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「寺田物理学」とは!?(5) #寺田物理学 #traday #寅の日 #寺田寅彦 #小山慶太

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「落ちざまに虻(あぶ)を伏せたる椿(つばき)かな」

 師・漱石先生の句である。それから三十数年を経て、寅彦はこの句に物理学的考察を加え、実験観察を繰り返した。
それについては「思い出草(二)」(青空文庫より)のなかでくわしく語っていた。そして、最後にこう語った!!

こんなことは右の句の鑑賞にはたいした関係はないことであろうが、自分はこういう瑣末(さまつ)な物理学的の考察をすることによってこの句の表現する自然現象の現実性が強められ、その印象が濃厚になり、従ってその詩の美しさが高まるような気がするのである。 

これぞ「寺田物理学」の真骨頂!!

 この話を知ってから私はその季節が来る度に寅彦の真似事をして楽しむのだった。

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▼「寺田物理学」とは!? をつづけよう。
 参考にさせてもらうのは続けて小山慶太氏の文章だった。

●「紙切り芸と寺田物理学」小山慶太 (『寺田寅彦』池内了責任編集 河出書房新社

 あまりみごとな読み解きに感動してしまい、続けて引用させてもらう。
 

 こうした傾向はたとえば「日常身辺の物理的諸問題」(昭和六年)と題する随筆からもうかがえる。それはこういう書き出しで始まっている。「毎朝起きて顔を洗いに湯殿の洗面所へ行く、そうしてこの平凡な日々行事の第一箇条を遂行している間に私はいろいろの物理学の問題に逢着(ほうちゃく)する」。そして、金だらいとコップの摩擦によって生じる音の響き方や湯の温度による湯気の立ち昇り方の違いなどを例にあげ、目の前にいくらでも物理的に興味を喚起される問題があることを具体的に綴っている。寺田にとっては毎朝の洗面所にも、探究すべき問題が充満する〝宇宙〟が広がっていたのである。(同書P51より)

「日常身辺の物理的諸問題」(青空文庫より)

▼あまりに説得力をもち、わかりやすい説明につい引用が長くなってしまう。
 次は時代背景である。

 寺田が物理学者として生きた二十世紀初頭から一九三〇年代にかけては、物理学の革命期であった。ニュートン力学やマクスウェル電磁気学を基盤としたそれまでの体系(古典物理学)に綻びが露呈し始め、そこから相対性理論が生まれ、量子論が確立され、原子核物理が台頭してくるのである。それらはいずれも、日常身辺で目にすることのない世界てあった。物理学の主流は古典物理学が記述する対象から、人間の五感を超えた対象へと移っていったのである。(同書P52より)
 そうした時代の流れの中にあって、寺田は金だらいとコップの摩擦が奏でる音色に象徴されるように、かたくなと思われるほどあくまでも日常身辺に〝宇宙〟を捉えつづけようとしたのである。加えて、西欧人には気がつきにくい日本人の情感に訴える物理現象の解明に情熱を注ぎ続けた。(同書P52より)

 このあたりまで読ませてもらい、前回のオンライン「寅の日」あたりから気づきはじめていることにより確信がもてるようになってきた。

 「寺田物理学」は、「理科(科学)教育」という文脈で読んでみるとけっこう面白い!!

▼引用はさらに続く。

 ところで、我々が普段、何気無く目にする諸々の現象というのは実は、相対論や量子論が扱うそれよりもはるかにさまざまな要因が複雑に影響し合う場合が多く、そのぶん、ある量ともうひとつの量との関係をすっきりとりだすことが難しいといえる。だからこそ、紙切り張りの技と芸が必要になる。
 その際、鋏に当たるのは古典物理学の枠内に収まる実験と理論的な解析である。それを道具に寺田物理学は何枚もの〝切り絵〟を自然という〝白い紙〟から切り抜いてきた。(同書P52より)

 実に納得である!!(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)ウンウン

 そして最後にこう語り、次につないでいく

 

その好例のひとつが、次に述べる「椿の花の落下運動」に関する研究だった。

(つづく)

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