本日(2022/01/01)、第305回オンライン「寅の日」!! #日本人の自然観 #traday #寺田寅彦
▼あけましておめでとうございます。
2022年「寅の年」は「寅の日」からはじまります。
今年もオンライン「寅の日」をよろしくお願いします。<(_ _)>
▼本日(2022/01/01)は、第305回オンライン「寅の日」です。
寅彦忌特番に引き続き「日本人の自然観」を読みます。
「ゆく年くる年」スペシャルです。
◆本日(2022/01/01)、第305回オンライン「寅の日」!!
▼<日本人の日常生活>からを中心に読みます。
2012年4月にオンライン「寅の日」をはじめて以来、何度も繰り返しこの「日本人の自然観」読んできました。
読む度に響いてくるものがありました!!
人は誰しも自分の文脈に引き寄せて他の人の文脈を読み解くものです。
ここで強く響いてきたのは次のようなところです。
農業者はまたあらゆる職業者の中でも最も多く自然の季節的推移に関心をもち、自然の異常現象を恐れるものである。この事が彼らの不断の注意を自然の観察にふり向け、自然の命令に従順に服従することによってその厳罰を免れその恩恵を享有するように努力させる。
津々浦々に海の幸(さち)をすなどる漁民や港から港を追う水夫船頭らもまた季節ことに日々の天候に対して敏感な観察者であり予報者でもある。彼らの中の古老は気象学者のまだ知らない空の色、風の息、雲のたたずまい、波のうねりの機微なる兆候に対して尖鋭(せんえい)な直観的洞察力(どうさつりょく)をもっている。長い間の命がけの勉強で得た超科学的の科学知識によるのである。それによって彼らは海の恩恵を受けつつ海の禍(わざわい)を避けることを学んでいるであろう。それで、生活に追われる漁民自身は自覚的には海の自然を解説することはしないとしても、彼らを通して海の自然が国民の大多数の自然観の中に浸潤しつつ日本人固有の海洋観を作り上げたものであろう。
ここで勝手に私の文脈における「常民の科学」を読みとるのである!!
▼<日本人の精神生活>へと読み進める。
「これから」に示唆的な提言がつづく!!
おそらく日本の自然は西洋流の分析的科学の生まれるためにはあまりに多彩であまりに無常であったかもしれないのである。 現在の意味での科学は存在しなかったとしても祖先から日本人の日常における自然との交渉は今の科学の目から見ても非常に合理的なものであるという事は、たとえば日本人の衣食住について前条で例示したようなものである。その合理性を「発見」し「証明」する役目が将来の科学者に残された仕事の分野ではないかという気もするのである。
ここに「これから」の科学者の役割も提言していた!!
さらにつづく
短歌俳諧はいかいに現われる自然の風物とそれに付随する日本人の感覚との最も手近な目録索引としては俳諧歳時記(はいかいさいじき)がある。俳句の季題と称するものは俳諧の父なる連歌を通して歴史的にその来歴を追究して行くと枕草子や源氏物語から万葉の昔にまでもさかのぼることができるものが多数にあるようである。私のいわゆる全機的世界の諸断面の具象性を決定するに必要な座標としての時の指定と同時にまた空間の標示として役立つものがこのいわゆる季題であると思われる。
そういう詩形を可能ならしめる重大な原理がまさに日本人の自然観の特異性の中に存し、その上に立脚しているという根本的な事実を見のがしてはならない。
これらの提言がオンライン句会「寅の日」にツナガッテいるのかもしれない!!
<結語>も見逃すことはできない。
以上の所説を要約すると、日本の自然界が空間的にも時間的にも複雑多様であり、それが住民に無限の恩恵を授けると同時にまた不可抗な威力をもって彼らを支配する、その結果として彼らはこの自然に服従することによってその恩恵を充分に享楽することを学んで来た、この特別な対自然の態度が日本人の物質的ならびに精神的生活の各方面に特殊な影響を及ぼした、というのである。
ここで終わらないのが寅彦のほんとうに凄いところだ!!
距離の尺度と時間の尺度もいろいろに食いちがって来た。そうして人は千里眼順風耳を獲得し、かつて夢みていた鳥の翼を手に入れた。このように、自然も変わり人間も昔の人間とちがったものになったとすると、問題の日本人の自然観にもそれに相当してなんらかの変化をきたさなければならないように思われる。そうして、この新しい日本人が新しい自然に順応するまでにはこれから先相当に長い年月の修練を必要とするであろうと思われる。多くの失敗と過誤の苦(にがい)経験を重ねなければなるまいと思われる。現にそうした経験を今日われわれは至るところに味わいつつあるのである。
「これから」の「日本人の自然観」に言及していた!!
やっぱり寅彦はいつ読んでも今日的である!!
今年もいっぱい寅彦を読みたいものだ!!
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