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【お薦め本】『いたずら博士の科学教室 磁石の魅力』(板倉 聖宣著 仮説社)

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▼新年明けてから夢中になって読んでいる本があった。
 それは今ここで連載を続けている「今さらですが、「磁石」って!?」シリーズと関係していた。
 いつも【お薦め本】であげてきたような新刊ものではなかった。 
 本棚の隅からひっぱりだしてきた古い古い本だ!!
 およそ40年も前に出された本だ。
 なのに読めば読むほど新鮮だ!!
 「へえーこんなこと書いてあったのか!?」と。
 読んだはずなんだけど、「新発見」と「感動」の連続だ!!
▼題名を紹介しよう。

◆【お薦め本】『いたずら博士の科学教室 磁石の魅力』(板倉 聖宣著 仮説社 1980.2.5)

今は手に入るのだろうか?
 検索かけてみたら、古書、オンデマンドで読むことできるようだ。
 『科学的とはどういうことか』(板倉聖宣著 仮説社 1977.4.25)とならぶ名著中の名著だ。
 はじめて読んだ頃も、今と同じように「磁石」にはまっていた。
 書き始めると話がいろんなところに拡散してしまいそうだ。
 いつものように3つのお薦めポイントを先にあげておこう。

(1) 「磁石」の「ふしぎ!?」のすべてがここにある!!

(2) 「磁石」のことを楽しみながら学べる!!

(3) 「磁石」の授業づくりのヒントがここにある!!

▼さてひとつずついこう。

(1) 「磁石」の「ふしぎ!?」のすべてがここにある!!

この本はこんな書き出しからはじまります。

 必ずしも科学好きでない人々にも科学を親しんでもらうためには、どんな話題をとりあげたらよいか-そう考えたとき私が一番よさそうに思えたのは磁石の話でした。  じっさい、磁石は不思議です。電気となるとピリッとくるから「おそろしい」という人が少なくありませんが、磁石ならそんなことありません。科学にあまり親しみをおぼえない人たちでも、磁石を手にとるとけっこうたのしめます。(同書「はしがき」p1より)

 この事情は40年経った今も同じでしょう。
 さらに著者は、次にこうまで言い切っていました。
 

 ところが、不思議なことに、これまで磁石だけのことについてのたのしい歴史物語や、やさしい実験について書いた本はまったくといっていいほど出版されていません。
 「そういう本があったら、だれだってもっともっともっと磁石をいじったり、磁石についての空想と科学をたのしめるようになるだろうに」私は長い間そう考えていました。そしてとうとう自分で、こんな本を書いてことになりました。(同書「はしがき」p1より)

 事実、私自身この本にずいぶんお世話になってきました。
 先に話題にした「磁石石」(同書p184)、「柵原鉱山の磁鉄鉱」(同書p152)等のことも元々はここに出ていたんですね。 
 特に第三部「磁石と人間の年代記」の「年表」は今もとても参考になります。
「磁石」に関する等身大の「ふしぎ!?」のすべてがここにあります。

▼次にいこう。
 
(2) 「磁石」のことを楽しみながら学べる!!

 またまた引用からはじめよう。

 近ごろは、強力な磁石が私たちの日用品のなかにも広くとりいれられるようになりました(たとえば、スチール黒板やスチール家具にピタッとすいつくマグネツト鋲があります)。そこで私たちは、あらためて磁石の不思議な性質をじかにたのしむことができるようになっています。  私など、よく人々の集まっているいるところへいろいろな磁石を持っていくのですが、すると、老若男女を問わず、みんなその磁石をいじくりまわして、飽くことを知らないかのごとくになります。みんな子どもにかえったようになって遊ぶのです。  おとながこんな夢中になつて不思議がって遊ぶものは、ほかにあまりないのではないでしょうか。(同書p10より)

 それから40年です!! 
 いや、最初に書かれたときから言えば45年です。
 今は100円ショップで「あこがれだった」超強力磁石も簡単に手に入ります。
 より進化した「磁石」あそびが考えられるのではないでしょうか?

 そんなとき、この本はとても参考になると思います。
 この本ではストレートに磁石不思議物語を語るだけでなく、可能な限り自分で予想を立て、実験をする。
 というスタンスを貫きながら、「磁石」のことを楽しみながら学ぶことができるようになっているのです。
 アリガタイ!!
 
最後です。
(3) 「磁石」の授業づくりのヒントがここにある!! 

 お薦めポイントの本命はここかも知れません!!
 「磁石」の不思議は時代を超えて「不易」です!!
 しかし、時代は進みます。
 「流行」意識しない教材は新鮮な「驚き」「感動」を失います。
 「磁石」教材の「不易流行」の原点はここにあります!! 

 「これから」の「磁石」授業のヒントは必ずここにあります。


 最後の最後にもうひとつだけ引用させてもらいます。 
 

 新しく発見された事実は、そのことに関心をもつている人々をもとめて、つぎつぎと伝わっていきます。私たちは、多くの人々に自分自身の興味のありかを知らせておくと、自分自身で新発見しなくとも、多くの人々から多くの新発見をすばやく知らせてもらえるようになるのです。私はそういう連絡網が自然にできあがっていることを知って、とてもうれしかったのです。科学に興味をもっているアマチュアもけっして孤立していないのです。(同書p180より)

 さすがです!!
 これは今も、いやネツト時代の今こそ有効です!!
 
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