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「寺田物理学」とは!?(4) #寺田物理学 #traday #寅の日 #寺田寅彦 #小山慶太

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「 ねえ君 ふしぎだと思いませんか」

 これは、2018/07/24に高知オーテピア前に建てられた「寺田寅彦銅像」台座正面の言葉だった。

 この言葉もまたあの中谷宇吉郎が書き残してくれていた。

 私が理研にいた三年の間に、先生の仕事を手伝った主な題目は火花放電の研究であった。ずっと以前、先生が水産講習所へ実験の指導に行っておられた頃の話であるが、その実験室にあったありふれた感応起電機を廻(まわ)してパチパチ長い火花を飛ばせながら、いわゆる稲妻形に折れ曲まがるその火花の形を飽あかず眺めておられたことがあったそうである。そして先(ま)ず均質一様と考うべき空気の中を、何故(なぜ)わざわざあのように遠廻りをして火花が飛ぶか、そして一見全く不規則と思われる複雑極まる火花の形に或る統計的の法則があるらしいということを不思議がられたそうである。「ねえ君、不思議だと思いませんか」と当時まだ学生であった自分に話されたことがある。このような一言ひとことが今でも生き生きと自分の頭に深い印象を残している。そして自然現象の不思議には自分自身の眼で驚異しなければならぬという先生の訓えを肉付けていてくれるのである。(「指導者としての寺田先生」中谷宇吉郎 青空文庫より

 この言葉は、「寺田物理学」のキーワードでもある気がしていた。

▼「寺田物理学」とは!? 
 をつづけよう。石原純氏の文章にかわって参考にするのは小山慶太氏の文章である。

●「紙切り芸と寺田物理学」小山慶太 (『寺田寅彦』池内了責任編集 河出書房新社

▼たいへん興味深く面白い論考である。
 「紙切り芸」(昔、東京タワーの上で見たな。今なら…)の説明からはじまっていた。
 

 この芸には巧みな鋏さばきが要求されることは言うまでもないが、同時に描こうとする相手の特徴をまっさらな紙の上に、まわりを縁どる曲線だけで表現する創造力が不可欠になろう。
 使えるものはなにしろ、鋏の流れに沿った曲線だけであるから、対象の中から余分なところは削ぎ落とし、そのものならでは本質を抽出し、象らなければならない。それは捨象の芸術といえる。日本ならではの技であう。
 ところで、なぜこんな話を書いているかというと、寺田寅彦の物理学のスタイルがなぜかこの紙切りの芸と技を想起させるからである。(同書P51より)

「寺田物理学のスタイル」=「紙切りの芸と技」!! 
 なかなか面白い!!

▼そして、こう続けていた。

 寺田が生涯にわたって、広く関心を抱きつづけた研究対象は、日常身辺に生起する現象であった。本人の口癖をまねると、「ねえ、君、不思議だと思いませんか?」と問い掛けたくなる身のまわりのさまざまな現象である。(同書P51より)

 やっぱり!!

(つづく)

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