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本日(2020/12/31)、第273回オンライン「寅の日」!! #寅彦忌 #日本人の自然観 #traday #寺田寅彦

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▼85年前の大晦日。
 1935(昭和10)年12月31日午後0時28分、寺田寅彦は転移性骨腫瘍で永眠した。享年58歳!!
 本日は寅彦忌である。

 珈琲の渦を見てゐる寅彦忌 有馬朗人

と詠んだ有馬朗人先生は、今年の寅彦忌を待たずに、今月6日(2020/12/06)亡くなった。
 有馬先生が、寅彦について語った文が特別公開されていた。
 
●『銀座アルプス』文庫巻末に収録されている「解説」を特別公開!

 

▼寅彦忌の本日(2020/12/31)は特番オンライン「寅の日」である。
 読む随筆もきめていた。
 「日本人の自然観」である。

 

◆本日(2020/12/31)、第273回オンライン「寅の日」!!

「日本人の自然観」(青空文庫より)

 

▼この「日本人の自然観」が発表されたのは最晩年(1935年)の10月である。
 従ってここにはこれまでに寅彦が語ってきたすべてが集約して語られていた。
 「日本人の自然観」とはなっているが、これが寅彦の「自然観」であり「科学観」そのものであった。
 内容のつまった長編である。

・緒言
・日本の自然
・日本人の日常生活
・日本人の精神生活
・結語

 人は他人の文章を自らの文脈に引き寄せてしか読むことができない。
 私は、この長編を 自分の文脈に引き寄せ、その年に気になるところだけを引用させてもらってきた。
 今年は、全編にわたって引用させてもらおうとおもう。
 引用させてもらうことによって、自分が共感できるところを確認してみたいのだ。

・緒言

 われわれは通例便宜上自然と人間とを対立させ両方別々の存在のように考える。これが現代の科学的方法の長所であると同時に短所である。この両者は実は合して一つの有機体を構成しているのであって究極的には独立に切り離して考えることのできないものである。人類もあらゆる植物や動物と同様に長い長い歳月の間に自然のふところにはぐくまれてその環境に適応するように育て上げられて来たものであって、あらゆる環境の特異性はその中に育って来たものにたとえわずかでもなんらか固有の印銘を残しているであろうと思われる。

  
 ここでは「一つの有機体」がキーワードだろう。
 
・日本の自然

 これを要するに日本の自然界は気候学的・地形学的・生物学的その他あらゆる方面から見ても時間的ならびに空間的にきわめて多様多彩な分化のあらゆる段階を具備し、そうした多彩の要素のスペクトラが、およそ考え得らるべき多種多様な結合をなしてわが邦土を色どっており、しかもその色彩は時々刻々に変化して自然の舞台を絶え間なく活動させているのである。

 

自然の神秘とその威力を知ることが深ければ深いほど人間は自然に対して従順になり、自然に逆らう代わりに自然を師として学び、自然自身の太古以来の経験をわが物として自然の環境に適応するように務めるであろう。前にも述べたとおり大自然は慈母であると同時に厳父である。厳父の厳訓に服することは慈母の慈愛に甘えるのと同等にわれわれの生活の安寧を保証するために必要なことである。

 

 たとえば、昔の日本人が集落を作り架構を施すにはまず地を相することを知っていた。西欧科学を輸入した現代日本人は西洋と日本とで自然の環境に著しい相違のあることを無視し、従って伝来の相地の学を蔑視(べっし)して建てるべからざる所に人工を建設した。そうして克服し得たつもりの自然の厳父のふるった鞭(むち)のひと打ちで、その建設物が実にいくじもなく壊滅する、それを眼前に見ながら自己の錯誤を悟らないでいる、といったような場合が近ごろ頻繁(ひんぱん)に起こるように思われる。昭和九年十年の風水害史だけでもこれを実証して余りがある。

 

しかるに現代の日本ではただ天恵の享楽にのみ夢中になって天災の回避のほうを全然忘れているように見えるのはまことに惜しむべきことと思われる。

 

「地を相する」「相地の学」がキーワード!!
「天災は忘れられたる頃来る」の警鐘はずっと鳴らし続けられていたのだ!!

 

▼続けよう。
・日本人の日常生活

 

 農業者はまたあらゆる職業者の中でも最も多く自然の季節的推移に関心をもち、自然の異常現象を恐れるものである。この事が彼らの不断の注意を自然の観察にふり向け、自然の命令に従順に服従することによってその厳罰を免れその恩恵を享有するように努力させる。

 

 津々浦々に海の幸(さち)をすなどる漁民や港から港を追う水夫船頭らもまた季節ことに日々の天候に対して敏感な観察者であり予報者でもある。彼らの中の古老は気象学者のまだ知らない空の色、風の息、雲のたたずまい、波のうねりの機微なる兆候に対して尖鋭(せんえい)な直観的洞察力(どうさつりょく)をもっている。長い間の命がけの勉強で得た超科学的の科学知識によるのである。それによって彼らは海の恩恵を受けつつ海の禍(わざわい)を避けることを学んでいるであろう。

 

ここにこそ、私の文脈における「常民の科学」を見るのである!!

 

・日本人の精神生活

 

 現在の意味での科学は存在しなかったとしても祖先から日本人の日常における自然との交渉は今の科学の目から見ても非常に合理的なものであるという事は、たとえば日本人の衣食住について前条で例示したようなものである。その合理性を「発見」し「証明」する役目が将来の科学者に残された仕事の分野ではないかという気もするのである。

 

 これからの「科学者」の役割も明確に語ってくれていた。

 そして、次が最近私がもつとも共感しているところだ。

 

 こういう点で何よりも最も代表的なものは短歌と俳句であろう。この二つの短詩形の中に盛られたものは、多くの場合において、日本の自然と日本人との包含によって生じた全機的有機体日本が最も雄弁にそれ自身を物語る声のレコードとして見ることのできるものである。

 

人は自然に同化し、自然は人間に消化され、人と自然が完全な全機的な有機体として生き動くときにおのずから発する楽音のようなものであると言ってもはなはだしい誇張ではあるまいと思われるのである。

 

 短歌俳諧(はいかい)に現われる自然の風物とそれに付随する日本人の感覚との最も手近な目録索引としては俳諧歳時記(はいかいさいじき)がある。

 

私のいわゆる全機的世界の諸断面の具象性を決定するに必要な座標としての時の指定と同時にまた空間の標示として役立つものがこのいわゆる季題であると思われる。

 

 なんと示唆的な!!

 

今回は・結語からの引用はひかえたい。各自で「結語」を導こう!!

 

 さあ、今年も「行く年、来る年」は、
 85年の時空を超えた寅彦からの熱きメーセージを反芻してみよう!!  

 

 

 

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