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2021年・夏の「自由研究」は!?(4) #日本理科教育史 #自由研究 #自然の観察 #1941年


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▼「自由研究」の源流を辿れば、大正自由教育あたりに行き着いた。
 関連して、そのころの寺田寅彦の「理科教育」に考えも知ることができた。

 さて、その後「自由研究」のコトバ・考え方はどうなっていったのだろう。
 大正から昭和初期にかけて戦争がつづくなか、大正自由教育の流れはどうなっていったのだろう。

▼ 再び『増補 日本理科教育史 付・年表』(板倉聖宣著 仮説社)の「年表」を見てみよう。

●1941年(昭和16)5月2日 文部省『自然の観察(教師用)』巻1発行。巻3・2・4もつづいて発行。直ちに使用。

 巻5は翌年に発行された。

▼幻の名著と言われたこの書が復刊された。

●『復刊 自然の観察』昭和16年 文部省作・発行(編集解説 日置光久・露木和男他 農山漁村文化協会 2009.3.15)

 これはあくまで教師用書であり、児童用「教科書」ではなかった。
 このことに関して、「総説」のなかでたいへん興味深いことを語っていた。

5.「自然の観察教師用」編さんの要項と取り扱い上の注意

児童用書を編さんしないこと
「自然の観察教師用」は上述の低学年理科の趣旨に基づいて編さんしたものである。この趣旨を達成するためには、児童用書の必要を認めない。強いて編さんすれば、「自然の観察」を教室において、教科書の上で指導するようなことに傾きやすく、かえって悪結果を生ずるおそれがあるのである。そこで教師用書のみを編さんすることとした。
(同書P57より)

 ここに理科教師不易の命題

 自然は最高の「教科書」!!
 子どもは最高の「指導書」!!
 
の源流を見るような思いになる。 

▼さて「自由研究」についてであるが、この書の巻3と巻5には、「私たちの研究」という課が出てくるのである。
 巻5の「私たちの研究」から少し引用させてもらおう。

 第16課 私たちの研究(2時限つづき)

目 的
早春の自然の中で、とくに注意をひくことについて自由に調べさせて、これまでに養った見方・考え方・扱い方をはたらかせ、自然を見る眼を伸ばす。

要 項
 「自然の観察」では、1年生のときからたびたび自由研究の時間を設けて、おもしろいと思う事がらをめいめいに選ばせ、これを見たり、調べたりさせて、児童の個性にしたがって、ものの見方を伸ばすことに努めてきた。この課でも、冬から春への季節の移り変わりの、著しい様子を探らせて、とくに興味をひいたものについて、自由に調べさせるのである。(後略)
(同書P509より)


 
 さらには
・何を研究するかについて
・研究の指導について
・調べたことの発表について
・指導例
とつづくのである。

 ここにきっちりと「自由研究」というコトバ・考え方は出てくるのである!!

 「自由研究」の流れはかれることなく脈々と引き継がれていたのである!!

(つづく)

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