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本日(2021/08/22)、第293回オンライン「寅の日」!! #夕凪と夕風 #traday #寺田寅彦

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▼あれっ!?
 今朝はなにか変だ。「アメダス」見てわかった、まだ南寄りのあたたかい風が吹いていた。
 いつもなら北よりの風が吹いている時間帯なのに。
 どうしてだろう!?

 自分が住む地域が「海陸風」の典型の地域だなんて知ったのは最近のことだった。

●播磨平野(姫路)の海陸風の統計的解析―海面水温との関係(河野仁・西塚幸子)


▼本日(2021/08/22)は、第293回オンライン「寅の日」である。
 8月のテーマ は「気象」である。

 【8月テーマ】「寅彦と気象」

 その二回目の本日は、その「海陸風」についてである。「夕凪と夕風」を読む。

◆本日(2021/08/22)、第293回オンライン「寅の日」!!

●「夕凪と夕風」(青空文庫より)


▼唐突に変なこと言うが、私は寅彦の次のような巧みな文章が大好きだった。

 夕凪は夏の日の正常な天気のときにのみ典型的に現われる。午後の海軟風(かいなんぷう)(土佐ではマゼという)が衰えてやがて無風状態になると、気温は実際下がり始めていても人の感じる暑さは次第に増して来る。空気がゼラチンか何かのように凝固したという気がする。その凝固した空気の中から絞り出されるように油蝉の声が降りそそぐ。そのくせ世間が一体に妙にしんとして静かに眠っているようにも思われる。

 同じ「事実」を述べるにしても、こう語られるとよりリァリティを持って景が「再現」されるのである。
 さすが寅彦 それだけではなかった!!
 かならず科学的根拠を持って語ろうとしていた。

 どうして高知や瀬戸内海地方で夏の夕凪が著しく、東京で夏の夕風が発達しているか、その理由を明らかにしたいと思って十余年前にK君と共同で研究してみたことがあった。それには日本の沿岸の数箇所の測候所における毎日毎時の風の観測の結果を統計的に調べて、各地における風の日変化の特徴を検査してみたのである。
   さすがデアル。

  寅彦は「ふしぎ!?」をけっして置き去りにはしなかった!!

▼その結果の<考察>においても寅彦はするどかった。

その結果を綜合してみると、それらの各地の風は大体二つの因子の組合せによって成り立っていると見ることが出来る。その一つの因子というのは、季節季節でその地方一帯を支配している地方的季節風と名づくべきもので、これは一日中恒同なものと考える。第二の因子というのは海陸の対立によって規定され、従って一日二十四時間を週期として規則正しく週期的に変化する風でいわゆる海陸軟風に相当するものである。そこで、実際の風はこの二つの因子を代表する二つのヴェクトルの矢の合成によって得られる一本の矢に相当する。

続けて

そうして海陸の位置分布の関係でこの凪の時間が異常に引延ばされるらしい。
 低気圧が近づいて来るとその影響で正常な季節風が狂って来る。低気圧による北西風が丁度この南東風を打消すようになる場合には海陸風だけが幅を利かせて、従って夕凪が顔を出す。しかし低気圧がもう一層近くなってそれが季節風を消却してなおおつりの出る場合には、夕風は夕風でもいつもとは反対の夕風が吹くのである。同じような異常は局部的な雷雨のためにもいろいろの形で起り得るのである。
 

 おみごとデアル!!

 最後の一文も、また寅彦らしい言えば寅彦らしい!!
 

「浮世の風」となるとこんな二つや三つくらいの因子でなくてもっと数え切れないほど沢山な因子が寄り集まって、そうしてそれらの各因子の結果の合成によって凪になったり風になったりするものらしい。
 このごろはしばらく「世界の夕凪」である。いまにどんな風が吹き出すか、神様以外には誰にも分りそうもない。

 こう寅彦が書いたのは最晩年の前年の夏である。(1934年(昭和9))
 
 寅彦はいつ読んでも今日的デアル!!

 

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