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【お薦め本】『寺田寅彦と物理学』(池内了著 玉川大学出版部)

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オンライン「寅の日」をはじめたのは2012年4月だった。
 面白くなくなったらすぐやめようと思っていた。 
ところが寺田寅彦の随筆は、読めば読むほど面白くなっていった。
はじめてから10年目になり、まもなく第300回目をむかえる。
 
 にわか寅彦ファンは、いつしか「寅の日」が最高の楽しみになってしまった。

▼そんなオンライン「寅の日」に関連しそうなたいへん興味深い本がこの夏に出された。
 それが、今回の【お薦め本】である。
 

◆ 【お薦め本】『寺田寅彦と物理学』(池内了著 玉川大学出版部 2021.7.30)


 いつものようにお薦めポイント3つを先にあげておく。
 でなければ、いくらでもダラダラと書いてしまいそうだ。それほど面白いのだ!!

(1)平易な一人称の語り口で語られる最高に面白い「寺田寅彦自伝」!!

(2)「寺田物理学」が子どもから大人まで楽しめるように語られている!!

(3)オンライン「寅の日」への最高の案内書である!!


▼ではひとつずついこう。 

(1)平易な一人称の語り口で語られる最高に面白い「寺田寅彦自伝」!!
 著者は寅彦研究の第一人者・池内了氏である。
 池内了氏はすでに

・『寺田寅彦と現代 ~等身大の科学を求めて~』(池内 了著 みすず書房)
・『ふだん着の寺田寅彦』(池内 了著 平凡社)

等で科学者・寺田寅彦の魅力を私たちに紹介してくれていた。
 今回は、これまでの「総まとめ」として、子ども向けにわかりやすく語り口調で書かれていた。
 いつまでもにわか寅彦ファンの私にはそれがアリガタイ!!
 著者は最初にこうとも言われていた。

 本書では、私が寺田寅彦になった気持ちで、かれの人生をたどりながら、どのような発想で研究をおこなってきたかを語ろうと思います。同時に、寅彦の長所だけでなく短所についてもふれ、かれの人間性の豊かさにもふれたいと思っています。わたしは、そんな欠点も見える寺田寅彦を好ましく思っているからです。(同書P3より)

 ますますアリガタイ!!


(2)「寺田物理学」が子どもから大人まで楽しめるように語られている!!
 「寺田物理学」!! 
 私にはなかなか魅力的なひびきをもつコトバです。
 しかし、 「寺田物理学とは!?」
 の問いに、自分のコトバで答えようとしてもなかなか難しかったです。
 あきらめずに、これからも何度でも挑戦してみたいと思います。
 この本には、それに答えるときのヒントがあります。

著者は言います。
 

 第2の点は、それまで解決が困難だとして敬遠されてきた問題にたいして、思いきったアイデアで挑戦したということです。
 一般に、敬遠されてきた問題というのはひじょうに複雑で、解決の糸口すら見つからないので「複雑系」とよばれてあとまわしにされてきました。寅彦はそのような複雑な系こそ今後重要となり、研究の本腰を入れなければならいと主張し、考えるヒントを提案したのです。(同書P8 より)

うれしいのはその「寺田物理学」を、子どもから大人まで楽しめるようにわかりやすく語られているのです。
 ときには、「現代」からの視点でその意義、先駆性が語られているのはうれしい!!
 それはまるで、寅彦自身が「現代」に蘇ったようだ!!


▼最後のポイントはこうだ!!
 今回はここが最も言いたかったお薦めポイントである。

(3)オンライン「寅の日」への最高の案内書である!!

 著者ははじめの「寺田寅彦とわたし」でこう言っていました。

 このようにわたしの進路を決めることなった寺田寅彦は、むろんとっくに亡くなった人だし、かれが書いたむつかしい論文を読んだわけではありません。わたしがおもに親しんだのは彼が書いた多くの随筆です。かれはその随筆で、だれもが経験するような日常のことがらをとりあげ、思いがけない発想でそれに関する「ふしぎ」について語っていくのです。その発想のおもしろさにひきこまれ、こんな見かたができるのか、そんなふうに考えられるのか、と思ってしまいました。かれは、自分の意見をおしつけるのでなく、筋道どおり考えればこうなるはずだとしめすだけなのですが、わたしは知らぬまに納得させられているのでした。合理的に考える方法さえ身につければ、だれもが納得する答えに行き着くためでしょう。  こうして寺田寅彦の随筆に魅せられるうちに、かれが物理学だけでなく広く科学の重要な課題を50年も前に予言したいたことがわかりました。(同書P2 より)

 思わず納得です。(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン
著者は寅彦の人生をたどりながら、そのときどきに書かれた随筆を数多く登場させます。
そして、その随筆を寅彦の視点でわかりやすく解説してくれます。
私が数えたかぎりでは
 26編もあります。(数えもれがあるかも知れませんので、これ以上です。)
 26編の随筆は、アリガタイことに今すぐ青空文庫で読むことができます。

◆作家別作品リスト:No.42 寺田寅彦 (青空文庫)


  そうです!!
  それをオンラインで、12日に一度これを読んでいるのが
オンライン「寅の日」なんです。

 ここからは完全な「我田引水」モードです。
私はこれからオンライン「寅の日」ってなに!?
と訊ねられたら、ぜひ

『寺田寅彦と物理学』(池内了著 玉川大学出版部 )を読んでみてください!!

と答えようと思う。

 この本は寺田寅彦の随筆の世界へ誘う本です!!
 オンライン「寅の日」への最高の案内書です!!

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