロオロするばかりだ。

 ゆっくり ゆっくり 急ごう!!

◆表紙画像集2022 更新 アジサイの冬芽
 厳しい寒風のなか、それぞれの冬芽はそれぞれの防寒対策をしながら春を待っている。
 毛皮のコートをまとうもの、芽鱗を重ね着するもの等々
 裸ん坊のアジサイの冬芽は「不凍液」を忍ばせているという。
 なんという「知恵」だ!!
 春の足音はもう聞こえてきているのだろうか!?

◆サイエンスコミュニケーター宣言 更新!!
 「静電気」を科学する シリーズまだまだ続けている。
 旬ものの楽しみだ。
 本来ならば、みんなでわいわいがやがややりながら愉しみたいものだがなかなかそうも。
 ナラバ
 今、まず可能なことを汲みつくそう!!

◆オンライン「寅の日」 更新!!
 2月のテーマをきめた。「寅彦と科学のツール」である。
 身近な道具(ツール)「カメラ」「地図」に焦点をあてて寅彦を読もうと思う。

◆「コウガイビル」を追う 更新!!
 57号コウガイビルはエサなしで2ヶ月生きのびた!!
 今こそ問う。
 「食べる」とは!?
 「再生」とは!?
 「生きる」とは!?

◆新・クラウド「整理学」試論 更新!!
 次なる100日後には、Twitter的はどこに向かっているだろう!?
 
 大賀ハス観察池は、蓮根の植え替えから44週目だった。
 今年の観察池には水が少ない。
 それだけ降水量が少ないことを意味していた。
 観察池の氷の観察も楽しみしていることなので少しさみしい。

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「静電気」を科学する(6) #エレキテル #橋本曇斎 #阿蘭陀始制エレキテル究理原 #電磁気学の歴史 #ライデン瓶 #電気学事始め

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▼まだまだ『阿蘭陀始制エレキテル究理原』に夢中だった!!
 なかでもとっても気になる図があった。
 『校訂究理原稿本』を参考にすると書いてあることがわかった。

○ 磁石をおどして、吸いたる釘針のるいを落さする説
  並 南北を指す力をうしなふ辯


▼驚いた!!
 曇斎先生はどこまでわかっていたのだろう!?
 今一度、電磁気学の「歴史」をふりかえってみることにした。
 (『磁石と電気の発明発見物語』(板倉聖宣編 国土社)の年表を参考に)

●1752年(宝暦2) フランクリン  雷のある日に凧をあげて、雷の電気を取り出す実験に成功し、避雷針を発明した。
●1776年(安永5) 平賀源内 エレキテルの修繕と製作に成功する。
●1779年(安永8) 大阪で日本最初のエレキテルのみせものがはじまった。
●1780年(安永9) ガルバーニ カエルのあしの筋肉から電気がおこることを発表した。
●1785年(天明5) クーロン 電気力と磁気力の法則を実験で確かめる。
●1799年(寛政11) ボルタ 電池を発明した
●1811年(文化8) 橋本曇斎 『阿蘭陀始制エレキテル究理原』の序文が書かれる。
●1820年(文政3) エルステッド 授業中に、はりがねに電流を通すと近くの磁石に力をおよぼすことを発見した。
●1821年(文政4) ファラデー 最初のモーターをつくる。
●1827年(文政10) オーム 電流と抵抗と電圧の関係を示す「オームの法則」を発見
●1831年(天保2) ファラデー 「電磁誘導」発見


▼電磁気学の「歴史」をふりかえってみて、ますます曇斎先生の『阿蘭陀始制エレキテル究理原』が興味深く見えてきた。
 「エレキテル」を使った各種実験は何を教えてくれるのだろう!?

・摩擦電気
・「百人様(ためし)」」「百人嚇」というライデン瓶
・「エレキテル」と金属
・「エレキテル」と水
・「エレキテル」とビリビリ
・「エレキテル」と磁石
・「エレキテル」と火
・「エレキテル」と雷
等々

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 おっかなビックリの「エレキテル」実験が次々と展開されているのだった。
 きわめつけは
○ 「エレキテル」にて五星運行の理を示す図説
 まで登場するのである。

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▼電磁気学の「歴史」、『阿蘭陀始制エレキテル究理原』のいろんな実験をみていると
 今さらであるが

●電気学事始めに「静電気」を!!

の主張もあながち的外れではないように思えてくるのだった。
 むしろこちらの方が、学びの「順路」であるとも!!

(つづく)

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57号コウガイビルはエサなしで2ヶ月生きのびた!! (2022/01/21)#コウガイビル #飢餓と再生 #教材化

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あの日から2ヶ月が経った!!
 前回の観察からでも、年を越して1ヶ月経った。
 最初にナイロン袋に入れた水以外はなにも与えていなかった。
 しかし

 57号コウガイビルはエサなしで2ヶ月生きのびた!!

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▼冷蔵庫からナイロン袋を出してきてすぐのときは、57号コウガイビルは「の」字を描いてかたまっていた。
 クマムシの「乾眠」のように、エネルギーの消耗を防ぐように「眠って」いたのだろうか!?
 やがてイチョウの葉(コウガイ)のような頭をヒラヒラさせながら動き出した!!
 まちがいなく 生きている!!
 全長は一ヶ月前とさほど変化したように見えなかった。
 やっぱりここは寅彦のコトバをかりよう。
 
 「ねえ君、不思議だと思いませんか?」

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▼この不思議に答えてくれる本に出会っていた!!

◆『プラナリアの形態分化~基礎から遺伝子まで~』(手代木渉、渡辺憲二著、共立出版 1998.3.25)

 この不思議に答えてくれる部分は 「14.9 飢餓と再生」(P275)にあった。この章は牧野尚哉・白澤康子先生が書いておられる。

 コウガイビルの飼育では給餌が大切な要素となるが、餌に対しての反応は同一種内でも異なり積極的に摂取するグループとそうでもないものとがある。また長期間の飢餓に耐え、もとの体重の1/100に減少しても生存し続けることができる。このような生理的変化が、顕著な再生能をもつ本動物の器官形成にどのような影響を及ぼすのか、頭部再生の有無、形成所要時間、極性との関連について、採集直後の体重を100として、もとの30~40%に減少したグループを飢餓個体として実験を行った。  なお、飢餓個体の設定は、採集された個体のうち、何としても餌を食べないものがあり、かなりの期間絶食にも耐えられるが、やがて死に至る。体重減少と生存期間の長短は一定ではないが、採取後減少の一途をたどる体重は、ある時点で平衡状態となり、これ以降急激に減少して死ぬものが多い。体重が安定をみせる状態を越えると個体は死を迎えることから、この安定期(もとの体重の30~40%)を飢餓状態と考えた。これらの飢餓グループと採集まもないものとを次の実験により比較した。(同書P276より)

 この本の編著者である渡辺憲二先生に直接、言わば「自らを食べて生き延びている」のだと教えてもらった。
 もうそれからでも10年以上の歳月が経とうとしていた。

▼Webテキスト試案「コウガイビル」を構想をする作業は遅々として進まない。
 しかし、断念することはない!!
 この「ふしぎ!?」がつづくかぎりは…!!

 テキストのキーワードは!?
・「食べる」
・「飢餓」
・「幹細胞」
・「再生」
・「生きる」
・「生命」

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「静電気」を科学する(5) #エレキテル #橋本曇斎 #阿蘭陀始制エレキテル究理原 #ライデン瓶 #百人おどし

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▼やっぱり手に入れてしまった!!

◆『阿蘭陀始制エレキテル究理原』<復刻版>(橋本曇斎先生百年記念会 オーム社 昭和五十九年)

 本のはじめにこのように書いてあった。

 橋本曇斎先生  大阪の医者、橋本曇斎(一七六三~一八三六)は、わが国において、初めて電気に関する学術的な実験研究を行なったことで広く知られており、一八一一年(文化八年)に「阿蘭陀始制エレキテル究理原」を著して、わが国の電気学術史上に燦然たる記録を残している。  復刻版「阿蘭陀始制エレキテル究理原」は、現代電気工事大系の一巻として、橋本曇斎先生百年記念会(浪岡具雄ほか)が昭和十五年十一月二十五日に発行したものを、改めて複製したものである。

▼ネットの古本屋で手に入れたのである。
 ケースに二冊入っていた。
・『阿蘭陀始制エレキテル究理原』<復刻版>
・『校訂究理原稿本』
である。『阿蘭陀始制エレキテル究理原』<復刻版>の方をわくわくしながら開いてみた!!
 驚きだった!!
 うれしい!! カラーだ!!
 カラーで「エレキテル」を使った「静電気」面白実験が次々と登場するのである。

 もちろんあの「百人おどし」も!!

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▼最後は、あの「天から火をとる実験」だった。

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▼「エレキテル」のつくりについてもかなりくわしく図示されていた。
 こんな図をみていると、かつてえがいた「エレキテル復元実験」への夢もよみがえってくるというものだった!!
 
 「エレキテル」実験絵本として見ているだけでもとても面白い!!
 飽きることはない!!
 
<つづく>

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2022年2月のオンライン「寅の日」は #科学のツール #traday #寺田寅彦

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▼「おすそ分け」してもらって部屋にぶら下げた「藤の実」!!
 はぜることなく今もぶらさがるはたったひとつとなってしまった。
 今となっては、逆にこのひとつは「なぜはぜらないのだろう!?」と思うようになった。
 これまた「ふしぎ!?」だ。

 『寺田寅彦「藤の実」を読む』の著者たちの真似をして、はぜる「その瞬間」を撮りたくてカメラを向けるがなかなか難しい。
 「ヘタな鉄砲方式」で撮りまくるだけの私にはなかなか …。
 
▼2022年2月のオンライン「寅の日」の計画を立てる時期が来ていた。
2月のテーマは、寅彦が科学するときに利用していた道具(ツール)についてをテーマとしたい。
2月のテーマは

【2月テーマ】「寅彦と科学のツール」

2月は2回あった。

■2022年2月オンライン「寅の日」!!
◆第308回オンライン「寅の日」 …2/06(日)
◆第309回オンライン「寅の日」 …2/18(金)

▼「科学のツール」などと大げさに言うのでなく、寅彦が日常的に愛用していた道具にどんなものがあるのだろう。
 ひとつは「カメラ」である。
 もうひとつはフィールドワークにかかせない「地図」である。
 それぞれについて熱く語った随筆「カメラをさげて」 「地図をながめて」を読んでみることにしよう。


■2022年2月オンライン「寅の日」!!

◆第308回オンライン「寅の日」 …2/06(日)「カメラをさげて」(青空文庫より)

◆第309回オンライン「寅の日」 …2/18(金)「地図をながめて」(青空文庫より)


▼私の究極の道楽
・「雲見」!!
・「宇宙見物」!!
・「ひとり吟行」!!
 カメラはいずれにおいても欠かすことのできないツールである。
 これからはもっともっと「地図」というツールの利用も考えたいものだ。
 そんな思いから…。


 

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【Web更新1/16】22-03 サイエンスコミュニケーター宣言等 更新!!

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峠より風のゆるむや水仙花 22/01/15撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】22-03
週末定例更新のお知らせ
 はやくも2022年3回目の週末定例更新のお知らせである。
 世間の状況は刻々と変化している!!
 
 さらに ゆっくり ゆっくり 急ごう!!

◆表紙画像集2022 更新 水仙  
 寒中の水仙は凜として美しい!!
 生野峠からの寒風が少しだけ弛んだ気がした。
 その瞬間
 水仙花がわずかに微笑んだ!!
 大寒が近い!!

◆サイエンスコミュニケーター宣言 更新!!
 またまた唐突に
 「静電気」を科学する シリーズをはじめてしまった。
 今の季節の教材かな!? と気まぐれにはじめたシリーズ。
 やればやるほど面白くなってきた。
 やっぱり「静電気」は「ふしぎ!?」で面白い!!
 これまた、「静電気」ばっかり病が発症してきたようだ。

◆オンライン「寅の日」 更新!!
 1月テーマは「科学と文学」。
 読んでいるのも そのものズバリ 「科学と文学」
 ここにまちがいなく「寺田寅彦を活用する」ヒントがある!!


 大賀ハス観察池は、蓮根の植え替えから43週目である。
 観察池の泥はやっぱり部分的にふくらんでいるように見える。
 地下に眠る蓮根のせいだろうか!?
 今年の蓮根の植え替えまで あと10週だ!!

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Twitterはじめて4,501日目に思うこと!! #藤の実 #Twitter #Twitter的

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▼今度は屋外のこの「藤の実」の「潮時」にはまっていた!!
 ほんとうに一斉にはぜる日がやってくるだろうか!?
 やってくるとするなら、それはどんな日だろうか!?
 気温は!?
 湿度は!?
 どんな天気の日だろう!?

▼本日(2022/01/18)は、Twitterはじめて4,501日目であると、twilogが教えてくれた。
 はじめてからほぼ100日ごとに

●「Twitterはじめて○○日目に思うこと!!」

という「記事」を書き続けてきた。
 くだらないそのときどきの「覚え書き」であるが、今となっては私自身の軌跡の「記録」となっている。

▼そのなかでいつも語ってきた「Twitter的」!!

 「Twitter的」とは
 6つのキーワード・概念からなる。

 Twitter的=
「リンク」
「シェア」
「フラット」
「等身大」
「リアルタイム」
「アクティブ」

 もちろん「Twitter的」はTwitterのみを意味しない!!
 少し大げさに言えば
 ネット世界における私の「流儀」「作法」である。
 いや、それを超えて、これが私の「哲学」であり「生き方」である!!

 なんでこんな大げさなんだろう(^^ゞポリポリ

▼今度の100日後は、何に夢中になっているかな!?
 「藤の実」はもうはじけているだろうな。

 さあ、今度の100日後の「ふしぎ!?」に乾杯!!


 
 

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1.17 あれから27年の歳月が!!そして…

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 1995年(平成7年)1月17日5時46分52秒

 まもなく「あの時間」だ!!
 あれから27年の歳月がたつのだ!!
 今朝もやっぱり書いてしまうのだった。私には、これしかできないのだから…と。
 
▼寺田寅彦は「津浪と人間」(青空文庫より)のなかで、こう言った。

 しかし困ったことには「自然」は過去の習慣に忠実である。地震や津浪は新思想の流行などには委細かまわず、頑固に、保守的に執念深くやって来るのである。紀元前二十世紀にあったことが紀元二十世紀にも全く同じように行われるのである。科学の方則とは畢竟(ひっきょう)「自然の記憶の覚え書き」である。自然ほど伝統に忠実なものはないのである。

また、こうとも言った。
 

残る唯一の方法は人間がもう少し過去の記録を忘れないように努力するより外はないであろう。

▼遅々として進まないが、やっぱりやり続けたいことがあった。
 それは

●【授業】『大地の動きをさぐる』

を更新して

●Web版テキスト試案『大地の動きをさぐる』!!

に挑戦することだ。いっこうに「作業」はすすではいない。
 しかし「現在地」の確認だけはやっておきたい。
 それが今の私にもできること!!

▼まもなく「東遊園地」の燈籠が
 あのときを忘れないの意味を込めて

 「忘」の文字を…!!

             合掌 27年目の朝   

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「静電気」を科学する(4) #エレキテル #起電機 #ライデン瓶 #静電気モーター

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▼この「起電機」の正式の名前を知ったのは最近のことだった。
 ずいぶん久しぶりにこれを目にしたのは

●島津製作所創業記念資料館

を訪ねたときだ。そのときこの「起電機」の正式な名前を知ったのだ!!
「ウイムシャースト感応起電機」
と。

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▼この「起電機」にはじめて出会ったのは、45年ほど前だったと記憶する。
 理科室の準備室の棚奥深くにほこりをかぶって、これが眠っていた。
 そのそばには「ライデン瓶」「電気盆」「エボナイト棒、ガラス棒」等がセットになっておいたあった。
 不勉強だった私はその「起電機」の扱い方すらわからなかった。
 棚からひっぱり出してきて、「起電機」で遊んでいるあいだに、すっかり夢中になってしまった。

▼こんな面白いこと、生徒たちと一緒に楽しみたいと思った。
 そこで「電気の学習」の組み立てにこだわるようになった。

◆【電気の学習】実践DB

「静電気」は「ふしぎ!?」がいっぱいだ!!
でもやっぱり面白い!!

 そんなところからはじめたかったのだ。

▼これまた久しぶりにそれを実感する機会が昨日(2022/01/15)あった。
 
●第128回 かがくカフェ(ファラデーラボ)
・テーマ   「静電気のかがく」(静電誘導を利用した静電気モーターの工作)
・話題提供  上橋智恵さん 
 
である。
 私は残念ながらzoomでのオンライン参加だった。
 それでも、いつもながらの上橋さんすばらしい工作を見せてもらって実に楽しかった。
 工作の完成品もさることながら、工作過程でのアイデア・工夫・「かがく」に感動するばかりだった!!


●上橋智恵さん考案 「静電気モーター」


「静電気」は「ふしぎ!?」がいっぱいだ!!
でもやっぱり面白い!!

(つづく)

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【お薦め本】『寺田寅彦「藤の実」を読む』(山田功・松下貢・工藤洋・川島禎子著 窮理舎)

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▼今年の元旦はうれしい報告からはじまった。
 ラボ(物置!?)に設置していた「藤の実」が3つも一斉にはぜったという。
 たまたまそこに泊っていた子供からの報告だった。
 夕方になって、2つがはぜった。さらに深夜には、2つが追加してはぜった。
 けっきょく2022/01/01だけでなんと7つもの「藤の実」が一斉にはぜったことになった!!
 元日はまさに「藤の実」の「潮時」だったのだろうか。
 普段はほとんど使わないエアコン暖房を使ったことも影響しているのだろうか!?

▼「ふしぎ!?」な「偶然」があるものだ。
 この日は今年最初の「寅の日」でもあった。それだけでない。
 以前から予約注文していた一冊の本が年賀状とともに届いた。
 それが今回の【お薦め本】である。


◆【お薦め本】『寺田寅彦「藤の実」を読む』(山田功・松下貢・工藤洋・川島禎子著 窮理舎 2021.12.31)


なんと発行日は前日の「寅彦忌」だ!!
  例によってお薦めポイントを先に3つをあげておく。

(1)寅彦の謎解きの科学を何倍にも増幅して楽しめる!!

(2)多面的な視点から寺田物理学の読み解きがされている!!   

(3)名作「藤の実」をより面白く読むための豊富な資料がここに集めてある!!


▼3つのお薦めポイントは重なるところもあるが、順次少しだけ詳しくのべてみる。
 まず

(1)寅彦の謎解きの科学を何倍にも増幅して楽しめる!!
 はじめの山田功氏の読み解きは実に面白かった。
 十段落に分けての読み解きは、寅彦の文章のバックグラウンドを詳しく興味深く解説するものだった。
 なるほどと納得することしきりだった。
 特に第三段落までの「藤の実」が一斉にはじける現象の謎解きはみごとである。
 それは、まるでコナンの探偵物語でも読むような面白さだ。
 謎解きは、自ら体験することからはじめておられた。

 藤の実がはぜたときの音とは、いったいどんな音だろうか。私も確かめたくなった。ある年の十一月中頃、藤の実を探すことにした。大きな公園の藤棚を見に行くと、手入れがされていて藤の実はない。近くの家に藤棚があることを思い出し出かけた。幸い、いくつかの藤の実が残っていた。  それを貰い、部屋にひもを張りつるした。十二月中頃、部屋で本を読んでいると、突然「ぴしっ」と乾いた短い音がし、藤の実がはぜた。その時、体がピクリと緊張した。そして、タネは部屋のドアに当り床に落ちた。これが寅彦の体験した藤の実のはぜる音なのかと納得したのである。それだけのことだが、作品「藤の実」がぐっと自分に近づき、いっそう深い関心がもてたのである。(同書P17より)

 これはこの探偵物語のはじまりにすぎなかった。
 謎解きは、次々とリアルに展開された。
 寺田邸の藤棚はいつどこにつくられたのか? 
 タネがはげしくあたった障子のある居間とガラス窓の台所と藤棚の位置関係は?
 寺田邸平面図、現場写真、居間スケッチ等々。
 次には藤の実が一斉にはじけた時の気象条件の検証を行なっていた。
 当日の「天気図」、中央気象台の観測データから、「異常に低い湿度」の謎を読み解こうしていた。
 それで驚いてはいけない。
 山田氏とその教え子の川口氏はなんと2014年、二ヶ月にわたり数百の藤の実で、はじけた数と、気象状況(湿度)との関係を調べているのである。
 まだまだある。
 猛烈な勢いで飛び出すタネの「初速度」を寅彦がやったように「高校物理」の問題として計算しているのである。さらには「その瞬間」を写真に収めようと根気よく試み成功しているのである。(この本にはそのときの写真が口絵に紹介されている)
 この取り組みを読んでいるあいだに、寅彦の次のコトバを思い出したのだった。

一方で、科学者の発見の径路を忠実に記録した論文などには往々探偵小説の上乗なるものよりもさらにいっそう探偵小説的なものがあるのである。実際科学者はみんな名探偵でなければならない。 (「科学と文学」青空文庫より


 山田氏の「むすび」のコトバを引用させてもらおう。
 

 こうして、「藤の実」を読み終えてみると、身近な事象も気を付けて眺めると、「おや」、「不思議だな」と思うことが結構あることに気づく。それは、興味深いことで、楽しい疑問である。そうした出会いができるためには、普段から自分の五感の感度を少し上げておかねばならぬ。五感というアンテナを磨き、いくつも立てておくことだ。そして、不思議だと思ったことを、「それは偶然だ。」とか、「悪日」とか、「神様や悪魔の仕業だ。」と、簡単に思考を止めてしまわないことである。根気強くもう一歩調べていくと「不思議」の原因を発見できるかもしれないのである。(同書P29より)


▼次のお薦めポイントにいこう。

(2)多面的な視点から寺田物理学の読み解きがされている!!
 多面的・多角的な視点で読み解きがおこなわれているということは、著者たちのそのタイトルからもわかった。

○「藤の実」によせて:偶然と必然のはざま 松下 貢
 「銀杏の一斉落葉」にふれて次のように語っていた。
  

 ここでのポイントは、落葉集団の表面は外部の空気抵抗を受けるが、その内部では空気も一緒になっているので、葉っぱ達は空気の抵抗なしに落ちるということである。こうなると、落葉集団の縁の葉っぱはひらひらとするが、集団内の葉っぱは滝の流れのようにどどっと一斉に落ちるであろう。
 この落葉の流れのきっかけを考えてみると、どの一枚の葉がどこで落ちるのかは、まったく偶然であろう。しかし、落葉が集団となって滝のように流れる段階では、この流れは実際の滝の水の流れと同様に、必然的な現象ということになる。すなわち、寅彦が見た銀杏の一斉落葉は偶然から必然への推移を観察したことになる。(同書P36より)

 思わず、なるほどと膝をたたくのだった。


○植物生態学からみた「藤の実」 工藤 洋

 自然科学者としての立場では、あらゆることに先入観を持ち込まない。まずは、現象をよく観察し、数値データを集め、偶然でなく説明し得る仮説を立てる。そして、その仮説が否定されるあらゆる可能性を考えて、観察と実験を繰り返す。この行為は自分が仮説を信じるかどうかとは別次元の行為で、仮説は証明されるものではなく、否定されないことをもって保持される。(同書P53より)
 
 さすが自然観察のプロのコトバは示唆的である。


○寺田寅彦「藤の実」に見る自然観 川島禎子

 「藤の実」について、文学的な考察をしてきました。とても短い作品ですが、これは備忘録であると同時に、連句的手法を活用して今寅彦が見ている世界を写した試みであり、身近な出来事から「潮時」という現象を読み取る実験である、と言っていいでしょう。
 また科学者として分析的で論理的な自然観を持つのみならず、連句的手法を随筆に取り込むことで東洋的な自然観で対象をとらえることも意識的に行なっていたのではないかと指摘しましたが、そうした複眼的な自然観が、文学者としても、また科学者としても独自の興味深い視点を提示し得た理由だと考えられます。(同書P76より)

 「連句的手法」「複眼的な自然観」私にはなんとも興味深いキーワードだ!!


最後のポイントに行こう。

(3)名作「藤の実」をより面白く読むための豊富な資料がここに集めてある!!
 これはこれまでのお薦めポイントと重なることにもなるのだが、やっぱりこの本の大きな特徴ともなっているのであげておきたい。
 よくありがちなケースとして、「これをより深く知るためには、こんな参考資料・文献がありますよ」と紹介のみに終わることが多いのだが、この本はちがっていた!!
 この本にはこのすべてが<付録>として「ここに集めて」あった。

<付録>
・「十五メートルも種子を射出す 藤の莢の不思議な仕掛」平田 森三   
 ※必読!!寅彦たちの論文をわかりやすく『子供の科学』(昭和八年十月号)に発表したもの

・「破片(抄)」 吉村冬彦(寺田寅彦)

・「雪子の日記(昭和七年十二月~昭和八年一月)」

・「鎖骨」 吉村冬彦(寺田寅彦)

・寺田寅彦 略年譜

 この一冊で名作「藤の実」のバックグランウドのすべてがわかるのだ。

 
 寅彦ファン必読の一冊だ!!

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「静電気」を科学する(3) #エレキテル #橋本宗吉 #エレキテル究理原 #ライデン瓶 #百人おどし

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▼「エレキテル」で思い出すもうひとりの人物がいた。
 橋本宗吉こと橋本曇斎である!!
 曇斎は「エレキテル」によるくわしい数々の実験を行ない『阿蘭陀始制エレキテル究理原』にまとめた。
 のちに「日本の電気学の祖」とよばれる人物だ。

▼『エレキテル究理原』のなかに紹介されている実験に「天から火をとる実験」というのがある。
 庭の高い松(30mを越える)を利用して雷が静電気であることを実証する実験であった。
 実験を行なった場所は、大阪府泉南郡熊取町に平安時代からの名家「中家」の住宅の庭である。
 その実験地に記念の碑が立っていると聞かされていた。
 ここもまた「いつか」は行ってみたいと思い続けていた場所だった。
 
 その「いつか」は、2013/12/22に唐突に訪れた!!
 その場所に立ってみるだけで感動だった!!

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▼「雷」が「静電気」である認識はいつごろからであったのだろう。少し「エレキテル」の歴史をふり返ってみよう。
 (『磁石と電気の発明発見物語』(板倉聖宣編 国土社)の年表を参考に)

●1752年(宝暦2) フランクリン  雷のある日に凧をあげて、雷の電気を取り出す実験に成功し、避雷針を発明した。
●1776年(安永5) 平賀源内 エレキテルの修繕と製作に成功する。
●1779年(安永8) 大阪で日本最初のエレキテルのみせものがはじまった。
●1811年(文化8) 橋本曇斎 『阿蘭陀始制エレキテル究理原』の序文が書かれる。

その20年後!!

●1831年(天保2) ファラデーの「電磁誘導」発見


▼曇斎の『エレキテル究理原』には、数々の面白い「静電気」の実験が紹介されていた。
 よくしるところでは「百人おどし」などもある。
 また「ライデン瓶」なども登場する。

 今さらであるが『エレキテル究理原』<復刻版>がむしょうに欲しくなってきた。
 どうやら「静電気」ばっかり病が発症しかけたようだ。

(つづく)
 

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本日(2022/01/13)、第306回オンライン「寅の日」!! #科学と文学 #traday #寺田寅彦

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▼「土佐の寅彦」詣(土佐に寅彦をたずねる旅を私は勝手にこう呼んでいた)のときは必ずたずねる定番スポットのひとつに

◆「高知県立文学館」

があった。とりわけ興味深いのはここに「寺田寅彦記念室」が常設されていることだ。
 ここでは寅彦に関する貴重で豊富な資料を見ることができた。アリガタイ!!
 なかでも一番のお気に入りは次の三本のビデオだ!!

■「渦巻きの実験」(4分23秒)
■「割れ目と生命」(4分05秒)
■「地滑りの実験」(4分02秒)

 は絶対のお薦めである!!

▼本日(2022/01/13)は、第306回オンライン「寅の日」である。
 2022年1月のテーマは

●【1月テーマ】「科学と文学」

である。読むのもズバリ、テーマそのものの「科学と文学」を2回に分けて読む。


◆本日(2022/01/13)、第306回オンライン「寅の日」!!

●「科学と文学」(1)(青空文庫より)
 

▼この3月になればオンライン「寅の日」は、10年つづいたことになる。
 この10年間、毎年一度はこの「科学と文学」を読んできた。
 それは、ここに

 「なぜ寅彦の随筆を読み続けるか!?」 の答えのヒントがある!!
 
 と思ったからである。また言い換えて鎌田浩毅氏風に言うならば

 「寺田寅彦を「活用」する」ヒントのすべてがここにある!!

 からである。長い前置きになってしまった。
 本編は次のようにおそろしく長編になっていた。

・緒言
・言葉としての文学と科学
・実験としての文学と科学
・記録としての文学と科学
・芸術としての文学と科学
・文学と科学の国境
・随筆と科学
・広義の「学」としての文学と科学
・通俗科学と文学
・ジャーナリズムと科学
・文章と科学
・結語

 本日は「文学と科学の国境」あたりまで読んでみたい。

▼「緒言」のなかで、きっぱりと宣言していた。

もう一つ断わっておかなければならないことは、自分がともかくも職業的に科学者であるということである。
科学の領域は自分の将来の主働的な生活に生きて行くためにいちばん適当な世界のように思われたのであった。
全くそのころの自分にとっては科学の研究は一つの創作の仕事であったと同時に、どんなつまらぬ小品文や写生文でも、それを書く事は観察分析発見という点で科学とよく似た研究的思索の一つの道であるように思われるのであった。
 

 これは寅彦の「科学者」宣言だ!!
 寅彦の軸足はいつもぶれずに「科学者」にあった!!

 前半は読み解くためのキーワードが次々と登場する。
 「言葉」→「記録」→「予言」
 「実験」→「記録」
 「記録」→「科学」
 「事実の記録」→「予言」→「芸術」→「美」→「真の記録」

 それはまるで連句を詠むようにツナガリ 豊かに広がっていくのだった!!
 なかでも「記録」こそ最重要キーワードと読めた!!

▼「文学と科学の国境」あたりでいよいよこの随筆の本意に近づいていく。
 中谷宇吉郎のお気に入りの「文脈」が登場する。

 顕微鏡で花の構造を子細に点検すれば、花の美しさが消滅するという考えは途方もない偏見である。花の美しさはかえってそのために深められるばかりである。花の植物生理的機能を学んで後に始めて充分に咲く花の喜びと散る花の哀れを感ずることもできるであろう。

 そしていよいよだ!!

 それで、そういういろいろな物の見方に慣れた科学者が人間界の現象に対してそういう見方から得られるいろいろな可能性を指摘してそれに無関心な世人の注意を促すということは、科学者としてふさわしいことであって、そうしてむしろ科学者にしてはじめて最も有効に行ない得らるる奉公の道ではないかとも考えられるのである。
 そういうことから考えても、科学者が科学者として文学に貢献しうるために選ぶべき一つの最も適当なる形式はいわゆるエッセーまた随筆の類であろうと思われる。

 さらに「随筆のすすめ」へとつづく。

(つづく)
  

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「静電気」を科学する(2) #静電気 #エレキテル #平賀源内 #復元実験 #大人の科学

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▼「静電気」でずっとこだわりつづけてきたひとつのモノがある!!
 平賀源内の「エレキテル」である。
 ことのはじまりは今から40年ばかり前に次の一文に出会ったことにある。

 源内のつくったエレキテルは、いま東京の逓信博物館と香川県志度町の平賀家に残っている。 逓信博物館のものは、…(中略) 構造は簡単はかんたんであるから、すこしこんきのよい小学生ならば、つくれそうである。 … (『磁石と電気の発明発見物語』(板倉聖宣編 国土社)P68より)

▼当時からなんでも無手勝流で通していた私は、この挑発的(!?)一文にのってしまったのである。
 ナラバとさっそく逓信博物館に電話と手紙で連絡をとったのである。
 「エレキテルの復元実験を子どもたちと一緒にやりたいので資料が欲しい」と。
 この唐突で失礼な依頼に逓信博物館は実に丁寧に対応してくださった。
 貴重な資料をたくさん送ってくださったのだ。
 私は、さっそく科学クラブの生徒たち一緒ににその資料を参考にしながら、「らしきもの」ものをつくった。
 その精度はどの程度のものであったか、今はもう記憶がない。
 ただこのときの逓信博物館の対応にいたく感動した!!深謝

▼それ以来、いつかは逓信博物館にこのときのお礼とホンモノをこの眼で確かめたいと思っていた。
 いつか東京に出たときついでにと思っているあいだに30年の年月がたってしまった。(何度も機会があっただろうに)。
 2013/04/14ついに、その「いつか」はやってきた。
 逓信博物館は名前が変わって逓信総合博物館となっていた。
 ついにそのホンモノを見た。復元された「エレキテル」も体験させてもらうことができた!!

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▼その後も「エレキテル」に関する情報にふれることがあった。
 特に自分でつくってみる体験は感動ものだった。
 やっと火花が飛んだときは \(^O^)/

◆大人の科学vol.22「平賀源内のエレキテル」


(つづく)

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「静電気」を科学する(1) #静電気 #電気の学習 #蛍光灯 #ネオン球

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▼「静電気」パチッパチッの季節である!!
 そう言えば、それを体感することが少なくなったような気がする。
 どうしてなんだろう!?
 年のせいで活動量が減ったからだろうか!?それとも…!?
 \(・_\)ソノハナシハ (/_・)/コッチニオイトイテ

 まったくの思いつきであるが、新シリーズをはじめようと思う。
 「○○」を科学する
 というシリーズである。
 思いつき・気ままで「科学する」テーマをきめる。
 言わば私自身が科学を楽しく学び直すシリーズである。
 面白くなくなったらすぐやめる。

▼まずその第一弾は

●「静電気」を科学する

 私の「科学する」の原点は中学校「理科」にある。
 どんな授業をやってきたのだろう。

◆【電気の学習】実践DB


▼その最初に「ねらい」を次のようにしていた。

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 【電気の学習】はいつも三部構成にしていた。

●PartⅠ 『物質と電気』
●PartⅡ 『電流と回路』
●PartⅢ 『電気の仕事』

である。


▼ずいぶん長い前置きになってしまった。
 本シリーズの「静電気」は、もちろん PartⅠ 『物質と電気』にあった。
 その具体的実践の「記録」(ずいぶん古い記録だが(^_^;))も残していた。

●【実践】『新「電気」発見ものがたり』

 久しぶりにその「蛍光灯」「ネオン球」をひっぱりだしてきた。

(つづく)

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【Web更新1/9】22-02 サイエンスコミュニケーター宣言等 更新!!

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蝋梅や昼の月また高くなり 22/01/08撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】22-02
週末定例更新のお知らせ
 2022年2回目の週末定例更新のお知らせである。
 2022年が少しずつ馴染んできた。
 と思ったら、はや10日!!
 粛々と可能なことを!!

◆表紙画像集2022 更新 蝋梅
 3年目の蝋梅!!
 今年もまたまたいくつもの蕾をつけ咲き始めた。
 思わず鼻を近づけてしまうのだった。ふりかえった空に昼の月が!!

◆サイエンスコミュニケーター宣言 更新!!
 あと3ヶ月で11年目の歩みが終わる。
 「現在地」と「展望」を語ってみた。
 年の始めだ!!
 少し大風呂敷もひろげてはみたが、可能なことを汲み尽くすところにしか道はない!!
 ゆっくり ゆっくり 急ごう!!

◆Webテキスト『天気の変化』の可能性!? 更新!!
 今月も「雲見」と俳句「歳時記」だけを更新した。
 2022年タイトルのWebテキスト『天気の変化』はどんな展開を見せるだろう。
 自分でも楽しみである。


 大賀ハス観察池は蓮根の植え替えから42週目であった。
 池のなかで朽ち果てていくハスの葉もまたいとおかし!!
 今年の植え替えまであと10週!!

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サイエンスコミュニケーター宣言(429) #理科の部屋 #日本理科教育史 #現代理科教材発展史

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▼「藤の実」を科学する!!
 を続けていた。
 
 謎解きの第一歩は「記録」することだった。
 ウメサオタダオは言った。(『知的生産の技術』より)

 ものごとは、記憶せずに記録する。

▼サイエンスコミュニケーターとしての「現在地」「展望」つづける。
 次は第4の座標軸だ。

(4) あらたな理科教育コミュニティの構築!

  私は「理科教育コミュニティ」と聞くと、どうしても【理科の部屋】に行き着いてしまう。
 現在進行形の【理科の部屋】は2つある。

●Facebook版【理科の部屋】(2015/03/08)

●【理科の部屋】7(サイエンスフォーラム)(2019/01/05)


「これから」
・ホンモノの「不易」は「流行」を創造する!! 何を創造できるかで真価が問われる。
・【理科の部屋】30年史に向けて


▼最後の第5の座標軸に行く。

(5) 日本理科教育史を現在進行形のかたちでまとめる。

 なんとも大げさな座標軸である。
 遅々として進まない。
 しかし、歩みはとめない!!
 どこまでも「現在進行形」で!!

▼関連して2つのプロジェクトに取り組んでいた。

◆『「日本理科教育史」をプロットする!!』

◆『現代理科教材発展史』

 いずれも遠大なるプロジェクトであった。
 取り組みは間欠的なものとなっていた。ひとりのポンコツでは限界がある。
 アタリマエ!!


「これから」
・愉しみながらやることを最優先に ゆっくり ゆっくり 急ごう!! 

(了)

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サイエンスコミュニケーター宣言(428) #理科の授業 #サイエンスコミュニケーション #サイエンスコミュニケーター

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知れば知るほどやっぱり「ふしぎ!?」だ!!
 あの寅彦が夢中になったのもわかるというものだ。

 「その瞬間」を見たくて、「おすそ分け」してもらった「藤の実」。
 正月から次々とはぜり、ラストふたつとなってしまった。
 そのひとつが一昨日(2022/01/06)はぜった。
 今一度、じっくりと莢と種子をみながら、その「潮時」に何が起こるのか科学してみた。
 
 科学するはやっぱり「ふしぎ!?」で面白い!!

▼サイエンスコミュニケーターとしての「現在地」「展望」つづけよう。
 次は第3の座標軸だ。

(3) 中学校「理科」カリキュラム全課程実践的検討!!

 現場離れて久しくなりつつあった。
 しかし、今も確信していることがあった。

・理科の授業はサイエンスコミュニケーションの最前線である!!
・理科教師は最前線のサイエンスコミュニケーターである!!

▼「これまで」をまとめる試みをやっていた。
 もう少し古くなるが

●私の「ふしぎ!?」からはじめて「卒業論文」にいたるまでの中学校3年間「理科」全課程を構想する!!
 新・中学校「理科」を構想する(2016年版)

 なぜ中学校「理科」なのか!?
 そこにすべてがある気がしていた。

▼直接的に「授業」をすることのなくなった今もやっぱり

・「授業」は私にとっては最高の「学び」の方法だった!!
・「授業」するつもりで「ふしぎ!?」を科学する!! 

 「これから」もずっとずっと理科の「授業」を愉しみたいものだ。

(つづく)

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サイエンスコミュニケーター宣言(427) #サイエンスイベント #オンライン企画 #オンライン句会 #共愉の科学

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冬の畦はヒガンバナが独り占めしていた!!
 緑の葉はたっぷり光を受けて、栄養をつくり地下に貯め込んでいく。
 ヒガンバナにとって冬こそ「稼ぎ時」なのである。
 春になって、他の植物たちがめだちはじめるころには葉は枯れて地上から姿を消す。
 なんとみごとな「戦略」だ!!

 冬のヒガンバナを観察してこそ、植物「ヒガンバナ」を観察したことになる。

 全国のヒガンバナスポットのヒガンバナの今が見たい!!

▼サイエンスコミュニケーターとしての「現在地」「展望」をつづけよう。
 次なる座標軸はこうだ。

(2) サイエンスイベント・ムーブメントに参画する。

 ここ数日で状況は大きく変化してきた。
 またまたリアルなイベントなどが少し困難な状況になるかもしれない。

▼とりわけサイエンスイベントなどにおいては、具体的な「モノ」にふれることが大切だ。
 そのためにはリアルが一番だ!!
 しかし、それが困難ということであればオンライン企画でカバーしなければならない。
 オンライン企画で「これまで」に試みたことと「これから」に考えられることを思いつくままに挙げてみる。

 すっかり定着した定番として

●オンライン「寅の日」
●オンライン句会「寅の日」

▼「これから」にヒントとなりそうなこととして

●【「雲見」の連帯】
●Web版【はしりもの・かわりだね】
●Facebook版「日本ヒガンバナ学会」


 可能なものの領域を汲みつくそう!!
 「共愉の科学」をめざして!!

(つづく)
 

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サイエンスコミュニケーター宣言(426) #道楽の科学 #等身大の科学 #共愉の科学 #サイエンスコミュニケーター

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▼ひとり吟行の最後はこの公園に立ち寄るのがすっかり日課となっていた。
 今、「藤の実」にはまっていた!!
 自分の部屋、ラボ(物置!?)に設置した「藤の実」がはぜるのは見た。
 次は屋外の藤棚の「藤の実」だった!!
 この実がはぜる「その日」はいつか!?
 「その日」はどんな日なんだろう!?

 これが私にとって、今もっとも旬の「道楽の科学」だった!!

▼あと3ヶ月たてばサイエンスコミュニケーター11年の歩みが終わる。
 いつものように「現在地」確認をやっておきたい。
 さらには年始めでもある。少し大風呂敷広げて、3ヶ月を「展望」しておきたい。
 まずいつもの5つの座標軸をひっぱり出してくる。

(1) 道楽的「科学」・道楽的「理科」の追求!
(2) サイエンスイベント・ムーブメントに参画する。
(3) 中学校「理科」カリキュラム全課程実践的検討!!
(4) あらたな理科教育コミュニティの構築!
(5) 日本理科教育史を現在進行形のかたちでまとめる。

▼座標軸ひとつひとつを使いながら「現在地」を確認してみよう。
まずは

(1) 道楽的「科学」・道楽的「理科」の追求!

 である。定番「道楽の科学」は3つある!!

●賢治の「雲見」!!
●寅彦の「宇宙見物」!!
●ひとり「吟行」!! 

 いつでも、どこでも、簡単に!!が謳い文句の道楽だ。

▼さあ、すこしだけ大風呂敷ひろげておこう。
 この3ヶ月のあいだにどんな過程を経て「道楽の科学」にいきついたのか?
 その遍歴をふりかえってみたい!!
 そして、「これから」を !!

 思いつくままに使って来た「○○の科学」を列挙してみる。

●「常民の科学」
●「萃点の科学」
●「デクノボーの科学」
●「ファラデーの科学」 
●「高いレベルの科学」
●「等身大の科学」
●「私の科学」
●「道楽の科学」

そして、今 最も夢中は

●「共愉の科学」!!

(つづく)  

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2022年1月(睦月)の俳句「歳時記」!! #俳句 #歳時記 #オンライン句会

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▼今年は御降(おさがり)からはじまった!!
 我らが寅日子先生も御降を詠んでいた。

御降や寂然として神の鶴 (明治四十年)
御降や月代寒き朝詣 (明治四十年)
御降に尻ぞ濡れ行く草履取 (明治四十年)

 いずれも明治四十年、寅日子先生三十歳のときの句だった。

▼今年も名句の鑑賞 よりはじめる<俳句修業>だ!!
 名句の参考にさせてもらうのは、今年も

◆NHK「俳句」 テキスト 

である。ここより巻頭の名句11句を引用させてもらう。

(1) 雪こぼす雲のたちまち日をこぼす 稲畑汀子
(2) 離陸して日本かたむく初明り 那須淳男
(3) しづかなるひとのうばへる歌留多かな 野口る理
(4) 並びたる巫女に日当る破魔矢かな 深見けん二
(5) 羽子板の重きが嬉し突かで立つ 長谷川かな女
(6) こほりたる雫の先の濡れてをり 高田正子
(7) 日のあたる氷りし瀧の静けさよ 高柳重信
(8) 地面から宙がはじまる福寿草 宮坂静生
(9) 雪兎目を入れてより憂ひがち 川崎雅子
(10) 雪山の照り楪も橙も 森 澄雄
(11) おとうとよ雪野の奥に雪の山 澤 好摩

▼<俳句修業>の第一歩は「選句」からデアル!!
 今年もシロウト「選句」をおおいに楽しもう!!

【私の選んだ名句ベスト3】

(1) 雪こぼす雲のたちまち日をこぼす 稲畑汀子

(6) こほりたる雫の先の濡れてをり 高田正子

(7) 日のあたる氷りし瀧の静けさよ 高柳重信

【次点】

(8) 地面から宙がはじまる福寿草 宮坂静生


【選評】
・雪も日も「こぼす」なんダ!!それがとっても気に入った。
・「雫の先」に集中したするどい観察眼!!
・すぐさまある瀧を連想してしまった。今年も観察に行きたいものだ。「静けさよ」がうまい!!

・「地面から宙がはじまる」とはうまいなあ。「福寿草」との取り合わせも最高!!


▼「選句」修業の次は「作句」修業だ。
 それらを一緒に愉しむのが句会だ!!
 今年もオンライン句会「寅の日」で、俳句修業を愉しもう!!

◆第17回オンライン句会「寅の日」1月例会案内!!

 

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2022年1月(睦月)の「雲見」は!? #雲見 #もくもくシール

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▼はや2022年がスタートして3日が過ぎた。
 今年ももちろん「雲見」は継続する。
1月(睦月)の「雲見」を予想する前に2021年12月の「雲見」のまとめをもくもくシールセットによる「雲見」カレンダーでふり返っておこう。
 使用した十種雲形シールは次のようになった。

・快晴    6 
・巻雲    1 
・巻積雲   0 
・巻層雲   1     
・高積雲   3  
・高層雲   3     
・層積雲   5 
・積雲    8 
・層雲    0  
・乱層雲   4  
・積乱雲   0

 「積雲」8+「快晴」6=14
 「乱層雲」4
 これらの結果からみて、思っていたより天気はよかった!!
 雨量はやっぱり少なくなってきている。

▼2022年1月(睦月)の「雲見」の予想に入ろう。
 まずは昨年の1月の天気図を見てみる。

◆日々の天気図 2021年1月 (気象庁) 

・あらためて驚く!! 毎年同じようなことを繰り返しているのである。アタリマエ!!
・当地も元旦から雪だった。
・この後、「大雪」ということはないのだろうか!?
・やっぱり気圧配置に注目だ!!
・「巻雲」が増えてきそうと予想する。
・「ストロー氷」を見ることはあるだろうか!?

▼1月の「雲見」予想をつづけよう。
 次なる「雲見」の予想の資料を今年から変更する。昨年までよりローカルな資料を使うことにする。
 実際の「雲見」予想により直接的に参考になるのは、地域の気候だろうから!!
 アメダス「福崎」のデータに基づく資料である。

◆兵庫県 福崎 の気候(雨温図最高気温、最低気温の推移

・1月は一年でもっとも降水量の少ない月となっている。
・冬晴れの日が多くなるのだろうか。またまた「快晴」「積雲」シールがふえるのかな。
・「大雪」もあるかな!? 「乱層雲」「積乱雲」(あるかな?)
・1月の末にかけて気温はどんどん下がっていきそうだ。

▼今年は、ふたつめの資料としてアメダスのデータを使う。
 それと関連して今一度、Webテキスト試案「アメダス」に注目してみようと思う。

●Webテキスト試案「アメダス」(PDF版)

 自分の暮らす地域の「気候」の特徴を「アメダス」のデータから読みとりたいものだ。
 こんな貴重な資料を活用しない手はない。モッタイナイ!!
 
 うまく「雲見」とリンクしていきたいものだ。

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【Web更新1/2】22-01 新・クラウド「整理学」試論等 更新!!

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御降や静かに決意包みたり 22/01/01撮影@福崎


■楠田 純一の【理科の部屋】22-01
週末定例更新のお知らせ
 2022年最初の週末定例更新のお知らせである。
 今年も週一回の定例更新を貫きたいたいものだ!!
 
 誰でもできること 誰もやらないほどに!!

◆表紙画像集2022 更新 御降(おさがり) 南天
 元旦は雪だった。
 南天の赤い実を御降が静かに包み込んでいた。
 2022年は ゆっくり ゆっくり はじまった!!

◆新・クラウド「整理学」試論 更新!!
 【私の重大ニュース 2021】、【私の読んだ本】、【私の撮った写真】、新年の抱負(2022)とつづけた。
 今年こそあらたな試みを展開したいものだ。

◆オンライン「寅の日」 更新!!
 今年の「ゆく年くる年」も「寅の日」スペシャルだった。
 3月で「10年の歩み」が終わる。
 「10年の歩み」をふりかえりつつ、「これから」を展望したいものだ。


 大賀ハス観察池は、蓮根の植え替えから41週目だった。
 観察池の泥は粒が小さかった。
 そして、少しだけ盛り上がっているようにも見えた。
 それは地下に眠る蓮根たちの「生きている証し」のようにも思えた。
 春がたのしみだ!!

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新年の抱負2022 !! #2022年 

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アタリマエこそが願いや去年今年 @福崎

 あけましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願いします。 <(_ _)>  2022/01/01


▼今年も「新年の抱負」をコトバにしておきます。
 益々シンプルになっていきます。

(1)捨てる !!

(2)詠む !!

(3)発信する !!


▼今年の3月にはオンライン「寅の日」10年の歩みが終わります。
 節目の年です。

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本日(2022/01/01)、第305回オンライン「寅の日」!! #日本人の自然観 #traday #寺田寅彦

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▼あけましておめでとうございます。
 2022年「寅の年」は「寅の日」からはじまります。
 
 今年もオンライン「寅の日」をよろしくお願いします。<(_ _)>

▼本日(2022/01/01)は、第305回オンライン「寅の日」です。
 寅彦忌特番に引き続き「日本人の自然観」を読みます。
 「ゆく年くる年」スペシャルです。

◆本日(2022/01/01)、第305回オンライン「寅の日」!!

●「日本人の自然観」(2)(青空文庫より)

▼<日本人の日常生活>からを中心に読みます。
 2012年4月にオンライン「寅の日」をはじめて以来、何度も繰り返しこの「日本人の自然観」読んできました。
 読む度に響いてくるものがありました!!
 人は誰しも自分の文脈に引き寄せて他の人の文脈を読み解くものです。
 ここで強く響いてきたのは次のようなところです。

 農業者はまたあらゆる職業者の中でも最も多く自然の季節的推移に関心をもち、自然の異常現象を恐れるものである。この事が彼らの不断の注意を自然の観察にふり向け、自然の命令に従順に服従することによってその厳罰を免れその恩恵を享有するように努力させる。
 津々浦々に海の幸(さち)をすなどる漁民や港から港を追う水夫船頭らもまた季節ことに日々の天候に対して敏感な観察者であり予報者でもある。彼らの中の古老は気象学者のまだ知らない空の色、風の息、雲のたたずまい、波のうねりの機微なる兆候に対して尖鋭(せんえい)な直観的洞察力(どうさつりょく)をもっている。長い間の命がけの勉強で得た超科学的の科学知識によるのである。それによって彼らは海の恩恵を受けつつ海の禍(わざわい)を避けることを学んでいるであろう。それで、生活に追われる漁民自身は自覚的には海の自然を解説することはしないとしても、彼らを通して海の自然が国民の大多数の自然観の中に浸潤しつつ日本人固有の海洋観を作り上げたものであろう。

ここで勝手に私の文脈における「常民の科学」を読みとるのである!!


▼<日本人の精神生活>へと読み進める。
 「これから」に示唆的な提言がつづく!!

 おそらく日本の自然は西洋流の分析的科学の生まれるためにはあまりに多彩であまりに無常であったかもしれないのである。  現在の意味での科学は存在しなかったとしても祖先から日本人の日常における自然との交渉は今の科学の目から見ても非常に合理的なものであるという事は、たとえば日本人の衣食住について前条で例示したようなものである。その合理性を「発見」し「証明」する役目が将来の科学者に残された仕事の分野ではないかという気もするのである。

 ここに「これから」の科学者の役割も提言していた!!
 さらにつづく

短歌俳諧はいかいに現われる自然の風物とそれに付随する日本人の感覚との最も手近な目録索引としては俳諧歳時記(はいかいさいじき)がある。俳句の季題と称するものは俳諧の父なる連歌を通して歴史的にその来歴を追究して行くと枕草子や源氏物語から万葉の昔にまでもさかのぼることができるものが多数にあるようである。私のいわゆる全機的世界の諸断面の具象性を決定するに必要な座標としての時の指定と同時にまた空間の標示として役立つものがこのいわゆる季題であると思われる。
そういう詩形を可能ならしめる重大な原理がまさに日本人の自然観の特異性の中に存し、その上に立脚しているという根本的な事実を見のがしてはならない。

これらの提言がオンライン句会「寅の日」にツナガッテいるのかもしれない!!


<結語>も見逃すことはできない。

 以上の所説を要約すると、日本の自然界が空間的にも時間的にも複雑多様であり、それが住民に無限の恩恵を授けると同時にまた不可抗な威力をもって彼らを支配する、その結果として彼らはこの自然に服従することによってその恩恵を充分に享楽することを学んで来た、この特別な対自然の態度が日本人の物質的ならびに精神的生活の各方面に特殊な影響を及ぼした、というのである。

 ここで終わらないのが寅彦のほんとうに凄いところだ!!

距離の尺度と時間の尺度もいろいろに食いちがって来た。そうして人は千里眼順風耳を獲得し、かつて夢みていた鳥の翼を手に入れた。このように、自然も変わり人間も昔の人間とちがったものになったとすると、問題の日本人の自然観にもそれに相当してなんらかの変化をきたさなければならないように思われる。そうして、この新しい日本人が新しい自然に順応するまでにはこれから先相当に長い年月の修練を必要とするであろうと思われる。多くの失敗と過誤の苦(にがい)経験を重ねなければなるまいと思われる。現にそうした経験を今日われわれは至るところに味わいつつあるのである。
 

「これから」の「日本人の自然観」に言及していた!!

やっぱり寅彦はいつ読んでも今日的である!!
今年もいっぱい寅彦を読みたいものだ!!

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