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「日本理科教育史」をプロットする!!(32) #1972年 #やさしくて本質的な理科実験 #科教協東北地区協議会 #高橋金三郎

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▼理科の授業において、「実験」が持つ意味は大きい!!
 ひとつの「実験」が、授業そのものの展開を大きく変えてしまうことも屢々である。

 「日本理科教育史」を語るうえでも、
 日本の理科室でどんな「実験」が行なわれてきたのか!?
 その「歴史」をプロットしておくことも意義あることだろう。
▼しばらく、それを追いかけてみようと思う。
 私が初任のころから、いちばんお世話になった「実験集」と言えば『やさしく本質的な理科実験』である。
 「その1」は1972年(昭和47)に出ていた。

●1972年7月10日 『やさしくて本質的な理科実験1』(科教協東北地区協議会編 評論社)

 実は、これは板倉聖宣氏の「年表」(『増補 日本理科教育史 付・年表』(板倉聖宣著 仮説社))にもすでにプロットされていた。

 ではどんな「実験集」だったのだろう。
 最初に高橋金三郎氏が巻頭に書かれた「私たちの「実験集」が生まれるまで」から少し引用させてもらおう。

これは東北地方の科教協会員が主として開発した「誰にでもほとんど設備を必要とせず、しかも自然科学の本質をやさしく理解する実験」です。理科の中心は実験です。実験がうまくいかないかぎり、授業はうまくいきません。 「実験がうまくいく」とは決して「失敗しない」ことだけではありません。実験そのものが本質的なものであって、しかもその意味が子どもによく理解できるものでなければなりません。(同書P2より)

 さらには

これで私たちの「実験」の意図はおわかりでしょう。私たちの「実験」はそれ自体独立したものではなく、授業実践のなかから必然的に生まれたものであり、私たちの教育運動そのものであります。(同書P2より)

とまで語っておられた。高橋金三郎氏によれば、この実験集はこのとき突然書かれたものではなく、それまでのパイロット版『やさしくて本質的な実験集』の長い取り組みの成果として生まれたもののようだ。
▼類書にない特徴があった。
<ねらい>
<方法>
<授業のなかで>
(備考)
が明確に語られていた。これは、この実験集が生まれた経緯から考えると納得のいく話だった。
 たいへん興味深いことが、パイロット版『やさしくて本質的な実験集第2集』(1964年8月)の「まえがき」から引用されていた。

 しかしそれらは決して、偉大なる権威をもって述べられているのではなくて、みんなが失敗し悩んでいることを、私たちはこうしたら何とかうまくいくではないかと思うといった本当に謙虚な気持ちで持ち出しているのです。同じ仲間としてそれらに対し「わたしはこうやってうまくいかない」「これはどうなんだ」「どこからどうして手に入れるのか」などいろいろと苦情、疑問、注文、忠告を何でもおきかせ下さればこれにこした喜びはないのです。  そのために、創案並びに執筆者は各項の末尾に書いてありますし、住所氏名もあげていますのでどうぞ気軽にご連絡下さい。また、お願いなのですが、この実験をおやりになったら子どもの反応をハガキ一枚にでも結構です。執筆者へお知らせ下さい。実践報告その他として発表される方は、この実験集によって知りそれによってやったということを付記して下さい。(同書p3より)

 この姿勢は、この後もずっと一貫して貫かれたこの「実験集」の姿勢だった!!
 裏表紙には、はっきりわかるようにこう書かれていた。

■失敗したら必ずお知らせください。
■子どもの反応をお知らせください。
■発表される時は、この実験書によったことを付記してください。

▼では、具体的にどんな実験が紹介されていたのだろう。
 私自身もとても参考にさせてもらったもの中心にいくつかビックアップしてみよう。

13. 空気の重さ(圧入法)
14. 「エアマット」で「気圧」の意味とその大きさ
15. 大サイホンの実験
23. 二力の合成
41. 酸素のなかでの燃焼
 ・8 炭素の燃焼
43. 塩素と銅の化合物
44. 塩化銅の電気分解
48. 維管束の観察(フキを使う)
49. デンプン
 ・【授業】バナナの細胞を見る

等々 あげだすときりがない!!
 
今ではアタリマエの「定番」もここからはじまった!!

(つづく)

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