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本日(2020/02/29)、第247回オンライン「寅の日」!!#traday #寺田寅彦

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▼少し遠回りをして、川向かいの「アメダス」観測所に立ち寄ってみた。
 近くで見ると風向風速計は軽やかに動き、わずかな風の動きをとらえているように見えた。
 ここで日々刻々と「気象」データは記録・蓄積されていた。
 そのデータを我々はいつでも見ることができる!! アリガタイ!!

 「アメダス」の記録・蓄積されたデータと「生きもの観察」とをリンクする!!

 それはまだ実現していない私の夢でもあった。

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▼本日(2020/02/29)は、第247回オンライン「寅の日」である。
 2月のテーマは
●「寅彦」の生きもの観察!!
 である。本日はその3回目(最終回)、「とんぼ」(『三斜晶系』二より)を読む。

◆本日(2020/02/29)、第247回オンライン「寅の日」!!

●「とんぼ」(『三斜晶系』二より)

▼今回読む『三斜晶系』は、寅彦の最晩年(1935年)の11月に発表された随筆である。
 寅彦は、この年の大晦日に亡くなっている。
 それだけに「寅彦」がずっと語ってきたことが集約されているように思う。

 「生きもの観察」についても、「寅彦」の生きもの観察!!ダイジェストが熱く語られていた。
 少しくどくなるがその【手法】をみてみよう。

(1)事実の【観察】
 

夕日がもう低く傾いていて、とんぼはみんなそれに尻(しり)を向けているのであった。

(2)【仮説】をたててみる。
 

当時ほとんど無風で、少なくも人間に感じるような空気の微動はなかったので、ことによるととんぼはあの大きな目玉を夕日に照りつけられるのがいやで反対のほうに向いているのではないかとも思われた。

(3)【仮説】にもとづく【観察】【記録】

  試みに近い範囲の電線に止まっている三十五匹のとんぼの体軸と電線とのはさむ角度を一つ一つ目測して読み取りながら娘に筆記させた。その結果を図示してみるとそれらの角度の統計的分布は明瞭(めいりょう)に典型的な誤差曲線を示している。三十五匹のうち九匹はだいたい東西に走る電線に対してその尻を南へ十度ひねって止まっている。この最大頻度(ひんど)の方向から左右へ各三十度の範囲内にあるものが十九匹である。つまり三十五のうちの二十八だけ、すなわち八十プロセントだけは、三十度以内まで一定の方向にねらいをつける能力をもっていたといわれる。

(4)結果の【考察】

 しかしまた考えてみると、とんぼの方向を支配する環境的因子はいろいろあるであろうから、他の多数のとんぼが感じないようなある特殊な因子に敏感な少数のものだけが大衆とはちがった行動を取っているのかもしれないと思われた。そのようなことの可能性を暗示する一つの根拠は、最大頻度方向より三十度以上の偏異を示す七匹のどれもがみんなその尾端を電線の南側に向けており、反対に北側に向けたのはただの一匹もなかったという事実である。

(5)【追試】及び再度【仮説】をたてる。

その翌日の正午ごろ自分たちの家の前を通っている電線に止まったとんぼを注意して見ると、やはりだいたい統計的には一定方向をむいているが、しかし、太陽に尻(しり)を向けるという仮説には全然適合しない方向を示していた。ちょうど正午であるから、たとえどちらを向いてみても目玉を照らされるのはだいたい同じだから、少々この場合には何か他の環境条件に支配されているだろうと思われた。

(6)継続【観察】と【結論】

それから、ずっと毎日電線のとんぼのからだの向きを注意して見たが、結局彼らの体向を支配する第一因子は風であるということになった。

太陽の影響は、もしいくらかあるにはあるとしてもそれは第二次的以下のものであるという結論になるのである。

 少しくどくなりすぎたが、流石である!!
 寅彦の「生きもの観察」からは、やはり多くの学ぶべきものがあるのである!!

▼「生きもの観察」の基本的手法を教えてくれるだけでなく、貴重な提言もしてくれていた。

 いちばん安全な方法はやはり野外でたくさんの観測を繰り返し、おのおのの場合の風向風速、太陽の高度方位、日照の強度、その他あらゆる気象要素を観測記録し、それに各場合の地形的環境も参考した上で、統計的分析法を使用して、各要素固有の効果を抽出することであろうと思われる。
 風速によってとんぼの向きの平均誤差が減少するであろうと想像される。その影響の量的数式的関係なども少し勉強すれば容易に見つかりそうに思われる。アマチュア昆虫生態学者(こんちゅうせいたいがくしゃ)にとっては好個のテーマになりはしないかという気がしたのであった。

少し余談になるが、こんなことも書いてくれていた。

現在測候所で用いているような風速計では感度が不十分であるから、何か特別弱い風を測るに適した風速計の設計が必要になるであろうと思われた。また一方とんぼの群れが時には最も敏感な風向計風速計として使われうるであろうということも想像された。

 寅彦がこう書いてから85年たった今、先の「アメダス」の風向風速計はどうなんだろう?
 調べてみた。
 風速が0.2m/s以下の場合は「静穏」として風向は観測しないことになっているらしい。
 やはり今もとんぼの方に軍配があがるのだろうか!?

 最後には、いつもの寅彦ならではの「アイロニー」でしめていた。

 そうしていっそう難儀なことはその根本的な無知を自覚しないでほんとうはわからないことをわかったつもりになったりあるいは第二次以下の末梢的(まっしょうてき)因子を第一次の因子と誤認したりして途方もない間違った施設方策をもって世の中に横車を押そうとするもののあることである。  人類を幸福に世界を平和に導く道は遼遠(りょうえん)である、そこに到達する前にまずわれわれは手近なとんぼの習性の研究から完了してかからなければならないではないか。  このとんぼの問題が片付くまでは、自分にはいわゆる唯物論的社会学経済学の所論をはっきり理解することが困難なように思われるのである。

やっぱり「寅彦」は面白い!!

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