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「日本理科教育史」をプロットする!!(51) #鉄と硫黄の化合実験 #大竹三郎 #理科教室 #理科実験法の再検討 #教材論

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▼今一度、ふりだしにもどって「鉄と硫黄のダンゴ」実験は、日本理科教育史のなかでいつごろどのようにはじまったのだろう!?
 その「記録」が『理科教室』(当時新生出版刊)に残っていた。

●1974年10月 「鉄・いおう反応の新しいやり方とその意義について」(大竹三郎 『理科教室』1974年10月号 P68)

 その記事によれば、大竹三郎先生たちは1962年に今も教科書にある「鉄といおう反応のやり方」をすでに提案していた。
 そして、それから12年ほどたっていた。
 たいへん興味深い記述があるので少し引用させてもらう。

  しかし、12年ほどたってその間、わたしが見聞きしたことを整理してみると、つぎの2つの点で、なお現場の先生方には不満があるらしい。   1つは、生成物の硫化鉄が、塊状のままでは磁石に吸引されないが、粉状にくだいてしまうと、やはり吸引されてしまうということ。もう1つは、たしかに自発的な発熱は顕著だが、はじめにバーナーで加熱することで何人かの子どもは、発熱がそのためだと主張し、なかなか先生の説明に納得しないということ。 

そして…!!


▼これらの取り組みをまとめたとても参考になる本が出ていた。

●1980年10月『理科実験法の再検討~教材論的研究~』(大竹三郎著 明治図書 1980.10.5)

 ここに、これまでの「鉄と硫黄の化合実験」の歴史、教材としての意義等のすべてが語られていた。

▼実に教えられることの多い、名著中の名著だ!!
 特に感銘をうけ、しばしば引用させてもらう部分を今一度あげてみる。

 わたしは、現在、学校で実施されている多くの実験が、なお教材として仕上げられていないと考えます。これらの実験が授業の課題にピタリ答えられるように、その内容、形式ともに仕上げられなくてはなりません。ところが、わたしたちは、もうこれ以上、変えようとしても変えられないものと受けとめています。とくに長い歴史をもった伝統的な実験に対してそうです。(同書 P119より)

 なんと示唆的でしょう!!
 定番実験こそ、吟味を重ねる必要があると言っているのです。

▼大竹先生の指摘はさらに具体的です!!
 

やはり、自分の中に、それだけの必然性がなくてはなりません。そうした必然性は、果実の熟するのに似ていて、ある期間の熟成を待たないと、具体的に現れてこないようです。それもなにかのきっかけが必要です。わたしの場合実験改善の必然性も、新しい実験の発見も、そのきっかけは、授業における子どもの発言です。また、授業をした先生のつまずきです。もちろん、わたし自身によるその経験です。こうした諸条件が整っていないときは、鉄・硫黄の反応に見たように、いくら本を読んでいても気づかずに通ってしまうのだと思います。(同書 P120より)

 納得です。(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン

 さて、次はどんな定番実験をプロットしてみるかな。

(つづく)

 

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