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本日(2020/07/10)、第258回オンライン「寅の日」!!#藤の実 #traday #寺田寅彦

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▼古びた藤の実の「さや」を拾ってきた。
 机の上にならべてじっくり観察してみると、確かに「ねじれて」いた!!
 私は残念ながら、まだ藤の実の「さや」が「ねじれて」、なかから豆が飛び出す瞬間を目撃したことがなかった。
 状況証拠だけでなく、その「現場」をこの眼で確かめたかった。
 今年こそ!!
▼本日(2020/07/10)は、第258回オンライン「寅の日」である!!
 7月のテーマは、6月に引き続き
 「教科書に掲載された 寺田寅彦作品を読む」
である。
 その1回目の本日は、「藤の実」を読む。

◆本日(2020/07/10)、第258回オンライン「寅の日」!!

「藤の実」(青空文庫より)

▼寅彦が「科学する」の面白さを教えてくれる!!
 それを代表するような作品である。
 これが戦後の教科書にも多く掲載されたというのが納得がいく。
 一夕の偶然の観察は、科学研究論文にまで展開していく。やっぱり寅彦は面白い!!

 書斎の軒の藤棚から居室の障子までは最短距離にしても五間(けん)はある。それで、地上三メートルの高さから水平に発射されたとして十メートルの距離において地上一メートルの点で障子に衝突したとすれば、空気の抵抗を除外しても、少なくも毎秒十メートル以上の初速をもって発射されたとしなければ勘定が合わない。あの一見枯死しているような豆のさやの中に、それほどの大きな原動力が潜んでいようとはちょっと予想しないことであった。

このように考察するのもさすがだが、ここでとどまらないのが寅彦の面白さ!!

この一夕の偶然の観察が動機となってだんだんこの藤豆(ふじまめ)のはじける機巧を研究してみると、実に驚くべき事実が続々と発見されるのである。しかしこれらの事実については他日適当な機会に適当な場所で報告したいと思う。

▼ さらに話は次へと展開していく。

それはとにかく、このように植物界の現象にもやはり一種の「潮時」とでもいったようなもののあることはこれまでにもたびたび気づいたことであった。

 銀杏の落葉を観察して、こう書いていた。

何かしら目に見えぬ怪物が木々を揺さぶりでもしているか、あるいはどこかでスウィッチを切って電磁石から鉄製の黄葉をいっせいに落下させたとでもいったような感じがするのであった。

 今回、これ読んですぐさま思い出したシーンがあった。
 先日観察したばかりの大賀ハス「あこがれの4日間」の4日目だ!!
 それまでは、猛烈な雨にも風にも耐えていた花ビラ、雄しべは、「そのとき」が来れば、またたくまに落ちたのだった。
 「あこがれの4日間」開閉の機巧の「ふしぎ!?」は、まだまだつづけなければと思うのだった。

 さらには、興味深い提言にまでツナガル。

この現象の生物学的機巧についてはわれわれ物理学の学徒には想像もつかない。しかし葉という物質が枝という物質から脱落する際にはともかくも一種の物理学的の現象が発現している事も確実である。このことはわれわれにいろいろな問題を暗示し、またいろいろの実験的研究を示唆する。もしも植物学者と物理学者と共同して研究することができたら案外おもしろいことにならないとも限らないと思うのである。

 寅彦がこう言ってから、87年!!
 不勉強な私はよく知らないが、いろいろ面白い「研究」があるんだろうな。
 機会があれば、ぜひ知りたいものだ。

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