【お薦め本】『かがく教育研究所研究紀要 第2号』(かがく教育研究所発行 2021.3)
▼ファラデーラボの開所式は、3.11の翌日、つまり2011.3.12であった。
この3月で10周年をむかえた。
この10年の歩みは、日本理科教育史にぜひとも「記録」されるべき歩みだろう。
創立7周年のときには、記念すべき『かがく教育研究所研究紀要 創刊号』を発行した。
そこには創立から7年間の多様な取り組みが熱く語られていた。
▼10周年をむかえたこの3月、今度はその研究紀要2号が発刊された。
それが、今回の【お薦め本】である。
◆【お薦め本】『かがく教育研究所研究紀要 第2号』(かがく教育研究所発行 2021.3)
特集 「回路カード」を使った電磁気学習
いつものようにお薦めポイントを3つをあげてみる。
(1)「回路カード」を使った電磁気学習の豊富な実践報告が読める!!
(2)ファラデーラボの「かがくカフェ」ようすがよくわかる!!
(3)ファラデーラボに参加してみたくなる!!
▼ではひとずつもう少しくわしくみてみる。
(1)「回路カード」を使った電磁気学習の豊富な実践報告が読める!!
教材「回路カード」について、「回路カード」の開発者であり、かがく教育研究所代表である森本雄一さんは次のように熱く語っていた。
実験・観察の重要性は繰り返し言われているが、実際はなかなか実施されていないのが現状である。それはなぜだろうか。その理由を考えるとき、この特集に書かれた報告で、「なぜこんなに生徒実験が実践されているのか」ということを考察することが重要なヒントになるのではないだろうか。 教師が楽しく熱心に工夫を凝らした実験に取り組んでいるとき、生徒はその姿を見て、自分もやってみようと思うのではないか。やってみて面白く楽しければ、主体的に取り組むようになるのではないか。「回路カード」を使った生徒実験の実践研究を進めることを通じて、今後様々な実験・観察の授業実践が広がって行くことを願うものである。(同書P6より)
森本さんの言葉の通りこのあとに小学校・中学校・高等学校・大学・科学教室等々でのとても楽しい実践報告がつづいていた。報告のタイトルだけあげてみるとこうだ。
・小学校理科4年電子流単元における回路カードを使った授業実践の報告
・生徒の実態に即した回路カードの製作と授業実践
・一人ひとりが直接体験し可視化と空間認識できる「電流と電圧」・「電流と磁界」の実験
・回路カード用電流計・電圧計の開発と実践~電池の起電力と内部抵抗などの実験を短時間で~
・回路カードを活用した電磁気分野の実験
なんと豊富な実践報告だろう。
これら実践報告を読めば「回路カード」が、小学生から大学生(一般も含めて)まで幅広く受け入れられるきわめて有効なすぐれた教材であることがわかる。
これを読めばきっと自分でも「回路カード」を使った授業をやってみたくなるはずだ。
そのときにはこの特集の研究紀要がきっと役に立つ!!
最新「回路カード」授業実践ガイドブック!!
さあ、今度はあなたの実践報告を!!
(2)ファラデーラボの「かがくカフェ」ようすがよくわかる!!
最近のファラデーラボの「かたち」は、2部構成で定着してきていた。
第1部は「○○のかがく」のタイトルのもと、講師が中心になっての話題提供となっていた。話題も多種多様であった!!
実験・工作教室あり、フィールドワークありでどこでも経験できないような「○○のかがく」を楽しく学ぶことができた。話題提供していただいた方に、発表に関連しての原稿を書いていただいたものが研究紀要に報告されている。
これもタイトルだけ引用させてもらう。タイトルを見ているだけでも楽しくなってくる内容だ!!
・智恵の楽しい実験・工作展
・はんだ付けのかがく
・科学工作「ぶつからない車」
・電池の開発の歴史から動作原理を学ぶ~理解を深めるマイクロスケール実験~
・「印南湾における津波の挙動」から「犠牲者0をめざして」~過去の災害記録を防災啓発(教育)に活かす~
・実験教室「ロウソクの科学」
・六甲山の生い立ちと土砂災害~50年前の市ヶ原災害の現場と防災教育の課題~
・科学工作「手回し発電機と2足歩行ロボ」
・授業で使える?小ネタ盛り合わせ
・気象のかがく
・高専における教育と研究
次に第1部に負けず劣らず面白いのが第2部だった。
第2部の内容は、当日のティータイムに発表希望者が前のホワイトボードに記入することによってわかった。だから、その瞬間まで何が飛び出してくるか、誰にもわからなかった!!
これが実に面白かった!!ときには発表が多すぎて時間不足ということもおこった。
実験・工作の発表もあれば、授業実践報告や「○分小ネタ」のミニレクチャーもあり、現物を持ち込んでの実験アイデア募集・質問もある。たいへん豊かな内容でバラエティーに富んでいた。
そこでは、みんなが好き好きにワイワイガヤガヤと口をだし、手を出して実際に自分でやってみた。大いに盛り上がり時間を忘れて科学を愉しんだ。
私はこの雰囲気が大好きだった!!
私はこれを勝手に「共に愉しむ科学」=「共愉の科学」(convivial science)と呼んでいた。ファラデーラボ流に言えば、「共愉のかがく」だ。
なお、ファラデーラボ「かがくカフェ」の様子は今回紀要で紹介されたページでいつでも見ることができる。
▼では、最後のお薦めポイントにいく。
(3)ファラデーラボに参加してみたくなる!!
2020年春、コロナ禍で状況が大きく変わった。
「かがくカフェ」も「かたち」を変える必要が出てきた。
zoomを利用したオンライン「かがくカフェ」がはじまった。
さらには、リアルとオンライン併用のハイブリッド「かがくカフェ」もはじまった。
「かたち」は変わったが、「共愉のかがく」の精神は変わらずにあった。
それがうれしかった!!
「共愉のかがく」は、きっとファラデーラボの「これから」のあらたな「かたち」も生み出していくだろう。
現在は、月一回のオンライン「かがくカフェ」と月一回のリアルとオンライン併用のハイブリッド「かがくカフェ」が実施されている。
そのときの愉しそうなようすがカラー写真でみることができる。それもうれしい!!
そのときどきの状況の変化によって変更されることもある。
しかし、歩みは止まらない!!
この 『かがく教育研究所研究紀要 第2号』を読めばきっと今度はあなたも参加してみたくなるはずだ!!
あなたがノックするところがドアです!!
※ 一般の本屋さんでは入手することができません。
部数に限りがあります。お早めに!!
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【申し込み方法】
下記の事項を記入して、メールでお申込みください。
・「かがく教育研究所研究紀要第2号希望」
・氏名(所属 任意)
・郵送先(〒住所)
・希望冊数
・申し込み・お問い合わせ
かがく教育研究所 faradaylabあnifty.com
(”あ”は@に変えてください)
★ 頒布価格 1冊 1000円(2冊2000円) 送料込み
★ メール受信後、振込先をご連絡します。
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